車のベルト徹底解説!ファンベルトとタイミングベルトの違いと交換時期
車のエンジンルームを開けてみると、複雑に張り巡らされたベルトを目にすることがあります。
これらのベルトは一体どのような役割を担っているのでしょうか?なかでもファンベルトとタイミングベルトは特に重要な部品ですが、その違いを理解している人は意外と少ないのが現状です。
ベルトの種類や役割を知ることは、愛車を長く大切に乗るためにも欠かせない知識といえるでしょう。本記事では、車のベルトについて解説します。ファンベルトとタイミングベルトの構造や交換時期など、ドライバーなら知っておきたい知識です。ぜひ参考にしてください。
※目次※
・ファンベルトは、車の重要保安部品の一つでエンジンの動力を利用して他の機械類を駆動させる役割を持つ。
・ファンベルトの交換目安は5~10万km。
・ファンベルトに似たものでタイミングベルトがある。
ファンベルトの基本知識
ファンベルトは、車の重要保安部品の一つです。エンジンの動力を利用して、オルタネーター、ウォーターポンプ、エアコンコンプレッサーなどの補機類を駆動するために欠かせない役割を担っています。ここでは、ファンベルトの基本知識として、構造や材質、重要性、種類、寿命や交換時期などについて詳しく解説します。
ファンベルトの構造と材質
ファンベルトは、エンジンの回転力を利用して、オルタネーター、ウォーターポンプ、エアコンコンプレッサーなどの補機を駆動するためのベルトの総称です。一般的にはゴム製で、エンジンのクランクシャフトに取り付けられたプーリーと各補機のプーリーをつないでいます。
ファンベルトの材質は、耐熱性、耐久性、屈曲性に優れたEPDM(エチレン・プロピレン・ジエン)ゴムが一般的ですが、より高性能な合成ゴムを採用する場合もあります。
近年では、電動ファンの採用により、ファンベルトのない車も増えてきました。
ファンベルトの役割と重要性
ファンベルトは、エンジンの動力を利用して、周りの補機類を駆動するための部品です。そのため、ファンベルトが機能しなくなると補機類に影響します。
例えば、ファンベルトはウォーターポンプやオルタネーターにつながっています。ウォーターポンプが停止してしまうと、エンジンが冷却されずオーバーヒートを起こしてしまいます。また、オルタネーターが機能しなければ、バッテリーへの充電ができず、車の電装系統に支障をきたします。
つまり、ファンベルトが切れたり外れたりすると、車は走行できなくなります。ファンベルトは一見地味な存在ですが、エンジンを始動させ、安全に走るために欠かせない、重要保安部品といえるでしょう。
ファンベルトの種類と特徴
ファンベルトには、一般的なVベルトと、より高性能なリブ付きベルト(Vリブドベルト)の2種類があります。Vベルトは断面がV字型で、リブ付きベルトはベルト内側に溝(リブ)が付いているのが特徴です。
リブ付きベルトは、リブ(凹凸形状)によって接触面積が増えるため、高い伝動効率と長寿命化を実現しています。近年の車に使用されているものはリブ付きベルトが主流です。
ファンベルトの寿命と交換時期
ファンベルトの寿命は、走行距離や使用環境によって異なりますが、一般的に走行距離5~10万km、または新車登録後5~10年が交換の目安とされています。
ただし、この数値はあくまで目安です。実際には、定期的な点検でベルトの状態をチェックし、亀裂や摩耗、ほつれなどの劣化サインを見逃さないことが肝心です。
特に、高温多湿の環境や、短距離走行が多いケースでは、ベルトの寿命が短くなる傾向にあるため注意が必要です。
ファンベルトの点検とメンテナンス
ファンベルトの点検とメンテナンスは、車の走行を維持するために欠かせません。ここでは、ファンベルトの点検方法と注意点、張り調整の手順、そして故障を予防するメンテナンス方法について詳しく解説します。定期的な点検で亀裂や摩耗、張りをチェックし、異常があれば早めに交換しましょう。
ファンベルトの点検方法と注意点
ファンベルトの点検は、車が停車している状態で、エンジンルームを開けて行います。まず、ベルトの表面に亀裂や摩耗がないか、目視でチェックしましょう。次に、ベルトを指で軽く押して、たるみ具合を確認します。適度な張りがあるべきで、指で12mm程度たわむのが理想的です。
また、ベルトを回転させながら、均等なたわみになるか、異物のはさみ込みや偏摩耗がないかもチェックが必要です。ベルトの張りが均等ではない場合は調整が必要です。
また、ベルトに亀裂や傷などの異常が見つかった場合は、早めに交換しましょう。放置すると、ベルトが切れてしまい、オーバーヒートなどの重大トラブルに発展する可能性があります。
ファンベルトの張り調整の手順
ベルトの張りが均等ではない場合は調整します。先に、バッテリーのマイナス端子を外します。これは調整作業中にショートしない様にするためです。次に、オルタネーターのロックボルトを緩め、オルタネーターを動かせるようにします。
ベルトの中央部を指で押し、たわみ量が規定値内に収まるよう、オルタネーターの位置を調整しましょう。たるみすぎず、張りすぎないのがポイントです。
調整後は、ロックボルトをしっかり締め、再度たわみ量を確認。規定内であれば、調整完了です。ファンベルトの張り調整を自分で行うのは大変です。不安な方は車の整備士に依頼することをおすすめします。
ファンベルトの故障を予防するメンテナンス方法
ファンベルトの故障を予防するには、日頃からのメンテナンスが欠かせません。まずは、定期的な点検で、ベルトの亀裂や摩耗、張りをチェックしましょう。異常があれば、早めの交換を行います。
