スタッドレスタイヤの寿命は何年が目安？判断基準と長持ちさせるコツ
冬の安全な走行に欠かせないスタッドレスタイヤですが、「あと何年使えるのか」「交換のタイミングはいつなのか」という疑問をお持ちの方も多いのではないでしょうか。
この記事では、スタッドレスタイヤの寿命の目安や判断基準、そして長持ちさせるためのコツについて詳しく解説します。サマータイヤからスタッドレスタイヤに履き替える時期の目安についても紹介していますので、冬のドライブの準備に備えましょう。
※目次※
・スタッドレスタイヤの寿命は、一般的に使用開始から3年~4年が目安といわれている。
・スタッドレスタイヤは、ゴムの硬化によって使用していない間も劣化が進む。
・寿命を伸ばすコツのひとつとして、適正な空気圧の維持と定期的なローテーションが挙げられる。
スタッドレスタイヤの寿命の目安
タイヤの寿命は、一般的にタイヤが劣化して本来の性能を発揮できなくなる頃合いを指します。しかし、実際はそれよりも早くに法律を満たさない状態になるケースもあるでしょう。まずはスタッドレスタイヤの寿命について解説します。
一般的に使用開始から3年くらいと言われる傾向がある
スタッドレスタイヤの寿命はメーカーによって異なりますが、一般的に使用開始から3年~4年が目安と言われています。
場合によっては5年と言われることもありますが、実際の期間は使用状況や保管方法によって大きく左右されることを覚えておきましょう。また、タイヤメーカーの多くは使用期間にかかわらず、ゴムの劣化を考慮して製造から10年経過したタイヤの交換を推奨しています。
スタッドレスタイヤはゴムが劣化すると寿命を迎える
スタッドレスタイヤは、ゴム製品の特性上、時間が経過すると劣化する宿命にあります。使用していなくても、ゴムは時間が経つと硬化が進行するためです。
特にスタッドレスタイヤは、雪道での性能を保つため、夏タイヤより柔らかいゴムで製造されています。この柔らかさが冬季の安全な走行を支えていますが、劣化により硬化すると雪道での密着力が大幅に低下してしまうのです。
ゴムの硬化は目視では判断が困難で、表面に異常がなくても内部で進行している場合があります。そのため、タイヤ交換をする前に、プロにタイヤの状態を確認してもらうことをおすすめします。
スタッドレスタイヤの寿命を判断する要素
スタッドレスタイヤの寿命を判断する際に、経過年数以外で確認しておきたい要素を見ていきましょう。ここで紹介する判断基準は、主にスタッドレスタイヤの見た目で寿命を判断する際に役立ちます。
タイヤの溝
スタッドレスタイヤの寿命を判断する際に、確認が必要な要素のひとつがタイヤの溝の深さです。スタッドレスタイヤは新品時から溝が50％以上摩耗すると、プラットフォームと呼ばれる摩耗を示す目印がタイヤの表面に現れます。
このプラットフォームが露出したタイヤは、氷上でのブレーキ性能が著しく低下し、雪道やシャーベット状の路面でのスリップリスクが高まります。
法律ではタイヤの溝は1.6mm以上必要と定められていますが、スタッドレスタイヤの場合はプラットフォームの露出を交換の目安とすることが多くのタイヤメーカーで推奨されています。
タイヤの傷
タイヤに傷やひび割れがある場合、溝の深さが十分であっても交換が必要です。特に深いひび割れや傷がついたりピンチカットがあるタイヤは、バーストが起こる可能性があるため危険です。
ピンチカットは縁石への乗り上げなどで発生する現象で、タイヤ側面の内部コードが切れて膨らむため、タイヤの一部にこぶがあるように見えます。ピンチカットは修理ができないため、新しいタイヤの用意が必要です。
偏摩耗
偏摩耗は、タイヤが偏った状態に摩耗する現象です。タイヤの片側が摩耗する「片べり摩耗」やタイヤの中央だけが摩耗する「センター摩耗」など、摩耗部分によって呼び分けがあります。
この現象が起きると、タイヤと路面との接地面積が減少し、本来のブレーキ性能やグリップ力を発揮できなくなってしまいます。
スタッドレスタイヤの寿命を伸ばすコツ
スタッドレスタイヤの寿命は、日頃の扱い方で長持ちさせられるケースがあります。ここでは、スタッドレスタイヤの寿命を伸ばすコツとして、次の4つを紹介します。
