軽自動車の車検費用はいくら?必要書類や費用を抑えるポイントも解説
普通自動車と同様に、軽自動車も車検を受けなくてはなりません。普通自動車よりは安い傾向がありますが、まとまった資金が必要です。軽自動車の車検費用はいくらなのでしょうか。
この記事では、軽自動車の車検費用の相場や依頼できる業者、必要書類、費用を抑えるポイントを紹介します。
最後まで読むことで、お得かつスピーディーに軽自動車の車検を進められるでしょう。軽自動車の車検を間近に控えている方や依頼先に迷っている方は、ぜひ参考にしてください。
※目次※
・軽自動車の車検費用は5万円~9万円が目安。車検切れの状態で公道を走ると罰則が科せられる。
・車検費用のうち法定費用は一律で金額が決まっている。点検整備費は依頼業者によって異なる。
・民間業者に車検を依頼する場合の必要書類は3つのみ。見積もりの比較や日常的な整備・点検によって車検費用を抑えられる。
軽自動車で必要になる車検費用はどのくらい?
車検を受けるときには、事前にまとまった金額を用意しなくてはなりません。ここでは、軽自動車で必要になる車検費用の目安を紹介します。
初めて車検を受ける方は、費用以外にも不透明な項目があるのではないでしょうか。車検を受ける時期と併せて、受けないことによる罰則も解説します。
車検費用は軽自動車で10万円以内
軽自動車の車検費用は、5万円~9万円が目安です。多くの場合、10万円以内に収まるでしょう。
ネクステージ独自のアンケートでは「車検に出すときに何に不安を感じるのか」という質問に対し、最も多かった質問は「価格・料金(52.2%)」でした。10万円程の資金を用意しておくことで、安心して車検を受けられるでしょう。
軽自動車の車検は何年ごと?
軽自動車は、以下の条件を満たす車です。自家用軽自動車の場合、黄色のナンバープレートを付けます。
・全長3,400以下
・全幅1,480mm以下
・全高2,000mm以下
・エンジン排気量660cc以下
・定員4名以下
自家用軽自動車は、新車登録から最初の車検を3年後、それ以降の車検を2年ごとに受ける必要があります。何年たっても車検の有効期間は変わらず、有効期間満了日の1か月前から検査依頼が可能です。
軽自動車も車検を受けないと罰則がある
軽自動車・普通自動車・小型自動車・自動二輪車といった全ての車は、車検を受け費用を払わなければ公道を走行できません。車検を受けずに公道を走ると、無車検車運行と無保険車運行という2つの違反行為に該当します。それぞれの罰則は以下の通りです。
・無車検車運行:6か月以下の懲役または30万円以下の罰金
・無保険車運行:1年以下の懲役または50万円以下の罰金
初犯の場合、略式裁判による罰金処分となることが大半です。違反の回数や期間によっては、正式裁判に発展する可能性もあります。
軽自動車の車検費用項目と相場一覧
車検費用は、さまざまな費用の総額です。車検費用を理解するには、国に納める法定費用を知る必要があります。具体的にどのような項目があるのでしょうか。
ここでは、軽自動車の車検費用項目と相場一覧を紹介します。それぞれの項目の概要も併せて理解しましょう。
項目と相場一覧
軽自動車を車検に通す際には、以下のような費用を支払う必要があります。
項目 |
金額 |
軽自動車重量税 |
6,600円~8,800円 |
印紙代(検査手数料) |
1,100円~1,500円 |
自賠責保険料:2年分 (車検時に契約・更新する場合) |
1万9,730円 |
予備検査費用 |
1,800円 |
合計 |
2万9,230円~3万1,830円 |
法定費用に加えて、点検整備費用が必要です。軽自動車の点検整備費用は、1万5,000円~3万円が相場のため、車検全体で4万円~5万円を目安にしましょう。
普通自動車の車検費用は、軽自動車よりも5万円程度高額です。金額に差が出る理由は、重量税の取り扱いが関係します。
普通自動車は500kgごとに区分されていますが、軽自動車は車両重量に関係なく一律です。普通自動車を車検に通す場合は、全体で10万円以上の費用を想定しておきましょう。
届出軽自動車が国税として支払う「重量税」
重量税は、車両の重さにかかる税金を指します。普通自動車は500kg重くなるほど高くなりますが、軽自動車は一律で年間3,300円です。経過年数によって4,400円まで上がります。
車検時に有効期間分をまとめて支払うため、継続車検時に支払う税額は6,600円~8,800円(2年分)です。
また、2023年5月1日からエコカー減税対象車の継続検査を受ける場合、以下のような減税・免税措置を受けられます。
条件 |
初回継続車検の重量税 |
2019年5月1日~2021年4月30日に新車登録をし、2020年度燃費基準190%達成している車 |
免税 |
