マツダのスカイアクティブとは?技術の特徴や搭載車種を紹介
2010年代のマツダの躍進を支えたのが、デザインテーマの「魂動」と新世代技術のスカイアクティブテクノロジー(SKYACTIV TECHNOLOGY)でした。2010年に発表されたスカイアクティブテクノロジーは、エンジン、トランスミッション、シャシー、ボディ、制御に別れていて、2011年にデミオに初導入されました。
名称は変わりませんが、現在でも技術は進化していて、エンジンやトランスミッションはより効率化を求めています。シャシーやボディ、制御はマツダが目指す「人馬一体感」や「走る歓び」を体現できるように磨き上げられています。
※目次※
7. スカイアクティブ搭載のマツダ車を探すなら中古車もおすすめ!
・2010年に発表されたマツダの新たな車両技術がスカイアクティブテクノロジー
・軽自動車以外のラインアップにはスカイアクティブテクノロジーが採用されている
・中古車の在庫も豊富で、コンパクトからスポーツ、SUVなどからスカイアクティブテクノロジーが採用されたモデルは選べる
マツダのスカイアクティブとは?
マツダの「スカイアクティブ」は、2010年に初めて発表された革新的技術で、翌年にはこの技術を搭載した車の第一弾として「デミオ」が発表されました。
スカイアクティブで提唱する「人馬一体」を実現するために、車の基本となる構造を一から見直して作り直すことにチャレンジしています。ここでは、スカイアクティブがどのような技術なのかを見てみましょう。
「人馬一体」を目指す車両構造技術
マツダが提唱するスカイアクティブは、車と一体化したような感覚で運転を楽しめる「人馬一体」を目指した技術です。車の構造をそれぞれ独立したものとして組み立てるのではなく、エンジン・トランスミッション・プラットフォームなどの主要構成要素を包括的に開発することで、車の運転が感覚的に行えるようにしています。
車の構造技術だけでなく、エンジンを「ガソリン」「ディーゼル」「次世代型ガソリンエンジン」に分けて開発することで、燃費性能のさらなる向上を目指していることも特徴です。
白紙からのチャレンジ
マツダの理念でもある、車の「走る歓び」を追求するためには、これまで通りの技術では限界があると考えられました。マツダは、車の基本であるエンジン・トランスミッション・プラットフォームの構造を白紙に戻して、ゼロから作り直すことに挑戦します。
この困難を伴うチャレンジにより、新たな発想が生み出され、優れた技術革新につながりました。このような信念の下、開発されたのがマツダのスカイアクティブ技術です。
マツダのスカイアクティブの特徴【エンジン】
スカイアクティブ技術の核心ともいえるのがエンジンです。マツダは、ガソリン・ディーゼルそれぞれのエンジンに最適な燃焼システムを取り入れることで、燃費性能やトルクの向上に成功しました。ここでは、「SKYACTIV G」「SKYACTIV D」「SKYACTIV X」の3種類のエンジンについて見ていきましょう。
SKYACTIV G
ガソリンエンジンである「SKYACTIV G」の特徴は、量産型のガソリンエンジンでは初めて高圧縮化に成功したこと、それによって燃費とトルクが15%も向上したことです。高圧縮化によって引き起こされるノッキング現象を「4-2-1排気システム」「キャピティ付ピストン」「マルチホールインジェクター」などの技術により抑え、熱効率の改善に成功しています。
このSKYACTIV Gは、2011年に初めてデミオに搭載され、アクセラ、MAZDA3、CX-5など、さまざまな車種に取り入れられました。
SKYACTIV D
ディーゼルエンジンは、ガソリンエンジンよりも熱効率に優れているため燃費も良いという特徴があります。問題となっていたのが、圧縮比の高さから起きる不均一な燃焼によって、環境汚染物質である窒素酸化物やススが発生することでした。
SKYACTIV Dの特徴は、この圧縮比を下げることで燃焼タイミングを最適化し、窒素酸化物やススの発生を減らしたことです。窒素酸化物などの低減によってSKYACTIV Dでは高価な後処理機構を排除でき、コストも下げられました。また、低圧縮化により、従来に比べて約20%の燃費改善に成功しました。
