車検代の勘定科目は?仕訳方法と経費計上するまでの手順を解説
経営者や個人事業主として活動していると、日々さまざまな取引が発生します。車検代の支払いも例外ではなく、帳簿につけておかなければなりません。しかし「どのような勘定科目で処理すればよいかわからない」と悩んでいる方も多いでしょう。
勘定科目に関する知識を整理できれば、適切な会計処理ができるようになります。
そこで今回の記事では、車検代の勘定科目について解説します。法人を経営している人や、個人事業主の方は、今回の内容をぜひ参考にしてください。
※目次※
・車検代を経費計上できる条件は「事業所得があること」「車を事業で使っていること」の2つ!
・車検代の勘定科目として使われるのは「車両費(修繕費)」「支払手数料」「租税公課」「保険料」「事業主貸」「仮払消費税等」など多数!
・車検を受けるならネクステージまで。専任スタッフによる高品質の整備が受けられる!
車検代を経費計上できる条件とは
車検代を経費計上できる条件は、大きく分けて2つあります。まず1つ目は事業所得があることです。法人だけでなく、個人事業主として働いている人であれば、車検代を経費計上できる可能性があります。一方、会社員やアルバイトは、車検代を経費計上できません。
2つ目の条件は、車を事業で使っていることです。事業所得を得ている人であっても、車をプライベートでしか使わない状態であれば、車検代を経費計上できません。「事業に使っているかどうか」が基準となります。
車検代の勘定科目|4種類に分けられる
車検代の勘定科目は、「車両費(修繕費)」「支払手数料」「租税公課」「保険料」の4つが代表的です。一般的にも使われる勘定科目ですが、車の分野ではどのような支払いに使われるのか、気になっている方も多いではないでしょうか。
まずは各勘定科目の知識について整理しておきましょう。ここでは、車検代の勘定科目について解説します。
車両費(修繕費)
車両費(修繕費)の勘定科目を使用するのは、車検基本料金や法定点検料、整備修理費用などです。各部品の交換だけでなく、洗浄費用といった項目も含まれます。
基本的には、故障箇所を修理するなど、車の維持管理にかかる費用です。ガソリンを入れたり、高速道路を走行したりする場合も、こちらの勘定科目で仕分けをすることになります。
支払手数料
支払手数料は、車検にかかる料金の中でも、「車検代行手数料」などに当てはまる勘定科目です。具体的には金融機関での振り込みの際にかかる手数料や、弁護士のような専門家に支払った報酬が、こちらの勘定科目で処理されます。
例えば車検を代行してもらった際に費用を支払いますが、その金額は「支払手数料」で計上します。
租税公課
租税公課は、「自動車重量税」や「印紙代」「検査手数料」などに当てはまる勘定科目です。車の他にも、「固定資産税」「事業税」「事業所税」などが、租税公課として計上できます。
租税公課は、主に国や地方自治体に払う税金に対して使われます。ただし、租税だからといって、ただちに経費として計上できるわけではないので注意が必要です。
保険料
保険料は、車検の際に支払う「自賠責保険料」に使われる勘定科目です。自賠責保険は、車を購入する際に必ず加入しなければならない保険であり、車検時には法定費用として徴収されます。
また車に関する保険としては、自賠責保険の他に、任意保険があります。任意保険は、その名前の通り、強制加入する保険ではありません。任意保険料も、自賠責保険料と同様「保険料」で計上可能です。
車検代の勘定科目|状況によって使用可能な科目
状況によって使用可能な科目としては、「事業主貸」と「仮払消費税等」の2つがあります。事業主貸は仕事とプライベートの兼用で車を使うとき、仮払消費税等は税抜処理方式で会計作業をする際にそれぞれ必要です。
ここでは、事業主貸と仮払消費税等について、具体的な使い方に触れながら解説します。
事業主貸
事業主貸は、「仕事とプライベートの両方で使用する車」を持っている場合に使える勘定科目です。個人事業主の生活費など、事業に関係のない目的での支払いを「事業主貸」と呼びます。
仕事とプライベートで兼用する車は、すべての費用を経費にできるわけではありません。「どれくらいの割合で事業に使用しているか」を割り出す必要があります。その作業で使うのが「事業主貸」です。
仮払消費税等
仮払消費税等は、「消費税」または「地方消費税」を支払った際に使用する勘定科目です。特に会計の方針として、税抜処理方式(本体価格と消費税を分ける形式)を採用している場合に使います。
