車の冷却水は交換必要?交換時期から費用まで重要ポイントを解説
車のエンジンは常に高温で作動しており、適切な温度管理が欠かせません。その重要な役割を担っているのが冷却水です。
しかし、「冷却水とは何か」「不足するとどうなるのか」といった疑問を持つ方も多いのではないでしょうか。冷却水の管理を怠ると、最悪の場合エンジンが焼き付いてしまう可能性もあります。
この記事では車の冷却水について、その役割から選び方、日常点検の方法まで初心者の方にも分かりやすく解説します。交換時期や費用についても紹介するので、ぜひ参考にしてみてください。
※目次※
・車における冷却水は、エンジンの温度管理に欠かせない液体で、凍結防止などの重要な効果を持っている。
・冷却水には種類があり、車種や使用環境に合わせて選択することが大切。
・冷却水の量を日常点検でチェックし、必要に応じて補充や交換を実施することが重要なポイント。
車における冷却水の役割とは?
車の冷却水は、エンジンの適切な温度管理に不可欠です。ここでは、冷却水の成分や効果、そしてエンジン冷却システムの仕組みについて解説します。また、冷却水が不足した場合に起こり得るトラブルについても紹介するので、ぜひご覧ください。
冷却水の成分と効果
車の冷却水は、エチレングリコールやプロピレングリコールを主成分とする特殊な液体です。単なる水ではなく、エンジンを守るための重要な役割を果たします。
冷却水には防錆剤が含まれており、エンジン内部の金属部品の腐食を防ぐのが役割のひとつです。また、凍結防止効果があり、寒冷地でもエンジンを安全に動作させられます。
エンジン冷却システムの仕組み
エンジンは燃焼により高温になるため、適切な温度管理が欠かせません。車の冷却水は、エンジン内部のウォータージャケットと呼ばれる水路を循環し、熱を吸収します。
ウォーターポンプによって送り出された冷却水は、高温になったエンジンの熱を吸収した後、ラジエーターへと送られます。ラジエーターでは、走行風や電動ファンによって冷却水の熱を外気に放出します。
このように冷却水は、エンジン内部とラジエーターの間を循環することで、エンジン温度を適切に保つのです。ただし、エンジン始動直後は、サーモスタットによって冷却水の流れが制御され、エンジンの暖機を促進する仕組みになっています。
冷却水が不足するとどうなる?
冷却水が不足すると、エンジンの温度管理が適切に行えなくなり、深刻な問題が発生します。まず、水温が上昇し、オーバーヒートの危険性が高まるでしょう。
放置すると、シリンダーヘッドガスケットの破損やエンジンの焼き付きなど、高額な修理が必要となるトラブルにつながります。
オーバーヒートすると、警告灯の点灯やボンネットからの蒸気の噴出などの症状が現れます。オーバーヒートに発展させないためにも、冷却水を適切に管理することが重要です。
車の冷却水の種類と正しい選び方
車の冷却水は、種類によって性能や特性が大きく異なるため、適切な選択が重要です。ここでは、冷却水の基本的な種類と、使用環境に応じた選び方について解説します。
寒冷地での使用やスポーツ走行など、特殊な条件下においてはより慎重な選択が求められるので、ぜひ参考にしてみてください。
大きく分けて2種類ある
車の冷却水には、従来型のLLC(Long Life Coolant)と、より高性能なスーパーLLC(SLLC)の2種類があります。従来型のLLCは赤や緑色が一般的で、エチレングリコールを主成分としています。
一方、スーパーLLCにはピンクや青色があり、プロピレングリコールを主成分とする冷却水です。スーパーLLCは、LLCよりも長寿命で潤滑性が高く、放熱性や吸熱性に優れている特徴を持っています。
使用環境に合わせて冷却水を選択しよう
冷却水の選択は、車の使用環境に合わせて慎重に行う必要があります。スポーツ走行を楽しむドライバーには、高い冷却性能を備えたレーシング向け冷却水が最適です。
一方、寒冷地で使用する際には、凍結温度に注意して冷却水を選びましょう。凍結温度は、冷却水の濃度によって変動します。原液タイプか希釈タイプかを確認し、車を使用している地域の冬季の気温に対応したものを使用することが重要なポイントといえます。
車の冷却水の日常点検と補充方法
日常点検での冷却水の確認から補充まで、適切な管理方法を知ることで、エンジントラブルを未然に防げるでしょう。ここでは、冷却水量の確認方法と点検頻度、補充の具体的な手順、そして冷却水漏れが発生した場合の対処法について解説します。
冷却水量の確認方法と適切な点検頻度
車の冷却水量は、エンジンが冷えた状態で日常点検時に確認することが推奨されます。リザーブタンクの側面にある「FULL(MAX)」と、「LOW(MIN)」のラインの間に液面があるかをチェックしましょう。
点検の際は、エンジンが冷えていることを確認し、リザーブタンクのキャップに記載された「COOLANT」などの表記を確認します。また、冷却水量が極端に少なくなっている場合は、冷却システムからの漏れが考えられるため、整備士による点検が必要です。
