車の修理はどこに依頼すべき？3つの主な依頼先とその特徴を解説
車の修理が必要になった際、悩んでしまうのが修理の依頼先です。ディーラー、大手カー用品店、街の整備工場など、選択肢はさまざまですが、それぞれに特徴があります。適切な選択をすることで修理費用を抑えたり、より質の高いサービスを受けられたりするため、事前に知っておくと安心です。
そこでこの記事では、各修理先の特徴や、費用を抑えるポイント、さらには車の故障事例まで幅広く紹介します。修理の頻度を減らすために効果的な点検とメンテナンスについても解説するので、車を所持している方は、ぜひご一読ください。
※目次※
・車の主な修理先には、ディーラー・カー用品店・整備工場などがあり、それぞれの特徴を把握して選ぶことが大切。
・車の故障事例には、タイヤのトラブルやバッテリー上がりなどがある。
・車の修理の頻度を下げるためにも、定期的な点検とメンテナンスが大切。
車の修理ができる場所とそれぞれの特徴
車修理の依頼先には、ディーラー、大手カー用品店、街の整備工場の3つの主要な選択肢があります。それぞれの特徴や強みを理解することで、自分のニーズに合った最適な修理先を選べるでしょう。まずは、これら3つの修理先のメリットやデメリットをチェックしていきましょう。
ディーラーでの修理
ディーラーでの車修理は、特定メーカーの正規販売店で行われるサービスです。メーカー純正部品を使用し、高品質な修理が期待できる点が特徴です。
メーカー保証対象の場合、無料で修理を受けられる点も大きなメリットでしょう。また、車の状態を熟知した専門スタッフによる丁寧な対応も魅力です。
一方で、修理期間が長くなる可能性や、費用が他の選択肢と比べて高くなりがちなのがデメリットとして挙げられます。純正パーツの使用や高めの手数料設定により、修理費用が割高になる傾向があるでしょう。
時間や費用よりも品質と安心感を重視する場合は、ディーラーでの修理がおすすめです。
カー用品店
大手カー用品店での車修理は、コストを抑えたい方におすすめです。社外パーツの使用により、比較的安価に修理や交換が可能です。また、修理方法の選択肢を提示してくれることが多く、予算に応じた対応が可能です。
しかし、整備工場やディーラーと比べると対応できる修理の範囲が限定的といえるでしょう。軽度な修理や小さなキズの修復、簡単な整備であれば十分対応可能ですが、専門的な機械や高度な技術を要する修理は難しい場合があります。修理の可否については、事前に店舗で相談するとよいでしょう。
街の整備工場
街の整備工場は、手ごろな価格と柔軟な対応が魅力です。大手チェーンや個人経営の工場があり、地域に密着したサービスを提供していることもあるでしょう。社外パーツの使用などにより修理費用を抑えられる点が魅力です。また、さまざまなメーカーや車種に対応できる技術力もポイントといえるでしょう。
修理の相談や見積もりが取りやすく、顧客の要望に応じた柔軟な対応が可能です。さらに、修理期間も比較的短いのが特徴です。
ただし、工場によって技術力や設備に差があるため、評判や実績を事前に確認しておくことをおすすめします。信頼できる整備工場を見つけることで、長期的な車のメンテナンスパートナーとして活用できるでしょう。
車の修理先の特徴【ディーラーの場合】
修理先としてまず考えられるのがディーラーです。ディーラーは主に各メーカーの看板を掲げて新車を販売していますが、修理にも積極的に応じています。
ほとんどのディーラーは全国展開しているため、どの店舗でも技術力にほとんど差はありません。ここではディーラーで修理するメリットとデメリットをチェックしていきましょう。
ディーラーで修理するメリット
保証期間内の修理であれば、ディーラーで作業してもらうことがおすすめです。全国展開しているので、居住地に左右されず一定水準のサービスが受けられます。
もうひとつのメリットは、部品や消耗品の交換において、メーカーの純正パーツを使うことが多いということでしょう。メーカーが供給している純正品は、安心感があります。
また、サービスが充実していることもメリットです。約束の時間を厳守することはもちろん、待ち時間は飲み物や茶菓子をサービスしてくれることもあるでしょう。
さらに、最近では、ほとんどのディーラーがキッズルームを兼ね備えており、子ども連れの際も安心です。
ディーラーで修理するデメリット
デメリットは修理代が高くなりやすい傾向があることです。飲み物や茶菓子も提供なども、サービス料金に含まれています。
ディーラーには多くのスタッフが働いているため人件費もかかり、キッズルームや雑誌などにも、コストがかかっています。こうしたコストを回収するため、全体として単価が高い傾向にあるといえるでしょう。
車の修理先の特徴【カー用品店の場合】
