車のエンジンが止まりそう・ガクガクするときに考えられる不具合と修理相場
エンジン始動直後や停車中、エンジンが止まりそうになったり車がガクガクしたりして、不安を感じたことがあるという方もいるのではないでしょうか。このような症状が発生している場合、アイドリングが不安定な状態であるといえます。
本記事では、車のアイドリングが安定しない要因と不具合が疑われるパーツ、これらを修理する場合の相場について解説します。車がガクガクしてエンジンが止まりそうになっている方は、修理するかどうか判断する際にぜひ参考にしてください。
※目次※
・車におけるアイドリングとは、走行していない状態でエンジンが空回転している状態を指す。
・燃料系・吸気系・点火系の不具合が主な要因となり、車のアイドリングが不安定になるケースが多い。
・エンジンが止まりそうになったり車がガクガクしたりする場合は、すみやかに整備工場へ点検を依頼しましょう。
自動車用語の「アイドリング」とは
エンジンが止まりそうになったり、車がガクガクしたりするタイミングがエンジン始動直後や停車中である場合、アイドリング時に症状が発生していると言い換えられます。まずは、車におけるアイドリングとはどのようなものなのか知識を深めましょう。
アイドリングはエンジンが待機している状態
車におけるアイドリングとは、走行していない状態でエンジンが空回転している状態を指します。これは、エンジンが稼働に備えて最低限のエネルギー消費で待機している状態です。
このアイドリング中もガソリンは消費されているため、5秒以上停止している状態ではアイドリングストップすることが推奨されています。エンジン始動時も燃料を消費しますが、その量は5秒間のアイドリングと同等程度です。
また、無駄なアイドリングはガソリンを消費するだけでなく、騒音や排気ガスなど周囲の迷惑になるため、多くの自治体の条例で禁止されています。
基本的に走行前のアイドリングは不要
従来の車は、エンジンが最適な温度に達してから走行するために「暖機運転」が推奨されていました。これは、流動性が低い冷えたオイルを暖めることでエンジン内部にオイルを行き渡らせ、十分に潤滑させることを目的としてアイドリングを行うことです。
しかし、現在は技術が進歩したことにより、暖機運転が必要な車種はほとんどありません。ゆっくり走りながらエンジンを暖めるウォームアップ走行で十分です。そのため、基本的にエンジンをかけたらすぐに出発しましょう。
走行前にアイドリングが必要なケース
基本的にはエンジンをかけたらすぐに出発することが推奨されていますが、例外もあります。
例えば、極寒冷地など-20℃程度に達するといった特別な状況では、暖機運転を行いましょう。しばらく車を使用していなかった場合も同様です。数十秒間を目安に暖機運転を行い、ゆっくり発進することを心がけましょう。
なお、ハイブリッド車は暖機が必要な場合、自動的にエンジンの始動・停止を行い最適な温度に調整しますので、上記のケースでもハイブリッド車は暖機運転が不要です。
車のアイドリングが不安定なときの症状
正常なアイドリング状態であれば、車のエンジンは一定の回転数を維持します。一方、アイドリングが安定せずエンジンが止まりそうに感じる場合は、何らかの不具合が発生しているかもしれません。
アイドリング時の異常には、さまざまな症状があります。主な症状は、エンジン回転数が上がったり下がったりを繰り返す「ハンチング」と呼ばれる現象、正常な回転数より明らかに低い状態や高い状態が続く現象などが代表的な例です。
例えば、電子的に制御している車は、アイドリング時の回転数が一定以上下がった場合にエンジンストールを防ぐため、自動的に回転数を上げようとします。目標値に達すると制御をやめるため、結果として回転数が上がったり下がったりを繰り返す状態です。
このように車のアイドリングが不安定なときには、異音やガクガクとした振動の発生、発進時のもたつきやエアコンの効きが悪くなるといった症状が現れるケースがあります。
車のアイドリングが不安定なときの不具合発生箇所
アイドリングが不安定になることでエンジンが止まりそうになったり、車がガクガクしたりしますが、どこに不具合が発生しているのか見当がつかない方もいるでしょう。ここでは、アイドリングが不安定になる主な要因について解説します。
車のアイドリングが不安定になる要因:燃料系の不具合
車のアイドリングが安定しない要因のひとつとして考えられるのは、燃料系の不具合です。燃料が適切に供給されていないとエンジンが正常に回転せず、一定の回転数を保つことができません。そのため、異音やガクガクとした振動の発生につながります。
タンクにためられた燃料は、フィルターを通して不純物を除去した後にエンジンへ送り込まれる仕組みです。しかし、このフィルターが劣化・機能低下すると燃料に不純物が混じるため、燃焼しにくくなります。
