アクセルを踏むと異音がする症状と原因は?対処法や修理費用を解説

アクセルを踏むと車から異音が聞こえるという経験はないでしょうか。アクセルを踏んだときに発生する異音は、単なる不快感だけでなく、重大な故障の前兆の可能性があります。
放置すれば修理費用が高額になったり、最悪の場合は事故につながったりする危険性もあるため、適切な対処法を知っておくと安心です。
そこでこの記事では、アクセルを踏んだときに発生する異音の原因と適切な対処法、修理費用の目安など、愛車のトラブルを解決するヒントを紹介します。
※目次※
・アクセルを踏んだときに発生する異音は、重大な故障の前兆のケースもある。
・異音にはキーキー音やゴーゴー音など8つの代表的なパターンがあり、それぞれブレーキパッドの摩耗やハブベアリングの劣化など、特定の部品の不具合を示す。
・異音が発生した場合はすぐに運転を中止し、早期の点検・修理が重要。
アクセルを踏むと異音がする8つの症状と原因

車を運転中にアクセルを踏むと異音がするという現象は、意外に多くのドライバーが経験するトラブルです。この異音は単なる不快音ではなく、車からの重要な警告サインを示しているケースもあります。
音の種類によって原因となる部品や緊急性が異なるため、正しい知識を身に付けることが安全な運転には欠かせません。まずは、代表的な8つの異音パターンとそれぞれの原因について詳しく解説します。
キーキー音:ブレーキパッドの摩耗
アクセルを踏むと「キーキー」という甲高い音が聞こえる場合、最も可能性が高いのはブレーキパッドの摩耗によるウェアインジケーターの接触です。
ブレーキパッドは消耗品であり、摩擦によって徐々に薄くなっていきます。パッドの厚みが約2mmまで減少すると、金属製のウェアインジケーター(摩耗センサー)がディスクローターに接触し、ドライバーに交換時期を知らせるキーキー音を発生させる仕組みです。
この音は走行中に常に鳴り続けるのが特徴で、朝の冷えた状態でのみ数回鳴る「ブレーキ鳴き」とは異なります。放置するとブレーキの制動力が低下し、最悪の場合は摩擦材が完全になくなってローターに傷が入り、高額な修理が必要になる危険性があるでしょう。
キーキー音が確認されたら、速やかに整備工場での点検を受けることが重要です。ブレーキパッドの交換にかかる費用は、1万5,000円~3万円程度です。
ゴーゴー・ゴロゴロ音:ハブベアリングの劣化
アクセルを踏むと「ゴーゴー」「ゴロゴロ」といった異音がする場合、ハブベアリングの劣化や損傷が原因として考えられます。
ハブベアリングは、タイヤを円滑に回転させる役割を担う部品です。車のホイールと車体をつなぐ部分にあり、各タイヤにひとつずつ装着されています。このベアリング内部のグリースが不足したり金属球が摩耗したりすると、部品同士が直接摩擦を起こし異音が発生します。
特徴的なのは、車速が上がるほど音が大きくなる点です。また前輪のハブベアリングに異常がある場合は、ハンドルを切った際に音が変化することもあります。この状態で走行を続けると、最悪の場合タイヤが外れる危険性もあるため、注意が必要です。
ハブベアリングの交換費用は、車種によって異なるものの、1輪あたり1万5,000円~3万円程度を目安と考えましょう。
ウィーン音:オルタネーターの不具合の可能性
アクセルを踏んで「ウィーン」という音が聞こえる場合、オルタネーター内部のベアリングの不具合が最も疑われる原因です。
オルタネーターは車の発電機として、エンジンからの動力でバッテリーを充電し、電装品へ電力を供給しています。この内部にあるベアリングが劣化すると、回転時に金属同士の摩擦が生じ、モーターのような「ウィーン」音が発生するという経緯です。
エンジン回転数の上昇と連動して音が高くなるケースが多く、電気の負荷の変化によって音の強弱が変わる場合もあります。症状が軽度なうちは走行できますが、完全に故障すると発電機能が停止し、バッテリー上がりによるエンジン停止の危険性があるでしょう。
オルタネーターの交換費用は5万円~10万円程度が目安といえます。
ガラガラ音:冷却装置の不具合が原因かも
