車の構造変更におけるデメリットとは?手続きの流れや改造時の注意点を解説!

車を自分好みにカスタマイズしようと思ったとき、違法改造に該当しないかと不安に感じる方も多いでしょう。改造部位や程度によっては「構造変更検査」と呼ばれる手続きを行わなければならないケースがあります。
本記事では、車の構造変更手続きを怠るとどのようなデメリットがあるのか、構造変更を行う際のデメリットを最小限に抑える方法や手続きの流れを解説します。適切に手続きを行い、合法的に愛車のカスタマイズを楽しむためにお役立てください。
※目次※
・車の構造変更手続きを怠ると不正改造車とみなされ、6か月以下の懲役または30万円以下の罰金が科せられるデメリットがある。
・構造変更検査は車検の有効期間を失うため、残り少なくなったタイミングを狙えばデメリットを最小限に抑えられる。
・構造変更を要するほどの大幅な改造をする際には、起こり得るさまざまなデメリットを把握しておく必要がある。
車の構造変更手続きを怠るとどのようなデメリットがある?

車の構造変更(構造等変更)は、登録を受けている車が所定の改造を施したときに行わなければならない手続きです。車を自分好みにカスタマイズしようと思ったとき、違法改造に該当しないかと不安に感じる方も多いでしょう。改造を楽しむ上で、不正改造車として罰則を受けないためにも、正しい知識を付けることが大切です。
構造変更手続きが必要なケース
構造変更申請が必要になる主なケースは、車両寸法(全長・全幅・全高)、乗車定員、最大積載量、車体の形状、用途、原動機の型式、燃料の種類などに変更があったときです。
車を使用する上では、常に道路運送車両の保安基準に適合するよう、適切に管理する必要があります。構造変更は、この保安基準を遵守しているかをチェックするものです。
この保安基準に適合する範囲でカスタマイズを行っている場合は、構造変更手続きを行えば合法的な改造車として認められるため、罰則を受ける恐れがありません。
なお、構造変更検査を行う場合、車検の有効期間を引き継ぐことができず失効してしまう点はデメリットといえます。車検の残り期間も考慮して、計画を立てることが大切です。
構造変更手続きを怠ると不正改造車とみなされる
保安基準に適合する範囲であっても、構造変更手続きを怠れば不正改造車とみなされるため注意が必要です。国土交通省では、警察機関の協力を得て公道での街頭検査(通称:ねずみ捕り)を実施しており、保安基準に適合しているかどうかの確認を行っています。
車両検査の結果、保安基準に適合しない車両は6か月以下の懲役または30万円以下の罰金が科せられるため、甘く見ていると後悔することになるでしょう。加えて整備命令が発令され、15日以内に不適合箇所の改善を行い運輸支局へ車両を持ち込む必要があります。
不正改造の内容によっては、車のフロントガラスに不正改造車を示すステッカーが貼付され、適合が確認されるまで剥がすことができません。なお、整備命令に従わない場合、車両の使用停止命令や50万円以下の罰金が科されます。
構造変更手続きが必要ないケース
具体的にどのような改造が構造変更手続きの対象になるのか、疑問に思われる方もいるでしょう。構造変更の諸手続きの簡素化を目的に、軽微な変更であれば手続きが必要ないとされています。
この「軽微な変更」に該当する条件には、2つのパターンがあり、どちらかに該当すれば構造変更手続きをする必要はありません。
ひとつ目のパターンは、車両寸法と車両重量が下記の範囲に収まる場合です。
|
車種 |
長さ |
幅 |
高さ |
車両重量 |
|
小型自動車 / 軽自動車 |
±3cm |
±2cm |
±4cm |
±50kg |
|
普通自動車 / 大型特殊自動車 |
±3cm |
±2cm |
±4cm |
±100kg |
2つ目のパターンは「指定部品」を溶接やリベット以外の方法で装着した場合が該当します。
構造変更検査のデメリットを最小限に抑える方法
構造変更検査の大きなデメリットとして挙げられる「車検の有効期間を失ってしまう」ことを避けるには、タイミングが重要です。経済的なタイミングを意識するのであれば、車検を取得したばかりの時は避け、有効期間の残りが少なくなった時が良いでしょう。
想定通りに進まず車検が切れてしまうことにならないよう、車の改造にかかる期間や書類の手配にかかる期間などを考慮して計画を立てることが大切です。
構造変更申請から新しい車検証発行までの流れ
構造変更手続きでは、おおよそ1週間から10日間程度かけて書類審査が行われ、次に実車検査に臨む流れです。
まずは必要書類を揃え、管轄の陸運局や自動車検査登録事務所に提出しましょう。審査に合格すると、実車検査で必要となる「改造自動車等審査結果通知書」が交付されます。提出書類に不備があれば追加資料の再提出が必要になり、審査期間が延びる場合があるため注意が必要です。
事前に予約した上で検査場に持ち込み、通知書と実車検査に必要な書類を提出することで、検査を受けられます。保安基準への適合が証明され、新しい車検証の交付を受ければ完了です。
なお、全ての改造が構造変更検査で車検の受け直しになるわけではありません。車枠及び車体、エンジン、駆動系、走行装置、操縦装置、制御装置、緩衝装置、連結装置、燃料装置、電気装置のうち、指定された項目以外のカスタムであれば、記載事項変更の手続きで済ませられるでしょう。
構造変更検査は車検の有効期間を失ってしまうデメリットがありますが、記載事項変更で済めば車検の残り期間に影響がないのがメリットです。
構造変更を要するほどの改造によって起こり得るデメリット

