中古車の走行距離の基準とは?年式とのバランスで見極めるポイント
中古車を購入する際、走行距離はどのくらいが適切なのでしょうか。初めて中古車を買う人にとって、この問いは大きな悩みの種となります。走行距離は、車の状態や価格に大きく影響するため、慎重に検討することが必要です。
この記事では、中古車購入における走行距離の目安を、初心者にも分かりやすく解説していきます。車種別の適正走行距離や、走行距離が車両価格に与える影響など、中古車選びに役立つ情報を見ていきましょう。
※目次※
・走行距離が増えるごとに中古車価格は下がり、一般的な年間走行距離は8,000~1万kmが目安である。
・中古車は短走行距離車・中走行距離車・過走行車に分けられ、走行距離別に特徴がある。
・10万km超の車両は、年間の整備費用が低走行車の2倍~3倍になることもあり、高額修理が必要になる可能性もある。
中古車の走行距離と車両価格の関係
中古車選びでは、走行距離がひとつの注目ポイントです。年式や車種、メンテナンス状況など、価格を左右する要素は複数存在します。まずは、走行距離と価格の関係性や、年式と走行距離のバランスの重要性について見ていきましょう。
走行距離が中古車価格に与える影響
中古車価格は走行距離によって大きく変動し、一般的に1万km増えるごとに5万円~10万円程度下がる傾向にあります。新車価格300万円の車であれば、3年落ちで走行距離が1万km違うだけで約10万円の価格差が生じることもあるでしょう。
希少車や人気車種では、走行距離の差がより大きな価格差を生む可能性があります。ただし、整備状況や車の全体的な状態も重要な要素です。適切なメンテナンスが施されている場合は、走行距離が長くても比較的高値で取引されます。
中古車の年式と走行距離のバランスの重要性
中古車の価値を判断する際は、年式と走行距離のバランスが重要な指標となります。年間走行距離8,000km~1万kmが理想的で、年式が新しくても走行距離が長い車両は部品劣化に注意が必要です。
反対に、年式が古くても走行距離が極端に短い車両は、長期間の放置による不具合が懸念されます。性能重視なら年式を、コンディション重視なら走行距離を優先するのが賢明です。メンテナンス記録や修復歴の確認も忘れずに、総合的な判断を心がけましょう。
走行距離別!中古車選びのポイント
中古車選びでは、走行距離の違いが重要な判断基準となっています。低走行・中走行・高走行車それぞれに特徴があり、選び方にもコツが必要です。ここでは、走行距離別の特性や注意点を詳しく見ていきましょう。
低走行距離の中古車(5万km未満)の特徴と注意点
低走行距離車は、一般的に走行距離が5万km未満の中古車を指し、新車に近い状態を保っているように見えることが多いかもしれません。しかし、都心部での短距離走行の繰り返しによって、エンジンに負担がかかっている可能性があるため慎重な確認が必要です。
低走行距離車には、年間数千kmしか走行していない都心部使用車や、ディーラーの試乗車として使用された車両が含まれます。また、長期間放置されていた車両も低走行距離になることがあるため、状態の確認が重要です。
購入検討時には、走行距離に加えて年式や整備履歴を詳しく確認しましょう。特に低年式で走行距離が少ない場合は、エンジンへの負担が懸念されます。
中走行距離の中古車(5万km~10万km)の特徴と注意点
中走行距離車は、新車価格から50%程度下がった価格で購入でき、コストパフォーマンスに優れた選択肢といえます。ただし、消耗部品の交換時期に差しかかっている可能性があるため、整備履歴の確認が欠かせません。
タイヤやブレーキパッド、エンジンオイルの交換状況を入念にチェックすることをおすすめします。また、7万km~8万km走行時にタイミングベルトの交換が必要となる車種もあるため、交換履歴の確認も重要です。
試乗ではエンジンの調子や異音の有無を確かめ、メンテナンス状況が良好な車両を選択するとよいでしょう。
高走行距離の中古車(10万km以上)の特徴と注意点
走行距離が10万kmを超える中古車は「過走行車」と呼ばれ、購入価格が比較的安価なのが大きな魅力です。一方で、経年劣化による外装の傷・内装の汚れが目立つことが多く、エンジンや重要部品の消耗も進んでいる可能性があります。
近い将来に高額な部品交換が必要になるリスクは避けられませんが、適切なメンテナンスを行うことで長期使用も可能です。整備記録や車両状態を入念に確認することで、コストを抑えた車選びが実現できるでしょう。
