カーライフ

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DAIHATSU MOVE LATTE

患者さんと真正面から向き合い、人間のみならず動物にとっても必要不可欠な「歯」の治療を行う歯科衛生士という仕事がある。日々、歯科衛生士として懸命に働く下村皐月さんの元には、一日で約10人ほどの患者さんが訪れる。きっちりと歯の治療を行う患者さんから、ホワイトニングと言われる歯の漂白に訪れる人まで治療は多岐に渡る。彼女が歯科衛生士になる道は決して平坦なものではなかった。

「専門学校できちんと勉強をして、それから卒業前に国家資格の歯科衛生士の免許を取るための試験を受けます。たくさん勉強もしたし、絶対に受かってやろうという強い気持ちをもって試験に臨んだことを今でも覚えてるんです」。

彼女は歯科衛生士として、まだまだ新米の部類に入る3年目。働きだしてから、実際にイメージしていたものとの違いのようなものはあったのだろうか。

「人とダイレクトに関わる仕事だからこその難しさはあります。歯の治療に対する知識を持つことはその前提なんです」。
彼女は自発的に講習会に参加。知識を高めようと努力するなど、プロ意識が非常に高い。「講習会は3ケ月に1回ほどの頻度で行われます。勤めているところからの強制ではもちろんないのですが、どんどん進歩する技術も習得しないといけないし。それに自分が受け持った患者さんには、やっぱり私のことを信頼してもらってから治療に当たりたいと思ってるんです。そのためにも知識をつけることは大切ですから」。

今では歯科衛生士も、歯科医院ごとに予約制が当たり前。そして基本的には、一度受け持った患者さんは何ヶ月にも及ぶ治療が終わるまで担当することになる。 「患者さんの治療の進行具合などは、マメにチェックしてます。同時にブラッシング指導を行って現状よりも悪くならないようにすることも不可欠ですね」。

働き出してから、彼女は自分の変化を感じている。
「職場にも年上が多いし、患者さんには全て敬語。わかりずらい説明は誤解を招くので、きちんとした話し方ができるよう気を配るようになりました。もちろん、私の説明不足で誤解を与えてしまうなど、失敗もありました。けど、患者さんから指摘をされても、それでもその方が『また次もお願いします』って指名をしてくれたりするととても嬉しくなりますね」。
失敗も嬉しいことも、患者さんと思いきり向き合ったことで、彼女は人と話をするのが好きになったと笑う。
「何度も治療をして顔見知りになった患者さんの中には、世間話ではじまって治療して、また世間話で終わる、なんて人もいるんですよ」。  1週間ほどで効果があらわれるというブラッシング指導も、彼女に与えられた患者さんへの大切な指導のひとつ。せっかく教えても患者さんが怠けていると悲しくなるし、結果が表れると素直に喜びを表現する。

人間の大人では28〜32本あるとされる「歯」。
物を食べる時に不可欠なものであることのほか、人間にとっては言葉を発する際に その発声を手助けしたり、顔の輪郭を整えたりという効果もある。
そう、生きていく上で欠かすことのできない、大切な身体の一部分なのだ。
歯の形はその動物が摂取する食べ物と深い関係があり、草食動物、肉食動物、雑食動物などは それぞれに見合った役目の歯を持っている。
肉食動物の代表格であるライオンの歯はとくに「犬歯」が発達している。
犬歯には、肉を裂いたり獲物に噛み付いては動きを止める役目を持っているからだ。

「ご飯は一生に渡って食べていかないといけないし。それに食べることは楽しいことだから、ボロボロの歯になっちゃうと絶対にその楽しみは半減してしまうと思うんです。だから、私に与えられた仕事って大切だなぁって感じてます」。
歯茎を綺麗にすることは、日頃の歯磨き時のブラッシングの仕方ひとつで大きく変わってくるそうだ。歯の大切さがわかった彼女は、予防と歯を綺麗にすることに大いに力を注いでいる。徐々に広まりつつあるホワイトニングも、彼女がその存在を広めている一助になっているのかもしれない。

毎週日曜日と平日に1日。それが歯科衛生士である彼女の休日。普段、仕事場までは電車通勤。そして職場では同僚や先輩、そして患者さんの治療に専念する忙しい時間が待っている。だから休みの日には、彼女は思いきり遠出するように決めている。目的地をあえて決めない時だってある。

「ひとりで出掛けることも好きだけど、たまにはデートしてのんびりまったりと過ごすこともあります。彼氏に限らず友だちや相手の予定が合わなくても、ひとりで出掛けちゃうことが多いかも。それに内勤の仕事の反動からか、休日になると距離は関係なしに自分が好きな場所に身をおくようにしているんです」。
クルマを手に入れてから、やはり行動範囲が格段に広がったと彼女は話す。
「専門学校では国家資格取得のために勉強に励んだ。ただ、もっと外を見たいという気持ちも彼女の中に存在していた。休日はそれを取りかえすぐらいの気持ちでいろんな街やお店を訪れたりして視野を広げる時間だと思ってます。患者さんとの世間話の話のタネにも、結構重要なことなんですよ」。話しの最後には、自分の元を訪れてくれる患者さんとの話が飛び出すあたりが、彼女らしいと思った。