2021年5月1日~2023年12月31日に新車登 録をし、2030年度燃費基準120%達成している車 |
減税 ※軽自動車は5,000円(2年分) |
強制保険として支払う「自賠責保険」
自賠責保険は、車の事故による対人賠償を確保するための強制保険です。加入や補償内容・範囲の設定が自由にできる任意保険と異なり、自賠責保険は加入が義務付けられています。
被害者の身体的損害です。運転者(加害者)のけがや物的破損、単独の人身事故の場合は、保険金が下りません。
加入期間は最短で1か月ですが、多くの場合は車検期間プラス1か月(25か月または37か月)で契約します。
自賠責保険は保険会社や車の販売店、運輸局内の代理店など、さまざまな場所で加入手続きが可能です。どこで契約しても金額は変わりません。
手続き費用として支払う「印紙代」
印紙代は車検時の検査・適合証明を行うための手数料で、自動車重量税と同じく法定費用に含まれます。「車検にかかる手数料を印紙代として支払う」というイメージです。
車検で用いる印紙は「自動車検査登録印紙」と呼ばれ、よく知られている収入印紙とは異なります。軽自動車の印紙代は、1,100円~1,500円です。車検用の印紙を発行することで、初めて手数料として認められます。
法定点検費用として支払う「点検整備費」
車検で必ず行う点検・整備は「法定点検」といい、24か月ごとに実施を義務付けられている点検です。法律で金額が決められる法定費用とは違い、法定点検は業者が自ら金額を決めます。
法定点検は、車検に通すための「安全とされる最低限のクオリティー」を目指すのが基本です。その基準を満たさない場合は、部品の修理や整備も必要になり、数万円の費用がかかる可能性があります。具体的な金額は依頼する業者や車種、経過年数などによって変動するため、予算は少し多めに用意できると安心です。
車検前の検査で支払う「予備検査費」
予備検査には「車検が切れてナンバープレートがない車が受ける検査」と「車検前の検査」の2種類があります。車検費用に含まれる予備検査費は、主に後者です。
通常の車検と異なり、法定点検は付いていません。予備検査を終えると、有効期間3か月の自動車予備検査証が発行されます。
予備検査を行う目的は、車検を安全かつ円滑に進めることです。車検で不具合が見つかると、再検査が必要になる可能性があります。
予備検査を行うことで、再検査による時間と手間を未然に防止が可能です。予備検査は必須ではありませんが、メリットの大きさから多くの人が実施しています。
軽自動車の車検費用が安いのはどこ?依頼できる業者
車検費用は、依頼する業者によって変わります。どこに依頼すれば、軽自動車の車検費用を抑えられるのでしょうか。
ここでは、車検を依頼できる業者と業者別の車検費用を紹介します。それぞれの業者の特徴やメリットも解説しますので、依頼先を選ぶときの参考にしてください。
車検費用の価格相場を業者別に比較
法定費用は所有年数や環境性能などで一定の決まりがあります。点検整備費用は依頼先によって変動するため、以下を参考に各業者の相場をチェックしておきましょう。
依頼先 |
点検整備費用の相場 |
ディーラー |
4万円~10万円 |
一般整備工場 |
2万5,000円~6万円 |
車検専門店 |
2万円~5万円 |
ガソリンスタンド |
2万円~4万円 |
カー用品店・中古車販売店 |
1万5,000円~3万円 |
ユーザー車検 |
0円 |
ディーラーは点検整備費用が高い傾向にあります。信頼性の高さがメリットですが、安さを重視するのであれば車検専門店や中古車販売店がおすすめです。
業者によっては点検整備費用1万5,000円、法定費用を含めても5万円程度に抑えられます。
ディーラー
ディーラーは、自動車メーカーと契約関係にある販売店です。ディーラーは主に自動車の販売が業務内容ですが、アフターサービスの一環として車検整備も引き受けています。
ディーラーに依頼するメリットは、何より信頼性が高いことです。ディーラーは自動車メーカーと特約を結んでおり、メーカーから供給される純正部品を使用しています。また、自社で販売した車種のみを整備するため、知識や技術が豊富です。
一般整備工場
一般整備工場は、地方運輸局長によって車検の整備が認められている工場です。「指定工場」と「認証工場」があります。指定工場ではその場で車検の実施が可能です。一方の認証工場は、整備後スタッフが車検場に車を持ち込み車検を受けます。
一般整備工場に依頼するメリットは、整備士の腕や知識次第で古い年式の車や特殊な車種でも対応してもらえる点です。そのため、腕の良い整備士と出会えれば良心的な価格で質の高いサービスを受けられるでしょう。
車検専門店
近年、フランチャイズの車検専門店が増えており、全国同一の価格で車検を受けられるようになってきています。車検専門店に依頼するメリットは、最短翌日で車検が完了する点です。多くが指定工場のため、早期に完了します。