アクセルを踏んで出る異音が「ガラガラ」という音の場合、ウォーターポンプの故障が最も疑われる原因です。
ウォーターポンプはエンジンの冷却水を循環させる装置で、内部のベアリングが摩耗すると「ガラガラ」「カラカラ」といった金属音が発生します。さらに、メカニカルシールが劣化すると「キュー」という音が混じることもあるでしょう。
この状態を放置すると、冷却水の循環が悪化してエンジンのオーバーヒートを引き起こす危険性があります。オーバーヒートが重度になれば、エンジンの載せ替えで数十万円以上の高額な修理費用が発生する可能性もあるでしょう。
ウォーターポンプの交換費用は2万円~10万円程度が相場で、タイミングベルトの交換時期と合わせることで工賃を抑えられます。
カンカン・キンキン音:エンジンのオーバーヒートの警告
アクセル踏むと「カンカン」「キンキン」という金属音が聞こえる場合、エンジンのオーバーヒートが進行している警告音である可能性が高いでしょう。
初期症状では「カリカリ」程度の軽い音から始まりますが、症状が進行すると「カンカン」「キンキン」といった鋭い金属音に変化します。これはエンジン内部の金属部品が異常な高温状態にさらされ、膨張や摩擦によって正常な動作ができなくなっているサインです。
さらに焼けるような異臭やボンネットからの煙が伴う場合は末期症状であり、エンジンが深刻なダメージを受けている状態です。この段階ではエンジンの載せ替えで高額な修理費用が発生する可能性もあります。
カンカン音を確認したら直ちに安全な場所に停車し、エンジンを停止して専門業者へ連絡することが重要です。
バスンバスン音:スパークプラグの不具合の症状
アクセル踏むと「バスンバスン」という不規則な音が聞こえる場合、スパークプラグの故障が最も疑われる原因です。
スパークプラグは、エンジン内で火花を飛ばしガソリンに点火する部品であり、点火プラグとも呼ばれます。この部品が劣化すると火花をうまく飛ばせなくなり、ガソリンの燃焼が不安定になります。
加速時に不規則なリズムで「バスンバスン」という音が発生し、さらにアイドリング中にも「カンカン」という音が混じるケースもあります。エンジンの回転が不安定になり、加速不良や燃費悪化も同時に発生する可能性もあるでしょう。
スパークプラグの交換費用は1本あたり2,000円程度ですが、症状を放置すると最悪の場合エンジンがかからなくなる危険性もあります。
バラバラ・ドッドッドッ音:排気系統の不具合のサイン
アクセルを踏むと「バラバラ」「ドッドッドッ」という異音が聞こえる場合、マフラーなどの排気系統の破損が最も疑われる原因です。
マフラーは排気ガスの音を抑制し、有害物質を浄化する役割を担っています。内部の消音材が劣化したりパイプに穴が開いたりすると、通常より大きな排気音が発生し、さらに悪化すると、キャタライザー(触媒)の内部損傷も考えられるでしょう。
古い車両だとサビによる穴あきが多く見られ、放置すると有害な排気ガスが車内に侵入する危険性もあります。排気漏れにより燃費悪化や出力低下も起きるでしょう。修理費用は3万5,000~8万5,000円程度が相場です。
キュルキュル音:クラッチの不具合を示すサイン
マニュアル車でアクセル踏むと「キュルキュル」という異音が聞こえる場合、パイロットベアリングの摩耗が最も疑われる原因です。
クラッチシステムは、エンジンとトランスミッションをつなぐ装置で、クラッチペダルを踏んだ際にパイロットベアリングがクラッチプレートを押し、動力の伝達を遮断します。このベアリングが摩耗すると、回転時に金属同士の摩擦が生じ、音が発生します。
クラッチペダルを踏んだときと離したときで、音の変化を確認することが重要です。症状が進行すると、クラッチが滑ってエンジンの回転数に対して車速が上がらない現象も現れます。
パイロットベアリングの修理・交換には5万~15万円程度の費用がかかります。クラッチディスクやクラッチカバー、レリーズベアリングも交換する場合は、さらに費用がかかるため、キュルキュル音を確認したら早めに整備工場での点検を受けることをおすすめします。
アクセルを踏むと異音がする場合の対処法

