アクセルを踏んでも加速しない場合の修理費用は？原因や対処法も確認

車のアクセルを踏み込んでも思うように加速しない、という経験がある方もいるのではないでしょうか。急な坂道で力が出ない、高速道路の合流で危険を感じるといった症状は、単なる不調ではなく重大なトラブルのサインかもしれません。

 

アクセルを踏んでも加速しない原因や具体的な修理費用の相場、そして症状別の対処法を詳しく解説します。

 

※目次※

1.アクセルを踏んでも加速しない場合に考えられるエンジンの不具合と修理費用

2.アクセルを踏んでも加速しない場合に考えられるその他の原因

3.加速しない以外の症状別対処法

4.まとめ

 

 

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アクセルを踏んでも加速しない場合に考えられるエンジンの不具合と修理費用

車のアクセルを踏んでも思うように加速しない症状は、エンジン関連のさまざまな不具合が考えられます。点火系統や燃料系統の問題から、吸気系統やエンジン本体の劣化まで、原因や修理費用が大きく異なるのが実情です。

 

ここからは、エンジン関連で考えられる具体的な不具合の原因と、それぞれの修理費用について詳しく解説します。

 

点火系統の不具合

点火系統の不具合は、アクセルを踏んでも加速しない症状を引き起こす代表的な原因といえます。

 

イグニッションコイルは、バッテリーの12Vを2万V~3万5,000Vの高電圧に変換してスパークプラグに供給する部品です。この部品が劣化すると十分な火花が飛ばず、混合気の燃焼が不完全になります。エンジンの回転が不安定になり、その結果が加速不良です。

 

スパークプラグは実際に火花を発生させる部品で、電極に摩耗や汚れがあると点火性能が低下します。交換時期の目安は一般的なプラグで1.5万km~2万km、長寿命タイプで4万km~10万kmです。

 

修理費用は、イグニッションコイルは1個あたり1万円程度から、スパークプラグはエンジンの気筒数分で1万円程度からが相場といえます。

 

燃料系統の不具合

燃料系統に不具合があると、エンジンへの燃料供給が正常に行われないことで加速不良が起こります。

 

燃料ポンプの故障では、必要な燃料圧力を保てなくなり、エンジンに十分な燃料が送られません。加速時のもたつきやエンジンの不安定な回転が現れ、重症化するとエンストする場合もあります。部品交換の費用は3万円程度からです。

 

インジェクターに不具合があると燃料の噴射量が適正でなくなり、燃焼効率が低下します。汚れや詰まりにより燃料の吐出量が不足すると、パワー不足や加速不良を引き起こします。修理費用は1個あたり2万円程度からです。

 

燃料の誤給油も深刻な問題といえます。ハイオク車にレギュラーガソリンを入れると加速性能が悪化し、ガソリン車に軽油を入れると重大な故障につながる可能性があるでしょう。修理費用が高額になるケースもあるため、給油時の確認が重要です。

 

吸気系統の不具合

吸気系統の不具合は、エンジンが必要とする空気量を正確に制御できなくなることで発生する加速不良の代表的原因です。

 

吸気量センサーが故障すると正確な吸入空気量を測定できなくなり、エンジン制御が適切に行われず、アクセルを踏んでも期待した加速が得られません。修理費用は1万円程度からです。

 

スロットルバルブは吸入空気量を調整する役割を担っており、故障するとアクセル操作と実際の加速感にズレが生じます。ターボチャージャー搭載車では、タービンの不具合で過給性能が低下すると、特に高回転域での加速不良が顕著に現れます。

 

また、エアエレメントが極端に劣化するとエンジンが十分な空気を吸い込めず加速性能が低下するため、定期的な交換が重要です。交換は5,000円程度と比較的安価で済むでしょう。

 

エンジン関連のその他の不具合

燃焼室内の被りやエンジンオイル不足、エンジンの寿命も加速不良の深刻な原因です。長期間使用しない車両や寒冷地では、燃焼室内で燃料が正常に燃焼せず被りが発生します。

 

この状態では混合気の燃焼が阻害され、エンジンの回転が不安定になり加速性能が大幅に低下するでしょう。診断・処置の費用は5,000円程度が目安出す。

 