車検代には課税取引の他、非課税取引や不課税取引が存在します。本体価格と消費税を別々に計算する都合上、仮払消費税等が適用されるのは課税取引のみです。
車検代の勘定科目|パターン別の仕訳例
車検費用の仕分方法は「税込処理」「税抜き処理」「個人事業主」の3つで異なります。そのため、車検費用の仕訳を行うには自分に合った方法を知っておくことが大切です。ここでは「税込処理」「税抜き処理」「個人事業主」3つの仕訳例を解説していきます。
具体的な数字をもとにした計算例も紹介しています。ぜひ、自分に該当するパターンを参考にしてみてください。
【法人】税込処理の仕訳
消費税の納税義務がある事業者は、税込処理と税抜き処理のどちらで車検の内訳を処理しても問題ありません。税込処理を選択する場合、国の機関に書類などを届ける必要なく、処理できます。たとえば、以下を前提条件とした場合
・修理費用:44,000円(税込)
・重量税:16,400円
・自賠責保険料:21,550円
・収入印紙:1,400円
・代行料:22,000円(税込)
・合計金額:105,350円
※消費税は10%で計算しています
車検費用の仕分けを税込で処理する場合の例は以下表のとおりです。
借方 |
金額 |
貸方 |
金額 |
車両費 |
44,000円 |
現預金 |
105,350円 |
租税公課 |
17,800円 |
|
|
保険料 |
21,550円 |
|
|
支払い手数料 |
22,000円 |
|
|
合計 |
105,350円 |
合計 |
105,350円 |
税込処理のメリットは、手軽なことです。消費税を別に計算する必要がないため、複雑な手間がかかりません。会計ソフトを使用している場合は、税率の変更があっても自動で行えます。経理を簡略化したい方に税込処理はおすすめの方法です。
【法人】税抜処理の仕訳
車検費用の内訳処理は、消費税抜きで行うことも可能です。消費税抜きで処理する場合の仕分けを表にまとめています。
【前提条件】
・修理費用:44,000円(税込)
・重量税:16,400円
・自賠責保険料:21,550円
・収入印紙:1,400円
・代行料:22,000円(税込)
・合計金額:105,350円
※消費税は10%で計算しています
借方 |
金額 |
貸方 |
金額 |
車両費 |
40,000円 |
現預金 |
105,350円 |
租税公課 |
17,800円 |
|
|
保険料 |
21,550円 |
|
|
支払い手数料 |
20,000円 |
|
|
仮払い消費税など |
6,000円 |
|
|
合計 |
105,350円 |
合計 |
105,350円 |
税抜き処理を行う主なメリットは「経営に役立つ数字になること」「ものを買ったとき全額費用にしやすくなること」の2つです。税抜き処理を行うと、基本的に消費税は利益に影響を与えません。一方、税込経理は消費税の分だけ、売上総利益(粗利益)が高くなってしまいます。
税抜き処理ではより正しい数字を把握できるため、正確な経営判断につながります。また、30万円未満の買い物を一度に全額費用にする基準が低いことも税抜き処理の特徴です。
個人事業主の仕訳
個人事業主の車検の仕訳は、車の使い方によって方法が異なります。所有している車を100%ビジネス用として乗っている場合、法人の仕訳方法と変わりません。税込処理と税抜き処理から、自分にマッチした方法を選び参考にしてみましょう。
プライベート用とビジネス用の兼用で車を利用している場合、事業主貸として家事消費分を差し引く必要があります。たとえば「ビジネス:プライベート=6:4」の割合で車を利用している場合の仕訳は以下のとおりです。
【前提条件】
・修理費用:44,000円(税込)
・重量税:16,400円
・自賠責保険料:21,550円
・収入印紙:1,400円
・代行料:22,000円(税込)
・合計金額:105,350円
※消費税は10%で計算しています
【消費税込みの場合】
借方 |
金額 |
貸方 |
金額 |
車両費 |
26,400円 |
現預金 |
105,350円 |
租税公課 |
10,680円 |
|
|
保険料 |
12,930円 |
|
|
支払い手数料 |
13,200円 |
|
|
事業主借貸 |
42,140円 |
|
|
合計 |
105,350円 |
合計 |
105,350円 |
