構造変更のやり方や手続きにかかる費用、知っておくべき注意点を解説!

車の安全性を確保した上で改造を楽しんでいても、構造変更の手続きを怠れば違法改造とみなされてしまうため注意が必要です。そのため、やり方を知っておきたいと考える方もいるのではないでしょうか。なお、一定範囲の軽微な変更であれば構造変更申請が不要なケースがあります。
本記事では、構造変更のやり方や手続きにかかる費用、必要書類や注意点について解説していますので、車の改造を検討されている方はぜひ参考にしてください。
※目次※
4.構造変更のやり方を理解して手続きを進める前に知っておくべき注意点
・構造変更のやり方を理解して手続きをすると、大幅に改造した車も合法的に公道を走行することが可能です。
・車を改造した場合、構造変更申請を行う必要がありますが、記載事項変更で済ませられるケースもあります。
・構造変更検査を受けると車検の残り期間が無効となるため、手続きのタイミングは慎重に検討しましょう。
車を改造した際の構造変更手続きとは

正しい知識を持たずに改造を進めてしまい、後から法的な問題に直面する方もいるかもしれません。構造変更のやり方を理解しておけば、大幅に改造した車も合法的に公道を走行することが可能です。ここでは、構造変更とは具体的にどのような手続きなのか、基本的な知識について解説します。
構造変更とは
構造変更とは、正式には構造等変更検査と呼ばれる手続きです。車の改造により「外寸」「重量」「乗車定員」「形状」「排気量」などが変更された場合に必要となります。構造変更を行わずに運転すると違法行為にあたるため、速やかに手続きが必要です。
構造変更検査に合格すると新しい車検証が交付され、合法的に公道を走行できるようになります。なお、エンジンを載せ替えたり、燃料供給方式が変わったりすると、車検証の型式欄に「改」という文字が追加されますが、全てのケースで付くわけではありません。
なお、構造変更手続きをすると車検の残り期間は無効となるため、手続きのタイミングは慎重に検討する必要があります。
構造変更を行う必要がない改造
改造によっては、構造変更申請を行う必要がありますが、全ての改造が構造変更手続きを必要とするわけではありません。中には、記載事項変更の手続きで済ませられるケースもあります。
大まかに「車枠及び車体」「エンジン」「駆動系」「走行装置」「操縦装置」「制御装置」「緩衝装置」「連結装置」「燃料装置」「電気装置」のうち、指定された項目以外のカスタムであれば、記載事項変更の手続きで済ませられるようです。この場合、車検を受け直す必要がないため、有効期間を失うことなく手続きが可能です。
また、構造等変更の諸手続きを簡素化することを目的に、軽微な変更であれば構造変更や記載事項変更の手続きが必要ないとされています。この「軽微な変更」に該当する条件には2つのパターンがあり、どちらかに該当すれば手続きが必要ありません。
「軽微な変更」に該当するケース
構造変更や記載事項変更の手続きが不要な「軽微な変更」に該当するケースには、2つのパターンがあります。ひとつ目のパターンは、車両寸法・車両重量が下記の軽微な変更の範囲に収まる場合です。
|
車種 |
長さ |
幅 |
高さ |
車両重量 |
|
小型自動車 / 軽自動車 |
±3cm |
±2cm |
±4cm |
±50kg |
|
普通自動車 / 大型特殊自動車 |
±3cm |
±2cm |
±4cm |
±100kg |
2つ目のパターンは「指定部品」を溶接、リベット以外の方法で装着した場合が該当します。この指定部品とは、安全性や公害防止の観点から問題がないとされている部品を指し、オーディオ類、タイヤ、ホイール、マフラー、ルーフラックやキャリアなどが一例です。
なお、軽微な変更とみなされる部品を装着した状態においても、道路運送車両の保安基準に適合する必要があることには変わりありません。
構造変更を必要とするのはどのようなとき?
構造変更が必要になる条件は、改造の内容によって決まります。車両寸法・車両重量が軽微な変更の範囲を超える場合、指定部品を溶接やリベットで装着した場合、指定外部品を装着した場合などには構造変更申請が必要です。
この他にも、最大積載量、乗車定員、原動機の型式、燃料の種類、車体の形状、用途などに変更を生じるような改造をした場合は、構造変更手続きをしなければなりません。これらの改造を行う場合は、やり方を正しく理解して適切に手続きを進めることが重要です。
構造変更手続きにかかる費用
構造変更手続きの法定手数料は車種によって異なり、2,300円~2,600円となっています。
|
車種タイプ |
構造変更手続きの法定手数料 |
|
軽自動車 |
2,300円 |
|
小型自動車 |
2,500円 |
|
普通自動車 |
2,600円 |
※令和5年1月1日以降適用(2025年11月現在)
構造変更手続きの費用は、意外に安いと驚かれる方もいるかもしれません。手数料自体はそれほど高額ではありませんが、構造等変更検査が必要な場合は同時に車検費用が発生するため、まとまった費用がかかります。
あらかじめ構造変更のやり方や費用を把握しておくと、改造を検討する際に予算計画が立てやすくなるでしょう。
構造変更のやり方を3つの項目に分けて解説!

