手付金とは?車購入で損しないための基本知識と手付金なしで買う方法

中古車を購入する際、「手付金」という言葉を耳にしますが、その正確な意味や役割を理解している人は意外と少ないのではないでしょうか。手付金は単なる前払い金ではなく、購入意思を示す重要な保証金として法的な意味を持ちます。
この記事で、手付金の相場やキャンセル時の返金の有無など、知らないと後悔する重要なポイントを押さえていきましょう。手付金の基本的な仕組みから支払い方法、トラブル回避の方法まで、初めての中古車購入で失敗しないための知識を詳しく解説していきます。
※目次※
・手付金は購入意思を示す保証金で、中古車の場合は「解約手付」が該当し、頭金・申込金・内金とは性質が異なる。
・手付金は原則返金されないが、売主の契約違反時は返還や損害賠償請求が可能で、売主都合解除は「手付倍返し」で2倍額支払いとなる。
・大手中古車販売チェーンは手付金を設定しないケースが多く、代わりに申込金を求める中古車販売店もある。
車の手付金とは?中古車購入時の基本的な仕組みと必要性

中古車購入時の手付金は重要な制度ですが、その仕組みや必要性について正しく理解していない人もいるでしょう。頭金や申込金との違い、法的性質、返金条件など複雑な要素が存在します。
まずは、購入の保証金としての基本的な役割から3つの性質、手付金が必要な具体的なケースまで、基本知識を詳しく見ていきましょう。
車の手付金とは購入意思を示す保証金
車の手付金とは、中古車購入時に買主が売主に支払う保証金で、「この車を買いたい」という購入意思を明確に示すものです。
法的には、「解約手付」として位置付けられます。買主は手付金放棄で契約解除でき、売主から解除する場合は倍額返還が必要です。
なお、申込証拠金とは優先商談権確保のもので、契約不成立なら全額返金される点が異なります。
車の手付金と頭金・申込金・内金の違いとは
車購入時の金銭には4つの種類があり、それぞれ明確な違いがあります。手付金は購入意思表示の保証金で、解約手付として買主は放棄により契約解除可能です。
頭金は、ローン借入額を減らすために、最初に支払う購入代金の一部となります。申込金は購入検討意思を示すもので、契約不成立なら全額返金されるのが基本です。
内金は代金の前払いで、支払い後は一方的なキャンセルができません。
手付金の3つの法的性質と中古車売買時の手付金とは
手付金には、証約手付・解約手付・違約手付の3つの種類があります。
・証約手付:契約成立の証明
・解約手付:一定期間内の解約権保証
・違約手付:契約違反に対するペナルティー
違約手付は、買主の債務不履行なら没収、売主の違反なら手付金の全額返金となります。中古車取引では、解約手付が使用されるのが通常です。
車の手付金が必要になる主なケースとは
車を取り置きする際、人気車種・希少価値の高い限定車では、他の購入希望者との競合を避けるため、手付金の支払いが求められることがあります。
オークション代行でも必要とされることが多く、個人売買ではトラブル回避のために求められることもあるでしょう。
購入者の信用状況により、新規顧客やローン審査に不安がある場合も、販売店によるリスク回避策として手付金が求められる可能性が高まります。
車の手付金相場とは?支払い方法の実践ガイド