もうひとつの選択肢はカー用品店です。全国に店舗があり、ディーラーよりも安い価格での修理が期待できます。店によっては、ピットの数が多く、飛び込みの修理を受け付けてくれるのも強みです。
ここでは、カー用品店にどのようなメリットがあるのか、デメリットは何なのか考えます。
カー用品店で修理するメリット
最大のメリットは修理代の安さです。保証期間が終わっていれば、ディーラーに依頼するより、安い価格で修理ができるでしょう。
手軽に修理を依頼できる利点もあります。ディーラーの場合、事前の予約なしで訪問すると、その場での修理が難しいケースがほとんどです。
カー用品店の場合、ピットの数が多かったり営業時間が長かったりと、その日のうちに修理に応じてくれることもあります。なお、部品交換の場合、メーカー純正品にこだわらなければ、選択肢も増えます。
カー用品店で修理するデメリット
難しい修理には対応できない場合があることは、カー用品店のデメリットといえるでしょう。
車によってはメーカーの最新技術を駆使したシステムが、エンジンや駆動系などに取り入れられています。これらの不具合は、特定のメーカーの車種に熟知した整備士でなければ、対応が困難であることがほとんどです。
車の修理先の特徴【整備工場の場合】
車の修理工場や整備工場に持ち込む方法もあります。こうした工場は修理や整備が主な仕事なだけに、修理先としておすすめなのか気になるところです。ここでは、街の整備工場のメリットとデメリットを紹介します。
整備工場で修理するメリット
さまざまな修理に対応してくれるのが整備工場で修理するメリットです。古い車だけでなく、外車やカスタマイズした車に対応した工場もあります。
整備工場の整備士は、比較的少人数で仕事をしているケースがほとんどです。中には、経営者ひとりで工場を切り盛りしているところもあります。親しくなると、車についてのさまざまな相談に応じてくれることもあるでしょう。
車にとっての「街のお医者さん」のような存在です。軽微な故障だと、修理代はカー用品店より安いこともあります。
整備工場で修理するデメリット
デメリットとして挙げられる点は、修理に時間のかかることが多いということです。少人数で仕事をしているので、大手カー用品店のように、スピード感のある対応は難しいことがあります。部品の調達もすぐにというわけにはいきません。
さらに、整備工場によって当たり外れがあることです。全国チェーンの店舗と違い、技術力やサービスにはバラツキがある点も懸念点といえるでしょう。
車の修理費用を抑えるためのポイントと注意点
ここでは、車修理の費用を抑えるための重要なポイントと注意点について解説します。複数の修理店での見積もり比較、中古部品の活用、DIY修理の可能性など、具体的な方法を紹介します。
これらの戦略を適切に活用することで、車修理にかかる費用を大幅に削減できる可能性があります。
複数の修理店で見積もりを取る重要性
複数の修理店で見積もりを取ることは、車修理の費用を抑えるために重要です。一般的に、同じ修理内容でも、店舗によって工賃や部品の価格設定が異なります。
見積もりを比較する際は、修理内容や使用部品の詳細を確認し、各店舗の特徴や強みを考慮しましょう。ただし、単に安さだけで判断するのではなく、修理の質や保証内容も重要な選択基準です。
複数の見積もりを比較することで、適正価格の把握や不要な修理の回避にもつながり、結果的に費用を抑えられます。
中古部品や再生品を活用する
中古部品やリビルト部品（再生品）を活用することで、車修理のコストを大幅に抑えられます。新品部品と比較して、数十%の費用削減が可能です。
ただし、中古部品の選択には注意が必要です。品質や保証内容を確認し、信頼できる業者から購入することが重要です。また、安全性に関わる重要な部品は新品を使用するなど、適切な判断も重要となります。
なお、中古部品やリビルト部品の活用は、コスト面だけでなく、環境への配慮にもつながる選択肢といえるでしょう。
DIY修理の可能性と限界
DIY修理は、費用削減と車への愛着を深める効果があります。DIY修理を実施することで、工賃の節約が可能です。また、車の仕組みへの理解も深まるきっかけとなるでしょう。
しかし、適切な知識と技術が不可欠で、不注意な作業は事故やけがのリスクがあります。また、DIYで対応できる修理の範囲は限られており、複雑な修理や安全性に関わる部分は専門家に任せるほうがおすすめです。
DIY修理は、自己の技量と限界を理解した上で、適切に判断するようにしましょう。
車の修理依頼前に確認すること
車の修理を任せるところを決める前に、いくつか確認しておきたい項目があります。これらを確認する前に修理の依頼先を決めると、金銭面で損をしてしまうかもしれません。