また、燃料が燃えやすいよう霧状に噴射するための「インジェクター」が不純物によって目詰まりすると、エンジンはかかりません。車種によってインジェクターの数は異なりますが、目詰まりを起こしアイドリングが不安定になっていることが考えられます。
車のアイドリングが不安定になる要因:吸気系の不具合
車のアイドリングが安定しない要因のひとつとして考えられるのは、吸気系の不具合です。燃料の質量1に対して空気の質量が14.7の比率を「理論空燃比」といい、完全燃焼できる割合とされています。空気量が少なすぎたり多すぎたりするとうまく燃焼しません。
ガソリンエンジンはこの「混合気」に点火することで燃焼しますが、適切に空気を供給できないと比率が狂う可能性があります。
現在はインジェクションシステムによって燃料供給を電子的に制御されており、空燃比は狂いにくくなっていますが、スロットルバルブの汚れやエアフロメーターの不具合などによってアイドリング不調を引き起こすことは少なくありません。
車のアイドリングが不安定になる要因:点火系の不具合
車のアイドリングが安定しない要因のひとつとして考えられるのは、点火系の不具合です。混合気に問題がなくても、適切に点火できなければアイドリングが不安定になることがあります。
12Vのバッテリー電圧をスパークプラグの放電に必要な高電圧に変換する部品「イグニッションコイル」、この高圧電流で火花を発生させる「スパークプラグ(点火プラグ)」の不具合がアイドリング不調の主な要因です。
車種によってイグニッションコイルやスパークプラグの数は異なりますが、いくつか不具合を起こしアイドリングが不安定になっていることが考えられます。
アイドリングが不安定になった場合はどうすべき?
車のアイドリングが不安定になった場合には、気付いた時点ですみやかに整備工場へ点検を依頼しましょう。放置するとエンジンの損傷につながる恐れがある他、運転中に操作不能になる可能性があります。
ここでは、エンジンが止まりそうになったり車がガクガクしたりする場合に取るべき行動や、修理費用の目安について解説しますので、ぜひ参考にしてください。
アイドリングが不安定になった場合はすみやかに点検を!
車のアイドリングが安定しないのは、エンジンが正常に稼働するための部品に不具合が発生していることが原因です。最悪の場合は走行中に操作不能になるなど、事故につながりかねません。
今後も愛車に乗り続けたいと考えるのであれば、アイドリングが不安定だと感じたら、すみやかに整備工場へ点検を依頼しましょう。エンジンの不具合はエンジンストールなどの危険が伴うため、自分で何とかしようとせずプロに点検してもらうのが賢明です。
修理にかかる費用を見積もりしてもらった上で、修理するかどうか判断しましょう。
アイドリングが不安定になった時の修理費用の相場は?
アイドリングが不安定になった時の修理費用の相場は、数千円~数万円程度で修理できるものから、エンジンの載せ替えが必要となり高額になるケースもあります。
アイドリングが不安定となり修理する際の費用の目安は、下記表の通りです。
部品名 |
修理費用 |
スパークプラグ交換(気筒数分) |
2万円~3万円 |
イグニッションコイルの交換(1箇所) |
2万円~3万円 |
スロットルバルブの清掃 |
5,000円~1万円 |
エアフィルター交換 |
5,000円前後 |
エンジンオイル交換 |
3,000円~1万円 |
なお、消耗品の交換や部品清掃で済む場合は比較的安価ですが、部品の交換が必要なケースでは高額になってしまいます。
修理せず買い替えを検討するのもひとつの方法
修理にかかる費用が予想以上に高い場合は、買い替えを検討するのもひとつの方法です。エンジン周りの部品は連動して稼働しているため、 アイドリングが不安定になっている場合は複数の部品を同時に交換しなければならないことも少なくありません。
原因を特定して修理できたとしても、別の部品に不具合が発生する可能性もありますので、そのことも考慮して修理するか買い替えるかを決めましょう。
まとめ
車のアイドリングが不安定になる主な要因は、燃料系・吸気系・点火系の不具合のケースが多く、放置するとエンジンの損傷につながる恐れがある他、運転中に操作不能になる可能性があります。
エンジンが止まりそうになったり車がガクガクしたりする場合は、すみやかに整備工場へ点検を依頼しましょう。修理にかかる費用が予想以上に高い場合や修理の必要性が頻発することを避けたい場合は、この機会に買い替えを検討するのもひとつの方法です。
【この記事の執筆者】
松田 莉乃
過去の愛車は32GT-R、180SX、33Z。車の構造に興味を持ち「自分の車は自分で作りたい」という気持ちから自動車整備工場に勤務した経験を持つ。中古車買取査定員やタウン情報誌の編集部として仕事をした経験を活かし、主に車・タイヤ関係のメディアを対象に2020年からフリーランスのライター兼エディターとして活動中。
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