車の税金が改正!環境性能割や改正に関する注意点とは?
日本の税金における新しい取り組みが、2019年10月1日からはじまりました。自動車取得税の廃止、環境性能割の新設など変更点が多いため「詳しく理解できていない」という方もいるのではないでしょうか。
そこでこの記事では、車の税金がどのように変更されたのか、新しく定められた制度はどういったものかを徹底解説します。改正前後の自動車税や環境性能割について知ることで、消費者にやさしくなったポイントがわかってきます。車の購入・買い替えを検討中の方は、理解を深めて節税につなげましょう。
※目次※
・消費税の増税とともに車に関する税金の取り扱いも変更。自家用車の自動車税が引き下げられ、購入時に必要な自動車取得税は廃止
・自動車税に代わるかたちで新設されたのが「環境性能割」。燃費基準の達成率によって、購入時に納める税金が変わる点を理解しておこう
・2019年9月30日以前に購入した車には旧制度を適用。節税に効果的なタイミングを見計らって、お気に入りの車を少しでもお得に手に入れよう!
2019年10月から車の税金が改正される!
2019年10月1日、消費税が8%から10%へと引き上げられました。これにともない、車に関する税金についても新しい取り組みがはじまります。車を購入した際に必要な自動車取得税が廃止され、新たな税制度として設けられたのが「環境性能割」です。
車の購入時だけではなく、継続して所有するためにも重要です。どのように変わっているのか理解しておきましょう。
自動車税が引き下げされる
4月1日時点の名義人に課税される税金が、自動車税です。排気量によって区分しており、すべてのユーザーに納税の義務があります。2019年10月1日に行われた改正によって、普通自動車(自家用)にかかる自動車税は以下のように引き下げられました。
総排気量 |
2019年9月30日以前に登録 |
2019年10月1日以降に登録 |
1,000cc以下 |
2万9,500円 |
2万5,000円 |
1,000cc超~1,500cc以下 |
3万4,500円 |
3万500円 |
1,500cc超~2,000cc以下 |
3万9,500円 |
3万6,000円 |
2,000cc超~2,500cc以下 |
4万5,000円 |
4万3,500円 |
2,500cc超~3,000cc以下 |
5万1,000円 |
5万円 |
3,000cc超~3,500cc以下 |
5万8,000円 |
5万7,000円 |
3,500cc超~4,000cc以下 |
6万6,500円 |
6万5,500円 |
4,000cc超~4,500cc |
7万6,500円 |
7万5,500円 |
4,500cc超~6,000cc |
8万8,000円 |
8万7,000円 |
6,000cc超 |
11万1,000円 |
11万円 |
新車登録を行ったタイミングで自動車税は異なるため、購入の時期も確認しておくと安心です。
自動車の取得税が廃止
消費税が10%に増税されると同時に、自動車取得税が廃止されました。自動車取得税は、自動車を購入する際に納める必要があった税金です。車本体の金額が50万円を上回る場合、普通自動車は3%、軽自動車は2%の税率で課税されていました。
しかし、自動車取得税とは別に消費税も必要です。二重課税として問題視されていたため、廃止したといわれています。自動車取得税が引き続き課税されるケースを想定すると、消費税増税後に自動車を購入した際にかかる税金は最大13%です。購買意欲の低下を防ぐ対策ともいえるでしょう。
自動車取得税は2019年9月30日を最後になくなったため、以降に車を購入した方に納税の義務はありません。新車・中古車を問わず同様のルールです。自動車取得税自体の規定が廃止されるため、営業用であっても取得税は不要になります。
環境性能割の軽減
自動車取得税に代わるかたちで、名前とルールを変更して定めたのが「環境性能割(自動車税環境性能割)」です。車の購入金額に加え、環境に影響する燃費性能によって課税率が変動します。以下のような次世代自動車は、自家用・営業用どちらでも課税されません。
- ・電気自動車
- ・クリーンディーゼル車
- ・プラグインハイブリッド車
- ・燃料電池自動車
- ・天然ガス自動車
ガソリン車やハイブリッド車は、燃費基準達成率によって以下のように課税率が区分されています。2019年10月1日~2021年3月31日の期間内に購入した方が対象です。
|
2015年度燃費基準達成率 |
2020年度燃費基準達成率 |
|||||
|
未達成 |
達成 |
+5% |
+10% |
達成 |
+10% |
+20% |
普通自動車 |
3%課税 |
2%課税 |
1%課税 |
非課税 |
|||
軽自動車 |
2%課税 |
1%課税 |
非課税 |
(自家用乗用車の場合)
また、臨時的軽減措置として、2019年10月1日~2020年9月30日に購入した車は普通自動車・軽自動車ともに1%の軽減が適用されます。2020年9月30日を境に税率が変動するため、購入を検討中の方はタイミングを見極めることが大切です。
環境性能割とは?
