ドライブシャフトから異音がする場合の原因と対処法は?寿命や交換時期を解説
走行中、特に曲がるときや加速時に発生する異音は、ドライブシャフトのトラブルを知らせる警告かもしれません。ドライブシャフトは駆動力を伝える重要部品ですが、異音を放置すると最悪の場合、走行不能に陥る可能性があるので注意が必要です。
本記事では、ドライブシャフトの異音に関する原因やドライブシャフトの寿命、異音がしたときの対処法などを解説します。
※目次※
・ドライブシャフトから異音がする場合、ドライブシャフトブーツの破損やベアリングの劣化が疑われる。
・ドライブシャフトから異音がしたら、すぐに整備工場などに相談することが安全を維持する上で重要。
・ドライブシャフトからの異音の予防策として、高粘度グリスの使用や定期的なドライブシャフトブーツの点検、適切な運転方法が挙げられる。
ドライブシャフトから異音がする原因
車の足回りから異音がする場合、ドライブシャフトの不具合かもしれません。ドライブシャフトは車の動力伝達において重要な役割を果たす部品であり、その異音にはさまざまな原因が考えられます。ドライブシャフトから異音が発生する主な原因について、詳しく解説します。
ドライブシャフトとは?
ドライブシャフトは、エンジンで生み出された駆動力をタイヤに伝える重要な部品です。エンジン側の「インナージョイント」とタイヤ側の「アウタージョイント」を連結する棒状の部品で、走行中は常に回転しています。
路面の状況に合わせて上下左右に動きながら駆動力を伝達するため、ドライブシャフトのジョイント部にはベアリングが組み込まれ、潤滑のためのグリスが充填されています。
これらを保護するのが、ゴム製の「ドライブシャフトブーツ」です。グリスの飛散を防ぎ、外部からの異物侵入を防止しています。
【原因1】大きな負荷がかかっている
ドライブシャフトに大きな負荷がかかると、異音が発生することがあります。特に山道や急カーブ、段差の多い道路の走行は、通常よりも大きな力がドライブシャフトにかかる状況です。このような状況下では、「コトコト」「カタカタ」といった異音が発生しやすくなります。
正常なドライブシャフトであれば高負荷の走行でも問題ありませんが、異音の発生はすでに何らかの損傷や劣化が進行しているサインです。運転スタイルによってドライブシャフトの寿命は大きく異なり、急発進や急カーブを頻繁に行う車両では早めに異常が出る可能性があります。
【原因2】異物が詰まっている
ドライブシャフトブーツの破損は、内部への異物混入を引き起こす重大な問題です。ドライブシャフトブーツが破れると、まずグリスが外部に漏れ出し潤滑機能が失われます。さらにその隙間から砂や小石、水などの異物が、ドライブシャフト内部に侵入してしまいます。
回転運動を続けるドライブシャフトの中で、これらの異物はベアリング部分に深刻なダメージを与え、カタカタという特徴的な異音を発生させる要因です。放置するとベアリングが破壊され、最悪の場合は走行不能になる可能性もあります。
また、ドライブシャフトブーツの破損を放置すると、車検にも通りません。ドライブシャフトブーツの破れやグリス漏れは保安基準のチェック項目に含まれているためです。
ドライブシャフトのどこが破損する?
車の足回りから不可解な異音がする場合、ドライブシャフトのどの部分が損傷しているかを特定することが重要です。ドライブシャフトが破損する場合の主要な部位と、それぞれの症状について解説します。
ドライブシャフトブーツ
ドライブシャフトブーツの破損は、初期段階は小さなひび割れから始まり、やがて大きな亀裂に発展してグリスが飛散する状態になります。
ドライブシャフトブーツの破損を放置するとベアリングまで損傷し、最終的にはドライブシャフト全体の交換が必要になる場合もあるため、異音を感じたら早めの点検をおすすめします。
ベアリング
ドライブシャフト内のベアリングは、スムーズな回転を可能にする重要な部品です。このベアリングが劣化すると、回転がスムーズに行われず摩擦が発生し、「ウォンウォン」「ゴー」という特徴的な異音を発します。劣化の初期段階では小さな音ですが、徐々に大きくなっていくのが特徴です。
ベアリングの劣化原因は、グリスの不足や走行時の大きな負荷が考えられます。特に急カーブやデコボコ道など、タイヤが大きく動くシーンはベアリングに負担がかかる状況です。
ベアリングからの異音を感じたら、できるだけ早く修理することをおすすめします。放置すると劣化が進み、最終的にはドライブシャフト全体の交換が必要になる可能性があるでしょう。
ドライブシャフト本体
ドライブシャフト本体が損傷すると、「ガラガラ」「ガシャガシャ」という激しい異音が発生します。これは金属部分同士が直接接触してこすれることで生じる危険な状態です。
シャフト本体の損傷は、ドライブシャフトブーツの破れによるグリス流出が長期間放置された場合や、障害物との接触、過負荷走行などが原因といえます。症状が進行すると、異音に加えて振動も発生するでしょう。
この状態での走行は非常に危険で、最悪の場合、走行中にドライブシャフトが折れて駆動力が失われ、自走不能になる可能性があります。
ドライブシャフトの寿命や交換費用は?