中古車購入時の手付金について、相場や支払いタイミング、支払い方法を知ることは購入準備において重要です。初回購入者にとって、手続きの流れは不安な要素でもあります。
手付金の具体的な金額や支払い方法、実際の手続きの流れについて、詳しく確認していきましょう。
車の手付金相場は購入価格の10%~20%程度
中古車の手付金相場は、車両価格の10%~20%程度です。100万円の車なら10万円~20万円、300万円なら30万円~60万円が目安となります。
手付金の割合は、販売店や車種によって異なり、人気車種や希少車では高めに設定されることもあるでしょう。新車の場合は中古車より低い傾向で、10%程度が相場です。
なお、購入をキャンセルした場合、手付金は返金されません。契約前に手付金の条件をしっかり確認し、無理のない金額で検討することが重要です。
車の手付金の支払いタイミングとは
手付金の支払いタイミングは、売買契約書に署名した時点が一般的です。契約前の商談段階では支払い不要のため、十分な検討時間を確保できます。
支払い方法は現金が主流ですが、クレジットカードや銀行振込に対応する販売店もあるようです。トラブル回避のためにも、手付金を支払った際には領収書を発行してもらうことをおすすめします。
領収書は支払い証拠として保管し、売買契約書には手付金取り扱いや返金条件が記載されているため、内容を十分に理解することが重要です。
車の手付金でのクレジットカード利用とは
手付金のクレジットカード利用は、販売店により対応が異なります。手付金程度なら対応する店が多いですが、車両代金全額は手数料関係で断られがちです。
クレジットカードで支払うメリットは、手持ちの現金が不要な点とポイントを獲得できる点ですが、分割・リボ払いは手数料が高額のため一括払いが賢明といえます。
クレジットカードを利用する際には、利用限度額の確認と、必要に応じて引き上げ申請を行うことが重要です。
車の手付金領収書の保管と法的効力
手付金領収書は、支払い事実を証明する重要書類として法的効力を持ちます。民法第557条の手付金規定において、契約の存在を裏付ける証拠となるのです。
保管方法は、原本を防水クリアファイルに入れ、契約書と一緒に保存することが基本となります。感熱紙の領収書は、時間経過で文字が薄れる可能性があるため、コピーも取って保存しておくことが大切です。
手付金に関するトラブルが発生した際の決定的証拠となるため、適切な保管が欠かせません。
車の手付金キャンセル時の返金条件と注意点とは

車購入契約のキャンセル時における手付金の扱いは、重要な問題です。法的性質により原則返金されませんが、売主の契約違反やローン特約など、例外的な返金ケースも存在します。
ここでは、手付金キャンセル時の返金条件と、契約書で確認すべき重要な注意点について詳しく見ていきましょう。
車の手付金が返金されない理由と例外ケースとは
手付金がキャンセル時に返金されない理由は、「解約手付」の法的性質にあります。民法第557条により、「買主による契約解除は手付金を放棄することで認められる」ことが定められているためです。
ただし、例外的に返金されるケースも存在します。売主(販売店側)の契約違反時は、手付金の返還と損害賠償請求が可能で、売主都合による解除なら「手付倍返し」として2倍額の支払いを受けられる決まりです。
オークション代行の場合、落札成功後のキャンセルは手付金が返金されませんが、落札失敗時は事務手数料を差し引いて返金されます。通常の販売店契約と同様に、落札成功は契約成立と同じ扱いになるため注意が必要です。
車の手付金トラブルの実例と対処法とは
最も多いトラブルは、契約解除時の返金紛争です。実際の事例として、家族の反対でキャンセルしようとしたものの、販売店がエアロパーツの取り付けを開始済みで、手付解除ができなくなったケースがあります。
このようなトラブルを回避するためにも、契約書記載の手付解除期日と、履行着手の定義をしっかり確認することが重要です。
トラブル発生時は、まず販売店との話し合いを行いましょう。解決しなければ消費者契約法第9条により、実際の平均的損害額を超える違約金部分は無効として取り消すことが可能です。
専門知識が必要な場合は、消費生活センターや弁護士に相談することで、適切な解決策を見つけられるでしょう。契約前の慎重な確認と、迅速な対応が最善の防御策となります。
(参考:『中古車の購入契約後キャンセル時の手付金、整備作業費の扱い|中古車トラブル事例|一般社団法人 日本中古自動車販売協会連合会』)
(参考:『消費者契約法 第9条 | e-Gov 法令検索』)
契約書で確認すべき車の手付金の重要事項とは
売買契約書では、手付金の具体的金額と支払い条件を、入念に確認することが重要です。金額表記が明確であるか、支払い期日・方法の記載をチェックしましょう。
特に注意すべきは、手付金の性質と返金条件です。解約手付なのか違約金なのかで扱いが異なるため、契約書に明記されているか確認が欠かせません。また、手付解除の期日や残金決済の期日も重要なポイントです。
車の手付金なしで中古車を購入する方法とは