ここからは、修理を依頼する場所を検討する際に、確認しておきたい3つのポイントについて詳しく見ていきましょう。
加入している自動車保険の内容
自賠責保険以外に任意の自動車保険に加入している場合は、車両保険や対物賠償の対象になって修理に適応できるケースがあります。車両保険は自分の車の修理費用を補償してくれる保険で、対物賠償は事故相手の車に損害が出たときに修理費用を補償してくれる保険です。
また、事故で修理が必要になったときは、相手の保険の内容も確認する必要があります。任意保険に加入していれば自動車保険の適用や調整は保険会社がやってくれるので、いざというときに備えて加入しておくとよいでしょう。
メーカー保証を受けられるか
メーカー保証は、新車を購入したときに付帯される保証の1種です。メーカー保証の適応内であれば無料で修理を受けられるので、修理に出す前に条件を満たしているか問い合わせてみましょう。
多くのメーカーでは「一般保証」と「特別保証」の2種類の保証を用意しており、「特別保証」は保証期間が長めに設定されています。
車検整備保証の保証内か
車検整備保証は、車検時の整備ミスなどが原因となって発生したトラブルに適応される補償です。保証期間中なら無料で整備や修理を受けられることがあります。ただし、車検整備保証が適応されるのは車検でミスや使用した部品の不具合があったと認められた場合に限られるため、自分の運転ミスによる損傷は対象外です。
実際の保証範囲は車検業者によって異なるため、個別に確認が必要です。車検整備保証自体の有無も含めて内容をチェックしてみましょう。
よくある車の故障や修理について把握しよう
車の修理は、安全性と経済性の両面から重要です。ここでは、頻繁に発生しがちな車の故障や修理について解説します。主に、タイヤの寿命や損傷、バッテリー上がり、オイルや冷却水の漏れなどの故障が挙げられます。
タイヤの寿命や損傷
タイヤに関するトラブルは、頻繁に発生する問題のひとつです。タイヤの寿命は、使用状況や運転スタイルによって大きく異なりますが、一般的な目安があります。
新品タイヤの場合、約3万kmの走行で使用限度に達するといわれています。これは、タイヤの溝が1.6mmになる目安です。しかし、単純に走行距離だけでなく、使用年数も重要な要素です。
多くのタイヤメーカーは、使用開始後4年~5年での交換を推奨しています。これは、ゴム製品であるタイヤが時間とともに劣化し、性能が低下するためです。また、パンクなどの外的要因によってダメージを負うケースもあるため注意しましょう。
バッテリー上がり
バッテリー上がりも多くあるトラブルのひとつです。一般的に、車のバッテリーの寿命は2年~4年程度とされています。しかし、使用状況や環境によっては、それよりも早く劣化することがあります。
バッテリー上がりの主な原因には、以下のようなものがあります
1. バッテリーの寿命
2. オルタネーターの故障
3. ライトの消し忘れ
4. 長期間の未使用
特に、ライトの消し忘れは注意が必要です。エンジンを切った状態でライトを付けたままにすると、数時間でバッテリーが上がってしまう可能性があります。
オイルや冷却水の漏れ
オイルや冷却水の漏れは、使用過程における部品やシール剤、ガスケットの劣化が主な原因です。エンジンやトランスミッションからのオイル漏れは、車の性能低下や故障につながる可能性が高いため、早めに修理することをおすすめします。
冷却水の漏れは、主にラジエーター、ウォーターポンプ、ホースなどで発生します。これらの問題は早期発見・修理が重要で、放置するとオーバーヒートにより重大なエンジントラブルにつながるでしょう。
定期的な点検と適切なメンテナンスを心がけ、異常を感じたら速やかに整備工場で診断を受けることが大切です。
車の故障事例は多岐にわたる
車の故障は多岐にわたり、セルモーター（スターター）の故障やエアコンの不具合、警告灯の点灯などが発生することもあります。セルモーターの故障は、エンジンがかからない、またはかかりにくくなる症状として現れます。
エアコンの故障は、冷えが悪くなる、異音がするなどの症状で気付くでしょう。警告灯の点灯は、コンピューターやアクチュエーター、各部のセンサーなどに問題がある可能性を示唆します。
この他にもワイパーやパワーウインドウ、電動ドアミラーなどの電装品が故障したり、ブレーキ部品に異常があったりと、車の使用過程において修理が必要なケースはさまざまです。
点検とメンテナンスで車の修理頻度を減らそう
車の修理頻度を減らすためには、定期的な点検とメンテナンスが欠かせません。適切な管理により、突然の故障を防ぎ、車の寿命を延ばすことにつながります。ここでは、車の修理頻度を減らすための3つの重要なポイントを紹介するので、ぜひ参考にしてください。
