電気自動車を自宅で充電するならコンセントタイプ!選ばれる理由と設置する方法を解説

電気自動車の購入を検討中、またはすでに所有している方は、自宅で充電する方法について悩みを抱えがちです。自宅充電設備にはいくつかの種類があり、それぞれメリット・デメリットが異なります。
電圧の違いや充電時間、設置方法、工事の難易度など、設置前に知っておくべき重要なポイントを確認しましょう。
※目次※
・自宅に設置できる電気自動車の充電設備には、コンセントタイプ、スタンドタイプ、V2H機器の3種類があり、コンセントタイプが最もポピュラー。
・コンセントタイプには200Vと100Vの2種類の規格があり、充電時間と電気代に大きな違いがある。
・設置工事には第二種電気工事士以上の資格が必要で、設置には業者選定、現地調査、見積もり、工事施工という手順を踏む。
電気自動車を自宅で充電する設備の種類

電気自動車を自宅で充電するための設備には、いくつかの選択肢があります。それぞれ設置費用や充電性能、機能面に違いがあるため、自宅の環境や予算に応じた設備を選ぶことが重要です。
主要な3つのタイプについて、それぞれの特徴や価格相場、メリット・デメリットを詳しく解説します。
コンセントタイプ
充電用コンセントは戸建て住宅の壁面や駐車場付近に設置される差込口で、通常の家電製品と同じように、専用のコンセントから電気を供給して、車両のバッテリーに充電する仕組みです。
充電時は車載の充電ケーブルを使用し、一方を車両の充電口に、もう一方をコンセントに接続するだけの簡単な操作です。
100Vもしくは200Vの普通充電であるため、急速充電のように充電時間は早くありません。ただし、夜間に充電しておけば翌朝には満充電に近い状態になるため、利便性はそれほど損なわれないでしょう。
スタンドタイプ
スタンドタイプの充電設備は、ショッピングセンターや高速道路のサービスエリアなどでよく見かける独立型の充電器です。
家庭用のスタンドタイプには、車載ケーブルを使用するコンセントタイプと、本体に充電ケーブルが付属したタイプの2種類があります。地面に設置する柱状の形状で、高さは1.5m程度が一般的です。
建物から駐車場が離れている場合など、壁面にコンセントを設置するのが難しいケースでは、スタンドタイプが有効な選択肢といえるでしょう。
ケーブルが付属するタイプなら車載ケーブルを毎回取り出す手間も省け、ケーブルを本体に収納できるため駐車場をすっきりと保てます。
ただし、コンセントタイプと比較すると本体価格が高額になり、基礎工事も必要なため、設置費用が割高になるのが一般的です。
V2H機器
V2H(Vehicle to Home)機器は、電気自動車の大容量バッテリーを家庭用の蓄電池として活用できる画期的なシステムです。通常の充電機能に加えて、災害などにより停電が起きた際には車両から家庭に電力を供給できるため、災害対策としても注目を集めています。
V2H機器の出力は6kWと高く、コンセントタイプの2倍以上の速度で充電可能です。さらに太陽光発電と連携させれば、昼間に発電した電気を車両に蓄え、夜間に家庭で使用することで電気代の大幅な削減も実現できます。
ただし、機器本体が高価で、さらに工事費もかかるため高額な初期投資が必要です。また、現在はCHAdeMO規格の車両のみ対応という制限もあります。
電気自動車の自宅充電設備はコンセントタイプが一般的

