ウォーターポンプの故障とエンジンオーバーヒートの関係性とは?
ウォーターポンプは、車のエンジンの冷却システムにおいて欠かせない役割を担っています。しかし、その重要性がよく分からないという方もいるのではないでしょうか。
本記事では、ウォーターポンプの役割、故障時の症状や不具合を早期に発見する方法を詳しく解説します。異常を感じつつ修理するかどうか悩んでいる方は、ぜひ参考にしてください。
※目次※
・エンジンとラジエター間の冷却水を循環させる作業を担うのが、ウォーターポンプの役割。
・ウォーターポンプの修理にかかる費用は、工賃と部品代を合わせて1.5万円~15万円ほどが目安。
・ウォーターポンプの修理が必要になる走行距離10万kmほどの時期は、他のパーツが劣化していることも考えられる。
車のエンジン冷却の仕組みとウォーターポンプの役割
ウォーターポンプは、車のエンジンを冷却する部品のひとつであり、欠かせない役割を持っています。ここでは、エンジンを冷却する際のウォーターポンプの働きや交換時期、エンジンオーバーヒートについてまとめました。
ウォーターポンプは車のエンジンを冷却する部品のひとつ
車のエンジンは高温になるため、冷却する必要があります。以前は空気で冷却する「空冷式」も採用されていましたが、現在は冷却効率が高い「水冷式」がほとんどの車に採用されるようになりました。
水冷式エンジンは、エンジンの熱を吸収させた冷却水を冷却装置(ラジエター)で冷やし、エンジンに戻すサイクルを繰り返します。ラジエターは、走行風を利用して効率的に放熱できるよう、さまざまな工夫が施されています。
このエンジンとラジエター間の冷却水を循環させる作業を担うのが、ウォーターポンプの役割です。
ウォーターポンプの交換時期は?
ウォーターポンプは消耗品であり、一般的に走行距離10万kmが交換の目安といわれています。これはウォーターポンプを動かすタイミングベルトの交換時期であり、同時に交換することで効率よくメンテナンスできることが理由です。
同様の理由から、オートテンショナーやサーモスタット、プーリーなど、タイミングベルトを取り外す際に同時交換するケースも少なくありません。
しかし、定期交換が不要なタイミングチェーンを採用する車が増えたことで、近年ではウォーターポンプに不具合が発生してから交換する方が多い傾向です。
ウォーターポンプの故障はエンジンオーバーヒートにつながる危険性が高い
ウォーターポンプが故障すると、冷却水を循環する役割が果たせなくなり、エンジンの冷却が不十分となります。異常な高温状態に陥ることで、エンジン内部の部品が破損したり、エンジン全体にダメージを負ったりするため注意が必要です。
このようなエンジンの異常加熱をオーバーヒートと呼びます。重度のオーバーヒートでは、エンジンの修理が不可能となり載せ替えが必要になるため、ウォーターポンプの故障を早期に発見することが大切です。
ウォーターポンプに異常があれば、すぐに専門家の点検を受けるようにしましょう。
ウォーターポンプ故障時の症状は?