日常点検を実施する
日常点検は、車の安全性を維持するために欠かせない重要な作業です。日常点検の主な項目には、ブレーキ液やエンジンオイル、冷却水の量、タイヤの空気圧、ライトの点灯確認などがあります。
これらの点検を定期的に行うことで、車の異常を早期に発見し、重大な故障や事故を未然に防げるでしょう。
日常点検は、走行距離や使用状況に応じて適切な頻度で実施することが大切です。例えば、長距離ドライブの前後や、週に1回程度の点検が推奨されています。点検時に気になる箇所があれば、すぐに整備工場へ相談することをおすすめします。
日常点検は、専門知識がなくても簡単に行えるものがほとんどです。車両の取扱説明書を参考に、自分で実施できる項目から始めてみましょう。定期的な点検習慣を身に付けることで、車の状態を把握し、安全な運転につながります。
法定点検を依頼する
法定点検は、車の安全性を確保するために法律で定められた点検整備です。自家用車の場合、12か月点検（1年点検）と24か月点検（2年点検）の2種類があります。24か月点検は車検と同時に実施されますが、両者の目的は異なります。
法定点検は、車の故障を事前に防ぎ、安全性を維持するためのものです。専門的な知識が必要なため、国の認証を受けた整備工場に依頼することをおすすめします。
プロに依頼することで、車の状態を確実にチェックしてもらえるだけでなく、消耗品の交換時期なども適切に判断してもらえるでしょう。
また、点検結果は記録として残るため、将来の車の売買時にも有利に働く可能性があります。安全で快適なカーライフを送るために、法定点検は欠かせない重要な要素といえるでしょう。
定期的に消耗品を交換する
定期的な消耗品の交換は、安全性の維持と高額な修理費用の回避に不可欠です。エンジンオイルは6か月または5,000km走行ごとに実施するなど、車の特性や使用状況を考慮して判断しましょう。タイヤは溝の深さや使用年数に応じて交換し、ワイパーゴムは1年ごとに新調するのが望ましいといえます。
バッテリーは、車種や使用状況によって寿命が異なるので、半年ごとにチェックを依頼して交換時期を見極めましょう。冷却水は、種類によって2年または7年~10年ごとの交換が適切です。
これらの消耗品を適切なタイミングで交換することで、エンジンの保護や燃費の向上、安全性の確保につながります。
車の状態によっては修理より買い替えが適した場合もある
車に傷が付いたときや故障したときは、まず修理を考える方が多いかもしれませんが、買い替えを検討するタイミングとも捉えられます。
車の故障状況によっては修理して乗り続けるよりも、乗り換えたほうが結果的にお得な場合もあるため、焦らずに検討しましょう。
買い換えたほうが出費を抑えられるケースもある
車の修理にかかる費用は、決して安いものではありません。修理期間も長くなればなるほど不便です。また、購入から年数がたった車であればあるほど、故障の可能性は高くなり、修理にかかる費用や時間も多くなるでしょう。
古くなった車は、故障を修理し続けるよりも買い換えたほうが出費は少なくなるケースもあります。頻繁に修理をして出費が増えることを考えれば、故障しない新しい車に乗り換えるほうがお得かもしれません。
予算が限られているなら中古車という選択肢もある
車の修理も、新車への乗り換えも金銭的に厳しいという場合は、中古車への乗り換えという方法も選択肢のひとつです。同車種でも新車価格よりも安く手に入ることが最大のメリットで、年式や状態にもよりますがかなり安価に購入できるケースもあります。
デメリットとして挙げられるのは、年式が古いもしくは走行距離が長い個体だと、新車よりも故障のリスクが高くなったり、消耗品の交換が必要になったりすることです。
そうなるとさらに出費がかさむ可能性もあるので、状態をよく確認した上で購入することをおすすめします。
まとめ
車の修理には、ディーラーや大手カー用品店、地域にある整備工場など、いくつか選択肢があります。各場所のメリットとデメリットを理解し、修理費用を抑えるポイントを押さえることが重要です。
また、よくある故障や修理について知識を持ち、定期的な点検とメンテナンスを行うことで、修理頻度の減少につながるでしょう。修理代が高額な場合は、乗り換えることも検討する価値があります。
▼ライタープロフィール
小波津健吾
高山自動車短期大学を卒業とともに国家2級整備士資格を取得。その後、整備士として実務経験を積み重ね自動車検査員資格を取り、民間工場で検査員として従事した経歴を持つ。現在はメカニックや検査員の知識と経験を活かし、主に車系のメディアで執筆している。
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