手付金不要での中古車購入は、初期費用を抑えたい人にとって魅力的な選択肢ですが、適切な販売店の見極めが重要です。どのような店舗が対応してくれるのか、また手付金なしで取引を進める方法についても理解が必要となります。
最後に、手付金不要の販売店を見極める方法と、実際の購入手順について詳しく確認していきましょう。
手付金不要の車販売店を見分ける方法とは
手付金不要の販売店には、共通する特徴があります。大手中古車販売チェーンは、手付金を設定しないケースが多いでしょう。また、手付金ではなく、申込金を求める中古車販売店もあります。
信頼できる店舗を見分けるポイントは、販売実績や口コミ評価の確認です。充実した保証制度やアフターサービスを提供している店舗であれば、手付金なしでも安心して取引できます。
また、契約書の内容も大きな判断材料です。キャンセル規定が明確に記載され、購入者の権利保護に配慮している店舗を選びましょう。業界団体に加盟している店舗なら、一定の基準を満たしているため信頼性が高くなります。
手付金なしでの車購入手順とは
手付金なしでの購入は、店舗選びから始まります。手付金不要の特徴を持つ販売店を複数ピックアップし、実際に足を運んで商談を進めることが重要です。
初回訪問時に手付金が不要であることを再確認し、車の購入意思を伝えた上で、必要に応じて購入意思の証明方法や代替条件について詳しく聞き取りましょう。
ローンを利用する場合は事前審査を受けることで商談がスムーズに進み、現金購入の場合には預金残高証明書などで支払い能力を示すことが求められる場合があります。契約時には、「手付金なし」の条件が契約書に明記されていることを確認しましょう。
まとめ

車の手付金は購入意思を示す保証金として、中古車取引において重要な役割を果たします。相場は購入価格の10%~20%程度で、キャンセル時は原則返金されません。
手付金・頭金・申込金・内金はそれぞれ異なる性質を持ち、解約手付・違約手付・証約手付のうち、中古車には解約手付が使用されます。
トラブルを避けるためには、契約書の内容確認と領収書の適切な保管が不可欠です。手付金が不要な販売店も存在するため、自身の状況に応じて最適な購入方法を選択しましょう。
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▼ライタープロフィール

鈴木祐貴
車と音楽、旅と猫を愛するライター。多様なWebメディアの編集・ディレクション経験を重ね、2018年よりフリーランスとなる。
現在もさまざまなジャンルの編集をする傍ら、車関連のオウンドメディアや車の税金に関するコンテンツなどの編集経験を生かし、ライターとして車の魅力・おもしろさも発信中。
バックパックひとつでふらりと旅に出るのが好きだが、いずれはキャンピングカーで気ままに世界中をロードトリップしようと思っている。
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よくある質問
Q.車を購入する際に手付金は必要?
A.手付金は、全ての販売店が支払いを求めるものではありません。証約手付や違約手付などがありますが、これらを支払わずに購入することも可能です。ただし、手付は買い手の不利益を避けるためにも役立ちます。金額は販売店によって異なりますが、手付金の目的や規定を理解した上で契約内容を決めると良いでしょう。
Q.手付金を支払ったら車を確保してもらえる?
A.特定の車を購入すると決めて手付金を支払った後、正式な売買契約を結ぶまで確保が可能です。「他の車と迷っている」「ローン契約ができる確認したい」といった場合、手付金を支払っておくと良いでしょう。購入をキャンセルする権利が与えられるため、状況に応じて購入の可否を選択できます。ただし、長期間確保できない点は注意が必要です。
Q.車が高すぎて買えないときの対処法はある?
A.欲しい車が金銭的な理由で購入できない場合、同モデルの中古車を選んだりローンを組んだりといった方法が考えられます。比較的新しいモデルも中古車市場に多く出回るため、節約したい方にとって魅力的な方法ともいえるでしょう。ローンの金利が不安な場合は、無理のない範囲で頭金を用意することで負担を軽減できます。
Q.車を購入した後はどのくらいお金がかかる?
A.購入後に必要な維持費は、国が定める税金やガソリン代などさまざまです。普通車より軽自動車の方が安い傾向にありますが、1年間10万円以上の維持費を想定した方が良いでしょう。定期的に車検を受けるため、故障や不備があるとメンテナンス費用が増幅します。車の購入時だけでなく、維持費も踏まえた上で予算を決められると安心です。