SKYACTIV X
「SKYACTIV X」は、ディーゼルエンジンの特徴である自己着火をガソリンエンジンに応用して、少ない燃料で高効率な燃焼を可能にしたエンジンです。これは、少ない燃料でエンジンを動かすリーンバーンを、世界で初めて実現したエンジンでもあります。
このリーンバーンを実現するためにマツダが開発したのが、SPCCI(火花点火制御圧縮着火)という燃焼制御技術です。この技術は、令和4年度全国発明表彰の「日本弁理士会会長賞」や、2020年度日本燃焼学会の「技術賞」を受賞しました。
マツダのスカイアクティブの特徴【トランスミッション】
マツダでは、車の走行性能を左右するトランスミッションにも、スカイアクティブ技術を取り入れています。ダイレクトな運転感覚や滑らかなギアチェンジ、低速での燃費の向上を追求したATと、スポーツカーのようなシフトフィーリングが楽しめるMTの2種類が開発されました。ここからは、ATの「SKYACTIV-DRIVE」とMTの「SKYACTIV-MT」について紹介します。
SKYACTIV-DRIVE
「SKYACTIV-DRIVE」は、滑らかな変速による燃費の良さとダイレクト感が楽しめるATです。日本でも使われているCVTや、海外で普及しているDCTそれぞれの良さを取り入れた、ステップATベースのトランスミッションでもあります。
マツダは、ATにおける燃費悪化の原因のひとつである、エンジン動力の伝達ロスを改善するための「ロックアップ機構」に着目しました。
「振動が起きやすく運転領域が限られる」というロックアップの課題を、制御性能・耐久性能に優れた油圧多板クラッチをトルコンの内部に使用することで克服しています。これによってロックアップ領域の拡大に成功し、燃費の向上を実現しました。
SKYACTIV-MT
「SKYACTIV-MT」は、軽量化に成功したコンパクトMTで、スポーツカーのような軽いシフトフィーリングが楽しめることが特徴です。これを実現するためには、軽快な操作力とショートストロークという、反対の特性を成り立たせることが課題でした。
そのため、操作力が伝わるようシンクロのストローク量や、シフトの節度感を向上させるため構造の見直しを実施しています。さらにマツダでは、MTの機能や構造を見直すことで、従来より最大16%の軽量化・コンパクト化を実現しました。
マツダのスカイアクティブの特徴【プラットフォーム】
車の土台ともいえる車体構造やシャシーにも、マツダのスカイアクティブ技術が取り入れられています。ボディの高剛性や乗り心地などの快適性、安定性を向上させながら従来モデルよりも、およそ100kgもの軽量化に成功しました。ここでは「SKYACTIV-BODY」と「SKYACTIV-CHASSIS」について見ていきましょう。
SKYACTIV-BODY
「SKYACTIV-BODY」は、高剛性と軽量化を両立させた車体構造です。これを実現するために、車の骨格を直線で構成する「ストレート化」と、それぞれの骨格を連携させる「連続フレームワーク」を目指しました。さらに衝突時の安全性能を向上させるため、衝撃を車体の骨格全体に分散させる「マルチロードパス構造」を取り入れています。
さらに、軽量で丈夫なハイデン鋼を材料に使用することで、大幅な軽量化に成功しました。このSKYACTIV-BODYを取り入れたアメリカ仕様のMAZDA3など、6モデルが米国IHS(道路安全保険協会)による安全性評価試験で「2020 トップセーフティピック+」を獲得しています。
SKYACTIV-CHASSIS
マツダが追求する「人馬一体」のポイントとなるのが「SKYACTIV-CHASSIS」ともいえるでしょう。これを実現するためには、中低速での軽快さと高速での安定した走りなど、反対の特性を併せ持つことが必要です。そのため、サスペンションやステアリングなどの機能を見直すことで、車と一体感のある走りを実現しました。
さらに新しく開発されたサスペンションシステムや電動パワーステアリングの採用により、性能の向上だけでなく軽量化にも成功しています。
スカイアクティブが採用されたマツダ車とは?