また、ファンベルトの摩耗を抑えることができるコーティング剤もあります。不安な方は整備士と相談しながら必要な対処法を選択しましょう。
ファンベルトの故障と交換
ファンベルトの故障は、車の重大なトラブルにつながる可能性があります。ここでは、ファンベルトの故障症状や原因、切れてしまった際の対処法、交換作業の詳細手順、そして交換費用の目安について解説します。
ファンベルトの故障症状と原因
ファンベルトの故障による症状は、アイドリング不調やエアコンの効きが悪くなるなどの症状が現れます。経年劣化によるベルトの亀裂やのびが主な原因です。また、ベルトの張りが適切でない場合や、ベルトをかけるプーリーの不具合によってもトラブルが発生します。
ファンベルトが切れてしまうと、バッテリーが上がってしまったり、オーバーヒートしたり深刻な問題につながるため、定期的な点検と適切なタイミングでの交換が大切です。
ファンベルトが切れた際の対処法
ファンベルトが切れてしまった場合、まずは落ち着いて路肩に停車しましょう。エンジンを止め、安全の確保が確認できたら修理先へ連絡します。もしくは、JAFや自動車保険の会社へ連絡する方法もあります。
ファンベルトの交換は修理工場やディーラーで対応してもらえますが、年式や部品の寿命などで車そのものに原因がある場合もあります。
ファンベルトの交換作業の詳細手順
ファンベルトの交換作業は、まず古いベルトを外すところから始まります。テンショナーを緩め、プーリーからベルトを外していきます。新しいベルトを取り付ける際は、ベルトの向きに注意しましょう。Vリブが溝にきちんとはまっているか確認します。
ベルトの向きや、張りの調整などは難しい作業もあるため、自分での作業が不安な方はプロの整備士に依頼することをおすすめします。
ファンベルトの交換費用の目安
ファンベルトの交換費用は、車種や整備工場によって異なりますが、部品代と工賃合わせて1万円~3万円程度が相場です。後の出費を抑えることができるため、定期的な点検と早めの交換をおすすめします。
また、ファンベルトは消耗品のため、車検時に一緒に交換するとタイミングを合わせることができ、点検忘れも防げるでしょう。
ファンベルトとタイミングベルトの違い
ファンベルトとタイミングベルト、一見似ていますが、役割や構造、交換時期、故障リスクなど、実は大きな違いがあります。ファンベルトは補機の駆動に、タイミングベルトはエンジン内部の動作制御に関わっているものです。車のベルトについて、それぞれの特徴を詳しく見ていきましょう。
ファンベルトとタイミングベルトの役割の違い
ファンベルトとタイミングベルトは、どちらも車の重要な部品ですが、役割は大きく異なります。ファンベルトは、エンジンの回転力を利用して、オルタネーター、ウォーターポンプ、エアコンコンプレッサーなどの補機を駆動する役割を担っています。
一方、タイミングベルトは、エンジンのクランクシャフトとカムシャフトを連動させ、エンジンの動作をサポートする役割があります。つまり、ファンベルトは補機の駆動に、タイミングベルトはエンジン内部の動作制御に関わっているのです。
そのため、故障した際の影響も異なり、ファンベルトは切れたり破損したりした場合、取り換えることで通常通りになるケースが多いですが、タイミングベルトが切れるとエンジンそのものが故障する恐れがあるので注意が必要です。
ファンベルトとタイミングベルトの構造の違い
ファンベルトとタイミングベルトは、見た目は似ていますが、構造に大きな違いがあります。ファンベルトは、ゴムベルトの表面に複数のリブ(溝)が刻まれた構造で、取り付け先のプーリーとの接触面積を増やすことで動力伝達効率を高めています。
一方、タイミングベルトは、歯布、ゴム、心線から構成されており、高い強度と耐久性があります。
また、ファンベルトは、テンショナーと呼ばれる張り調整装置で適切な張力に保たれていますが、タイミングベルトは、専用の固定具で正確な位置に固定されています。
ファンベルトとタイミングベルトの交換時期と費用の違い
ファンベルトとタイミングベルトの交換時期と費用は、大きく異なります。ファンベルトの交換時期は、走行距離5万km~10万kmが目安で、費用は工賃込みで1万円~3万円程度が相場です。
一方、タイミングベルトは、約10万kmでの交換が推奨され、費用は車種によっても異なりますが工賃込みで5万円~10万円と高額です。
この違いは、故障リスクの大きさに起因しているといえます。ファンベルトが切れても、その場で停止するだけで済むことが多いですが、タイミングベルトが切れると、最悪の場合エンジンを破損してしまう恐れがあります。だからこそ、タイミングベルトは早めの交換が大切です。
まとめ
車のファンベルトは、エンジンの重要な構成部品で、適切な点検とメンテナンスが必要不可欠です。ベルトの張り具合をチェックし、亀裂や摩耗、ほつれなどの異常がないか定期的に点検しましょう。
故障の兆候を見逃さず、早めの交換を心がけることで、トラブルを未然に防ぐことができます。また、走行距離が10万kmのタイミングでタイミングベルトの交換を検討しましょう。
日頃の点検やメンテナンスで愛車を長持ちさせることが可能です。
【この記事の執筆者】
松永つむじ
予備校講師からライターに転身した車特化ライター
車の情報だけでなく、MaaSやCASEをはじめ社会、産業、経済そしてジェンダーなど、多岐にわたる車をテーマにした記事執筆に携わる。これまでの執筆数は500記事以上になる。
歴代の愛車は全てMT車の車好き&モータースポーツファン。
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