新車購入時に不具合が起こった場合は返品できる?適切な対処方法を紹介

新車を購入したのに早々に不具合が発生するという、悪夢のような状況もまれに起こります。このような場合、返品や交換をしたいと考える方も多いのではないでしょうか。
そこでこの記事では、新車の納車直後に不具合が生じた際の返品の可能性と、トラブルに直面したときの適切な対処法を解説します。一読すれば購入後の返品について把握できるでしょう。車を購入予定の方はぜひ参考にしてみてください。
※目次※
5.新車の不具合に対応できる保証を適切に活用するためのポイント
・新車に不具合が発生した場合、メーカーや販売店側に過失がある場合や契約書に返品規定がある場合は返品できる可能性があるものの、車両確認証へのサイン後の返品は基本的に難しい。
・新車に不具合が発生した際には、メーカー保証を利用して無償修理での対応が一般的。
・ディーラーとの調整が難航した場合には第三者機関に相談するのも有効。
新車に不具合が起こった場合は返品可能?

新車の購入直後に不具合が見つかると、返品できるのかどうかという疑問が浮上します。実際のところ、返品の可否は状況によって異なります。
新車に不具合が発生した場合の返品の可能性について、販売店やメーカー側の過失の場合、運転者側の過失の場合、そしてクーリングオフ制度との関係について確認しましょう。
販売店やメーカー側の過失の場合
新車を購入したものの、直後に重大な欠陥が見つかった場合、メーカーや販売店に明らかな過失があれば、返品が可能なケースがあります。
例えば、エンジンやブレーキシステムに製造上の欠陥があり安全に走行ができない場合や、カタログやセールストークで説明された機能が搭載されていないなど、説明義務違反があった場合です。
こういったケースでは、消費者契約法に基づいて契約破棄が認められる可能性はあります。この場合、証拠として販売時の説明内容や契約書、カタログなどの資料を保管しておくことが重要です。
ただし、納車時の車両確認証にサインした後の返品は難しくなるケースが多いため、納車時には細部まで丁寧に確認することをおすすめします。不具合を発見したら、すぐに販売店に連絡し、症状を具体的に説明しましょう。
運転者側の過失の場合
運転者側の過失による不具合の場合、基本的に返品は難しいというのが現実です。例えば、購入直後に自分の運転ミスで事故を起こしたり、取扱説明書に記載された使用方法を無視して車を使用し不具合が生じたりした場合は、その責任は購入者にあります。
運転者の不適切な運転操作や整備不良による不具合は、民法上の債務不履行や契約不適合責任の対象外です。つまり、法的には購入者の使用上の問題に対して、メーカーや販売店は責任を負う義務はありません。
このような場合は、返品ではなく修理での対応となるでしょう。保険に加入していれば、その保険を使って修理することも可能です。ただし、メカニカルトラブルが原因で事故が発生した場合は状況が異なり、製造上の欠陥があれば返品や交換の可能性も出てきます。
不具合の原因がどちらにあるのか不明確な場合は、第三者機関に調査を依頼するのもひとつの選択肢です。重要なのは、不具合の発生状況や経緯を詳細に記録しておくことで、その後のやりとりに役立ちます。
車はクーリングオフの対象外
「不具合があれば返品できるのでは」と考える人は多いかもしれませんが、店舗での自動車購入は特定商取引法に基づくクーリングオフ制度の適用対象外です。この制度は訪問販売や電話勧誘販売などで一定期間内の契約解除を認めるものですが、自動車はその対象から除外されています。
クーリングオフ対象外なのは、自動車は高額商品であり、購入者が十分に検討した上で購入するという前提があるためです。
また、一度新車登録手続きを済ませると、たとえ未使用でも中古車扱いとなり価値が大きく下がってしまいます。ディーラーや販売店が購入した車の登録手続きをすでに行っている場合、返品や交換を求めても認められません。
新車を返品できるケースは?

