車ローンの担保設定とは?有担保・無担保の違いとメリット・デメリットを解説
車ローンを検討しているものの、担保設定についてよく知らない人もいるでしょう。車ローンには有担保と無担保の2つのタイプがあり、それぞれ審査基準や車の所有権に大きな違いが生じます。
担保の有無により車の売却・譲渡時の制約も異なるため、ローン選択時には慎重な判断が必要です。この記事では、車ローンの担保設定の仕組みから各種手続きまで、分かりやすく解説します。
※目次※
・車ローンには有担保と無担保があり、有担保では購入車両が担保となって車検証の所有者欄にローン会社名が記載され、無担保では購入者本人の名前が記載される。
・有担保ローンは審査に通りやすく貸し倒れリスクが軽減される一方、車の売却・譲渡に制約があり、無担保ローンは所有権の自由度が高いが審査が厳しくなる。
・ディーラーローンは所有権留保による担保設定が一般的で審査が通りやすく、銀行ローンは無担保が主流で低金利だが、審査が厳格である。
車ローンの担保とは?基本的な仕組みと種類
車ローンを利用する際、多くの人が直面するのが「担保」という仕組みです。担保の有無によって、金利や審査基準に大きな違いが生まれるため、適切な選択には正しい知識が欠かせません。まずは、基本的な仕組みから確認方法まで詳しく説明します。
車ローンの担保設定の基本的な仕組み
車ローンの担保設定とは、融資を受けた金額の返済が困難になった場合に、金融機関が現金の代わりに回収できる価値のあるものを事前に定める仕組みです。
担保を設定するローンを「有担保ローン」、担保を必要としないローンを「無担保ローン」と呼びます。車の購入においては、購入する車両自体が担保として設定されるケースが一般的です。
車ローンの担保設定により、金融機関は貸し倒れリスクを軽減できます。
車ローンの担保付きと無担保の違い
車ローンの有担保と無担保の最も大きな違いは、購入する車両を担保として提供するかどうかです。
有担保ローンでは購入車両が担保となり、車検証の所有者欄には金融機関やディーラーの名前が記載されるため、ローンを完済するまで借り手は車の「使用者」という立場になります。
一方、無担保ローンは担保を必要とせず、車検証の所有者欄には購入者本人の名前が記載されるのがポイントです。
車検証の所有者名義による担保の確認方法
車検証の所有者名義を確認することで、現在の車ローンに担保設定がされているかの判断が可能です。車検証の所有者欄に、金融機関やディーラー名が記載されている場合、その車両には担保が設定されていることを意味します。
2023年から導入された電子車検証では、所有者情報がICタグに格納されているため、「車検証閲覧アプリ」または「自動車検査証記録事項」で確認することが必要です。所有者名義が本人名義になっている場合は、無担保ローンまたは現金購入であることを示しています。
車ローンの担保設定によるメリット・デメリット
車ローンの担保設定には、それぞれ異なるメリットとデメリットが存在します。有担保と無担保では、金利水準や審査基準に大きな違いがあり、支払い総額にも影響するでしょう。ここでは、最適な選択のための違いを詳しく紹介します。
有担保車ローンのメリットとデメリット
有担保車ローンの最大のメリットは、審査面で有利になりやすいことです。担保によって金融機関のリスクが軽減されるため、無担保ローンでは審査に通らない場合でも、融資を受けられる可能性があります。
一方、デメリットとして最も重要なのは、車の所有権が制限されることです。ローンを返済している間は、車検証の所有者名義がローン会社となるため、売却・譲渡には事前の承諾が必要となります。
無担保車ローンのメリットとデメリット
無担保車ローンの最大のメリットは、購入と同時に車の完全な所有権を得られることです。車検証の所有者欄に購入者本人の名前が記載されるため、ローンを返済している最中でも自由に売却・譲渡を行えます。
手続き面でも担保設定の複雑な手続きが不要となり、申し込みから融資実行までがスムーズに進むでしょう。
しかし、審査面では注意が必要です。審査は申込者の信用力に依存するため、収入や勤続年数がより厳しく評価されるでしょう。
ディーラー系と銀行系車ローンの担保形態の違い
車ローンの担保の形は、融資を提供する金融機関によって大きく異なります。ディーラーローンでは所有権留保が一般的である一方、銀行ローンでは無担保融資が主流です。適切な選択には、各ローンの担保の特徴を理解することが欠かせません。
ディーラー系車ローンの担保設定の特徴
ディーラーローンは、自動車販売店が提携する信販会社を通じて提供される車ローンです。
最大の特徴は、購入車両の所有権が、ローンを完済するまで販売店・信販会社に留保される点にあります。この仕組みを「所有権留保」と呼び、車検証の所有者欄にはディーラー名が記載されるのが一般的です。
所有権留保により、ディーラーローンは銀行ローンと比較して審査に通りやすい特徴があります。返済が滞った場合に車両を回収できるため、金融機関のリスクが軽減されるからです。
審査時間も30分程度と短く、車の商談中に融資の可否が分かるスピード感も魅力といえます。
銀行系車ローンの担保設定の特徴
銀行の車ローンでは、無担保ローンが主流です。購入車両の所有権を留保しない代わりに、申込者の信用力による審査が重視されます。
車検証の所有者欄には購入者本人の名前が記載され、ローンを返済している最中でも、車両の売却・譲渡を自由に行えるのが特徴です。
担保がないものの金利は年1%~4%程度と、ディーラーローンより低めに設定される傾向があります。
車ローンの種類別の担保形態比較と選び方
車ローンの担保の形を理解するには、各ローン商品の特徴を比較検討することが重要です。
ディーラーローンは、年3%~10%程度の金利で、所有権留保による担保設定が一般的となっています。一方の銀行ローンは、年1%~4%程度と低金利ですが、審査が厳しいのが難点です。
