車におけるラジエーターの役割とは?仕組みから故障対策まで解説
車を運転していて警告灯が点灯したり、エンジンルームから突然蒸気が発生したりといった経験をした方もいるでしょう。これらの原因のひとつとしてラジエーターのトラブルが挙げられます。ラジエーターは、エンジンの熱を効率的に冷却する重要な部品です。
この記事では、このラジエーターの役割や仕組みに触れつつ、エンジン冷却のメカニズムを解説していきます。
ラジエーターの異常を早期に発見することで、走行時のトラブルを防げるでしょう。ラジエーター以外の冷却系統の部品についても紹介するので、ぜひ参考にしてみてください。
※目次※
・ラジエーターは、車のエンジン冷却を担う重要な部品。
・ラジエーター内を循環する冷却水(クーラント)は、必要に応じて補充もしくは交換が必要。
・ラジエーターなどからの冷却水の漏れを放置すると、オーバーヒートにつながる。
車のラジエーターの基礎知識
ここでは、車のエンジン冷却システムの要となるラジエーターについて、その基本的な役割と構造を詳しく解説します。ラジエーターの定義から始まり、主要部品の機能、そして冷却システム全体の仕組みまで、順を追って説明するので、参考にしてみてください。
ラジエーターとは?
ラジエーターは、車のエンジン冷却システムにおいて中心的な役割を果たす重要な部品です。エンジンが稼働すると大量の熱が発生します。この熱を効率的に取り除き、エンジンを適切な温度に保つのがラジエーターの主な役割です。
具体的には、エンジンの熱を冷却水(クーラント)が受け取り、その熱を空気中に放出して冷却します。この過程で、ラジエーターは熱交換器として機能し、エンジンの過熱を防ぎます。適切に機能するラジエーターは、エンジンの性能維持と寿命延長に不可欠です。
ラジエーターの各部位の機能
ラジエーターは主に、フィン、チューブ、タンク、プレートの4つの重要な部位で構成されています。フィンと呼ばれる薄い金属板は、熱交換の効率を高めるのが役割です。表面積を広げることで、冷却液や空気との接触面積を増やし、冷却性能を向上させます。
チューブは冷却液が循環する管状の部品です。フィンと接触しながら熱を放出し、エンジンの温度を適切に保ちます。タンクは冷却液を一時的にためる役割を果たし、熱を吸収した冷却液を受け入れ、冷却後に再び循環させます。
プレートは、冷却液や空気の流れを誘導して、熱交換効率を高める金属の板です。これらの部位が連携することで、ラジエーターは効率的な冷却システムとして機能し、車のエンジンを適切な温度に保ちます。
冷却システムの全体像
車の冷却システムは、ラジエーターを中心に複数の部品が連携して機能します。エンジンで発生した熱は、ウォータージャケットと呼ばれる水路を通る冷却水によって吸収されます。この高温の冷却水は、ウォーターポンプによってラジエーターへ送られる仕組みです。
ラジエーターで、走行風やファンの風によって冷却された冷却水は、再びエンジンへ戻ります。この循環により、エンジン温度は適切に保たれるのです。そしてリザーバータンクは、冷却水の膨張や収縮を吸収する役割を持っています。
ラジエーターを含めた日常のケアと注意点
ラジエーターの性能を維持し、車の安全性を確保するためには、適切な日常のケアが欠かせません。ここでは、ラジエーターのメンテナンスに関する重要なポイントを解説します。
冷却水の管理から補充・交換の方法、さらにはその他の日常点検項目まで、車の冷却システムを最適な状態に保つための具体的な方法を紹介します。
冷却水(クーラント液)の重要性
冷却水(クーラント液)は、車のエンジンを適切な温度に保つ重要な役割を担っています。エンジンは高温で動作するため、冷却水がなければオーバーヒートを起こし、深刻な故障につながるでしょう。
冷却水は、水と防錆剤などを含む冷却液(LLC)を適切な割合で混合して作られます。この混合比を正しく保つことで、凍結を防ぐことが可能です。
定期的な点検では、冷却水の量と質をチェックしましょう。リザーバータンクの「MIN」と「MAX」の間に液量があるか、また冷却水に濁りや異物がないかを確認します。
冷却水の補充と交換
冷却水の補充は、エンジンが冷えた状態で行います。まず、リザーバータンクの位置を確認しましょう。タンクの目盛りが「MIN」や「LOW」を下回っている場合、補充が必要です。その後、専用の冷却水をゆっくりと注ぎ入れます。
水道水のみの使用は避け、適切な冷却水を使用しましょう。交換時期はクーラントの種類によって異なります。一般的に2年~3年が目安です。スーパーLLCの場合は、7年が目安となります。定期的な点検と適切な補充・交換を心がけましょう。
その他の日常点検で確認すべきポイント
ラジエーターや冷却水以外にも、日常点検で確認すべき重要なポイントがあります。まず、タイヤの状態をチェックしましょう。空気圧が適切か、異常な摩耗や損傷がないかを確認します。
次に、各種ライト類の点灯を確認します。ヘッドライト、ウインカー、ブレーキランプなどが正常に機能しているか確認してください。ブレーキの効きや、パーキングブレーキの引きしろも重要なチェックポイントです。
また、ウィンドウウォッシャー液の量や、ワイパーの状態も確認しましょう。エンジンオイルのレベルや、バッテリーの状態も定期的にチェックが必要です。これらの点検を習慣化することで、車の安全性と性能を維持するとともに、大きなトラブルを未然に防げるでしょう。