マツダの普通自動車のラインアップは全てにスカイアクティブテクノロジーが導入されています。車種はコンパクトからスポーツ、SUV(クロスオーバー)と多用で、ミニバン以外は幅広くそろっているのがマツダの現在の展開です。
特に売れ筋のSUVは7モデルと豊富で、ボディサイズや用途などに合わせてピンポイントで選べるようになっています。ここでは2023年6月現在の車種ラインアップとボディサイズなどを紹介していきましょう。
コンパクトカー
車種名 |
ボディサイズ(全長×全幅×全高) |
乗車人数 |
MAZDA2 |
4.080mm×1.695mm×1,500mm-1.550mm |
5名 |
2019年にそれまでのデミオから名称を変更したのが「MAZDA2」になります。デミオはコンパクトカーとして1996年に発売が始まり、4世代目まで受け継がれるほどマツダの中核車種となりました。
MAZDA2に移行しても同社のエントリーモデルとして人気を得ていて、複数回の商品改良や特別仕様車が登場し、2023年1月には大幅商品改良を実施しました。コンパクトカーですが、マツダならではのデザイン性や質感で一歩上をいくモデルとなっています。
5ドアスポーツ
車種名 |
ボディサイズ(全長×全幅×全高) |
乗車人数 |
MAZDA3 FASTBACK |
4.460mm×1.795mm×1.440mm |
5名 |
MAZDA3は2003年に登場したアクセラの後継となるモデルで、元々はファミリアの流れを汲むCセグメントモデルです。2019年に新世代商品群のトップバッターとして市場導入され、進化した魂動デザインやスカイアクティブテクノロジーを採用しています。
シャシーは一から設計され、よりマツダの走る歓びを体現しています。ボディ形状はセダンとファストバックと呼ばれるハッチバックの2タイプで、それぞれ異なる車種のような個性を持たせています。その中でもファストバックはスポーティかつエレガントな仕上がりとなっています。
4ドアセダン
車種名 |
ボディサイズ(全長×全幅×全高) |
乗車人数 |
MAZDA3 SEDAN |
4.660mm×1.795mm×1.445mm |
5名 |
MAZDA6 SEDAN |
4.865mm×1.840mm×1.450mm |
5名 |
セダンのラインアップは2車種あり、Cセグメントに位置しているのがMAZDA3 SEDANでひとまわり大きなDセグメントになるのがMAZDA6 SEDANになります。
ともにガソリンエンジンとディーゼルエンジンの2タイプが選択でき、MAZDA3 SEDANのガソリンエンジンは2.0L、ディーゼルエンジンは1.8L、MAZDA6 SEDANのガソリンエンジンは2.0Lと2.5L、ディーゼルエンジンは2.2Lが設定されています。どちらも伸びやかなシルエットでセダンらしいプロポーションが特徴です。
ステーションワゴン
車種名 |
ボディサイズ(全長×全幅×全高) |
乗車人数 |
MAZDA6 WAGON |
4.805mm×1.840mm×1.480mm |
5名 |
世の中的にSUVが主流となってしまったため各メーカーがラインアップから外しているステーションワゴンですが、マツダはMAZDA6 WAGONとして販売しています。SUVは悪路などでの走破性を高めるために車高が高くなっていますが、ステーションワゴンはセダンと同様の車高で操縦安定性に優れています。
一部の制限がある立体駐車場などにも収まるサイズとなっていることもポイントです。現状の主流ではありませんが、MAZDA6 WAGONは商品改良を重ねて乗り心地やデザイン性などに磨きをかけています。
クロスオーバーSUV
車種名 |
ボディサイズ(全長×全幅×全高) |
乗車人数 |
MAZDA CX-3 |
4.275mm×1.765mm-1.785mm×1.550mm |
5名 |
MAZDA CX-30 |
4.395mm×1.795mm×1.540mm |
5名 |
MAZDA MX-30 |
4.395mm×1.795mm×1.550mm |
5名 |
MAZDA MX-30(EV) |
4.395mm×1.795mm×1.565mm |
5名 |
MAZDA CX-5 |
4.575mm×1.845mm×1.690mm |
5名 |
MAZDA CX-60 |
4.740mm×1.890mm×1.685mm |
5名 |
MAZDA CX-8 |
4.925mm×1.845mm×1.730mm |
6名~7名 |
全世界的にSUVがボディ形状の主流となっているため、マツダでは電気自動車も含めて7車種をラインアップしています。MAZDA2とプラットフォームを共有しているコンパクトモデルのCX-3から、ミニバンに引けをとらない使い勝手の良さを誇るCX-8までを用意していて、オーナーの用途や希望にマッチしたモデルが見つかるはずです。
2022年に登場したCX-60は新世代商品群のラージモデルとして、最新のスカイアクティブテクノロジーを随所に採用しています。これから登場するモデルもCX-60に導入された技術が平行展開されていく予定です。
スポーツ
車種名 |
ボディサイズ(全長×全幅×全高) |
乗車人数 |
MAZDA3 ROADSTER |
3.915mm×1.735mm×1.235mm |
2名 |
MAZDA6 ROADSTER RF |
3.915mm×1.735mm×1.245mm |
2名 |
世界でもっとも販売した2シーターオープンカーとして知られているのがマツダのロードスターです。現在は4代目のNDモデルとなっていて、2015年から発売されています。
