車の売却で戻ってくる税金・払わなければならない税金
「車を売却すると、税金が戻ってくることがある」こういう話を聞いたことのある方もいるのではないでしょうか。「自動車税」「自動車重量税」など車にはさまざまな税金がかかり、場合によっては所得税がかかるケースもあります。
実際に車を売却する際には、すでに支払った自動車税が、売却価格に加算される形で戻ってくる場合があります。車を売却する際、税金がどのように関わってくるのか仕組みをみていきましょう。
※目次※
3.車の税金が買取価格に反映されていない場合は確認してみよう
・中古車店などの業者に売却する際には、すでに支払っている自動車税の分が買取価格に上乗せされる
・車を売却する際、売却側が税金を支払うケースはほとんどないが、まれに支払いが必要なケースもある
・廃車する場合は「自動車税の残月分」や「自動車重量税の車検残り期間分」が還付金という形で返金される
車の売却で戻ってくる可能性がある税金
まず自動車税は、1年分をさきに払っていますので、売却して名義変更が済めば残っている月の分戻ってきます。また車検の際に支払う自動車重量税も、売却したタイミングに合わせてある程度戻ってくることが期待できます。
ただし、これらの「戻ってくる」というのは、あくまで中古車店やディーラーに車を売却した際に買取価格に上乗せされて戻ってくる、という意味です。廃車しなければ、自治体からの還付を受けることはできません。
車を売却する場合は自動車税・自動車重量税が買取価格に上乗せされることが多い
中古車店やディーラー、つまり業務として車の買取を行っているところでは、買取時に自動車税・自動車重量税を買取価格に反映することが多いです。特に自動車税は、どこの買取業者で販売しても、そうした措置をとられることがほとんどです。自動車税であれば支払った分を月割し、売却(名義変更)が済んだ翌月からの残月分になることが一般的です。
自動車重量税の場合も、ある程度の金額が買取価格に上乗せされる場合がありますので、覚えておきましょう。
車を処分する場合は自動車税の還付が受けられる
前述した売却時に戻ってくる税金は、あくまで買取価格への上乗せという形です。税金を収めている自治体から自動車税を還付金という形で受けとるためには、廃車しなければなりません。ただし、軽自動車は廃車しても還付金を受けられません。
還付金はすでに支払っている自動車税から、来年3月までの残り月分を月割で受けとることができます。くわしくは後述しますが、そもそも自動車税を支払っていなければ車の売却(名義変更)そのものができません。
自動車税の納付額と還付の額
自動車税の金額は、以下のように車の総排気量によって定められています。また、2019年10月以降に新車登録した自家用乗用車については税額が引き下げられました(以下のカッコ内が引き下げ後の税額)。
- 1L以下……29,500円(20,500円)
- 1L~1.5L以下……34,500円(30,500円)
- 1.5L~2L以下……39,500円(36,000円)
- 2L〜2.5L以下……45,000円(43,500円)
- 2.5L〜3L以下……51,000円(50,000円)
- 3L〜3.5L以下……58,000円(57,000円)
- 3.5L〜4L以下……66,500円(65,500円)
- 4L〜4.5L以下……76,500円(75,500円)
- 4.5L〜6L以下……88,000円(87,000円)
- 6L以上……111,000円(110,000円)
例えば、総排気量2,000ccのホンダ・ステップワゴンの場合、自動車税は上の表で2L〜2.5L以下のところの45,000円になります。これをまず12で割ります。
- 45,000 ÷ 12 = 3,750円
これが1カ月分になります。自動車税は毎年4/1〜翌年3/31までの分を一括して支払いますので、車の売却(名義変更)を終えた翌月から来年3月までが、還付される対象になります。
もし、6月に売却した場合、残月は7月から翌年3月までの9カ月です。さきほど算出した1カ月分に9をかけた(3,750 × 9 = 33,750円)33,750円が、還付される金額になります。
同じように、9月に売却した場合は、3,750 × 6 = 22,500円となり、12月に売却した場合は、3,750 × 3 = 11,250円になります。3月に売却した場合、還付金はありません。
自動車税は「月払い」もできる
自動車税は基本的には1年分を一括して支払いますが、分割払いにすることもできます。分割を希望する場合は、各都道府県の税事務所に行き「分割を希望する」ことを伝えます。ただし分割払いにする理由(経済的に苦しいなど)が必要です。
認められる分割回数も、おおむね3〜4回程度です。なお、分割にした場合は延滞金がつきます。軽自動車は分割払いにすることはできません。
ただし、4月に廃車した場合は自動車税を1カ月分のみ支払うことになります。通常、自動車税は5月に納付通知がきますので、もし5月になって1年分の通知がきても、4月に廃車したことを申し出れば1か月分のみの支払いになります。あらかじめ4月か5月に売却する予定であれば、覚えておくといいでしょう。