構造変更を要するほどの大幅な改造には、さまざまなデメリットが起こり得るため、行動に移す前にきちんと把握しておくことが大切です。なお、構造変更を行う場合においても、保安基準を満たさない改造は認められません。ここでは、改造前に知っておくべき注意点を解説します。どの程度の改造をするかは、慎重に判断することが大切です。
構造変更申請には費用がかかる
構造変更手続きにかかる法定手数料は、車種によって異なりますが、2,300円~2,600円となっています。
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車種タイプ |
構造変更手続きの法定手数料 |
|
軽自動車 |
2,300円 |
|
小型自動車 |
2,500円 |
|
普通自動車 |
2,600円 |
※令和5年1月1日以降適用(2025年11月現在)
構造変更手続き自体にかかる手数料はそれほど高額ではないものの、車検を受け直す必要がある場合は同時に車検費用がかかるため、結果的にまとまった出費となります。
リセールに期待ができない
構造変更した車も売却は可能です。しかし、構造変更検査を受けた改造車は、売却時に査定評価が下がる可能性があることがデメリットといえます。これは一般的な中古車市場における改造車への需要が少ないことが理由で、業者によっては買取を断られる場合もあるでしょう。
将来の売却予定などを考慮して大幅な改造を諦める、もしくは売却時の価格にこだわらず自分好みのカスタマイズを楽しみましょう。売却を検討する際は、専門の買取業者や廃車買取業者を利用すれば、買い手が付きにくい車も売却できる可能性が高まります。
税金の負担が大きくなるケースがある
構造変更検査を受けた改造車は、税金や保険料の負担が大きくなるケースがあることがデメリットとして挙げられます。
例えば、リフトアップや装備の追加などにより車両重量が増えると、重量税の区分が変わり納税額が増えるケースが一例です。重量税は車両重量0.5tごとの税額区分のため、車両重量が増加しやすいカスタムでは注意が必要です。
また、エンジンの載せ替えやボアアップなどにより排気量がアップした場合、自動車税の負担が大きくなるケースもあります。
保険料の負担が大きくなるケースがある
構造変更検査を受けた改造車は、保険料の負担が大きくなるケースがあることがデメリットとして挙げられます。
車の用途が変わると自賠責保険料が変更になったり、車検証に「改」が付くとインターネットでの見積もりや申し込みの対象外となったり、負担が大きくなることもあるでしょう。
構造変更を検討する際は、今後の維持費が増える可能性についても考慮しておくことが重要です。
改造車の整備に不便を感じる
構造変更を行った改造車は、一般的なお店で車検を断られる可能性があることがデメリットといえます。改造車の整備には専門的な知識が必要であったり、社外品の利用によって生じる責任問題を懸念したりして、対応を避ける業者は少なくありません。
そのため、ディーラーや一般的な整備工場での整備を望む場合は注意が必要です。多くの場合、具合が悪くなった時に診てもらう「かかりつけ医」のように、安心して愛車を任せられる専門のショップを見つけられると安心でしょう。
まとめ

構造変更は、車両寸法(全長・全幅・全高)、乗車定員、最大積載量、車体の形状、用途、原動機の型式、燃料の種類などに変更があったときに必要となる手続きです。手続きを怠ると不正改造車とみなされ、6か月以下の懲役または30万円以下の罰金が科せられるデメリットがあります。
構造変更検査は車検の有効期間を失うため、残り少なくなったタイミングを狙うのがおすすめです。なお、構造変更は自由なカスタマイズの可能性を広げる一方で、法的・経済的な責任も伴います。正しい知識と計画的な対応で、安心して愛車の個性を楽しみましょう。
【この記事の執筆者】

松田 莉乃
過去の愛車は32GT-R、180SX、33Z。車の構造に興味を持ち「自分の車は自分で作りたい」という気持ちから自動車整備工場に勤務した経験を持つ。中古車買取査定員やタウン情報誌の編集部として仕事をした経験を活かし、主に車・タイヤ関係のメディアを対象に2020年からフリーランスのライター兼エディターとして活動中。
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