日産 アリアにかかるのは燃費ではなく電費?航続距離や充電費用などを詳しく解説
二酸化炭素を排出しない電気自動車は、大気汚染や温暖化など地球が抱えるさまざまな環境問題に役立つことから普及が進んでいます。日産は電気自動車の開発に力を入れており、その中のひとつが電気自動車とSUVを組み合わせた「アリア」です。
ガソリンを使わない電気自動車は、燃費の代わりに何を使って電力消費量を表すのでしょうか。
この記事では、日産 アリアの燃費に変わる電力消費量の表し方、航続距離を解説します。充電にかかる時間や電気代も紹介しますので、電気自動車に買い替えた場合の維持費をイメージしやすくなるでしょう。
※目次※
・アリアは、日産初のBEV型のクロスオーバーSUVで、航続距離の長さと内外装の高級感が魅力。
・電気自動車のアリアは、1kWhの航続距離を「電費」を使って表す。
・アリア以外にも魅力的な電気自動車があり、モデルによって航続距離が変わる。
日産 アリアとは?航続距離最大「640km」のBEV車
日産初のBEVクロスオーバーSUV「アリア」の魅力は、最大航続距離が640kmと長距離のドライブが楽しめることです。
グレードラインアップは7種類と、自分の運転環境に合わせて選べます。ここでは、日産アリアの魅力やラインアップを紹介しますので参考にしてみてください。
日産初のBEVクロスオーバー
アリアは、日産初のBEV(Battery Electric Vehicle)クロスオーバーSUVで、B6(2WD)が2022年5月12日から発売されています。BEVはガソリンを使用しないためエンジンがなく、バッテリーに充電した電力のみでモーターを動かし走行できる車です。
一度の充電で最大640kmの航続可能距離を誇り、長距離のドライブが楽しめます。日産が培ってきたEV開発のノウハウと、最新のコネクテッド技術を融合させたモデルです。
魅力は航続距離と高級感
日産アリアは、2022年4月に行われた世界最大のデザイン賞「レッド・ドット・デザイン賞」のプロダクトデザインカテゴリーで受賞しています。
美しさや機能性、品質、人間工学に加え、耐久性、革新性などのデザイン要素を基準に選考され、約7,900点の中から選ばれました。
アリアは電気自動車として革新的なデザインと快適なドライブが楽しめる、日産独自のコンセプト「タイムレス・ジャパニーズ・フューチャリズム」を採用しています。
EV特有の静粛性や力強い加速、滑らかな走りが体感でき、ラウンジのように居心地が良く、高級感あふれる内装が魅力です。
日産アリアのグレード構成
現在アリアには7種類のグレードがあり、グレードによって総電力量(バッテリー容量)と駆動方式が変わります。以下は、アリアのグレードラインアップです。
グレード名 |
総電力量(kWh) |
駆動方式 |
B6 |
66 |
2WD |
B9 |
91 |
|
B6 e-4ORCE |
66 |
4WD |
B9 e-4ORCE |
91 |
|
B9 e-4ORCE プレミア |
||
NISMO B6 e-4ORCE |
66 |
|
NISMO B9 e-4ORCE |
91 |
「B6」はベースグレードです。航続距離は中近距離のドライブや日常使いに適しており、基本的な装備を備えています。
「B9」は総電力量が増えるため、より長い距離を走りたい方におすすめです。装備面はB6と大きな差はなく、車速感応式オート集中ドアロックが標準装備されます。
「B6 e-4ORCE」「B9 e-4ORCE」は、B6とB9の4WDモデルです。装備は2WDと若干の違いはあるものの、基本的なものは変わりません。
「B9 e-4ORCE プレミア」は、運転支援技術「プロパイロット2.0」をはじめ、専用装備を備えたグレードです。2WDは設定されていません。
「NISMO B6 e-4ORCE」「NISMO B9 e-4ORCE」は、NISMOデザインと専用装備、専用チューニングを備えたスポーティーモデルです。2WDは設定されていません。
アリアの基本スペック
アリアの基本スペックは、グレードによりわずかな差があります。ここでは、B6、B6 e-4ORCE、NISMO B6 e-4ORCEの基本スペックを見てみましょう。