【消費税抜きの場合】
借方 |
金額 |
貸方 |
金額 |
車両費 |
24,000円 |
現預金 |
105,350円 |
租税公課 |
10,680円 |
|
|
保険料 |
12,930円 |
|
|
支払い手数料 |
12,000円 |
|
|
仮払い消費税など |
3,600円 |
|
|
事業主借貸 |
42,140円 |
|
|
合計 |
105,350円 |
合計 |
105,350円 |
仕訳の4割は家事消費です。事業主貸を使用して経費から除きます。
【勘定科目別】車検代を計上するまでの手順
確定申告の種類には「白色」と「青色」の2種類があります。青色は、日々の取引を所定の帳簿に記帳し、その記帳に基づいて正しい申告をすることで税金面の有利な特典を受けることができます。
そのため、個人事業主のなかには青色で車検を経費計上する方もいるのではないでしょうか。ここでは、青色で車検を経費計上する方法を解説していきます。項目ごとに分類しています。ぜひ参考にしてみてください。
青色申告か白色申告か確認する
まずは確定申告の方法が、青色申告なのか白色申告なのかを確認しましょう。青色と白色では、申告のやり方に違いがあるため、どちらで行うのかを決めるのが重要です。
青色申告をする場合は、青色申告決算書、つまり損益計算書の1枚目に経費を記入していきます。一方の白色申告は、収支内訳書を作成するため、その1枚目に経費を計上する形です。
税込処理か税抜処理か確認する
次に税込処理か、税抜処理かを確認します。これは車検費用に限った話ではなく、「消費税をどのように計上するのか」を理解しなければなりません。仮払消費税等の項目でも見たように、処理方法によって使用する勘定科目が変わります。
具体的には、免税事業者であれば税込処理、課税事業者であれば税抜処理となります。「基準期間における課税売上高が1,000万円以下」であれば免税事業者です。
車検代の明細を集める
申告方法や消費税の処理方法が分かったら、本格的に経費を計上する作業に入ります。正確に経費計上するためには、費用に関する書類や明細が必要です。車検代の支払いを証明する書類を集めておきましょう。
具体的に見る書類としては、請求書や領収書などが挙げられます。なおこれらの書類は、経費計上の根拠になるため、確定申告を済ませた後も必ず保管しておきましょう。
勘定科目別に分類する
車検代の明細を集めて、おおまかな費用が分かったら、それらを勘定科目別に分類します。車検代は、用途が異なる複数の費用で構成されているため、分類が必要です。
例えば車検では自動車重量税や自賠責保険料を支払いますが、前者は「租税公課」、後者は「保険料」の勘定科目で処理しなければなりません。このように、勘定科目別に費用を分類しておけば、決算書類を作りやすくなります。
【個人事業主のみ】家事按分する
個人事業主であり、なおかつ仕事とプライベート兼用で使っている車があれば、家事按分をする必要があります。家事按分とは、簡単に言えば「全体の費用から事業で使っている分を割り出す」作業です、
例えば「仕事:プライベート=50:50」で車を使っているのであれば、車検代の半分を経費計上できます。このように、ある一定の割合を使って、事業分の経費を割り出す作業が家事按分です。
【勘定科目別】青色申告で車検代を計上する方法
本格的に事業を展開している人であれば、白色申告よりも青色申告の方が、節税効果をより多く受けられます。そのため、個人事業主のなかには、青色で申告しようと考えている方も多いでしょう。
青色申告は、白色申告に比べて、煩雑な作業をこなさなければなりません。ここでは、青色申告で車検代を計上する方法について、詳しく解説します。
車両費の場合
青色で車両費を経費に計上するには、空欄に記載しましょう。財務諸表のPLの項目には、車両費がありません。
車両費には、車検費用全体からビジネスで利用した分だけを記載します。ガソリン代などの費用も合わせて計算するのがおすすめです。たとえば、ビジネス比率60%のケースを考えます。
車検で支払った車両費40,000円・ガゾリンなどの料金120,000円の場合、ビジネス分の金額は車検で支払った車両費24,000円・ガゾリンなどの料金72,000円です。このケースでは、ビジネス分の合計金額である96,000円を車両費として計上します。
租税公課の場合