エンジンオイル量が低下すると、潤滑不足によりエンジン内部の摩擦が増加し、パワーロスや加速不良を引き起こします。また、エンジンの圧縮比低下など寿命による劣化では、正常時と比べて明らかなパワー不足が発生します。

 

修理費用は軽微な処置で1万円程度から、エンジン本体の寿命が考えられる場合には30万円以上かかるケースも珍しくないため、定期的なオイル点検が重要です。

 

冷却水漏れによるオーバーヒートはエンジン本体に深刻なダメージを与える可能性があるため、症状を感じたら即座にエンジンを停止し、ロードサービスを利用しましょう。部品交換には1万円以上の費用がかかります。

 

エンジン関連修理費用の一覧

エンジン関連の修理費用は、故障部品により大きく異なるため、予算計画を立てる際は各部品の相場を把握しておくことが重要です。

 

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アクセルを踏んでも加速しない場合に考えられるその他の原因

アクセルを踏んでも加速しない原因は、エンジン以外にも多岐にわたります。修理費用は数千円程度の軽微なものから数十万円以上という高額なケースまでさまざまあり、原因の特定が重要なポイントです。

 

具体的にどのような原因があり、それぞれどの程度の費用がかかるのか詳しく解説します。

 

トランスミッションの不具合

CVTやATといったトランスミッションの不具合は、動力伝達機構に滑りが発生することで、アクセルを踏んでも加速しない症状を引き起こします。

 

代表的な症状が、エンジンの回転数だけが上がるのに車が加速しない現象です。これは内部のクラッチやベルトの滑りにより、エンジンの力がタイヤまで適切に伝わらないために起こります。

 

ATやCVT内のフルード（オイル）漏れも深刻な問題です。フルードが極端に減少すると動力伝達に支障をきたし、加速性能が著しく低下します。修理はATやCVT本体の載せ替え対応が主流で、10万円以上の高額な金額です。

 

コンピューター・各種センサーの不具合

近年の車両は、エンジン制御用ECU（エンジン・コントロール・ユニット）が燃料噴射量や点火タイミングを精密に制御しています。このコンピューターや関連センサーに不具合が発生すると、適切な制御が行われず加速不良の原因になるでしょう。

 

注意すべきは、ECUがエラーを検出した際に作動するフェイルセーフ機能による出力制限です。例えば、ATのコンピューターが異常を感知すると、保護制御により本来5速のトランスミッションが3速固定での走行に制限されるケースがあります。

 

各種センサーにおいては、エアフロメーターや酸素センサーなどの不具合により、エンジンが必要とする空燃比の情報が正確に伝わらず、結果として加速性能が低下するでしょう。

 

修理費用は、ECU本体の交換で5万円以上、各種センサーの交換で1万円程度からで、診断には専用機器が必要なため専門業者での対応が不可欠です。

 

ブレーキの引きずり・バッテリーの劣化

ブレーキの引きずりやバッテリーの劣化は、いずれもアクセルを踏んでも加速しない原因として見逃せない要因です。

 

ブレーキキャリパーの固着によるブレーキ引きずりは、1カ所あたり約1万5,000円以上の修理費用が必要と考えましょう。焦げ臭いにおいがする場合は、ブレーキが異常な高温になっている可能性があります。

 

バッテリーが極端に劣化すると、電圧が不安定になり加速性能が低下します。これらの症状は早期発見により修理費用を抑えられるため、定期点検での確認が不可欠です。バッテリーの交換には1万5,000円以上かかるケースが多いでしょう。

 

パーキングブレーキの解除忘れ

パーキングブレーキの解除忘れは、意外に多い加速不良の原因です。運転前の確認不足により、ブレーキを引いたまま走行してしまうケースもあるでしょう。

 

実際の走行時には、アクセルを踏み込んでも通常より重い走行感覚で、エンジン音は高くなるのに速度が上がらないといった症状が現れます。さらに、10分以上走行していると、焦げ臭いにおいが発生する場合もあるでしょう。

 

この状態を放置するとブレーキパッドやディスクローターの過熱により、最悪の場合はブレーキオイル漏れなどの重大な故障を引き起こす可能性があります。

 