|
B6 |
B6 e-4ORCE |
NISMO B6 e-4ORCE |
全長(mm) |
4,595 |
4,650 |
|
全幅(mm) |
1,850 |
||
全高(mm) |
1,665 |
||
ホイールベース (mm) |
2,775 |
||
最低地上高(mm) |
180 |
170 |
|
車両重量(kg) |
1,920 |
2,050 |
2,080 |
最小回転半径 (m) |
5.4 |
||
最高出力 (kW/PS/rpm) |
160/218/5,950~13,000 |
160/218/5,950~11,960 |
|
最大トルク (N・m/rpm) |
300/0~4,392 |
2024年にはNISMOモデルが登場
日産は、2024年1月12日に幕張メッセで開催されていた「東京オートサロン 2024」で、アリアのNISMOモデルを発表しました。
アリアNISMOの特徴は、NISMOによる専用チューニングが生み出すハンドリング性能に加え、新世代EV NISMOデザインが採用されたことです。前後バンパーとドアフィニッシャーに赤と黒が使われ、NISMOらしさを演出しています。
また、日産が参戦している「フォーミュラE」を思わせる、新たなNISMO EV
サウンドも採用されました。オプション装備ではありますが、NISMOの世界観をより楽しめるでしょう。
日産 アリアにかかるのは燃費ではなく電費?航続距離は?
アリアは電気自動車のため1kWh当たりの電力消費量を電費といい、ガソリン車の燃費と同様の意味を持ちます。この電費を知ると、実際にどれだけ走るのかの計算が可能です。ここでは、電費の意味や計算方法を紹介しますので参考にしてみてください。
燃費と同じ意味を持つEVの「電費」
エンジン搭載車では燃料1L当たり何km走行できるかを表す「燃費」が使われますが、電気自動車では電力1kWh当たり何km走行できるかを表す「電費」が使われます。
電費も燃費と同様に、数値が高いほど少ない電力で長い距離を走る判断でき、低燃費ならぬ低電費といえるでしょう。公式のカタログには、航続距離の他に1kmを走行するのにどの程度の電力が必要なのかという「交流電力消費率」も記載されています。
交流電力量消費率は数字が低いほど電費が優れ、ガソリン車と同様にWLTCモード、市街地モード、郊外モード、高速道路モードと分けて記載されているため、どのような場所を得意としているのかの把握も可能です。
アリアの一充電走行距離
一充電走行距離は、1回の充電で連続走行できる距離のことです。アリアはグレードによって搭載バッテリーの容量が異なるため、一充電走行距離も変わってきます。
以下は、グレードごとの一充電走行距離(WLTCモード)です。
グレード名 |
バッテリー容量(kWh) |
一充電走行距離(km) |
B6 |
66 |
470 |
B9 |
91 |
640 |
B6 e-4ORCE |
66 |
460 |
B9 e-4ORCE |
91 |
610 |
B9 e-4ORCE プレミア |
560 |
|
NISMO B6 e-4ORCE |
66 |
- |
NISMO B9 e-4ORCE |
91 |
(2024年5月時点の情報です)
1kWh当たりの航続距離の求め方
燃費と同様に、電費も1kWh当たりの航続距離を割り出すことが可能です。1kWh当たりの航続距離を求めるには、カタログに記載されている「一充電走行距離(航続距離)」と「駆動用バッテリーの総電力量」を使用して計算します。
計算式は「一充電走行距離(航続距離)÷バッテリーの総電力量=電費」です。
この計算式に当てはめて、B6の電費を割り出してみます。B6は一充電走行距離が470km、駆動要バッテリーの総電力量が66kWhなので「470÷66=7.1」です。よってB6の電費は、7.1km/kWhとなります。
日産 アリアの充電器別の充電時間と費用
アリアの充電器は自宅で充電できるケーブルもあり、充電費用を知るとガソリン代と比べどちらがお得なのか比較できるでしょう。急速充電用に設計されたシステムもあります。この項目では、充電時間の目安、費用を紹介しますので参考にしてみてください。