構造変更は複雑な手続きのため、多くの方がカーショップに依頼する手続きです。しかし、やり方を理解すれば個人でも十分に対応できるでしょう。ここでは、構造変更のやり方を「必要書類の準備」「書類審査」「実車検査」の3つの項目に分けて詳しく解説します。
構造変更のやり方①必要書類の準備
構造変更では、必要書類の準備が重要です。申請書、車検証、自動車検査票、点検整備記録簿、自賠責保険証明書、手数料納付書、重量税納付書、納税証明書、必要に応じて委任状などを用意しましょう。
改造内容が安全上重要な部分や目視などで容易に確認できない場合は「改造自動車届出書」や「改造概要等説明書」などの添付資料も必要となります。管轄の陸運局や自動車検査登録事務所に確認すると良いでしょう。
構造変更のやり方②書類審査
構造変更申請では、まず管轄の陸運局や自動車検査登録事務所への書類提出から始まります。書類による適合性審査は、おおよそ1週間から10日間程度です。
書類や添付資料に不備があれば、追加資料の要求や再提出により審査期間が延長される場合があるため、必要書類の準備は入念に行いましょう。審査に合格すると、実車検査で必要となる「改造自動車等審査結果通知書」が交付されます。
構造変更のやり方③実車検査
書類審査に合格後、実車検査を行います。車検と同様に事前予約をした上で検査場に持ち込み、通知書とその他実車検査に必要な書類を提出して検査を受けましょう。
検査に合格すると、新しい車検証が交付されます。保安基準への適合が証明されることで公道の走行が可能です。
構造変更のやり方を理解して手続きを進める前に知っておくべき注意点

構造変更のやり方を理解して手続きを進める前に、改造によって生じるさまざまなリスクを把握しておくことが大切です。構造変更手続きを行う場合においても、保安基準を満たさない改造は認められません。ここでは、改造前に知っておくべき注意点を解説します。
区分を超えると税金の負担が重くなる
重量税は車両重量0.5tごとの税額区分となっているため、改造により重量区分が上がれば税負担が増加します。エンジンの載せ替えやリフトアップパーツの装着など、車両重量が増加しやすいカスタムでは注意が必要です。
また、エンジンのボアアップなどによる排気量アップにも注意しましょう。排気量の区分が上がると自動車税も増額となり、今後の維持費が増える可能性があります。構造変更を検討する際は、これらの税額変更も含めたトータルコストを事前に計算しておくことが重要です。
構造変更すると車検を断られることがある
構造変更のやり方を正しく理解して手続きを完了していても、一般的なお店では車検を断られることがあるため注意が必要です。改造車の整備には専門的な知識が必要であり、万が一の際の責任問題を懸念するため、多くの業者が対応を避ける傾向にあります。
特にディーラーでは改造車の取り扱いに慎重なため、構造変更を要するほどの改造車であれば対応が難しいでしょう。一方で、街の整備工場では柔軟な対応が期待できます。事前に理解のある整備工場を見つけておけば、将来的なメンテナンス面での不安を解消可能です。
売却時の評価が下がることがある
構造変更のやり方を正しく理解して手続きを完了していても、売却時の査定評価が下がるリスクがあります。改造車は一般的な中古車市場での需要が限定的なため、買取業者からの評価が低くなりがちです。
特に構造変更レベルの大規模な改造車は、買取自体を断られるケースも少なくありません。改造車は次の購入者を見つけるのが困難であり、在庫リスクが高いことが理由です。売却を検討する際は、専門の買取業者や廃車買取業者の利用が必要になるなど、売却面では不利になる点を理解しておきましょう。
まとめ

構造変更のやり方を理解して手続きをすると、改造した車も合法的に公道を走行することが可能です。大幅に改造した場合は構造変更申請を行ったあとに検査を受ける必要がありますが、軽微な変更では検査を伴わない「記載事項変更」で済ませられるケースもあります。
なお、構造変更検査を受けると車検の残期間が無効となるため、手続きのタイミングは慎重に検討しましょう。構造変更のやり方を正しく理解するのが難しい場合、専門のカーショップに相談するのもひとつの方法です。
【この記事の執筆者】

松田 莉乃
過去の愛車は32GT-R、180SX、33Z。車の構造に興味を持ち「自分の車は自分で作りたい」という気持ちから自動車整備工場に勤務した経験を持つ。中古車買取査定員やタウン情報誌の編集部として仕事をした経験を活かし、主に車・タイヤ関係のメディアを対象に2020年からフリーランスのライター兼エディターとして活動中。
豊富なラインアップのネクステージ中古車情報をチェック!
いかがでしたか。今回の記事が中古車購入を検討しているあなたの参考になれば幸いです。
ネクステージでは、他店に負けない数多くの中古車をラインアップしていますので、中古車の購入を検討されている方は、ネクステージの公式Webサイト上で最新の在庫状況をチェックしてみてください。また中古車購入に際して、ネクステージ独自の保証もご準備しております。お気軽にお問い合わせください。
