車のバッテリーから液漏れする原因とは?対処法や注意点を詳しく解説
車のエンジンがかからない場合、その原因はバッテリーからの液漏れかもしれません。バッテリー液は硫酸を含む危険な物質で、漏れると車の部品を腐食させるだけでなく、放置するとさらなるトラブルに発展する可能性があります。
バッテリーからの液漏れの原因や適切な対処法、さらには液漏れを放置する危険性まで、安全に車を維持するために確認しておきたい情報を紹介します。
※目次※
・車のバッテリー液漏れはバッテリー自体の取り付け方の誤り、経年劣化、バッテリー液の入れすぎ、過充電などが主な原因。
・バッテリー液は強い腐食性を持ち、周辺パーツへの影響も大きいため、迅速にプロへの依頼を検討するのがおすすめ。
・バッテリー液不足を放置すると、最悪の場合には爆発や火災につながる可能性がある。
車のバッテリーが液漏れする原因は?
車のバッテリーから液漏れが発生する原因はいくつか考えられます。不適切な取り付けや経年劣化、バッテリー液の入れすぎ、過充電など、日常的なメンテナンスや使用方法によって引き起こされることが多いでしょう。バッテリーからの液漏れの主な原因を4つ解説します。
取り付け方の誤り
車のバッテリーが液漏れする原因のひとつとして、バッテリー自体の不適切な取り付けが挙げられます。バッテリーがしっかりと固定されていないと、走行中の振動によって本体が動き、ケースにひび割れが生じて液漏れを引き起こす可能性があるでしょう。
また、ターミナル端子や取り付け部に緩みがあると、接触不良だけでなく液漏れのリスクも高まります。
バッテリー本体の点検では、液漏れやひび割れがないか、取り付け部にガタつきがないかを確認することが重要です。特に短期間でバッテリー液が減少している場合は、取り付けの不備によって液漏れが発生している可能性があります。
バッテリーの経年劣化
バッテリーは使用年数が経過すると内部の電極板の劣化が進行し、液漏れを引き起こすケースがあります。一般的に車のバッテリーの寿命は2年~5年程度とされており、この期間を過ぎると、経年劣化によるケースの膨張や亀裂が生じやすくなるでしょう。
劣化したバッテリーは充電効率が低下し、内部抵抗が高まるため発熱しやすくなりますが、これが液漏れを加速させる要因です。
エンジンがスムーズに始動しない、ヘッドライトが暗い、バッテリー上部に白い粉状の硫酸塩が付着するなどが、バッテリーの劣化の兆候として挙げられます。
バッテリー液の入れすぎ
バッテリー液を補充する際に、適切な量を守ることは非常に重要です。バッテリー液には液面の上限(UPPER)と下限(LOWER)が明確に設けられており、この範囲を超えて補充すると深刻な問題につながりかねません。
バッテリー液を入れすぎると、走行中の振動などにより液が溢れ出してしまう可能性が高まるでしょう。これが液漏れを引き起こす原因のひとつです。
過充電
過充電も、バッテリーの液漏れを発生させる主要な原因のひとつです。充電器の性能が適切でない場合や、長時間の充電を放置すると、バッテリー内部で過剰な電気が生成されて熱を発生させます。この熱によってバッテリー液が膨張し、ケースから漏れ出してしまうのです。
特に休日だけしか車を使用しないというケースは要注意です。バッテリー上がりを防ごうと充電器を長時間接続したままにすると、過充電状態に陥りやすくなります。
対策としては、自動停止機能付きの充電器を使用するのが効果的です。また、車を定期的に使用して、自然な充電サイクルを維持することも大切です。
バッテリーの液漏れ発生時の対処法
バッテリーから液漏れを発見した場合、迅速かつ適切な対処が必要です。対処を始める前に、バッテリー液の危険性を十分に理解し、適切な保護具を用意しなければなりません。バッテリーの液漏れに遭遇した際の正しい対応方法について、詳しく解説します。
バッテリー液の危険性
バッテリー液の成分は硫酸と精製水が混ざった希硫酸で、無色透明の液体です。電解液とも呼ばれますが、バッテリー内の極板と希硫酸が化学反応を起こすことで電力が生まれます。
硫酸は金属を腐食させるほどの強い酸性で、皮膚に付着すると化学やけどを引き起こし、重症の場合は瘢痕が残ることもあります。さらに目に入ると失明の危険性があり、蒸気を吸入すると呼吸器系に深刻な障害をもたらす可能性があるため、扱いには注意が必要です。
素手で触れずに洗い流す
バッテリーの液漏れを発見したら、決して素手で触れないように注意しましょう。対処する際は保護メガネとゴム手袋の着用も重要です。
バッテリー液が漏れている場所は、腐食を防止するため、すぐに大量の水を使って洗浄しましょう。万が一、バッテリー液が皮膚に付着した場合は、直ちに大量の水で洗い流します。衣服に付着した場合も、すぐに脱いで水で洗い流しましょう。