新車に不具合が発生した場合の返品可能性について、重要なのは契約内容と不具合の状況です。基本的には新車購入後の返品は難しいものの、特定の条件を満たせば返品が認められるケースもあります。ここでは、返品が可能となる主な条件について解説します。
契約書の返品規定を満たす場合
新車に不具合が発生した場合、契約書は重要な拠り所となります。まず契約書の返品規定を確認しましょう。基本的に新車購入契約の破棄は認められていませんが、契約書に返品や交換に関する条件が明記されている場合は、その条件に従って対応してもらえる可能性があります。
ただし、契約書に記載された返品・交換の規定には、違約金や手数料が設定されていることが多いので注意が必要です。返品を求める際には事前に契約書の内容を十分に確認し、条件を満たしているかを精査しましょう。
契約自体が不当なものの場合
契約自体が不当である場合には、消費者契約法に基づいて返品が認められる可能性があります。例えば、本来搭載されているはずの機能が実際にはなかったり、車検に通らない欠陥を意図的に隠していたりした場合です。
このような状況では、消費者の権利が法的に保護されます。しかし、購入前に不具合を把握していたケースでは注意が必要です。ディーラーや販売店が事実を告知し、それを納得した上で購入した場合には、契約解除は難しくなるでしょう。
契約の不当性を主張する際は、契約時の説明内容や資料を証拠として保存しておくことが重要です。販売店とのやりとりでは、契約時の状況を具体的に説明し、書面でのやりとりを心がけましょう。
新車に不具合が見つかった場合の対処法

新車に不具合が見つかった場合、適切な対応策を知っておくことが重要です。焦らず冷静に対処するため、保証制度の活用方法や相談窓口について理解しておきましょう。保証期間内なら多くの修理費用が無償となり、適切なやりとりによって満足のいく解決が可能です。
新車の不具合発見時の対処法と、問題解決のために相談できる公的機関や専門窓口について具体的に解説します。
保証期間内の対処法
メーカー保証期間内に新車の不具合を発見した場合、まず落ち着いて販売店に連絡しましょう。症状を具体的に説明し、保証の適用範囲内かどうかを確認することが大切です。
不具合の症状を説明する際は、いつどのような状況で発生したかを詳細に伝え、可能であれば写真や動画などの証拠を残しておくと、やりとりがスムーズに進みます。販売店とのやりとりも記録しておきましょう。
保証期間内であれば、該当する部品の無償修理が受けられます。ただし、バッテリーやタイヤ、オイルなどの消耗品は基本的に保証対象外となるため注意が必要です。
修理期間中は代車を用意してもらえるか確認し、日常生活に支障がないよう手配することも忘れないようにしましょう。
不具合を相談できる窓口を確認
新車に不具合が発生した場合、ディーラーへの相談だけでなく、専門の第三者機関に相談することも効果的です。
国民生活センターや各地の消費生活センターでは、車の購入トラブルに関する相談を無料で受け付けています。「消費者ホットライン」に電話(188)すれば、最寄りの窓口に簡単につながるでしょう。
一般社団法人自動車公正取引協議会は、自動車販売に関するトラブル解決をサポートしています。ただし、相談対象の販売店が協議会会員である必要があるため、事前に会員か確認しておくと安心です。
公益財団法人自動車製造物責任相談センターは、自動車や部品に関するトラブルを専門に扱う窓口です。販売店とユーザーの間に入って調整や和解の斡旋を無料で行ってくれます。会員制ではないため、手続きも簡単で利用しやすいのが特徴です。
これらの窓口を活用することで、ディーラーとの調整が難航した場合でも適切な解決策を見つけられるでしょう。
新車の不具合に対応できるメーカー保証の種類