短期間の使用を予定している人や、維持費を抑えて車を所有したい人にとって、高走行距離車は検討する価値のある選択肢となります。
走行距離と中古車の車両状態・メンテナンスの関係
中古車の走行距離は、メンテナンス費用と直結する要素です。走行距離に応じて部品交換の時期が変わってくるため、維持費にも大きな影響を与えます。
ここでは、走行距離による交換時期や、高走行距離車のメンテナンス費用などを紹介するので、維持費について考える参考にしましょう。
走行距離による中古車の主要部品の劣化と交換時期
走行距離10万kmを超えると、タイミングベルトをはじめとする多くの主要部品で、交換が必要となる時期を迎えます。タイミングベルトは、ウォーターポンプなどの周辺部品と合わせて交換することが多く、費用の目安は約10万円です。
10万km走行時には、ブレーキホースやラジエーターホース、クラッチなども交換が推奨され、適切な交換を行わないと車検費用の増加や故障リスクが高まります。そのため、10万km超の車両は、新車と比べて維持費が高くなる傾向です。
定期的なメンテナンスを欠かさず行うことで、より長期の使用も可能になるでしょう。適切な整備を心がけることが、走行距離の増加に対応する重要なポイントです。
高走行距離の中古車のメンテナンス費用
エンジンオイルは、一般的には1万5,000kmまたは1年ごとの交換が必要です。しかし、10万km以上走行した車両では、年間2回~3回のエンジンオイル交換が必要となるケースもあり、1回当たり3,000円~1万円程度の費用が発生します。
また、ブレーキパッドは前後セットで1万円~4万円程度、15万km程度でのタイミングベルト交換は工賃込みで5万円~10万円ほどの費用がかかるでしょう。
ショックアブソーバーの劣化も進んでいる可能性が高く、4本セットでの交換費用は7万円程度からです。さらに、バッテリーやタイヤの交換なども必要になるため、年間のメンテナンス費用は低走行距離車に比べて高くなりやすいでしょう。
走行距離と中古車の燃費・排出ガス性能の関係
適切なメンテナンスが行われた中古車であれば、走行距離が増えても、燃費性能の大きな劣化は見られないことが多いでしょう。一方で、排出ガス性能については、走行距離の増加に伴い触媒装置の劣化が進む可能性があるため注意が必要です。
特にディーゼル車では、DPF(ディーゼル微粒子捕集フィルター)の目詰まりに気を付ける必要があります。定期的なメンテナンスと部品交換を行えば、燃費と排出ガス性能は維持できるでしょう。過走行車を選ぶ際は、整備記録の入念な確認が欠かせません。
中古車の走行距離のチェック方法とは
中古車の走行距離は、選定の際に注目すべき重要な情報です。ただし、改ざんのリスクもあるため、正確な確認方法を知っておくと役立ちます。ここでは、走行距離の信頼性を見極めるポイントについて詳しく確認しましょう。
中古車の正確な走行距離を確認する方法
中古車の正確な走行距離を確認するには、まず点検整備記録簿・車検証などの関係書類を確認しましょう。これらの書類には、過去の走行距離が記録されています。
また、日本オートオークション協議会の「走行メーター管理システム」を利用するのも効果的です。このシステムは、オートオークションに出品された中古車の走行距離データを蓄積し、不正な走行距離の車両を排除する目的で開発されました。
システムに加入している販売店では、個別検索システムにより仕入れ段階で走行距離をチェックしているため、より信頼性の高い情報が得られます。ただし、オートオークションへの出品歴がない車両は、データが存在しないケースもあるでしょう。
複数の確認方法を組み合わせることで、より正確な走行距離の把握が可能になります。
中古車の走行距離改ざんの見分け方
走行距離の改ざんを防ぐため、2017年1月以降はメーター交換などで以前の走行距離を下回った場合、車検証に最大走行距離が記載されるようになりました。
エンジンオイル交換時のラベルには、交換日時と走行距離が記録されており、メーターとの整合性を確認することが重要です。
タイミングベルトは、10年または10万km走行で交換が必要とされており、交換履歴も判断材料となります。また、日本オートオークション協議会の「走行メーター管理システム」では、過去のオークション出品時データとの照合が可能です。
万が一、購入後に改ざんが判明した場合は、販売店への返金・返品要求や、消費者生活センター・自動車公正取引協議会への相談が、有効な対応策となるでしょう。