アリアの充電時間
充電時間は充電器の出力で変わります。また、気温が著しく低い・高いといった環境にも左右されるため、季節によって充電時間が変わる可能性があることも覚えておきましょう。
以下は、気温25℃で充電した場合の充電時間です。
グレード名 |
50kW 急速充電器 |
90kW 急速充電器 |
3kW 普通充電器 |
6kW 普通充電器 |
B6 |
1時間5分 |
45分 |
25時間30分 |
12時間 |
B9 |
1時間30分 |
1時間 |
35時間 |
16時間30分 |
B6 e-4ORCE |
1時間5分 |
45分 |
25時間30分 |
12時間 |
B9 e-4ORCE |
1時間30分 |
1時間 |
35時間 |
16時間30分 |
B9 e-4ORCE プレミア |
(2024年5月時点の情報です)
航続距離500kmにかかる充電費用
ガソリン代と同じように、電気代も高騰が続いています。スマートフォンや家庭用電化製品の充電であればそれほど気にならない電気代も、車の充電となると「かなり高いのでは」と不安になる方もいるでしょう。
日産のWebサイトでは、毎月の走行距離と遠出の回数からおおよその電気代を算出するシミュレーションを用意しています。月500km走る場合のB6とB9の電気代を、自宅充電器の有無に分けて見てみましょう。
比較として、エクストレイル(WLTCモード燃費19.7km/L)のガソリン代も記載しました。なお、使用する電気量料金は1kWh29円、ガソリン単価は175円で算出しています。
|
遠出回数 |
自宅充電器あり |
自宅充電なし |
B6(66kWhバッテリー) |
0 |
3,142円 |
4,400円 |
2 |
5,172円 |
||
B9(91kWhバッテリー) |
0 |
3,171円 |
|
2 |
5,201円 |
||
ガソリン代 |
0 |
4,442円 |
(2024年5月時点の情報です)
自宅での普通充電がおすすめ
ガソリン代より充電費用のほうが安いことから、自宅での普通充電がお得になりおすすめです。
自宅での充電には普通充電器のケーブル型3kWと壁かけ型6kWがあり、6kWの充電は搭載されている充電器の受け入れ能力により異なります。自宅で充電器を利用する場合は、電気工事が必要です。
日産の販売店に相談すると、電気工事業者を手配してもらえます。また、アリアの充電ケーブルはディーラーオプション設定です。
日産 アリアで実際の航続距離を伸ばすコツ
カタログ数値と実際の航続距離は異なります。電費が悪いと感じる場合は、航続距離を伸ばすコツを試してみましょう。ここでは、いくつかピックアップして紹介しますので参考にしてみてください。
消費電力を抑える走行方法
消費電力を抑えるには、普段の走行方法に気を付けることがおすすめです。パワーメーターで消費電力を確認しながら発進・加速をすると、滑らかな走行ができます。
適度な車間距離を保ち、急ブレーキを避けることも有効です。減速時の回生ブレーキにより、電気エネルギーを多く回収できます。
また、高速道路などでスピードを出し過ぎると多くの電力を使うため、ECOモードで走行することがおすすめです。これらの装備は、モデルやオプション設定で搭載されているものが異なります。
消費電力を抑える装備の設定
消費電力を抑えるために、装備の設定を変更することも有効です。エアコンの温度設定を低くし、必要な時だけONにするなど小まめな切り替えをすると、エアコンの電力量を抑えられます。
寒い時はエアコンをつけるのではなく、ヒーターシートやステアリングヒーターを活用しましょう。エアコンよりも電力消費が抑えられます。
燃費が安いBEVにはアリア以外にも!国産電気自動車5選
環境問題に関心が高まる中、電気自動車にも注目が集まっています。アリア以外にもさまざまな電気自動車が販売されているため、ボディサイズや航続距離などを比較して、より条件に合うモデルを探してみましょう。
ここでは、アリア以外にも検討したい電気自動車を5車種紹介します。
日産 リーフ