ウォーターポンプ故障時の主な症状はいくつか挙げられますが、ここでは代表的な「異音」「水温の上昇」「冷却水のにじみ・漏れ」「甘い匂い」を解説します。ウォーターポンプの故障の可能性がある場合は、当てはまるものがないか確認してみましょう。
ウォーターポンプ故障時の症状「異音」
ウォーターポンプが故障すると、異音が発生するケースが少なくありません。その多くが「カラカラ」や「ガラガラ」という音、「キュルキュル」「キーキー」といった音で表現されます。
これは、ウォーターポンプのベアリングの摩耗やメカニカルシールの劣化によるものが多い傾向です。放置すると、固着してポンプの役割を果たさなくなっていたり、冷却水の漏れにつながったりします。
ウォーターポンプ故障時の症状「水温の上昇」
ウォーターポンプが故障すると、インストルメントパネルに設置された水温計が高温であることを示す「H」に近くなります。ただし、水温計が高温を示していても、故障しているのがウォーターポンプとは限りません。
水温計には、冷却水が高温状態を示す「H」と低温状態を示す「C」があり、針が中間あたりを指しているのが正常です。「H」に近い場合は、冷却システムに不具合が発生している可能性があります。
ウォーターポンプ故障時の症状「冷却水のにじみ・漏れ」
ウォーターポンプが故障すると、冷却水がにじんだり、漏れたりする可能性があります。ラジエーターリザーブタンク内の冷却水の量が、MAXとMINの間にあるかを点検してみましょう。規定値よりも大幅に減っている場合は、冷却水が漏れていると考えられます。
また、エンジンルーム内に乾燥した冷却水が白っぽく固まって付着している箇所がないか確認してみましょう。駐車場所に鮮やかな赤・緑・青・ピンク系の水が漏れている場合は、冷却水が漏れている状態です。
ウォーターポンプ故障時の症状「甘い匂い」
ウォーターポンプが故障して冷却水が漏れると、エンジンルーム内から甘い匂いがすることがあります。これはエチレングリコールという主成分が揮発すると、独特な甘い匂いを発するためです。
覚えのない甘い匂いが漂っている場合は、冷却水が漏れていることを疑いましょう。ただし、ラジエターから漏れるケースもあるため、ウォーターポンプの故障とは限りません。
ウォーターポンプの故障を早期に発見する方法
定期的なメンテナンスは、エンジンを健全に保つために欠かせません。ウォーターポンプはエンジンの冷却システムにおいて重要な役割を担い、故障が発生するとエンジンオーバーヒートを引き起こし、重大な損傷を与える可能性があります。
冷却水漏れや異音などの症状は、定期的な点検で早期に発見することが可能です。早期に異常を見つけて修理を行えば、重大なエンジントラブルや故障を未然に防ぐことができ、多額の修理費用がかかることを回避できます。
ウォーターポンプの修理にかかる費用
ウォーターポンプの修理にかかる費用は、装備内容によって差がありますが、工賃と部品代を合わせて1.5万円~15万円ほどが目安です。また、ウォーターポンプの修理が必要になった場合は、買い替えを検討するひとつのタイミングでもあります。
ここでは、ウォーターポンプの修理にかかる費用と選択肢を解説しますので、ぜひ参考にしてください。
ウォーターポンプ修理にかかる費用の目安
ウォーターポンプの修理費用は、装備内容によって差があります。なお、輸入車やリヤにエンジンを搭載する車などは、通常よりも高いのが一般的です。ウォーターポンプ修理にかかる費用は、工賃と部品代を合わせて1.5万円~15万円ほどが目安といえます。
ウォーターポンプの交換に タイミングベルトの脱着を伴う場合 |
5万円~15万円(付随部品含む) |
ドライブベルトで駆動する ウォーターポンプの場合 |
1.5万円~4万円 |
電動ウォーターポンプの場合 |
3万円~10万円 |
ウォーターポンプ修理が必要になった場合の選択肢
ウォーターポンプの修理が必要になった場合は、他のパーツが劣化していたり、維持費が高くなっていたりする可能性があります。ウォーターポンプの修理費用を払って乗り続けるよりも、新しい車に買い替えたほうがお得なこともあるでしょう。
中古車買取店では、古くて価値がないと思えるような車や故障してエンジンがかからない車でも買取してもらえます。処分にお金をかけたくないからと修理して乗り続けるより、売却によって手に入ったお金を新しい車の購入資金に充てるのもひとつの方法です。
まとめ
車のエンジンを冷却するために欠かせないウォーターポンプは、故障するとエンジンのオーバーヒートを引き起こすことがあります。故障を早期に発見するには、定期的なメンテナンスを実施することが大切です。
ウォーターポンプの修理が必要になる走行距離10万kmほどの時期は、他のパーツが劣化していることも考えられます。愛車を売却して手に入ったお金を新しい車の購入資金に充てることを選択肢に含めてみてはいかがでしょうか。
【この記事の執筆者】
松田 莉乃
過去の愛車は32GT-R、180SX、33Z。車の構造に興味を持ち「自分の車は自分で作りたい」という気持ちから自動車整備工場に勤務した経験を持つ。中古車買取査定員やタウン情報誌の編集部として仕事をした経験を活かし、主に車・タイヤ関係のメディアを対象に2020年からフリーランスのライター兼エディターとして活動中。
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