ドライブシャフトは車の重要部品ですが、使用環境や運転スタイルによって寿命が大きく変わります。ドライブシャフトとドライブシャフトブーツの寿命、交換にかかる費用相場、異音が発生した際の対処法について確認しましょう。
ドライブシャフトの寿命と交換費用
ドライブシャフトの寿命は一般的に15万km~20万km程度とされていますが、これは走行環境や運転スタイルによって大きく変動します。急カーブや悪路での走行が多い場合、早ければ5万km程度で異音が発生するケースもあるでしょう。
一方、高速道路中心の穏やかな運転なら、20万km以上走行しても問題が出ない可能性もあります。交換時期の判断は、走行距離よりも、実際に異音が発生しているかどうかが重要な目安です。
交換費用は部品の選択によって異なり、純正新品部品の場合は片側2万円前後の部品代に工賃を合わせて5万円~7万円ほどです。
社外品やリビルト部品を選べば3万円~5万円程度に抑えられます。中古部品なら最も安価ですが、耐久性は保証されないので注意が必要です。
ドライブシャフトブーツの寿命と交換費用
ドライブシャフトブーツは経年劣化しやすいゴム製部品で、一般的な交換時期の目安は5年~7年、または5万km~7万kmです。
ドライブシャフトブーツ交換の費用相場は1カ所あたり1万円~2万円程度で、そのうち部品代が約4,000円、工賃が約6,000円です。4カ所全て交換すると4万円以上かかる可能性があるでしょう。
ドライブシャフトブーツだけに起きている破損を放置すると、最終的にはドライブシャフト本体の交換が必要になるケースもあり、費用が数倍に膨らむ可能性があります。
ドライブシャフトから異音がしたときの対処法
ドライブシャフトから異音が発生した場合は、すぐに対処することが重要です。まず、異音の種類や発生タイミングをメモしておきましょう。
カタカタという軽い音であればドライブシャフトブーツの破損やグリス切れが考えられますが、ガタガタ、ゴロゴロといった大きな音はベアリング破損の可能性があります。
異音を感じたらすぐに減速し、可能であれば安全な場所に停車しましょう。ドライブシャフトの不具合は走行中に急激に悪化するケースがあり、最悪の場合には動力が伝わらなくなるリスクもあります。
整備工場などに持ち込む際は、「曲がるときに異音がする」「発進時にカタカタと音がする」など、できるだけ具体的に状況を伝えましょう。異音を感じたらすぐに点検を依頼することをおすすめします。
ドライブシャフトからの異音の予防法
ドライブシャフトから異音が発生しないようにするために、日頃からできる予防策がいくつかあります。適切なメンテナンスと運転の心がけで、ドライブシャフトの寿命を延ばし、高額な修理費用を避けることが可能です。ドライブシャフトの異音を予防する上でのポイントについて確認しましょう。
高粘度のグリスを使う
ドライブシャフトの異音防止に効果的な方法として、高粘度グリスの使用が挙げられます。グリスはドライブシャフトのベアリング部分を適切に潤滑し、摩擦や摩耗から保護する重要な役割を担う存在です。
通常のグリスと比較して高粘度タイプは劣化スピードが遅く、ドライブシャフトの異音発生を効果的に予防できます。異音の初期段階においてはグリスの劣化が主な原因であるため、高粘度グリスへの交換は有効な対策となるでしょう。
ドライブシャフトブーツの交換時に、高粘度グリスの使用を依頼することをおすすめします。価格は若干高めですが、長期的に見ればドライブシャフトの寿命延長と異音防止に貢献します。
ドライブシャフトブーツの定期点検
ドライブシャフトブーツは定期的な点検が欠かせません。車を安全な場所に停車させ、ハンドルを右や左に切ることで、両側のドライブシャフトブーツの状態を簡単に確認できます。特に注目したいのは、ブーツ表面のひび割れやグリスの漏れです。
ブーツの破損を放置すると、外部から砂やほこりが侵入し、ドライブシャフト本体の損傷につながります。定期的な点検は、愛車を長持ちさせる上で基本的なケアと考えましょう。
大きな負荷を与えない運転をする
ドライブシャフトを長持ちさせるためには、過度な負荷を与えない運転が重要です。急カーブでのスピードアップや急加速、悪路走行やドリフトなどの荒い運転は、ドライブシャフトに大きな負担をかけ、寿命を縮めます。
特に急ハンドル操作は、ドライブシャフトの外側ブーツ(アウター)に負担がかかりやすいため注意が必要です。
滑らかなハンドルワークを心がけ、カーブではスピードを控えめにすることで、ドライブシャフトへの負荷を軽減できます。予防のためには、安全運転を心がけることが効果的です。
まとめ
ドライブシャフトからの異音は、大きな負荷や異物混入など、複数の原因により発生します。特に、ドライブシャフトブーツの破損によるカタカタ音やベアリングの劣化によるウォンウォン音が、典型的な症状です。
ドライブシャフト本体の寿命は一般的に15万km~20万kmとされますが、ブーツだけの破損であれば、早期に交換することで本体の寿命を延ばせます。異音が発生した場合は、すぐに整備工場などに相談することが安全を維持する上で重要です。
予防策としては、高粘度グリスの使用や定期的なドライブシャフトブーツの点検、適切な運転方法の心がけが挙げられます。ドライブシャフトは駆動力を伝える重要な部品のため、異常の早期発見と対処が車の安全性と修理費用の節約につながると考えましょう。
【この記事の執筆者】
五十嵐巧
大手出版社での書籍編集を皮切りに、25年以上にわたり書籍・雑誌・Webメディアの編集・ライティングに携わる。現在はフリーランス編集者・ライターとして活動し、複数の自動車メディアでもコンテンツの編集・執筆に取り組む。豊富な取材経験と専門知識を活かし、読者に信頼される情報を提供し続けている。
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