中古車は購入費の全額を経費計上できる?基礎知識や耐用年数・減価償却を解説
会社の経営者や経理担当者であれば、年に一度の確定申告に向けて注意していることが多くあるのではないでしょうか。少しでも節税できるよう、出費したものは経費計上したいと思うものです。
車の購入費は、会計において複雑な処理を必要とします。車購入費の全額を経費計上して良いのか、それともほかに考えるべき事柄があるのか、帳簿づけについて頭を悩ますこともあるでしょう。車購入に関する減価償却や経費計上の方法について解説しますので、帳簿をつける際の参考にしてください。
※目次※
5.何年落ちの中古車を購入すると全額計上できる?減価償却費を計算
・青色申告の中小企業者等が中古車を購入した場合30万円未満であれば全額経費計上できる
・車購入費を経費計上するためには取得価額や耐用年数から減価償却費を計算する必要がある
・定額法又は定率法で減価償却費を計算する方法を覚えておこう
中古車は購入費の全額を経費計上できる?
確定申告の際、経費が多ければ所得金額を抑えることができ、節税に繋がります。そのため、中古車を営業車などの社用車として購入した場合、全額経費計上できるのかどうかが気になる方もおられるのではないでしょうか。
結論から申し上げますと、基本的に車は新車・中古車問わず、長期にわたって利用できる資産という扱いになるため減価償却の対象です。減価償却とは何か、全額経費計上できるケースとできないケースについて解説します。
要件を満たすことでほぼ全額経費計上ができる
原則、車は使用していくうちに価値が減少していくとみなされる減価償却資産のため、購入費を数年に分けて経費計上します。その際に関係するのは、取得価額や耐用年数です。ただし、要件を満たすことで全額経費計上できる特例も設けられています。
これは「中小企業者等の少額減価償却資産の取得価額の損益参入の特例」として法律で定められているため、次項をご参照ください。
年度内に全額経費計上ができるケース
年度内に全額経費計上ができるケースの要件とは、青色申告をしている中小企業者等が年度内(4月1日から次年の3月31日まで)の間に、取得価額30万円未満の減価償却資産を購入した場合です。
本来であれば購入した車の耐用年数に応じて減価償却費を計上しますが、30万円未満で購入した車は全額経費計上ができます。
場合によっては、社用車として使用する中古車を複数台購入する必要が生じる場合もあるかもしれません。特例を受けられる減価償却資産の取得価額合計額の限度は、300万円までと規定されています。そのため、30万円未満の車を合計300万円まで購入した場合は、年度内に全額経費計上できることを覚えておきましょう。
確定申告の際に、少額減価償却資産の取得価額に関する明細書を添付する必要があります。中古車購入時の明細書は必ず保管しておきましょう。
(参考:『中小企業者等の少額減価償却資産の取得価額の損益参入の特例|国税庁』)
全額経費計上ができないケース
中古車購入費が30万円未満で年度内合計額が300万円未満であったとしても、全額経費計上できないケースもあります。それは、購入した車がプライベート使用とビジネス使用の兼用である場合です。
確定申告の際に経費として認められるのは業務上関係のある出費のみで、プライベートの生活費は経費計上できません。そのため、仕事とプライベート兼用で使用する目的の車購入費は、業務上の使用割合のみを家事按分として算定することが必要です。
中古車購入で経費計上するための基礎知識
個人事業主が利用する確定申告には「青色申告」と「白色申告」の2種類があります。先ほども述べたとおり、中古車購入費を全額経費計上できる特例を適用されるためには、青色申告をしていなければなりません。自分がどちらで申告しているか確認しましょう。
中古車の購入費を経費計上するためにはどのようなことに注意したら良いのでしょうか。覚えておきたい基礎知識について解説します。
中古車購入費を経費計上するメリットとは?