アクセルを踏むと異音がする状況に遭遇した際、適切な対処法を知ることで重大なトラブルを未然に防げます。異音の種類や症状によって緊急性は大きく異なるものの、異音発生時の正しい判断基準と具体的な対処方法について、詳しく解説します。
運転をやめて救援を呼ぶ
アクセルを踏むと異音がする状況は、すぐに運転を中止すべき危険な症状です。特に「カンカン」「キンキン」という鋭い金属音が聞こえる場合や「ゴロゴロ」という重い音とともにエンジンの出力が著しく低下する場合は、即座に運転を停止する必要があります。
これらの症状を確認したら、安全な場所に車を停車させ、エンジンを止めてJAFなどのロードサービスに連絡しましょう。そのまま走行を続けるのは非常に危険と考えましょう。
早めに点検・修理
アクセル踏むと異音がする場合、放置せず早めの点検修理が必要です。数日から数週間で急激に悪化することが多いため、異音を確認したらどのような状況で発生するかをメモし、速やかに整備工場での診断を受けることをおすすめします。
症状を放置すると走行不能に陥ったり、車輪が外れる重大事故につながったりする危険性があるため、早期の発見と修理が重要です。
車の異音の修理におけるポイント

アクセルを踏むと異音が発生する場合、早めの修理が必要なケースが多いでしょう。その際、適切な修理を行うために知っておくべき、重要なポイントがあります。
ここからは、修理費用を大幅に抑える方法や信頼できる整備工場の選び方、保険適用の可能性など、賢い修理の進め方について確認していきましょう。
整備工場に修理を依頼する
車の修理を依頼する際には、適切な整備工場選びが成功の鍵といえます。まず、国家資格を持つ二級自動車整備士が在籍している工場を選ぶことがおすすめです。異音の原因特定には、専門的な診断技術が必要なためです。
修理の依頼時には、異音の種類(キュルキュル、ゴーゴーなど)、発生タイミング、音の変化など状況を詳しく伝えましょう。症状を正確に伝えることで、診断にかかる時間が短縮されます。
相見積もりで修理費用を比較する
修理費用を抑えるためには、3社以上から見積もりを取得することをおすすめします。業者によって、工賃の設定に大きな差があるためです。
ディーラーの工賃は1時間あたり9,000円~1万円程度ですが、整備工場では4,000円~6,000円程度で対応可能なケースが多く見られます。
見積書は総額だけでなく、部品代や工賃などの内訳を詳細に確認しましょう。極端に安い見積もりには注意が必要ですが、複数業者の価格競争により適正価格での修理を実現できます。
リビルトパーツを活用する
修理費用を抑える効果的な方法として、リビルトパーツの活用が挙げられます。リビルトパーツとは、中古部品を分解・清掃し、摩耗した部位を新品に交換してオーバーホールした部品です。新品部品との最大の違いは価格で、新品の3分の1~5分の1程度で購入できます。
メリットとして、独自の保証が付帯するケースが多く、品質も新品に近い状態まで復元されています。一方で、メーカーによって品質にばらつきがあることがデメリットです。
高額な修理が必要な場合は、整備工場にリビルトパーツでの対応の可否を相談してみることをおすすめします。
車両保険を利用する
事故や事件による故障であれば、車両保険の利用を検討できます。しかし、メンテナンス不足や経年劣化による通常の故障は補償対象外となる点は留意点です。
保険を使う前に、等級が下がることによる保険料の上昇額と修理費用を比較検討しましょう。軽微な修理であれば、自己負担のほうが結果的に得になるケースもあります。
車両保険を利用する際は、まず保険会社に連絡し、今回の故障が補償対象か確認しましょう。対象であれば、修理工場の見積書を保険会社に提出し、保険金請求の手続きを進めます。
車からの異音を防ぐ方法

車に関するトラブルを避けるためには、予防対策が何よりも重要です。適切な予防策を実践している車両は、異音トラブルの発生率が大幅に減少するでしょう。ここでは、日常的に実践できる対策から長期的な視点での選択肢まで、効果的なアプローチを詳しく解説します。
日ごろからのメンテナンス
車から異音が発生するトラブルを防ぐには、日ごろからの適切なメンテナンスが最も効果的です。定期的な点検項目として、エンジンオイルやファンベルトなどが挙げられます。
劣化した部品は摩擦や振動が増加し異音の直接的な原因になるため、これらの消耗品を適正な時期に交換することで、異音トラブルを未然に防げるケースも多い傾向です。
また、車からのSOSサインを見逃さないよう、点検整備記録簿で前回の交換時期を確認することを習慣にしましょう。「まだ動くから大丈夫」という判断は危険であり、早期のメンテナンスが結果的に修理費用を大幅に抑える鍵になります。
車に負荷をかけない運転
トラブルが発生するリスクを軽減するには、車に負荷をかけない運転を心がけることが重要です。
急発進や急ブレーキは、エンジンやトランスミッション、ブレーキ関連部品に過度なストレスを与え、異音発生の直接的な原因になります。丁寧な運転を実践している車両は、同じ年式でも異音トラブルが減少するでしょう。
エンジン始動直後は30秒から1分程度の暖機を行い、オイルが循環してから発進するのが効果的です。また、凹凸の激しい道路や未舗装路では速度を落とし、車体への衝撃を最小限に抑えましょう。
こうした運転テクニックを日常的に実践することで、異音の原因となる部品劣化を遅らせられます。
買い替えも検討
車にトラブルが発生し、修理に高額な費用がかかる場合は、買い替えも検討すべき選択肢です。特にエンジンやトランスミッションの交換が必要な場合、数十万円という修理費用が発生するケースも珍しくありません。
異音が発生した車両は他の部分でも劣化が進んでいることが多く、連続的な修理が必要になる可能性も否定できません。新車登録から13年を超えた車両は自動車税が増額になるため、税負担の増加も考えると買い替えも有効でしょう。
まとめ

車のアクセルを踏むと異音が発生するケースには、キーキー音やゴーゴー音など8つの代表的なパターンがあり、それぞれブレーキパッドの摩耗やハブベアリングの劣化など、特定の部品の不具合を示しています。
異音が発生した場合は運転を中止し、早期の点検・修理が必要です。放置すると、エンジンの載せ替えなど、数十万円単位の高額な修理費用が発生する可能性もあります。
修理の際は、複数の整備工場の見積もりを比較することやリビルトパーツの活用などにより、費用を抑えられるでしょう。また、日常的なメンテナンスと車に負荷をかけない運転で、異音の発生リスクを低減できます。
【この記事の執筆者】

五十嵐巧
大手出版社での書籍編集を皮切りに、25年以上にわたり書籍・雑誌・Webメディアの編集・ライティングに携わる。現在はフリーランス編集者・ライターとして活動し、複数の自動車メディアでもコンテンツの編集・執筆に取り組む。豊富な取材経験と専門知識を活かし、読者に信頼される情報を提供し続けている。
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