車のラジエーターのトラブルと交換費用
ここでは、車の安全性と性能に直結するラジエーターの故障について、主な症状と対処法を解説します。
エンジンのオーバーヒートや水漏れなど、よくある問題とその原因を理解することで、早期発見・早期対処が可能となるでしょう。また、ラジエーターの交換時期や費用の目安についても紹介します。
よくある故障症状とその原因
ラジエーターの故障は、車の安全性と性能に直接影響を与える重要な問題です。代表的な故障症状として、エンジンのオーバーヒートが挙げられます。
これは、ラジエーターが冷却液を適切に冷やせなくなることで発生します。原因としては、冷却水の漏れや、ラジエーターキャップの劣化が主なものです。
ラジエーターキャップは圧力を維持する重要な役割を果たしますが、劣化すると冷却水が沸騰しやすくなり、オーバーヒートの原因となります。これらの問題を防ぐには、定期的な点検と部品交換が不可欠です。
水漏れの対処法
ラジエーターの水漏れを発見したら、ロードサービスなどを利用して修理工場へ持ち込みましょう。
応急処置としては、カー用品店で販売されている水漏れ防止剤を活用する方法があります。ただし、これはあくまで応急措置です。漏れの度合いによっては、改善しない場合があります。
水漏れを放置すると、エンジンのオーバーヒートや焼き付きなどの深刻な問題につながるので、早期発見・早期対処が重要です。定期的なメンテナンスを心がけ、異変に気づいたら速やかに専門家に相談しましょう。
ラジエーターの交換時期と費用
ラジエーターの交換時期は、一般的に普通車で8年~12年、軽自動車で6年~10年程度とされています。しかし、使用環境やメンテナンス状況によって大きく左右されるため、定期的な点検が重要です。
ラジエーター本体からの漏れやにじみ、オーバーヒートの発生などがあります。これらの兆候が見られたら、早めの点検を依頼しましょう。
交換費用は、車種や部品の種類によって異なりますが、約5万円が相場です。10万円前後かかることもあるでしょう。ラジエーターはエンジンを円滑に作動させるための重要な部品であるため、信頼できる業者での交換をおすすめします。
冷却システムの他の重要部品
ラジエーターは車の冷却システムの中心的な役割を果たしますが、他にも重要な部品があります。
ここでは、エンジンの適切な温度管理に欠かせないサーモスタット、冷却水を循環させるウォーターポンプ、そしてラジエーターの冷却効率を高めるファンモーターについて解説します。
サーモスタット
サーモスタットは、エンジン冷却システムにおいて重要な役割を果たすパーツです。エンジンの温度を適切に保つ役割があります。
エンジンが冷えているときは冷却水の流れを止め、エンジンの早期暖機を促進させるのがひとつの機能です。一方、エンジンが適温に達すると、冷却水の流れを開放し、オーバーヒートを防ぎます。
サーモスタットは、温度に応じて開閉するバルブがあり、ワックス式やバイメタル式の感熱機構を採用しています。エンジンの温度が上昇すると、感熱部が膨張してバルブが開き、冷却水がラジエーターへ流れます。
ウォーターポンプ
ウォーターポンプは、エンジン冷却システムの心臓部ともいえる重要な部品です。その主な役割は、冷却水を循環させることで、ベルトなどを介して作動します。ポンプの羽根車が回転することで、エンジンブロックやシリンダーヘッド内の水路へ冷却水を送り出します。
ウォーターポンプの故障は、冷却水の循環不良を引き起こし、エンジンのオーバーヒートにつながる可能性があります。そのため、定期的な点検が重要です。異音や水漏れなどの症状が見られた場合は、早めに修理しましょう。
ラジエーターファンモーター
エンジン冷却システムにおいて、ラジエーターファンモーターも欠かせない部品として挙げられます。その主な役割は、ラジエーターを通過する空気の流れを生み出し、エンジンの適切な冷却を維持することです。
車が停止中や低速走行時、自然な空気の流れが不十分な場合に作動し、強制的に空気を送り込みます。
ファンモーターは、制御信号に応じて自動的にオン・オフを切り替えます。これにより、エンジンの温度を最適に保ち、オーバーヒートを防止するのです。また、エアコンのコンデンサーの冷却も担っており、車内の快適性を維持する役割も果たしています。
まとめ
ラジエーターは車の冷却システムの中核を担う重要な部品です。エンジンの熱を効率的に放出し、適切な温度を維持する役割があります。日常のケアとして、冷却水の量や漏れのチェック、定期的な交換が必要です。
また、オーバーヒートなどのトラブルに備え、症状や対処法を理解しておくことが大切です。さらに、サーモスタットやウォーターポンプなど、他の冷却系統部品の役割も把握しておくと、車の冷却システム全体の理解が深まります。
【この記事の執筆者】
小波津健吾
高山自動車短期大学を卒業とともに国家2級整備士資格を取得。その後、整備士として実務経験を積み重ね自動車検査員資格を取り、民間工場で検査員として従事した経歴を持つ。現在はメカニックや検査員の知識と経験を活かし、主に車系のメディアで執筆している。
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