税務上、購入金額が10万円以上で一定期間使用可能なものは固定資産となります。大抵の場合、車は固定資産です。固定資産は減価償却対象のため、毎年少しずつ経費計上することが原則となっています。
ただし、少額減価償却資産の特例を適用して車購入費を全額経費計上することにより所得額を減らすことができるため、節税につながることがメリットです。これは、所得税は所得が増えれば税率が高くなり、所得が減れば税率が低くなるという累進課税制度が関係しています。
(参考:『所得税の税率|国税庁』)
購入時の帳簿仕訳
車を事業用資金で購入した場合と個人資金で購入した場合とでは、帳簿仕訳の際の勘定科目が異なりますので注意しましょう。下記に、取得価額200万円の車を購入した場合の2パターンの仕訳例をご紹介しますので参考にしてください。
【事業用資金で購入した場合】
借 方 |
貸 方 |
||
車両運搬費 |
200万円 |
現金 |
200万円 |
【個人資金で購入した場合】
借 方 |
貸 方 |
||
車両運搬費 |
200万円 |
事業主借 |
200万円 |
減価償却の取得価額
税法上、固定資産の購入費全般を取得価額と呼びます。取得価額には本体のみならず、購入する際に必要なその他の諸費用も含まれることが特徴です。
車を含む固定資産の取得価額には、含めるべきものと状況により含めなくても良いものが法律上規定されています。含めなくても良いものについては、ほかの勘定科目で仕訳できる場合があるため注意しましょう。中古車購入時に取得価額に関係がある費用は下記のとおりです。
【含める費用】
・車両本体価格
・オプション代
・納車費用
【含めるか含めないか選択できる費用】
・自動車税種別割
・自動車重量税
・自賠責保険料
・自動車環境性能割
・検査登録費用(代行費用含む)
・車庫証明費用(代行費用含む)
(参考:『固定資産の取得価額|国税庁』)
中古車購入費を全額経費にするには耐用年数を知ろう
中古車購入費の減価償却費を算出するにあたり、法定耐用年数をもとに計算が行われます。耐用年数は事業者の種類、車の種類、構造、新車、中古車などの条件により異なりるため、その都度確認しましょう。
購入する中古車の耐用年数をきちんと把握しておくことにより、全額経費計上できる車を賢く選ぶことができます。
中古車購入における耐用年数について
一般事業者が新車を購入した場合、普通自動車の耐用年数は6年、軽自動車の場合は4年と税法で定められています。運送業者の場合は、車を頻繁に用いるとの前提により耐用年数は一般よりも短く規定されているため、該当する場合は確認しましょう。
中古車の場合は新車とは異なり、購入後使用可能な期間を正確に見積もることはできません。そのため、初年度登録年から数えて法定耐用年数がすでに経過している車を購入した場合は2年と定められています。未経過の車は、規定の計算式にしたがって耐用年数を計算することが必要です。
耐用年数の計算
新車は耐用年数が長く設定されていますが、中古車は耐用年数が短く、減価償却が早いのは経理上メリットです。中古車の耐用年数計算方法は、法定耐用年数をまだ過ぎていない場合と過ぎている場合とでは異なるため注意しましょう。
まだ法定耐用年数を満了していない場合の計算式は「(新車法定耐用年数-経過年数)+経過年数×0.2」です。
通常計算する際は、年数を月数に換算し、1年未満は切り捨てます。例えば、2年落ちの中古普通車を購入した場合は「(72か月-24か月)+24か月×0.2=52.8か月」となり、耐用年数は48か月分の4年という計算です。
法定耐用年数を経過している中古車の場合は「新車法定耐用年数×0.2」の計算式を利用します。この場合1年未満は切り捨てですが、2年未満は2年となるため注意しましょう。6年落ちの中古普通車の場合は「72か月×0.2=14.4か月」となり、耐用年数は2年となります。
中古車の購入費を全額経費計上できるか計算してみよう
基本的に、車を含む固定資産を購入した場合は減価償却を行うことが必要です。減価償却は、法定耐用年数期間内で費用計上する必要があり、定額法又は定率法で算出します。定額法と定率法の主な特徴について解説しますので参考にしてください。
定額法を使用した計算方法
定額法とは毎年決まった金額で経費計上するシンプルな計算方法で、初期の費用発生が少ないことが特徴です。計算式は「自動車の取得価額×償却率」を適用します。
例えば、耐用年数6年の普通自動車の取得価額が120万円の場合は「120万円÷6年=20万円」です。6年間にわたり、20万円ずつ「減価償却費」として計上します。
(参考:『定額法と定率法による減価償却|国税庁』)
定率法を使用した計算方法