選択基準として、金利の安さを重視するなら、銀行の無担保ローンが適しています。審査の通りやすさや手続きの簡単さを求める場合は、ディーラーローンの担保付きがおすすめです。
車の所有権を重視する利用者には銀行ローンがおすすめですが、信用情報に不安がある場合は担保設定によるリスク軽減効果を活用したディーラーローンが、有効な選択肢となるでしょう。
車ローンの担保設定時の審査基準と返済リスク
車ローンの担保設定を検討する際、最も気になるのが審査の通りやすさと返済時のリスクではないでしょうか。
担保の有無によって審査の厳しさが変わり、返済困難時の対応も異なります。担保権実行の流れを理解することで、適切なリスク管理が可能になるでしょう。
担保の有無による車ローンの審査基準の違い
有担保ローンでは購入車両が担保となるため、金融機関のリスクが軽減され、申込者の信用力に不安があっても審査に通りやすくなる可能性があります。
一方、無担保ローンは担保による保証がないため、申込者の返済能力・信用情報がより厳しく評価される傾向です。具体的には、年収や勤続年数、他社借入状況、過去の返済履歴などが重要な判断材料となります。
信用情報機関に記録された延滞履歴・債務整理の経験がある場合、無担保ローンでは審査通過が困難になる可能性が高くなるでしょう。
車ローンで担保設定時の返済リスクと車の所有権の扱い
車ローンで担保設定をする最大のリスクは、返済が滞った場合に車両を失う可能性があることです。有担保ローンでは、返済できなくなると担保に設定した車両をローン会社が回収し、売却代金をローン残債の返済に充てる権利を持ちます。
また、有担保ローンでは、車検証の所有者欄にローン会社・ディーラー名が記載されるため、ローンを完済するまで借り手は使用者の立場となるのが原則です。このため、車の売却・譲渡には事前にローン会社の承諾が必要になります。
車ローンでの担保権実行時の具体的な流れと車の処分方法
車ローンの返済を滞納し続けると、ローン会社から一括返済を求められます。再三の督促にも応じない場合、担保として設定された車両の回収が実行されるでしょう。
車両が引き上げられた後は、オークションなどで売却される流れです。売却代金は、担保権者によってローン残債の返済に充てられますが、売却価格が残債を下回る場合は不足分の支払い義務が残ります。
車ローンの担保に関する手続きと注意点
車ローンの担保を利用する際、契約時だけでなく、完済後や返済中にも重要な手続きが発生します。担保解除の手続きを怠ると車の所有権移転ができず、売却時にトラブルが生じる可能性があるでしょう。最後に、担保解除の手続きや注意点について解説していきます。
車ローン完済後の担保(所有権)解除の必要書類と手続き方法
ローンを完済した後、車ローン担保の解除手続きを忘れてはいけません。担保解除に必要な書類は、以下の通りです。
・車検証のコピー
・印鑑証明書(発行後3か月以内)
・委任状
・完済証明書
・所有権解除依頼書
・納税証明書
ローン完済後、ローン会社から完済証明書が送られてきます。その後、所有権を持つローン会社・ディーラーへ連絡をし、所有権解除の依頼をしましょう。必要書類を準備したら、指定の送付先へ郵送するのが一般的な流れです。
所有権解除が完了したら、15日以内に管轄の陸運支局で名義変更の申請を行わなければなりません。全ての手続きが完了すると、車検証の所有者欄が自分の名義に変更されます。
担保設定による車の売却・譲渡時の制約と対処法
先述の通り、担保が設定された車ローンの返済中は、車両の売却・譲渡に大きな制約があります。
車検証の所有者欄がローン会社・ディーラー名となっているため、勝手に売却することはできません。売却を希望する場合、まずローン残債を一括返済する必要があります。
査定額がローン残債を上回れば、売却代金で完済が可能です。しかし、査定額が残債を下回る場合は、不足分を自己資金で補わなければなりません。
担保付きの車ローンから無担保ローンへ借り換える方法も
担保付きローンから無担保ローンへの借り換えを検討する場合、まず現在のローン残債と申込者の信用力を十分に確認することが重要です。無担保ローンは担保がない分、より厳しい審査が行われます。
借り換え手順として、複数の金融機関で事前審査を受けることから始めましょう。銀行や信用金庫の無担保ローンは年1%~4%程度の金利で提供されており、現在の担保付きローンとの比較検討が必要です。
審査に通った後は、新しいローンで現在の残債を返済していく流れとなります。これにより担保設定が解除され、車検証の所有者名義が自分に変更されるでしょう。
まとめ
車ローンの担保について、有担保と無担保の基本的な違いから具体的な手続きまで詳しく解説しました。
有担保ローンは審査面でメリットがありますが、車の所有権に制約が生じます。無担保ローンは所有権の自由度が高い一方、審査が厳しくなるのがデメリットです。
ディーラーローンと銀行ローンでは担保設定の方法が異なるため、自身の状況に応じて適切な選択をしましょう。担保解除や借り換えなどの手続きも含めて、車ローン選択時の参考にしてください。
▼ライタープロフィール
鈴木祐貴
車と音楽、旅と猫を愛するライター。多様なWebメディアの編集・ディレクション経験を重ね、2018年よりフリーランスとなる。
現在もさまざまなジャンルの編集をする傍ら、車関連のオウンドメディアや車の税金に関するコンテンツなどの編集経験を生かし、ライターとして車の魅力・おもしろさも発信中。
バックパックひとつでふらりと旅に出るのが好きだが、いずれはキャンピングカーで気ままに世界中をロードトリップしようと思っている。
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