付着した箇所に痛みや発熱が生じている場合には、早急に医師の診察を受けることが重要です。
基本的にバッテリー交換が必要
バッテリーから液漏れが確認された場合、基本的には交換が必要です。電解液が漏れている状態ではバッテリーの性能維持が困難なことに加え、車両への深刻な損傷リスクがあります。
特に端子周辺に白い粉状の物質が付着している場合は、すでに液漏れが進行している証拠です。液漏れしたバッテリーは、使用年数が2年~3年を超えているケースが多いため、早めの交換をおすすめします。
バッテリーの液漏れにおける注意点
バッテリーの液漏れは単なるトラブルではなく、車両全体に深刻な影響を及ぼす問題です。液漏れに気づいた際は適切な対処が必要となりますが、その前に知っておきたい注意点があります。バッテリーの液漏れに対応する際の重要な注意点を詳しく解説します。
周辺パーツへの影響
バッテリーの液漏れは、周辺のパーツに深刻な影響を及ぼす可能性がある事態です。バッテリー液は強い酸性のため、電装部品や金属部分などに接触すると腐食を引き起こします。
特にバッテリーホルダーやケーブル端子は急速に劣化し、最終的には電気系統の不具合や車両故障につながる可能性は否めません。
万が一液漏れを発見した場合はすぐに保護手袋とメガネを着用し、流水で洗い流しましょう。放置すればするほど、修理コストが増大するリスクがあります。
迅速にプロに依頼する
バッテリーの液漏れを発見した場合、適切な知識と装備がなければ自己対処は危険な行為です。特に大量の液漏れや本体の膨張・変形などが見られる際は、すぐに専門家に依頼したほうがよいと考えましょう。
カー用品店やディーラー、JAFなどのプロに相談することで、安全かつ適切な処置が可能です。専門家は適切な保護具と知識を持ち、バッテリー交換だけでなく周辺部品の腐食チェックも同時に行います。
バッテリー液不足を放置するとどうなる?
バッテリー液不足はさまざまな車両トラブルの原因になり得るため、放置せずに適切に対処することが重要です。バッテリー液不足を放置した場合にどのような問題が発生するのか、具体的な症状と危険性について詳しく見ていきましょう。バッテリーの状態を定期的に確認することで、これらのリスクを未然に防げます。
バッテリーの電圧が低下する
バッテリー液が不足すると、通常の状態では液に浸かっているはずの極板が空気にさらされる事態を招きます。この露出した部分では化学反応が適切に行われないため、バッテリー全体の容量が低下し、電圧が下がってしまいます。
電圧低下はエンジンの始動性能に直接影響し、特に寒い時期には始動が困難になる可能性があるでしょう。またライトが暗くなったり、ワイパーの動きが遅くなったりするなど、さまざまな電装品の動作不良も引き起こします。
さらに、露出した極板は劣化が進みやすく、一度劣化した部分は充電できなくなるため、バッテリーの性能低下が加速するでしょう。
バッテリー上がりの原因になる
バッテリー液不足は、バッテリー上がりに直結する深刻な問題です。液の不足状態を放置すると、バッテリー内部の極板が露出して空気と接触し、本来起こる化学反応が阻害されます。
その結果としてバッテリー全体の容量が低下し、予期せぬタイミングでバッテリー上がりを引き起こす危険性があるでしょう。
爆発や火災のリスクも
バッテリー液が不足した状態を放置することは、最悪の場合、爆発や火災という命に関わる危険を招きます。バッテリー内に水素ガスが蓄積し、わずかな火花が発生するだけで引火につながる可能性があるためです。
特に極板が露出した状態で使用を続けると、化学反応が不安定になり、爆発のリスクが高まります。過充電状態も要注意で、精製水が分解されて水素と酸素ガスが発生し、液量低下とともに危険度が増していくでしょう。
まとめ
車のバッテリー液漏れは、バッテリー自体の取り付け方の誤り、経年劣化、バッテリー液の入れすぎ、過充電などが主な原因といえます。液漏れを発見した場合は、その危険性を理解し、素手で触れることなく迅速に洗い流すことが重要です。
バッテリー液は強い腐食性を持ち、周辺パーツへの影響も大きいため、状況によっては迅速にプロへの依頼を検討しましょう。
バッテリー液不足を放置すると、電圧低下やバッテリー上がりを引き起こすだけでなく、爆発や火災のリスクもあります。定期的な点検と適切なメンテナンスで、これらのトラブルを未然に防ぎましょう。
【この記事の執筆者】
五十嵐巧
大手出版社での書籍編集を皮切りに、25年以上にわたり書籍・雑誌・Webメディアの編集・ライティングに携わる。現在はフリーランス編集者・ライターとして活動し、複数の自動車メディアでもコンテンツの編集・執筆に取り組む。豊富な取材経験と専門知識を活かし、読者に信頼される情報を提供し続けている。
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