車検に特化していることから、豊富な車検メニューから希望の整備レベルを選んで依頼できる点も車検専門店の特徴です。これにより、不必要な費用を抑えられるでしょう。
ガソリンスタンド
ガソリンスタンドの一部店舗では、独自サービスとして車検整備を実施しています。そのため、最寄りのガソリンスタンドが対応可能な場合は、工場に行かずとも車検を依頼できるでしょう。
ガソリンスタンドに依頼するメリットは、費用を抑えられることです。ガソリンスタンドでは最低限の整備や点検を行った後、車検に出しているため費用を抑えられます。
カー用品店や中古車販売店
全国にチェーン展開をしている大手カー用品店や中古車販売店も、車検整備を引き受けています。カー用品店に依頼するメリットは、純正品以外の部品を使用できるため費用を抑えられる点です。
店舗によっては法定費用を除く整備費用や車検基本料金をクレジットカードやQRコードで決済し、ポイントためられます。幅広い車種に対応している点も魅力です。
ユーザー車検
ユーザー車検は、車の所有者が自分で行う車検です。全国の軽自動車検査協会へ予約した上で実施します。検査する項目は、排気ガスやスピードメーター、ヘッドライトなどの計8つです。検査員の指示に従いながら確認します。
ユーザー車検のメリットは、自分で行うため点検整備費用がかからない点です。検査手数料は2,200円ですが、他の方法と比べると大幅に車検費用を抑えられます。
軽自動車の車検費用の他に用意するものと手順
車検費用を抑えるだけでなく、手続きを円滑に進めることも重要です。そのためには、事前に必要書類をそろえて正しい手順を踏む必要があります。ここでは、軽自動車の車検で用意するものと受ける手順を確認しましょう。
用意するもの
軽自動車の車検で用意するものは以下の通りです。ユーザー車検の場合は全て必要ですが、業者に依頼する場合は1~3の書類だけで問題ありません。
1.自動車検査証
2.軽自動車税納税証明書
3.自動車損害賠償責任保険証明書
4.自動車重量税納付書
5.定期点検整備記録簿
6.継続検査申請書(軽専用第2号様式)
7.軽自動車検査票
車検手続き自体に印鑑は不要ですが、業者によっては押印を求められる場合もあるため、不安な方は持参するとよいでしょう。違反金を滞納している場合などは、別途書類が必要になることもあります。
車検を受ける手順
業者に依頼して車検を受けるときには、以下5つの手順で進めます。業者への依頼は、ユーザー車検のように知識や作業を必要としません。
1.車検の有効期間を確認する
2.依頼する業者を選ぶ
3.予約する
4.必要書類と車検費用を用意する
5.業者に入庫する
車検有効期間は、自動車検査証やフロントガラスの検査標章で確認できます。期間満了日の1か月前から当日までの間で、車検を受ける日を決めましょう。
次に、費用や品質などを考慮して依頼する業者を選びます。予約するときには、費用や点検内容、代車の有無などを確認しましょう。
事前に必要書類と車検費用を用意し、依頼先の店舗や工場へ入庫します。当日中に返却される場合もありますが、一般的に車検にかかる期間は2日~3日です。後日あらためて引き取りに行きましょう。
5年や13年乗った軽自動車の車検費用には注意
車は年数がたつほど消耗するため、車検費用も高くなります。車検費用が上がる目安となるのが、新車登録から5年目や13年目のタイミングです。ここでは、5年や13年乗った軽自動車の車検費用がどのように変化するのかを見てみましょう。
新車から5年目以降の車検費用は高くなる可能性がある
以下3つの理由により、新車から5年目以降の車検費用は高くなる可能性があります。2回目以上の車検費用には注意が必要です。
・メーカー保証が終了する
・エコカー減税の対象外になる
・パーツ交換が多くなる
メーカー保証は3年~5年が一般的です。初回保険ではメーカーが補償してくれた修理費用が、5年目以降の車検では必要となるでしょう。
エコカー減税対象車であっても、エコカー減税が受けられるのは初回車検のみです。エコカー減税の対象外になると、自動車重量税が高くなります。
消耗部品の交換は、点検整備費用が高くなる要因です。年数がたつことでタイヤやバッテリーなど、安全性に関わるパーツの交換が必要になります。
13年目を超えた軽自動車は重課の対象
車は経過年数が13年を超えると、自動車税と自動車重量税が高くなります。経過年数による税額の変化は以下の通りです。
経過年数 |
13年未満 |
13年経過 |
|
新車登録年度 |
2015年3月31日以前 |
2015年4月1日以降 |
- |
軽自動車税(1年) |
7,200円 |
1万800円 |
1万2,900円 |
経過年数 |
13年未満 |
13年経過 |