3種類に分けられる電気自動車の自宅充電設備の中で、コンセントタイプが最も普及しているといわれます。それではなぜ、コンセントタイプはそれほどまでに選ばれているのでしょうか。
コンセントタイプの詳細や多くの方に支持される理由を詳しく見ていきましょう。
最もポピュラーな充電設備
電気自動車の自宅充電設備として、コンセントタイプが圧倒的な人気を集めています。その理由としてまず挙げられるのが、導入のしやすさです。スタンドタイプのような大がかりな基礎工事が不要で、既存の住宅にも後付けしやすい点が評価されています。
設置場所の自由度も魅力です。戸建て住宅の壁面や駐車場付近など、電気配線が届く範囲であれば比較的自由に設置位置を選べます。
さらに、使い方がシンプルながら日常使いには十分な性能も、支持される理由のひとつです。電源プラグをコンセントに差し込み、充電コネクタを車両の充電ポートに接続するだけで充電が開始されます。
設置費用の安さと手軽さがメリット
電気自動車の充電設備を自宅に設置するにあたり、気になるのが費用面でしょう。コンセントタイプが選ばれる最大の理由は、その設置費用の安さにあります。
コンセント本体は安いものなら3,000円台から1万円程度で購入でき、工事費を含めても総額10万円前後が相場です。これに対して、スタンドタイプは本体だけで10万円~20万円、V2H機器に至っては本体価格が50万円以上と、コンセントタイプと比較しては大規模な投資が必要になります。
工事の手軽さも大きな魅力です。分電盤から駐車スペースまでの配線工事が主な作業であり、複雑な基礎工事は必要ありません。そのため工事期間も短く、通常は1日程度で完了します。
200Vと100Vの2種類の規格がある
電気自動車の自宅充電で使用するコンセントには、200Vと100Vの2種類の規格が存在します。しかし、実際に選択されるのは圧倒的に200Vコンセントです。その理由は充電時間の違いにあります。
200Vコンセントの出力は約3.0kWで、バッテリー容量30kWhの電気自動車なら約10時間で満充電が可能です。一方、100Vコンセントの出力は0.6kW~1.2kW程度と低く、同じ車両でも満充電には30時間以上かかってしまいます。
電気料金の面でも200Vが有利です。深夜電力プランを活用すれば、200V充電なら夜間の安い電気料金でフル充電できます。100Vでは充電時間が長すぎて、昼間の高い電気料金の時間帯にまで充電が続く可能性があるでしょう。特別な事情がない限り200Vコンセントの選択をおすすめします。
自宅に電気自動車の充電設備を設置する際の注意点

電気自動車の充電設備を自宅に設置するにあたり、事前に把握しておくべき重要なポイントがあります。工事の施工や補助金制度などについて、正しく理解しておくことが大切です。これらの注意点を詳しく見ていきましょう。
工事には資格が必要
電気自動車の充電用コンセントを設置する工事には、専門的な技術が求められます。設置工事は、第二種電気工事士以上の資格を持つ人が行わなければなりません。これは電気工事による感電事故や漏電火災などの危険を防ぐためで、無資格者による工事は法律で禁止されています。
そのため、DIYで設置工事を行いたいと考えていたとしても、第二種電気工事士以上の資格を持っていないのであれば不可能です。業者を選ぶ際にも、有資格者が作業するかという点を確認し、複数社から見積もりを取ることをおすすめします。
充電スポットよりも充電に時間がかかる
自宅での電気自動車充電は、公共の急速充電器と比較して充電時間が長くなる点に注意が必要です。急速充電器では約30分で80%近くまで充電できるのに対し、自宅の200Vコンセントでは3.0kWの出力でフル充電に約8時間~10時間を要します。
この時間差は一見デメリットに思えますが、実際の使い方ではそれほど問題になりません。というのも、自宅充電は夜間の就寝時間を活用できるからです。帰宅後に充電を開始しておけば、翌朝には満充電状態で出発できるため、日常の通勤や買い物といった移動には十分対応できます。
自宅充電であればむしろ充電スポットでの順番待ちや移動の手間がなく、時間を有効活用できる点はメリットといえるでしょう。計画的な充電を心がければ、充電時間の長さは実用上の問題にはなりません。
自宅の環境により必要な工事が変わる
電気自動車を自宅で充電するコンセントの設置には、住宅の環境に応じた工事が避けられません。まず確認すべきは、自宅が200Vに対応しているかどうかという点です。
古い住宅では100Vのみというケースもあり、その場合は200V対応への増設工事で5万円~15万円程度の追加費用が発生します。
分電盤から駐車場までの距離も重要な要因です。配線距離が長いほど電線や工事の手間が増え、費用もかさみます。また、分電盤内にブレーカーを追加するスペースがない場合は、分電盤の交換が必要になるでしょう。
さらに電気容量の確認も欠かせません。電気自動車の充電には大きな電力が必要で、既存の電気容量が不足している場合は、電力会社への増量申請が必要です。
このように住宅環境により工事内容が大きく異なるため、専門業者に現地調査を依頼し、詳細な見積もりを取得する必要があります。
補助金が出るのはV2H機器のみ
電気自動車の充電設備に関係する国の補助金制度は、残念ながらコンセントタイプの設置に対しては利用できません。利用できるのはV2H機器に関してのみというのが現状です。
2025年度のV2H補助金制度は、機器本体に最大50万円、設置工事費に最大15万円が支給される内容になっています。V2H機器は災害時の非常用電源としても活用できるため、国の支援対象として認定されているのです。
ただし、自治体独自の補助金制度も存在し、地域によってはコンセントタイプの設置にも補助金が適用される場合があります。設置を検討する際は、居住地の自治体の制度について確認しておきましょう。
自宅に電気自動車の充電設備を設置する流れ