冷却水の補充手順
冷却水の補充は、エンジンが冷えた状態で行いましょう。まず、リザーブタンクの「LOW」レベルを確認し、不足している場合は補充が必要です。補充時は、リザーブタンクのキャップを開け、「FULL」のラインまで冷却水を入れます。
使用する冷却水は、種類や色をそろえるようにしましょう。補充後は、キャップをしっかりと閉めます。
冷却水が漏れていたら修理が必要
冷却水は、ラジエーターの破損やホースの劣化により漏れが発生することがあります。漏れの兆候は、車体の下に赤や緑などの着色された液体が見られたり、エチレングリコール特有の甘いにおいがしたりすることです。
また、水温計の表示が通常より高くなったり、走行中に水温警告灯が点灯したりする場合も、漏れている可能性が高いといえます。出先で冷却水漏れを発見したら、エンジンを停止し、安全な場所に停車しましょう。
ただし、エンジン停止直後はラジエーターキャップを開けてはいけません。内部が高温高圧になっているため、熱水が噴き出す危険があるためです。応急処置として水を入れることも可能ですが、防錆効果がないため、早めに整備士による点検を受けることをおすすめします。
冷却水の交換時期や費用、DIYのリスク
車の冷却水交換は、エンジンにとって重要なメンテナンス項目です。しかし、冷却水の種類によって交換時期が異なり、交換費用も作業方法によって大きく変わってきます。また、DIYでの交換はリスクを伴うため、適切な判断が必要です。
ここでは、冷却水交換の適切な時期や費用、DIY作業のリスクについて、具体的なポイントを解説します。
冷却水交換の適切な時期と走行距離の目安
車の冷却水には、LLCとスーパーLLCの2種類ありますが、それぞれ交換時期が異なります。LLCは2年~3年または走行距離4万kmごとの交換が推奨されており、車検のタイミングでの交換が目安です。
一方で、現在多くの車種に純正採用されているスーパーLLCは、初回交換は7年または16万km走行時が目安となります。
ただし、これらの交換時期はあくまで目安であり、車種や使用環境、走行状況によって異なります。自車の冷却水の交換時期については、車両の取扱説明書で確認しましょう。
冷却水の交換費用の目安
冷却水の交換費用は、整備工場やカー用品店に依頼した場合、3,000円~5,000円程度が一般的な相場です。お店によって異なるので、事前に問い合わせることをおすすめします。
冷却水が漏れている場合などの修理費用については、ラジエーター本体の交換で5万円~10万円程度と、高額な費用がかかるかもしれません。複数箇所の修理が必要な場合は、数十万円の費用が発生することもあります。
DIY交換のリスクと注意点
DIYでの冷却水交換は、エンジンが高温の状態で作業すると、やけどのリスクが高く危険を伴います。また、ウォッシャー液のタンクなど、間違えやすい部品が近くにあることから、誤った箇所への注入や適切な量の判断ミスが起こりやすい状況です。
さらに、冷却システム内のエア抜きが不十分な場合、エンジンのオーバーヒートを引き起こす可能性があります。
冷却水は有害な成分を含んでいるため、廃棄方法にも注意が重要です。これらのリスクを考慮すると、冷却水の交換は整備工場やガソリンスタンドなど、信頼できる専門店に依頼することをおすすめします。
車の日常点検における冷却水以外のチェック項目
車の日常点検では、エンジンルーム内のウォッシャー液やブレーキ液、エンジンオイルなどの量を確認します。また、タイヤの空気圧や亀裂、異常な摩耗、溝の深さなども重要な点検項目です。 ランプ類の点灯や点滅、レンズの状態も安全運転に直結します。
運転席では、ブレーキペダルの踏みしろやパーキングブレーキの引きしろ、ワイパーの拭き取り状態、エンジンの始動や異音の有無をチェックしましょう。
これらの点検は1か月に1回程度、または長距離運転前に実施することが推奨されます。日頃から車の状態に注意を払うことで、不具合の早期発見につながります。
まとめ
車のエンジンにおいて、適切な温度管理に不可欠なのが冷却水です。冷却水には、LLCとスーパーLLCがあり、車種や使用環境に応じて適切に選択することが重要です。
日常点検では、リザーバータンクの液量確認を定期的に実施し、必要に応じて補充や交換を行いましょう。
交換時期は、冷却水の種類や使用環境によって異なります。また、冷却水の取り扱いには環境への配慮が必要で、適切な廃棄方法を守ることが重要です。DIYでの作業を検討する場合は、リスクを十分に理解し、難しいと感じたら専門店へ依頼することを推奨します。
【この記事の執筆者】
小波津健吾
高山自動車短期大学を卒業とともに国家2級整備士資格を取得。その後、整備士として実務経験を積み重ね自動車検査員資格を取り、民間工場で検査員として従事した経歴を持つ。現在はメカニックや検査員の知識と経験を活かし、主に車系のメディアで執筆している。
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