新車購入時の安心をサポートするメーカー保証には、複数の種類があります。不具合が発生した場合、どの保証が適用されるのかを正しく理解しておくことで、適切な対応が可能になるでしょう。
それぞれ対象部品や保証期間が異なるため、自分の車にどのような保証が付いているのか把握しておくことが重要です。
一般保証
新車購入時には、標準で一般保証が付帯します。これは車を構成する部品を対象とした保証制度です。一般保証の期間は多くの場合、新車登録日から3年間、もしくは走行距離6万kmのいずれか早いほうが適用期限となります。
一般保証では、エアコン、カーナビ、パワーウィンドウなどの快適装備や電装系統が主な対象ですが、全ての部品が対象というわけではありません。
例えば、ブレーキパッドやフィルターなどの消耗品、エンジンオイルやブレーキフルードなどのオイル類、タイヤ、バッテリー、エアロパーツなど個別保証が用意されたものは対象外です。
一般保証を有効に保つためには、メーカーが指定する定期点検を受けることが条件です。1か月点検、6か月点検、法定12か月点検などを適切に実施していない場合、保証が適用されない可能性があるため注意しましょう。
特別保証
特別保証は、走行に直接関わる重要部品や乗員の安全に関わる装備を対象とした保証制度です。一般保証よりも長い保証期間が設定されており、通常は新車登録日から5年または走行距離10万kmのいずれか早いほうまで適用されます。
特別保証の対象となる主な部品は、エンジン本体、トランスミッション、ステアリング、ブレーキシステム、サスペンション、シートベルト、エアバッグなどです。近年普及しているハイブリッド車や電気自動車では、駆動用バッテリーや燃料電池なども特別保証の対象とされます。
一般保証との大きな違いは保証期間の長さと対象部品の重要度です。特別保証は「走る・曲がる・止まる」という基本性能に関わる部品を長期間保証することで、購入者の安全を確保する目的があります。
特別保証を有効に活用するには、一般保証と同様に定期点検を欠かさず受けることが条件です。
延長保証
延長保証とは、メーカーの一般保証や特別保証が終了した後も保証サービスを継続できる有料のプランです。新車を長く乗り続ける場合には、将来的な高額修理リスクに備える安心材料といえるでしょう。
各自動車メーカーは独自の延長保証プランを提供しています。費用は車種によっても異なりますが、一般的に1万円~5万円程度で、保証期間は通常2年間延長されます。
多くのメーカーでは、新車購入時または初回車検時までの加入が条件です。また定期点検を受けていることが保証適用の条件となる場合が多いため、点検記録は保管しておきましょう。
新車の不具合に対応できる保証を適切に活用するためのポイント
新車保証を最大限活用するためには、いくつかの重要なポイントを押さえておくことが大切です。まず、保証書の名義が自分になっているか確認しましょう。納車日に確認することをおすすめします。
次に、定期点検の実施は、保証を適用する上で求められる条件です。点検を怠ると、保証期間内であっても修理が有償になる可能性があるでしょう。定期的な点検により、車の適切な取り扱いが証明され、不具合発生時のメーカー側の責任が認められやすくなります。
また、社外パーツの使用により安全性が確保できないと判断されるため、改造車は基本的に保証対象外です。純正パーツを使用し、メーカー推奨の整備を受けることが、新車に不具合が発生した際に無償修理を求める上で重要な条件といえます。
まとめ

新車に不具合が発生した場合には、基本的には返品よりも修理での対応が一般的です。自動車はクーリングオフの対象外ですが、メーカーや販売店側に過失がある場合や契約書に返品規定がある場合は返品できる可能性があります。
不具合を発見したら、まずは一般保証や特別保証、延長保証などのメーカー保証を確認しましょう。保証期間内であれば、無償での修理を受けられます。対応に不満がある場合は、消費生活センターなどの第三者機関に相談するのも有効です。
▼ライタープロフィール

五十嵐巧
大手出版社での書籍編集を皮切りに、25年以上にわたり書籍・雑誌・Webメディアの編集・ライティングに携わる。現在はフリーランス編集者・ライターとして活動し、複数の自動車メディアでもコンテンツの編集・執筆に取り組む。豊富な取材経験と専門知識を活かし、読者に信頼される情報を提供し続けている。
豊富なラインアップのネクステージ中古車情報をチェック!
いかがでしたか。今回の記事が中古車購入を検討しているあなたの参考になれば幸いです。
ネクステージでは、他店に負けない数多くの中古車をラインアップしていますので、中古車の購入を検討されている方は、ネクステージの公式Webサイト上で最新の在庫状況をチェックしてみてください。また中古車購入に際して、ネクステージ独自の保証もご準備しております。お気軽にお問い合わせください。