電気自動車を自宅で充電する設備の設置を検討している場合、実際の工事までの手順は気になるところでしょう。適切な業者選びから工事完了まで、どのような流れで進むのでしょうか。安心して充電設備を導入するための具体的なステップについて、詳しく解説します。
設置を依頼する業者を選ぶ
電気自動車を自宅で充電する設備を設置する際、最も重要なステップが施工業者の選定です。信頼できる業者を選ぶことで、安心して工事を任せられます。
業者選びで重要なポイントは、電気自動車充電設備の施工実績が豊富であることです。経験豊富な業者であれば、さまざまな住宅環境での設置ノウハウを持ち、予期せぬトラブルにも適切に対応してくれるでしょう。
また、電気の契約容量や電気料金プランに詳しい業者を選ぶことも、大事なポイントといえます。というのも、充電時の電力使用量によってはブレーカーが落ちる可能性があり、電気料金プランを変更するのであれば、お得な充電時間帯の提案を受けられるのは重要なためです。
現地調査で見積もりを入手する
業者を選定したら、正確な見積もりを取得するために現地調査を依頼します。現地調査により、設置場所の詳細な状況や配線ルートを専門家が確認し、最適な工事プランを提案してくれるでしょう。
現地調査で確認される主なポイントは、分電盤から駐車場までの配線距離、壁面の材質、既存ブレーカーの200V対応状況などです。これらの調査結果により、追加工事の必要性や配線方法が決まります。
見積もりでは、本体価格・工事費・追加費用の内訳を詳しく確認することが大切です。特に古い住宅では200V対応工事が必要な場合があるため、この追加費用についても事前に把握しておきましょう。
複数業者の見積もりを比較し、工事内容と保証期間も含めて総合的に検討することで、安心して施工を依頼できます。
契約し工事を施工
現地調査を終え、工事内容と費用が確定したら、業者と契約を結びます。工事には1日程度かかり、主な作業内容は専用ブレーカーの設置、配線の敷設、充電用コンセントの取り付けです。
工事当日は、設置位置や配線ルートの最終確認が必要で、車載充電ケーブルの長さを実測し、コンセントの高さや向きを決定します。工事が終わったら充電テストを実施し、正常に動作することを確認したら完了です。
施工後は、充電設備の使用方法や注意点について説明を受けましょう。特にブレーカーが落ちた際の対処法や、雨天時の使用上の注意事項は重要です。また、保証書の内容や緊急時の連絡先も確認しておくことをおすすめします。
まとめ

自宅に設置できる電気自動車の充電設備には、コンセントタイプ、スタンドタイプ、V2H機器の3種類があります。
一般家庭では、設置費用が比較的安価で導入が手軽なコンセントタイプが最もポピュラーです。コンセントタイプには200Vと100Vの2種類の規格があり、充電時間と電気代に大きな違いがあります。
設置工事には第二種電気工事士以上の資格が必要で、費用は10万円前後が目安です。ただし、自宅の環境によって工事内容や費用は変動します。設置の流れは、業者選定から現地調査、見積もり、そして工事施工という手順です。
自宅での充電は充電スポットよりも時間がかかるため計画的な充電が必要ではあるものの、長期的に見るとランニングコストの削減につながるでしょう。
▼ライタープロフィール

五十嵐巧
大手出版社での書籍編集を皮切りに、25年以上にわたり書籍・雑誌・Webメディアの編集・ライティングに携わる。現在はフリーランス編集者・ライターとして活動し、複数の自動車メディアでもコンテンツの編集・執筆に取り組む。豊富な取材経験と専門知識を活かし、読者に信頼される情報を提供し続けている。
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