自動車取得税の廃止とともに定められたのが環境性能割です。3%または2%の税率で必要であった取得税はなくなりましたが、基本的な構造は同じといえるでしょう。電気自動車のような排気ガスを発生しない車は非課税となるため、燃費性能が優れているほどお得に感じられる制度です。ここからは、環境性能割の概念と特例措置について解説します。
環境性能割について
環境性能割に関する税率は「2015年度燃費基準」「2020年度燃費基準」の2つの観点をもとに決定する仕組みです。課税率は最大3%ですが、2020年度の燃費基準を達成した車であれば2%の課税率になります。
中古車の購入においても考え方は同じですが、最終的な金額を算出するまでの方法が異なる点に注意しましょう。新車とは違い、残価率を考慮して金額を決めるためです。車自体の価格が50万円以下の場合、環境性能割による税金は課税されません。これから購入を計画している方は、ほしい車がどの区分に値するか確認しておきましょう。
また、環境性能割は車を売買する際に対象となる税金です。したがって、家族から相続した車であれば課税の対象外となります。
特例措置の内容(登録車)
2020年度燃費基準に達成していない車は、3%の環境性能割を納めなければなりません。一定の基準に達しない場合、かつての自動車取得税と同様の課税率になります。自家用の普通自動車(登録車)であれば以下のように減税されます。
排出ガス基準 |
燃費達成率 |
規定の課税率 |
特例措置適用後 |
2018年排出ガス基準50%低減達成車または2005年排出ガス基準75%以上低減達成車 |
2020年度燃費基準+20%以上達成 |
非課税 |
非課税 |
2020年度燃費基準+10%達成 |
1% |
非課税 |
|
2020年度燃費基準達成 |
2% |
1% |
|
上記以外 |
3% |
2% |
2020年度燃費基準+10%以上を達成した車であれば非課税の対象です。燃費基準をクリアしていない車でも1%の減税を受けることができます。
特例措置の内容(軽自動車)
軽自動車を購入した際に納める環境性能割は、最大で車両価格の2%です。以下の表を参考に特例措置適用後の課税率を確認しましょう。
排出ガス基準 |
燃費達成率 |
規定の課税率 |
特例措置適用後 |
2018年排出ガス基準50%低減達成車または2005年排出ガス基準75%以上低減達成車 |
2020年度燃費基準+20%以上達成 |
非課税 |
非課税 |
2020年度燃費基準+10%達成 |
非課税 |
非課税 |
|
2020年度燃費基準達成 |
1% |
非課税 |
|
上記以外 |
2% |
1% |
特例措置の適用により、最大1%の課税率となります。2020年度燃費基準達成車であればすべて非課税となるため、軽自動車をお得に手に入れられる期間といえるでしょう。2020年9月30日を境に税率が変わる点をふまえ、適切なタイミングをねらいましょう。
税金改正の注意点!
取得税の廃止や環境性能割の特例措置は、節約にも有益な情報です。「気付けば期間外だった」といった事態にならないよう対策しなければなりません。1日前後するだけで税率が変わる可能性があるため、適用期間についても理解を深めることが大切です。ここからは、税金の取り扱いに関する注意点をご紹介します。
従来のエコカー減税はなくなる?
エコカー減税は、車を所有するうえで必要な税金を軽減するための取り組みです。自動車取得税については2019年9月末をもって廃止となったため、すべてにおいて「適用されなくなった」と考える方もいるかもしれません。
しかし、自動車重量税におけるエコカー減税の適用期間は延長しています。また、自動車税・軽自動車税におけるグリーン化特例も廃止されていません。それぞれ以下の条件を設けられています。
税金項目 |
適用期間 |
自動車税・軽自動車税のグリーン化特例 |
2021年3月31までに新車を購入した方 |
自動車重量税のエコカー減税 |
2019年5月1日~2021年4月30日に新車登録または初回車検を受けた方 |
自動車取得税に適用される減税は、制度の廃止とともになくなりました。車を購入した際にかかる税金は、環境性能割のルールを基準に考えるとわかりやすいでしょう。
自動車税・自動車重量税で適用期間が異なるため、どちらを優先して購入するべきか計画しておくと安心です。
すでに保有している車には適用されない?
自動車重量税や自動車取得税において「どのルールが適用されるか」は、2019年10月1日以降に購入したかどうかで変わります。たとえば、2019年9月30日に車を購入した方は以下の税金を納めなければなりません。
- ・消費税8%
- ・自動車取得税
- ・改正前の自動車税
- ・自動車重量税
環境性能割が適用されないため、特例措置による1%の減税も適用外です。自動車税にも改正前の金額を反映する必要があります。自動車取得税は購入の時点で納めるため、廃止後に還付を受けることもできません。
ただし、2019年5月1日以降に新車を購入した方であれば、自動車重量税のエコカー減税対象に含まれます。税金の種類によって適用されるかどうかが異なる点を理解し、購入時期とあわせて確かめることが大切です。
どのような車をいつ買うのがベスト?
「電気自動車がほしい」という方は、それほど焦って購入を決めなくてもよいでしょう。電気自動車は、環境性能割の非課税対象車に該当するためです。2020年度の燃費基準を+20%以上クリアした車も同様といえます。
非課税対象外の車を購入する場合は、本来の課税率が適用される前に決断するのもおすすめです。特例措置が受けられなくなったとき、車の本体価格から1%が上乗せされるかたちになります。
課税率の基準は新車・中古車いずれも同じです。特例措置が受けられるあいだは、少しでもお得に購入できるチャンスでもあります。減税の期間を逃さないためにも、早めに商談を開始できると安心です。
まとめ
2019年10月1日から、消費税だけでなく車に関する税金にも変更がありました。自動車取得税の廃止と環境性能割の新設が行われましたが、改正後に購入した場合は一定期間特例措置を受けることも可能です。節税につなげるためには、自動車税・自動車重量税など具体的な内容と適用期間を知る必要があります。
これから車の購入を考えている方は、「燃費基準をどのくらいクリアしているか」「減税の対象であるか」といったポイントをおさえておきましょう。中古車に関して不安やお悩みがある方は、ぜひこの機会にネクステージまでご相談ください。