中古車の走行距離の信頼性を高める車両履歴情報の活用
北米では「CARFAX」「AutoCheck」などの走行履歴レポートが普及しており、車両の走行距離や修復歴・事故歴などの詳細情報を確認可能です。日本でも輸入中古車の増加に伴い、車両履歴情報サービスの需要が高まっています。
走行履歴レポートには、車検証情報・重大事故歴・欠陥歴・廃車記録・水没歴・オーナー情報など、自動車メーカーや販売店・政府機関・保険会社から収集された信頼性の高い情報が含まれるのが通常です。
ただし、レポートに記載されない情報も存在するため、他の確認方法と組み合わせて活用するのが賢明でしょう。
特殊な中古車の走行距離の考え方
中古車の走行距離評価は、車種によって基準が大きく異なってくるでしょう。電気自動車やハイブリッド車など、特殊な車両にはそれぞれの評価ポイントがあります。最後に、特殊なケースにおける、走行距離評価のポイントをチェックしましょう。
電気自動車・ハイブリッド車の中古車の走行距離評価
電気自動車(EV)では、バッテリーの劣化が走行可能距離に直接影響するため、走行距離よりもバッテリーの状態が重要な評価指標となります。
一方、ハイブリッド車(HV)は内燃機関とモーターを併用することから、高走行距離でも燃費性能が維持されやすく、通常の内燃機関車と比べて性能低下が緩やかなのが特徴です。
電気自動車やハイブリッド車を中古で購入する際は、バッテリーの状態や充電回数、使用環境などを総合的に評価する必要があるでしょう。また、充電インフラの整備状況や、自宅での充電環境も考慮に入れることが大切です。
商用車・特殊用途車の中古車の走行距離の考え方
商用車や特殊用途車は、日常的な長距離移動や過酷な環境での使用が一般的なため、通常の乗用車とは異なる基準での評価が必要となります。
商用車では年間6万km以上の走行も珍しくなく、10万kmを超えていても、適切なメンテナンス状況であれば問題なく使用できることが多いでしょう。
建設現場で使用される特殊用途車では、走行距離よりもエンジンの稼働時間が重要な指標となります。また、一般的な保証制度の対象外となることが多いため、使用履歴・整備記録の詳細な確認が不可欠です。
このような車両の購入では、十分な事前点検と評価を行うことで、適切な選択が可能になります。
輸入中古車の走行距離評価と注意点
欧米では年間走行距離が長い傾向にあり、長距離走行に適した設計の輸入車は高速道路での使用頻度も高いので、国産車とは異なる評価基準が必要となります。ただし、部品の入手性や整備費用は国産車より高額になる傾向があるため、維持費用の考慮も重要です。
並行輸入車では、日本国外での履歴が不明確なケースも多く、可能な限り車両履歴情報を確認することが望ましいでしょう。また、輸入車専門の整備工場へのアクセスも重要な検討ポイントです。
走行距離に加えて、整備記録・使用環境・輸入経路なども含めた総合的な評価を行うことで、適切な輸入車選びが実現できます。
まとめ
中古車選びでは、走行距離は重要な指標のひとつですが、これだけで判断するのは適切ではありません。年式とのバランスや、車種特性を考慮することが肝心です。高走行距離車でも、適切なメンテナンスがされていれば、良好な状態を保っている場合があります。
走行距離の改ざんには注意が必要で、車両履歴情報の確認は重要です。電気自動車やハイブリッド車では、従来車とは異なる評価基準で判断する必要があります。
走行距離は車選びの要素のひとつに過ぎないため、総合的に判断して自分のニーズに合った車両を選択することが大切です。
▼ライタープロフィール
鈴木祐貴
車と音楽、旅と猫を愛するライター。多様なWebメディアの編集・ディレクション経験を重ね、2018年よりフリーランスとなる。
現在もさまざまなジャンルの編集をする傍ら、車関連のオウンドメディアや車の税金に関するコンテンツなどの編集経験を生かし、ライターとして車の魅力・おもしろさも発信中。
バックパックひとつでふらりと旅に出るのが好きだが、いずれはキャンピングカーで気ままに世界中をロードトリップしようと思っている。
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いかがでしたか。今回の記事が中古車購入を検討しているあなたの参考になれば幸いです。
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