定率法とは、毎年減価償却累計額に一定割合の償却率をかけて減価償却額を算出する方法です。初年度に多くの経費が計上され、年を追うごとに経費が少なくなります。定率法の償却率については、国税庁が公表している「減価償却資産の償却率表」を参照してください。
通常、定率法は法人が用いる償却方法で、個人事業主の場合は定額法で減価償却を計算することが原則です。ただし、確定申告の提出期限までに「減価償却資産の償却方法届出書」を税務署に提出すれば、定率法での償却計算も可能になります。
(参考:『定額法と定率法による減価償却|国税庁』)
何年落ちの中古車を購入すると全額計上できる?減価償却費を計算
減価償却の計算方法を押さえておくことで、中古車購入の際にどのくらい経費が掛かるかを把握できます。なるべく全額経費計上をして確定申告の際に所得額を抑えたい場合は、何年落ちの中古車を購入すればよいのでしょうか。ここで詳しく解説します。
4年落ちで減価償却費を計算
一般に知られていることは、4年落ちの中古車購入であれば全額経費計上できる可能性が高いことです。4年落ち中古乗用車の耐用年数は「(6年-4年)+(4年×20%)=2.8年」で2年となります。国税庁が定めている耐用年数2年の定率法償却率は1.000です。
例えば事業年度の初月(期首)に現金200万円で中古乗用車を購入した場合、200万円×1.000×12か月/12か月の計算式に当てはめると全額経費計上できます。ただし、これは基本的に法人が利用する定率法での償却方法となるため注意しましょう。
取得日には注意が必要
4年落ちの中古車購入の際、定率法での償却方法では経費を全額計上できることをご紹介しましたが、覚えておきたい点があります。それは、自動車の取得日に注意することです。取得日が事業年度の初月であれば100%経費を計上できますが、年度途中であれば全額計上はできません。
減価償却は、年単位ではなく月数按分という方法が用いられることがその理由です。「取得価額×償却率×使用した月数/12」という計算式を覚えておきましょう。決算月に購入した場合は1か月分のみの経費計上で、残りの11か月分は翌年度の経費計上となります。
どのくらいの経費を計上できるかを把握した上で、いつ購入した方がメリットがあるかを考慮しましょう。
再取得価額50%を超える中古車の留意点
時には、事故などに遭い車を買い替える事態が生じるかもしれません。その際に使用される用語に「再取得価額」があります。再取得価額とは、中古資産と同一の質、用途、モデルのものを再取得する際に要する金額のことです。
購入した中古車を事業用に支出した資本的支出金額が再取得価額の50%相当金額を超える場合は、新車の耐用年数と同じ年数が適用されることを覚えておきましょう。
節税だけではなく中古車購入時の選び方も意識しよう
節税だけを考えると、経費計上しやすい低価格の中古車購入が魅力的かもしれません。しかし、新車と異なり修理やメンテナンスなどの支出が多くなりやすいことも覚えておく必要があります。取得価額や耐用年数だけでなく、他の諸費用なども考慮に入れて慎重に選びましょう。
リセールバリューも考えよう
車は、ある程度の年数が経ったら買い替える必要が生じることが一般的です。売却する際にリセールバリューが高い車であれば高価買取を期待でき、次の車購入資金に充てることができます。
反対に、買取査定額が低い場合は購入した時の金額との差が大きくなり、結果的に会社にとっては損失となっている場合があるかもしれません。リセールバリューを考えた車選びを意識しましょう。
ローンより一括購入がおすすめ
車の購入方法には、ローン利用と現金一括支払があることはご存じかと思います。経理上、ローン購入で発生する利息は経費計上できますが、毎月のローン返済額は経費計上できません。
ローン購入の際も耐用年数を用いて減価償却額を算出しますが、元本分が経費にならないなど記帳の仕方が異なります。会社の経理システムにもよりますが、余裕があるのであればローンよりも一括購入がおすすめです。所得とのバランスを考慮して慎重に決定しましょう。
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まとめ
事業者にとっては、経理上の経費に関して頭を悩ませることがあるかと思います。車を含む固定資産に関する経費計上は会社の利益に大きく影響を与えますが、節税も重要事項です。中古車購入を上手に行うことにより、長い目で見て経費削減に繋がることも多々あります。
中古車販売実績が多いネクステージでは、良質でリセールバリューの高い中古車を数多く取り扱っています。どのような車選びをすればよいかお悩みの際は、ぜひお客様ファースト理念のネクステージへご相談ください。