18年経過 |
自動車重量税(2年) ※エコカーを除く |
6,600円 |
8,200円 |
8,800円 |
自動車重量税は、13年目だけでなく18年目にも税額が上がります。10年以上経過した軽自動車の車検を控えている場合は、売却や乗り換えを検討してもよいでしょう。
軽自動車の車検費用を少しでも相場より抑える3つのコツ
車検費用は、車の整備内容だけでなく依頼先によっても変動します。「少しでも安く済ませたい」と考えている方は、日常的なメンテナンスを心がけることも大切です。安さを目的にユーザー車検を検討している方は、デメリットも把握しておきましょう。軽自動車の車検を格安にできるポイントを3つご紹介します。
普段から整備や点検をしておく
車は経年劣化によって故障の頻度も増えますが、日常的なメンテナンスを行うことで、きれいな状態を保ちやすくなります。「点検するのは車検の時期のみ」という方は、数か月に1回、1年に1回といったペースで手入れするのがおすすめです。
小まめに部品交換や修理を重ねることで、車検時に大金を費やす可能性は低くなるでしょう。故障の早期発見にもつながるため、2年単位で計算したときの維持費も節約できます。
車に詳しい方は、普段から部品の劣化具合を細かくチェックするのも有効です。任意のメンテナンス頻度はユーザーの意思によって左右されます。適切なタイミングが分からない場合は信頼できる業者への相談がおすすめです。
複数業者の見積もりを比較して選ぶ
車検費用は「法定費用」と「車検基本料金(点検整備費用や代行手数料など)」の総額です。車検基本料金は業者によって金額が異なるため、業者の選び方次第で出費を抑えられます。
安く引き受けてくれる業者を選ぶには、ウェブサイトや広告から店舗情報を収集しましょう。まずは居住地域内に絞って探すのがおすすめです。
条件に合った業者が見つかれば、見積もりを依頼します。複数社へ見積もりを依頼し比較することで、より車検費用の安い業者の選択が可能です。
ユーザー車検を利用する
「車検費用を可能な限り抑えたい」という方には、ユーザー車検を選択する方法もあります。業者に点検整備費用を依頼しなくてよいため、本来必要な費用の大幅な節約が可能です。ユーザー車検に必要な費用項目には、以下の3つがあります。
・軽自動車重量税
・印紙代(検査手数料)
・自賠責保険料
税金・印紙代(手数料)・保険料以外の費用が不要になるため、高額なケースでも4万円に抑えられます。
しかし、業者に依頼する車検に比べ検査不適合のリスクが高い点に注意しなくてはなりません。点検と整備もユーザー自ら行う必要があるため、時間的なコストに加え相応の知識も必要になります。金額の面だけではお得な方法ですが、結果的に損をする可能性も理解しておきましょう。
軽自動車を車検に出す前のチェックポイント
ここでは、車検を実施する前に確認したいポイントを押さえておきましょう。車検直前だけでなく、日頃の心掛けで「保証対象外だった」「有効期限が切れていた」といった事態を避けられます。
車検費用を大きく左右する要因にもなるため、しっかりチェックして備えておくことが大切です。
メーカー保証の内容を確認しよう
メーカーの保証期間は3年~5年が一般的ですが、その内容はメーカーや車種などによって異なります。細かい保証内容は契約書に明記されているので、車検での点検整備が対象になるかチェックしておくと安心です。
保証を延長できる場合もあるため、期限が切れる前に手続きを行いましょう。車を購入したディーラー以外に、中古車販売店などでも保証を受けられるケースもあります。
車検の時期を確認しよう
車検が定期的に必要とはいえ、車の買い替えが多い方や初めての方は車検の有効期限切れに気付かず、乗り続ける場合があります。
違反行為をしないためにも、定期的に次の車検時期を確認するようにしましょう。目に付きやすい場所にメモを残しておくと、より忘れにくくなります。
まとめ
軽自動車の車検費用は、一般的に5万円~9万円です。普通自動車と比べると安く済みます。車検を受けずに運転すると罰則が科せられるため、必要な費用と書類を事前に用意しておきましょう。
法定費用は一律で決まっていますが、点検整備費用などは依頼する業者によって異なります。費用の安さや手続きの手間を考慮すると、カー用品店や中古車販売店がおすすめです。複数の見積もりを比較することで、さらに費用を節約できます。
▼ライタープロフィール
中村浩紀 なかむらひろき
クルマ記事に特化したライター
現在4台の車を所有(アルファード・プリウス・レクサスUX・コペン)。クルマ系のメディアでさまざまなジャンルの記事を執筆し、2024年1月までに300記事以上の実績をもっている。
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