修理費用については、軽微な場合で点検・整備で2万円程度から、部品交換が必要な場合は5万円以上かかるケースもあるので、注意が必要です。

 

ハイブリッド・ディーゼル車特有の原因

ハイブリッド車やディーゼル車には、一般的なガソリン車にはない特有の加速不良原因があります。

 

ハイブリッド車では、室内にあるハイブリッドシステム用の冷却ファン入口のフィルターが詰まると、ハイブリッドバッテリーが高温になって保護機能が働き、出力が制御されることで加速が悪化します。修理費用は5,000円程度です。

 

ディーゼル車ではエンジンの特性により煤が発生しやすく、この煤が局部的に堆積することで加速性能が低下します。インジェクターの詰まりは洗浄に約1万円から、交換は車種により2万円からが目安です。

 

その他の原因による修理費用の一覧

エンジン以外の原因による加速不良の修理費用は、不具合が起きた部位により異なります。修理費用が車両価値を上回る場合は、買い替えも含めた検討が賢明な判断といえるでしょう。

 

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加速しない以外の症状別対処法

アクセル踏んだ際に現れる加速不良以外の症状についても、重要な判断材料といえます。焦げ臭いにおいや異音といった症状は、故障の深刻度や緊急性を判断するための貴重な手がかりです。症状別の具体的な原因と対処法について、詳しく解説します。

 

焦げ臭いにおいがする場合の原因と対処法

加速不良と同時に焦げ臭いにおいがする場合、深刻な故障の可能性が高いため、即座に対応が必要です。

 

最も危険なのは、ATF（オートマチックトランスミッションフルード）の漏れです。漏れたフルードがマフラーに付着すると焦げ臭いにおいが発生し、さらに内部の潤滑不足により焼き付きが起こる可能性があります。

 

エンジン冷却水の漏れも要注意です。冷却水自体は甘いにおいですが、漏れた冷却水がマフラーに付着することで焦げ臭くなり、オーバーヒートのリスクが高まります。

 

焦げ臭いにおいを感じたら、安全な場所に停車してエンジンを止め、レッカーサービスを利用することが最も安全な対処法といえるでしょう。

 

異音が聞こえる場合の原因と対処法

加速不良と同時に異音が発生する場合、音の特徴により原因の特定が可能です。

 

「ガタガタ」「カラカラ」といった音は、エンジンオイルの不足や劣化が原因であるケースが多く、エンジン内部の潤滑不良により摩擦音が発生します。オイル交換で改善する場合は3,000円程度で済みますが、エンジン内部にダメージがある場合は高額な修理が必要です。

 

「キーン」「ウィーン」という高音は、オルタネーターの故障やベルト類の劣化を示します。ファンベルト交換は3,300円程度から、オルタネーター交換は数万円の費用がかかるでしょう。

 

「ガラガラ」という音は、ウォーターポンプの不具合やトランスミッション内部の損傷が疑われ、修理費用は部位により大きく異なります。

 

異音を伴う加速不良は重大な故障の兆候であるため、安全な場所へ停車し、レッカーサービスを利用して専門業者の診断を受けることが重要です。

 

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まとめ

アクセルを踏んでも加速しない症状は、エンジンの点火系統、燃料系統、吸気系統をはじめ、トランスミッションやECU、各種センサーなど、さまざまな部位の不具合が原因になりえます。

 

さらにはハイブリッド車やディーゼル車に特有の問題も可能性としてはあり、原因が多岐にわたるのが実情です。

 

修理費用は部品や症状によって大きく異なり、スパークプラグ交換のような比較的安価な修理から、エンジン本体やトランスミッションの交換といった高額な修理までありえます。

 

加速しない症状だけでなく焦げ臭いにおいや異音を伴う場合は、深刻な故障の可能性があるため、早めの点検が必要です。

 

【この記事の執筆者】

五十嵐巧

大手出版社での書籍編集を皮切りに、25年以上にわたり書籍・雑誌・Webメディアの編集・ライティングに携わる。現在はフリーランス編集者・ライターとして活動し、複数の自動車メディアでもコンテンツの編集・執筆に取り組む。豊富な取材経験と専門知識を活かし、読者に信頼される情報を提供し続けている。

 

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