車のローンは経費計上できる?経費にできるものは?
車の購入代金は一括で支払うには金額が大きいため、ローンを活用して少しずつ返済する方法があります。しかし、事業用で使う車であればローン支払い額を経費に計上したいという方もいるのではないでしょうか。
そこでこの記事では、車のローンと経費の関係について解説します。ローン返済額のほかに経費にできるものや、算出方法を知ることも大切です。事業用車の購入を検討している方は、確定申告時に焦ることのないよう理解を深めておきましょう。
※目次※
・車のローンは経費の対象外ですが、利息分は経費に計上可能。
・自動車税・自動車重量税といった税金や、駐車場代は経費として扱える。家事按分を理解して計算しよう。
・個人事業主は総額の50%を経費に充てるのが一般的。全額は認められないケースがあることを理解しておくと安心!
車のローンは経費にできるのか
ローン支払いで車を購入した場合、その元金は経費に計上できません。ローン会社から借りたお金は「賃借対照表」上で負債として分類されるからです。
毎月のローン返済額も経費にはなりませんが、返済の際に加わる利息は経費として計上できます。また、ローンで購入した場合でも車は固定資産として減価償却可能です。プライベートでの利用も兼ねている場合は、事業用との使用割合を考慮して算出しましょう。
車の費用で経費にできるもの
車のローン返済額を全額経費に充てることはできませんが、利息分の計上は可能です。事業用のみで使用する車であれば利息の100%が経費扱いとなります。個人事業主・フリーランスで車を運転する方は、ローン以外の経費についても理解しておくと安心です。車の購入金額をはじめ、経費に充てられるものをご紹介します。
車の購入費用
車を購入した場合は固定資産と見なされるため、「減価償却費」という名目で経費として扱うことができます。固定資産には「何年使用できるか」を定める耐用年数があり、普通車では6年、軽自動車であれば4年です。耐用年数と購入価格(取得価額)から減価償却費を算出し、毎年の費用として計上していきます。
ただし、「どの程度事業用で乗っているか」を考慮して計算しなければなりません。ふだんの買い物や家族の送り迎えなどにも利用している場合は、事業用の使用割合分のみ経費に計上しましょう。
税金
車を乗り続けるために必要な税金は経費として計上できます。車の税金には自動車税と自動車重量税があるため、申告の際の項目はいずれも「租税公課」に計上しましょう。普通車の自動車税は排気量、自動車重量税は本体重量に応じて金額が決定する仕組みです。
普通車の自動車税は10段階に分かれていますが、事業用と家庭用とでは税率が異なります。家庭用は2万5,000円~11万円、事業用は7,500円~4万700円です。軽自動車は排気量による変動はありませんが、年式によって家庭用は7,200円~12,900円、事業用は5,500円~8,200円と幅があります。
いずれも貨物用車の税率は異なりますので注意してください。また、車の購入費用と同様、事業用・家庭用の割合を考慮して算出しなければなりません。日数や走行距離をもとに、どの程度事業として使用しているか把握しておきましょう。
車の維持費用
自動車税や自動車重量税以外の維持費用も経費として扱うことが可能です。維持費用には以下のような種類があります。
- ・車検費用
- ・ガソリン代
- ・洗車料金
- ・高速道路料金
これらはいずれも事業を問題なく行うための必要経費です。「営業先へ行く際に高速道路を利用した」「ガソリンを補充した」といったケースが経費の計上対象になります。車検時に必要な手数料や自賠責保険料など、車の維持に関係する費用も経費扱いできることを理解しておくと安心です。
保険関係の経費は「保険料」、そのほかの維持費用は「車両費」として合算するのが一般的な仕訳方法となります。ひとつひとつ明確な金額を記載する必要があるため、領収書やレシートなどは申告が完了するまで保管しておきましょう。
駐車場代
事業用の車を保管する、あるいは一時的に駐車する際の料金も経費の対象です。ただし、月極駐車場・時間貸し駐車場でそれぞれ勘定項目が異なるため注意しましょう。月極駐車場は「地代家賃」、コインパーキングのような時間貸し駐車場は「旅費交通費」が正しい項目です。
家庭用としても使用する車であれば、事業用との使用割合をもとに経費を算出します。たとえば事業用としての利用が50%、月極駐車場代が3万円であれば経費となるのは1万5,000円です。「営業先で時間貸し駐車場を利用した」という場合は全額を経費に充てられます。
駐車場と自宅の距離は関係なく、たとえ自宅に駐車スペースがある場合でも問題ありません。経費の対象かどうかは「事業に必要か否か」を重視して判断しましょう。
車を減価償却する際の耐用年数は?
車の購入金額やローンの利息を経費として計上する際は、減価償却を反映して計算しなければなりません。このときに基準となるのが耐用年数です。普通車は6年、軽自動車は4年の耐用年数が法律で定められています。
耐用年数は新車で購入してから数えるため、2年落ちの普通車を購入した場合は残りの4年を耐用年数とします。ただし、耐用年数は最低2年となるため10年落ちの車でも2年間で計上します。この点を考慮すると、4年落ちの中古車を購入すれば、その年の節税に効果的といえるでしょう
節税目的ならカーリースとローンのどちらにすべき?
車を手に入れる方法としては、新車・中古車の購入やレンタカーのほか「カーリース」があります。希望の契約期間は一定の月額料金で利用できるため、手軽に乗りたい方にとっては便利な方法です。
ただし、節税を目的とするのであればあまりおすすめできません。減価償却費として経費に計上できる購入やローンに対し、カーリースは月々の利用料金が経費対象となりますが、相対的に金額は少なくなるでしょう。将来的に売却してお得に乗り換えることもできないため、節税目的であれば購入かローン契約のほうが有利といえます。
個人事業主は全額を経費計上するのは難しい
個人事業主の場合、車関係の経費は基本的に家庭用と事業用で按分して計上しなければなりません。100%事業専用であればその必要はありませんが、乗用車であればプライベートでは全く利用しないというケースは少ないでしょう。
税務署から「少なからず家庭用に利用しているはずだ」と認識されることも多いため、基本的に家事按分(かじあんぶん)によって割合を決定します。事業用の利用時間や頻度によって変わりますが、一般的には50%として計上することが多いようです。事業用の割合があまりに多い場合は認められない可能性もあるため注意しましょう。
白色申告と青色申告でローンの処理方法は異なる
車をローンで購入した後に確定申告する際は、白色申告・青色申告で処理方法が異なる点を理解することが大切です。白色申告は収支内訳書、青色申告は青色申告決算書にある減価償却の項目に記載します。
白色申告には3種類の収支内訳書がありますが、使用するのは「一般用」です。ローンを完済していなくても経費として計上できますので、正しい数字で申告できるよう計算しておきましょう。
まとめ
車をローン支払いで購入した場合でも購入費用は減価償却費として経費計上できます。耐用年数や家事按分なども計算の際に重要となるため、あらかじめ理解を深めておくと安心です。
節税目的で事業用の車を購入するのであれば、カーリースよりもローン支払いのほうがおすすめといえます。また車の購入を検討中の方は、ぜひ一度ネクステージにご相談ください。