・空気圧を適正に保つ
・タイヤをローテーションする
・保管する環境を整える
・夏場は使用を控える
それでは詳しく見ていきましょう。
空気圧を適正に保つ
スタッドレスタイヤの寿命を伸ばす要素のひとつが、適正な空気圧を維持することです。空気圧が不足すると、走行中にタイヤが過度に変形し、タイヤのサイドが異常に摩耗してしまいます。
逆に空気圧が高すぎると、タイヤの中央部分に負荷が集中し、センター摩耗を引き起こす原因になります。適正空気圧は車両ごとに設定されており、運転席ドア付近のラベルで確認が可能です。
タイヤをローテーションする
スタッドレスタイヤの偏摩耗を防ぐため、定期的にローテーションを行うことが大切です。シーズンごとや5,000kmの走行を目安に、タイヤの装着位置を変えることで、摩耗状態を均一に保ちやすくなります。
また、ローテーションは偏摩耗を予防すること以外にもメリットがある方法です。位置を変える際にタイヤの状態を詳しく確認できるため、異常や損傷の早期発見につなげられます。
保管する環境を整える
適切な保管環境を整えることで、スタッドレスタイヤを長持ちさせやすくなります。保管時に重要なのは、直射日光や雨、熱源から離れた場所で保管することです。ホイール付きのタイヤを保管する際は、保管前に空気圧を通常の半分程度まで下げるとタイヤへの負担を軽減できます。
また、置き方にも配慮することが大切です。ホイール付きの場合は横置き（タイヤを寝かせた状態）、ホイールなしの場合は縦置き（タイヤを立てた状態）にしてタイヤにかかる負担を分散させましょう。
夏場は使用を控える
スタッドレスタイヤは冬道に適したタイヤなので、夏場の使用を避けることが大切です。サマータイヤより柔らかい素材で作られたスタッドレスタイヤは、夏の路面を走ると摩耗が進みやすくなります。
また、スタッドレスタイヤは路面の温度が高い状態で使用すると、ブレーキをかけてから車が停止するまでの制動距離が長くなることが考えられます。そのため、季節に応じた適切なタイヤの使い分けは、安全性確保と経済性向上の両方を実現する重要な管理方法といえるでしょう。
スタッドレスタイヤに交換するタイミングはいつ？
では、スタッドレスタイヤとサマータイヤはどのタイミングで交換すると良いのでしょうか。ここでは、タイヤ交換を行う時期の目安を紹介します。
スタッドレスタイヤを履くのは雪が降る1か月前が目安
スタッドレスタイヤへの履き替えは、雪が降る1か月前を目安に行うのが理想的です。この時期に履き替えることで、タイヤのコンディションを整える慣らし走行が行えます。
また、シーズン直前では買い替えるタイヤが品薄になっている可能性や、タイヤ交換を依頼する業者の予約が混雑して待ち時間が長くなる可能性もあるでしょう。お住まいの地域の降雪時期を確認し、余裕を持って履き替えの準備を進めることが大切です。
サマータイヤへ戻すのは雪や氷結の終日が目安
スタッドレスタイヤからサマータイヤへの履き替えは、雪や氷結の終日を目安に行います。早いところでは3月中旬に、降雪量が多い地域では5月頃に履き替え時期を迎えるでしょう。
地域によってタイヤの履き替えに適した時期が異なるため、天候の様子を確認しながら判断しましょう。
まとめ
スタッドレスタイヤの寿命は、一般的に使用開始から3年~4年が目安とされますが、使用状況や保管方法に大きく左右されます。スタッドレスタイヤはゴムの硬化によって性能が低下するため、使用していなくても劣化することを覚えておくことが大切です。
適正な空気圧を保ち、タイヤをローテーションして摩耗を均一にすることがタイヤを長持ちさせることにつながります。適切な管理と交換時期の判断で、冬のドライブの安全を確保しましょう。
【この記事の執筆者】
福沢知留
フリーランスとして2017年から活動するライター兼エディター。豪雪地帯で約10年間FRセダンを走らせた経験を持ち、現在は子育てに適したファミリーカーを愛用する3児の母。車への深い愛情と豊富な経験を生かし、複数の車関係メディアで編集を担当するなど数々の記事制作に携わっている。
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