新しく開業したテーマパークや、複数の店鋪が入居する商業施設にはあまり惹かれないという彼女。オシャレしたカップルが立ち寄りそうなスポットに興味はないのだろうか。
「不思議とそういう場所には惹かれないんですよね。休日にはカフェにもよく行きますが、古い町並みを残した通りをゆっくりと歩いてみたりする方が好きですね。私が生まれる前からそこにあって、歴史は感じさせるんだけれど古さは感じさせない。そういう建物が好きなのかも知れませんね」。

ムーヴ ラテという相棒を手に入れ、そして働き出してからの彼女は自らの服装にも変化が訪れた。
「学生の頃とかは、ワンピースを自分が着るなんて想像もしてなかったですね。それまではジーンズとかラクな格好ばっかり。なぜだかわからないけれど、働き出してからオンナのコらしい服装をするようにはなりました。上品になった? そうかもしれない」。
多くの人との出会いは、こんなところにも表れているのかも知れない。

仕事場へは電車で通う彼女、ムーヴ ラテを連れ出して出掛けるのは休日に限定される。このクルマは彼女にとってのファーストカー。
いずれは、もっと大きくてそしてゴツいフォルムのクルマ、可能なら4駆がいいなぁとも考えている。けれど、いまはこれで充分だと思っている。

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「大体はひとりか、多くても二人での移動がメインだから室内の広さもこれで充分かなぁ、って思ってます。目線が高い方が運転もし易そうだし、いつかはオトコの人が運転するような大きなクルマを運転したいっていう気持ちもあるけど。…ムーヴラテ、やっぱりかわいいし」。
彼女は月に一回くらいの頻度で、大好きな音楽をプレーヤーにダウンロードする。車内に流れる様々なジャンルの曲が車内空間を変え、それが自分の気持ちにプラスの作用を及ぼすことを知っているからだ。そして季節や週単位で変わる彼女のフェイバリット・ソングを、一番把握しているのは誰あろう相棒のムーヴ ラテであったりする。

お酒は少しだけ嗜む程度と彼女。数カ月に一度くらいの頻度で足を運ぶバーやクラブ、主たる目的は音楽だ。
「R&Bからヒップホップ、レゲエまで音楽は比較的ジャンルに捕われず聴いてるんです。家ではCDで聴いているけど、 いずれは家でもレコードで聴けたらいいなぁって思ってます。私にとってクラブやバーは、落ち着いて音楽をレコードで聴ける限られた場所。音楽を聴きに来ているといったほうが正しいかもしれない」。
 毎年夏には野外イベントへ、冬でも時間を見つけてはライブ会場に足を運んでいる。
「ひとりで聴くのも好きだけど、大勢で音楽を共有するライブなんかも好き。ストレス発散にもなるし。お店では、どういうレコード・プレーヤーがいいのかを聞くなど、勉強もしてるんです」。

音楽好きの彼女が好きなジャンルは、ジャマイカで生まれたレゲエ。中でもその名の通り、レゲエの根幹を成すジャンルとも言われるルーツ・レゲエがお気に入りだ。
「ルーツ・レゲエはリズムが自分の好きなものに合ってる気がする。レゲエにはいろんなメッセージが歌詞にこめられているんですけど、私は純粋にそのリズムや音楽全部が好きなんです。特にこの人というアーティストではなくって、ルーツ・レゲエそのものが好き。音楽は家で聴いている状態なら、自然と穏やかに流れている状態が好きですね。耳から入った音楽に合わせて、自然と身体がリズムを取り出すような、そんな状態が理想かな」。

ドレッドヘアを振り乱すパフォーマンスが鮮烈な印象を与えるミュージシャン、ボブ・マーリーが始祖とも言われるルーツ・レゲエ。今の彼女の音楽の波長に、ぴったりとマッチしているようだ。

今もなおレゲエの神様として崇められるボブ・マーリー。
彼が信仰していたラスタファリという思想のシンボルとされるのがエチオピア帝国の最後の皇帝であるハイレ・セラシェ1世である。
彼は動物の中の王であるライオンのように、王の中の王「ラスタ ライオン」と呼ばれ崇められていた。
ハイレ・セラシェ1世は、ある黒人運動家に救世主と予言されてから即位した経緯があり
当時かなり珍しかった黒人の皇帝。このことからジャマイカンが、遠く離れたアフリカの大地の皇帝のことを慕うようになったとされる。そして、彼の本名からとった「ラスタファリ」という言葉が黒人運動とともに急速に広まることになった。
エチオピアの国旗を持ち王冠をかぶったライオンを象った指輪をはめてステージに立ってたボブ・マーリー。
動物にとって欠かせない歯を武器に日々を暮らす、動物界のキング オブ キングであるライオン。
ルーツ・レゲエを愛する人に「勇気とヒロイズムの象徴」として愛されるラスタライオン。
二つのライオンは、不思議な共通項で結ばれていた。

Photographs by Noriyuki Washizu Text by Eiji Kito Creative Direction & Art Direction by Akihiro Imao

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