日産 リーフは、2010年から販売されている世界初の量産型電気自動車です。40kWhバッテリーと60kWhバッテリーの2種類があり、バッテリー容量によってグレード数が変わります。
40kWhバッテリーの交流電力量消費率(WLTCモード)は155 Wh/km~177Wh/km、一充電走行距離(WLTCモード)は281 km~322kmです。
60kWhバッテリーの交流電力量消費率(WLTCモード)は161Wh/km~164Wh/km、一充電走行距離(WLTCモード)は443km~450kmを発揮します。
(参考:『リーフ(日産)の中古車一覧|新車・中古車の【ネクステージ】』)
日産 サクラ
日産 サクラは、2022年5月にデビューしたBEV型の軽自動車です。日産と三菱の共同開発により誕生したモデルで、三菱 eKクロスEVは兄弟車に当たります。
サクラに搭載されるのは、20kWhのリチウムイオンバッテリーです。グレードによるバッテリー容量の差はなく、航続距離の違いもありません。
交流電力量消費率(WLTCモード)は124Wh/km、一充電走行距離(WLTCモード)は180kmです。また、サクラには軽自動車で初めて「プロパイロット」が採用されています。
(参考:『サクラ(日産)の中古車一覧|新車・中古車の【ネクステージ】』)
トヨタ bZ4X
トヨタ bZ4Xは、2022年4月にデビューしたBEV型のクロスオーバーSUVです。トヨタとスバルの共同開発により誕生したモデルで、スバル ソルテラは兄弟車に当たります。
デビュー当時はKINTO(トヨタのサブスプリクションサービス)でのみの提供でしたが、2023年10月15日より一般販売が始まりました。
搭載されるバッテリーは71.4kWhの容量を持ち、交流電力量消費率(WLTCモード)は126Wh/km~134Wh/km、一充電走行距離(WLTCモード)は547km~567kmです。
(参考:『bZ4X(トヨタ)の中古車一覧|新車・中古車の【ネクステージ】』)
レクサス RZ
レクサス RZは、2022年4月にデビューしたレクサス初のEV専用車です。「スピンドルボディ」をデザインとして採用し、電気自動車らしさとレクサスらしさを表現しています。
71.4kWhのバッテリーを搭載し、交流電力量消費率(WLTCモード)は120Wh/km~147Wh/km、一充電走行距離(WLTCモード)は494km~599kmです。
4WDモデルには、フロントとリアに高出力モーターを搭載したモーター式四輪駆動システム「DIRECT4」が採用されています。
(参考:『RZ(レクサス)の中古車一覧|新車・中古車の【ネクステージ】』)
ホンダe
ホンダeは、2020年8月にデビューしたホンダ初の電気自動車です。長距離運転を見越した電気自動車が多い中、ホンダeは建物や人が密集する都市部での使いやすさを追求しています。
35.5kWhのバッテリーを搭載し、交流電力量消費率(WLTCモード)は138Wh/km、一充電走行距離(WLTCモード)は259kmです。他の電気自動車に比べ航続距離は長くありませんが、日常的な運転であれば問題なく走行できます。
ホンダeは、2024年1月をもって生産終了となりました。店頭在庫のみ購入できます。
(参考:『e(ホンダ)の中古車一覧|新車・中古車の【ネクステージ】』)
まとめ
電気自動車のアリアは、1kWhの航続距離を燃費ではなく「電費」を使って表します。電費は「一充電走行距離(航続距離)」と「駆動用バッテリーの総電力量」が分かれば簡単に計算できるため、他の電気自動車と比較してみるのもよいでしょう。
電気自動車はエンジン車に比べグレード数が少ない傾向にありますが、アリアには7種類のグレードが用意されています。NISMOモデルの発売も始まる予定のため、走行性能やデザイン性も加味して選ぶことをおすすめします。
▼ライタープロフィール
中村浩紀 なかむらひろき
クルマ記事に特化したライター
現在4台の車を所有(アルファード・プリウス・レクサスUX・コペン)。クルマ系のメディアでさまざまなジャンルの記事を執筆し、2024年1月までに300記事以上の実績をもっている。
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