車売却時に払わなければならないケースと税金の種類
車売却時の自動車税と自動車重量税についてみてきましたが、売却側に税金の支払いが発生することはほとんどありません。ただし、税金の支払いが発生するケースが皆無かといえば、必ずしもそうとも限らないのです。どのようなケースでどのような税金の支払いが発生するのか、以下ではその例についてみていきます。
自動車税:未納の場合や手続き上売却が4月にずれ込んだ場合
自動車を売却する、すなわち自動車の名義を変更する際には、自動車税の納税証明書が必要です。つまり自動車税を納付していなければ、車の売却そのものができません。もし未納の場合は、先に自動車税の支払いを済ませておく必要があります。
自動車税の納付通知は、5月の始めごろに送られてきます。この通知は4月〜翌年3月までの1年分です。3月に車を売却したとしても、手続き上、名義変更が4月にずれ込んだ場合は、前オーナーに1年分の自動車税の納付通知がやってくることになります。
この場合は、前オーナーが一旦支払ったのち買取業者が返金するといったケースが考えられますが、トラブルを避けるためにも、特に4月前後の売却の場合、事前に中古車店などとよく確認しておくことが重要です。
所得税:車が高く売れた場合
車は年数が経過したり、走行距離が長くなれば価値は下がっていきます。通常は、売却価格が購入価格を上回ることはありません。しかし希少価値のある車など、まれに購入価格が売却価格を上回るケースがあります。この場合、車の売却によって得られた利益は譲与所得となり、所得税の課税対象となります。
ただしこの場合も、課税対象となるのは仕事で使う業務用の車とレジャー目的の車のみです。通勤やお買い物のみに使っている車の場合、課税対象とはなりません。譲与所得は車を所有していた年数によっても変わり、5年以上所有していた車であれば、5年未満の車の半額になります。また、車の場合は50万円の特別控除額が定められています。
自動車税未納で車を売却できない場合
自動車を売却し、自動車の名義を変更するには自動車税の納税証明書が必要です。自動車税が未納の場合、事前に払っておかなければ車の売却自体ができません。自動車税はすべての車の所有者に課せられる税であり、自動車税を未納のままにしておくことは、車の売却以外でもデメリットが発生するケースが考えられます。
自動車税未納では廃車もできない
名義変更と違って廃車の場合、基本的に自動車税納税証明書は必要ありません。ただし、あまりにも未納(滞納)期間が長い場合は影響がおよぶことが考えられます。廃車には必要でなくとも、車検の際には自動車税納税証明書が必要だからです。
仮に車検期間の満期である2年間滞納したままですと、車検が受けられず、その車が走れない状態になってしまいます。中古車店やディーラーに売却するにも、そこまで運ぶこともままならなくなってしまいかねません。
納付期限の5月31日を過ぎてから納付する場合【デメリット】
自動車税に限りませんが、税金を滞納した場合、本来の税額に加えて延滞金を支払うことになります。自動車税は納付期限である5月31日までに支払わなかった場合、延滞金が発生します。延滞金は各都道府県や、年度によっても変わります。
延滞金は本来の税額に加算して請求されるので、当然ですが、期限内に支払うより最終的に支払う金額は大きくなります。また延滞する期間が長くなれば長くなるほど、支払う延滞金の金額も大きくなります。
延滞金の計算方法
自動車税の延滞金の利率は都道府県によって異なり、また年度によっても変わってきます。東京都の場合、平成31年度時点での利率は以下のようになっています。
- 期限から1か月以内 = 2.6%
- 1か月以降 = 8.9%
例えば、上で例にあげた2,000ccのステップワゴン(自動車税45,000円)で2カ月延滞した場合、(45,000×0.089) ÷ 365 × 60 = 658となるので、遅延金は658円になります。
車の税金が買取価格に反映されていない場合は確認してみよう
説明してきたように、中古車店やディーラーなどの業者に車を売却する場合、買取価格に自動車税の残月分が反映されるのが一般的です。自動車重量税も自動車税ほど明確ではないものの、残りの車検期間に応じて買取価格に反映されます。
売却の際に提示された買取価格をみて、期待したほどの価格になっていないと感じた場合は、自動車税や自動車重量税の比率がどのように反映されているのか確認してみましょう。
まとめ
自動車の税金分がどのように買取価格に反映されるかは、月割など細かい話になります。中古車店やディーラーで相談してみても、詳しい説明がなければなかなか分かりにくいものです。全国で中古車販売店を展開している(株)ネクステージでは「お客様ファースト」をかかげ、車体のこと以外でも説明を惜しまない姿勢を貫いています。こうしたお店であれば、不安なく車を買い換えることができるでしょう。この機会にぜひ相談してみてください。