

ウェイトレスとして貴重な時間を過ごしたカフェ。珈琲も大好きだが、彼女が訪れると必ずオーダーするもの、それはスイーツ。女性にとって必要不可欠なメニューでもある。
シフォンやロールケーキが並ぶ四種盛りプレートは、CONPECHIの中でもイチオシのスイーツだ。甘くとろけるスイーツは彼女に幸福な時間を運んでくれる。その時間を通じて、彼女は様々なことを母親やいろんな人と話し、そして学ぶ。時にアドバイスを、時に叱咤激励を受けることもある。いくつかのケーキやアイス、そして焼き菓子が運んでくる時間を彼女は愛おしく想っている。なぜならスイーツを食べる時間は時に将来のこと、そして今のことを教えてくれる。共にテーブルについた、かけがえのない人と一緒に。

小さい頃の彼女にとって美容部員だった母親が使うメイク道具は、どれも魔法の道具だった。中学生の頃に興味を持ち始めて、次第に自分でもメイクを施す年代となったら、そのメイクというものが将来の目標としてすぐ側にあった。
「美容部員だった母親という存在が、メイク・アップ・アーティストを志すキッカケになったことは間違いないです。自分が見よう見まねで初めて自分で自分にメイクした日のことは今でも覚えているんです。誰だって女性なら、メイクで美しくなると嬉しいものだし」。
今でも母親が使っている化粧代に座ったことを覚えているという彼女。その日から、メイク・アップ・アーティストへの道が始まっていたのかもしれない。
「今はメイクの基礎を学ぶことで精一杯。けど、これからのことを考えると知識だけじゃダメなんですよね。道具を揃えていくことはもちろん、少しでも現場に立って学んでいかないといけないし。やらなきゃいけないことはたくさんあります。でも、スタートラインの手前ぐらいには着けたかな(笑)」。
スタートラインにたったなら、42.195kmよりさらに長い距離が待っている。

未来に向けて揺れ動く想い。それは青年期ならではの、誰しもが持つごく正常な心の揺れ。メイク・アップ・アーティストという夢と、今の自分がいる場所。その距離を考えると時々、胸がこわれそうになる時だってある。
「けど、それはきっと同年代ならみんな同じ。今はそこに向かって進むだけ」。不安や悩みを抱える日々が続いても、彼女がメイク道具を手放す日は、きっとこない。

Photographs by Takayo Nishiwaki Text by Eiji Kito Creative Direction & Art Direction by Akihiro Imao