車検の費用を経費にする手段として「租税公課」に分類して処理する方法があります。租税公課とは、国や地方などから課せられる税金「租税」と、国や公共団体などから課せられる交付金や会費などの「公課」を合わせた勘定科目です。車検では自動車重量税と収入印紙代が租税公課の対象となります。
たとえば、自動車重量税16,400円・収入印紙代14,00円の場合、租税公課の合計額は20,000円です。20,000円のうちビジネス分のみを、租税公課の経費として計上します。ビジネス分が60%の場合は、12,000円を財務諸表のPLの租税公課の経費項目欄に記入しましょう。
支払手数料の場合
支払い手数料を経費計上する場合は、空白部分に記入します。財務諸表のPLには支払い手数料の項目がありません。車検で発生する支払い手数料には「車検代行手数料」があります。たとえば、車検代行手数料22,000円のうちビジネス分が13,200円の場合、13,200円を損益計算書の空欄に記入しましょう。
銀行振込手数料など、ほかのビジネスで支払った手数料がある場合は合算して計上します。車検代行手数料のビジネス分13,200円・その他の手数料10,000円の場合、合計金額である23,200円を支払い手数料に計上しましょう。
保険料の場合
車検費用に含まれる料金の内訳には、自賠責保険があります。自賠責保険は、損害保険料として損益計算書に記入します。自賠責保険料が21,550円でビジネス分が60%だった場合、12,930円を経費として計上しましょう。
自賠責保険のほか、自動車任意保険や火災保険なども損害保険料に該当します。これら別の保険にも加入している場合は、金額を合わせて損害保険料として計上します。たとえば、自賠責保険料21,550円・任意保険料50,000円・火災保険料20,000円だった場合、事業分が60%だとすると、54,930円を財務諸表のPLに記入しましょう。
車検代の勘定科目に関するよくある質問
Q.車検ではどのような費用がどのくらい必要?
A.車検時には自動車重量税などの法定費用、点検・整備費用など複数の必要が発生します。法定費用は重量や契約期間によって区分されますが、点検・整備費用は車の状態によってさまざまです。全体で数万円程度に収まることもありますが、場合によっては10万円~20万円といった費用になるケースも考えられます。故障部品があるとさらに高額になるでしょう。
Q.仕事で使う車は車検費用も経費にできる?
A.個人事業主や法人で車を所有している方は、車検費用も経費として計上できます。ただし、経費に取り扱う条件がある点に注意が必要です。例えば自宅をオフィスとしている個人事業主が車を所有する場合、商談や打ち合わせといった用途に車を使用しないのであれば経費にできません。保管場所ではなく、車の用途が判断基準となるためです。
Q.個人事業主や法人が仕訳するときのルールは?
A.仕事以外でも同じ車を使う場合は、「家事按分(あんぶん)」のルールを反映する必要があります。仕事とプライベートを半分の割合で使用しているのであれば、車検代の5割が経費として計上可能です。「普段どの程度の割合で運転するか」が重要となるため、経費にしたい場合は明確な数字を把握しておきましょう。
Q.「非課税」「不課税」はどう使い分ける?
A.消費税には、課税されるための要件が4つ定められています。このうちどれにも該当しない取引は「不課税」の対象です。一方、本来課税対象となるものが性質上対象としてなじまない場合、「非課税」として取り扱われます。車検費用の中では、任意保険料が代表的な例です。課税されないという点では同じですが、意味合いが異なる点を理解しておきましょう。
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まとめ
今回は車検代の「勘定科目」についてまとめました。車検代を経費で計上しようと考えているのであれば、勘定科目に関する理解が重要になります。さまざまなケースが想定されるため、自分がどの立場に当てはまるのかを確認し、適切な会計処理をしていきましょう。
ネクステージでは車検を実施しており、国家資格を持った専任スタッフによる質の高い整備が受けられます。また1日車検や無料代車サービスなど、お客様が使いやすい環境を整えておりますので、ぜひWebサイトの申し込みフォームからお申込みください。
※本記事に記載の自賠責保険料は、基準料率改訂等の理由により変更となる場合があります。最新の自賠責保険料率表は損害保険料料率算出機構のHPをご確認ください。