2016年には電動開閉式のリトラクタブルファストバックを採用したロードスターRFが導入され、現行ロードスターはハードトップとソフトトップから選ぶことができます。国内仕様のエンジンはロードスターが1.5Lで、ロードスターRFが2.0Lとなっています。
マツダ車の中古車相場もチェックしてみよう
マツダのスカイアクティブテクノロジーは、普通自動車ならばどのモデルにも採用されていると説明してきました。
2011年から採用されている技術なので、どのモデルも中古車市場に出まわっています。ここでは、コンパクトカーのMAZDA2とSUVの中核車種となっているCX-5、ライトウェイトスポーツカーのロードスターの3車種をピックアップして中古車価格を紹介します。
MAZDA2
MAZDA2のエンジンは「SKYACTIV G1.5」と「SKYACTIV D1.5」から選べます。洗練されたコンパクトな形状と、操作しやすい運転環境を備えたモデルです。前を走る車や歩行者の存在を教えてくれるアドバンストSCBSや、バック時に障害物や車を検知するSCBSなどの運転支援システムを、全車に標準装備しています。
新車価格(税込) |
152万9.000円~ |
中古車価格(税込) |
94万8.000円~164万9.000円 |
(2023年6月時点の情報)
(参考:『MAZDA2(マツダ)の中古車一覧|中古車の【ネクステージ】』)
CX-5
CX-5は、コンパクトなサイズ感で使いやすいSUVです。積み込む荷物によって多様なシートアレンジを可能にする4:2:4分割のリアシートや、使いやすい大容量のラゲッジスペースが特徴となっています。エンジンのラインアップは「SKYACTIV G2.0」、「SKYACTIV G2.5」と「SKYACTIV D2.2」の3種類です。
新車価格(税込) |
276万6.500円~ |
中古車価格(税込) |
49万9.000円~364万9.000円 |
(2023年6月時点の情報)
(参考:『CX-5(マツダ)の中古車一覧|中古車の【ネクステージ】』)
ロードスター
マツダが目指す「人馬一体」の走りを存分に楽しめるのが、ロードスターです。後輪駆動のライトウェイトスポーツカーのために開発された、専用の「SKYACTIV G1.5」を搭載しています。また、専用6速ATだけでなく、滑らかなシフトフィーリングが味わえる「SKYACTIV-MT」搭載車がラインアップしていることも特徴です。
新車価格(税込) |
268万9.500円~ |
中古車価格(税込) |
53万9.000円~299万9.000円 |
(2023年6月時点の情報)
(参考:『ロードスター(マツダ)の中古車一覧|中古車の【ネクステージ】』)
スカイアクティブ搭載のマツダ車を探すなら中古車もおすすめ!
車との一体感が味わえる「人馬一体」やパワートレインが持つ本来の効率を目指す技術が、スカイアクティブテクノロジーです。優れた走行性能と燃費性能を実現した、スカイアクティブ搭載車が気になるという方も多くいるのではないでしょうか。スカイアクティブ搭載車を購入するなら、豊富なラインアップがある中古車もおすすめです。
新車よりも低価格で購入できて納期も早い
開発に労力と時間をかけたスカイアクティブ技術は、搭載する車も高額になる傾向にあります。新車で購入すると予算をオーバーしてしまうこともあるでしょう。そのような場合には、新車よりも安く手に入りやすい中古車を検討するのもおすすめです。
中古車であれば、安く購入できるだけでなく、同じ予算でグレードの高いモデルも選べます。現在は、半導体不足などの事情により新車の納期が大幅に遅れていますが、中古車は時間をかけずに納車が可能です。
こだわりの在庫から選べるネクステージをチェックしよう!
中古車も選択肢に入れるなら、こだわりの在庫から選べるネクステージがおすすめです。全国200以上の店舗に、3万台もの豊富な在庫があるネクステージなら、自分の好みに合う車が見つけられるでしょう。
ネクステージの中古車は、無料保証が全車に付帯していることも特徴です。また、保証付きメンテナンスパック「サービスサポート」も有料でご用意しています。ぜひご利用ください。
まとめ
2010年に発表されて翌年から市販車に導入してきたのが、マツダの新車両技術のスカイアクティブテクノロジーです。紹介してきたようにこの車両技術はエンジン・トランスミッション・シャシー・ボディ・制御と多岐にわたり、マツダが提唱する人馬一体の乗り味や高効率なパワートレインを生み出しています。
登場から10数年が経過していますが、年々磨きをかけていて新しい技術も導入されています。スカイアクティブテクノロジーを搭載したモデルに乗りたい場合は、豊富な在庫がある中古車も選択肢です。ぜひネクステージのWebから検索してみてください。
▼ライタープロフィール
真鍋裕行
出版社勤務を経て2008年にフリーランスのライター・エディターとして独立し、自動車雑誌、ウェブサイトなどに原稿を寄稿。編集者時代に培ったアフターマーケットの情報から各国のモーターショーで得た最新事情まで幅広くリポート。業務拡張につき2011年に会社を設立。自動車ジャーナリストとしての自動車メディアへの寄稿は続けつつ、メディアコンテンツの製作(雑誌、Web、アプリetc)に取り組んでいる。メディアコンテンツの製作ではオーナーや協力者のコミュニティを作ることを考えるなど、単純な製作で終わらないことを心掛ける。また、近年ではレースチームのディレクターや PRも積極的に携わる。