三菱の小さい車の種類とは?販売車種や生産終了車種をご紹介
パジェロやデリカ、アウトランダーなどのSUVやクロスカントリーモデルの印象が強かった三菱自動車は、2000年代に苦境を迎え、その後に日産と提携することになりました。販売車種は統合や廃止などによって整理されましたが、小型モデルは今でも複数をラインアップしています。
ここではかつて個性ある軽自動車として人気を得ていたi(アイ)や現行モデルのラインアップなどを紹介していきます。
※目次※
3. 三菱i(アイ)のように小さいEV車「i-MiEV(アイミーブ)」もある
・三菱自動車の小型車は軽自動車とコンパクトカー合わせて9車種が用意されている
・個性的な車を生産していた三菱自動車では、リアミッドにエンジンを積んだi(アイ)があった
・i(アイ)をベースにした量産電気自動車のi-MiEV(アイミーブ)は、リーフより先に個人販売をスタートしていた
三菱の小さい車にはどんな種類があるの?
かつて三菱自動車といえばSUVの雄として知られたパジェロやミニバンの先駆者となったデリカをはじめ、セダンやコンパクトカー、軽自動車と幅広いラインアップを誇っていました。
しかし、2016年に日産が筆頭株主となり日産とルノーのアライアンスに組み込まれました。現在ではカーラインアップを整理して、コンパクトカーが3車種、軽自動車が6車種となっていて、デリカD5は継続して販売されていますが、残念ながらパジェロは販売されていません。
乗車定員4人の軽自動車
三菱自動車は日産と共同で軽自動車の開発と生産を行っています。協業は、日産が三菱自動車の筆頭株主になる前の2011年からで、すでに10年以上が経過しています。そのためラインアップされている6車種のうち、3車種は日産の軽自動車と兄弟車となっています。
ワンボックスタイプのタウンボックスは、スズキからOEMで供給を受けていて、ベースはスズキ・エブリイワゴンとなっています。
車名 |
価格 |
eKクロス EV |
254万6,500円~ |
eKクロス |
146万3,000円~ |
eKワゴン |
132万5,500円~ |
eKクロススペース |
165万5,500円~ |
eKスペース |
139万9,200円~ |
タウンボックス |
177万8,700円~ |
(2023年2月現在)
乗車定員5人のコンパクトカー
軽自動車の上位モデルとなるコンパクトカーは3モデルがラインアップされています。デリカD:2は、スズキのソリオとソリオバンディットがベースとなっているOEMモデルです。タウンボックスと同様にスズキの車両がベースとなっていますが、内外装ともに三菱自動車のオリジナリティで仕上げています。
ミラージュは三菱自動車の伝統的なコンパクトカーで、一時期モデルが途切れていましたが2012年から現行モデルが販売されています。
車名 |
価格 |
デリカD:2 |
188万3,200円~ |
デリカD:2カスタム |
214万1,700円~ |
ミラージュ |
149万500円~ |
(2023年2月現在)
生産終了した三菱i(アイ)は軽自動車の中でも小さい車
2006年1月に販売がスタートした三菱自動車のi(アイ)は、新しく開発された直列3気筒のエンジンやリアミッドにエンジンを搭載するプラットホームなど新技術を多く取り入れた軽自動車でした。
リアミッドにエンジンを置くことでホイールベースが長く取れ、軽自動車では最大とれ寸歩は2,550mmとなっていました。十分なホイールベースが取れたことで室内長も余裕があり、軽自動車としてはライバル車を上回るところが多かったようです。
革新的スモール軽
2006年1月に市販バージョンとして発売されたi(アイ)は、エンジンを固定する部分に後軸の上45度に傾け設置するという今までにない『リアミッドシップ』のプラットホームを搭載しました。
そのためタイヤが端のギリギリに配置され、軽自動車としては珍しい2550mmの長いホイールベースを搭載したため車内が広くなったのです。さらに回転率が上がるようにピストンの動きを早くし、バルブの開け閉めを可変させるMIVECのついた直列3気筒ターボを採用しています。
丸みを帯びた見た目
i(アイ)の最大の特徴は個性的で近未来的な外観です。正面からの見た目は、丸みを帯びたフォルムで、モーターショーで展示されるコンセプトカーのようにも見えます。i(アイ)は2006年に軽自動車では初となるグッドデザイン賞を獲得するなど、広く認められているデザインです。
また、外観だけでなくインテリアも個性的。内装は白基調ですが、シートはやボードに赤をあしらった逆コントラストを生み出しています。ボディカラーも全10色あり、個性を追い求めたい方にぴったりです。
個性的なフロントガラス
i(アイ)の良いところは、個性的で広いフロントガラスでしょう。前側にエンジンや他の部品などがないことでデザインの幅が広がり、斬新で可愛らしく未来的なフォルムに仕上がっているのです。
ドアを開いたときの入り口も大きく乗り降りがしやすい形状になっています。また、荷室のドアは手の届きやすい高さで開閉しやすくなっているため、背の小さい女性でも扱いやすいでしょう。タイヤサイズも大きく前と後ろのタイヤの距離が長くなっていることで、運転したときのハンドルの操作性や曲がり道のときの車体の動きなどが安定するので走りを楽しむことができます。
フルモデルチェンジなしで生産終了
1代で生産が終わってしまった理由は、消費者ニーズとの噛み合いが大きな要因でしょう。昨今の軽自動車のトレンドやニーズから車に高さを求める傾向にあります。i(アイ)は車内が横に広く質感の良い走りができるのですが、高さの部分とそれに見合う価格でなかった点から購入まで至らなかったのです。
軽自動車はサイズが決まっています。そのため荷物を入れる空間を広くすることに限界があり、車内スペースを有効活用できるハイトワゴンが人気の中心です。i(アイ)はフロントシートに余裕はあるものの、リアシートはそこまで広くありません。売れなかったというよりも、ニーズに合わなかったと言うほうが正しいでしょう。
このような経緯から、残念ながらi(アイ)は2006年から2013年までの期間の1代しか登場しませんでした。
三菱i(アイ)のように小さいEV車「i-MiEV(アイミーブ)」もある
i(アイ)はリアミッドにエンジンを搭載したプラットホームを採用したことから、ホイールベースが長いのが特徴でした。長いホイールベースは電池パックを搭載するのに最適で、アイをベースに電気自動車が開発されました。それが2009年に正式発表されたi-MiEV(アイミーブ)で、日産・リーフより先に個人消費者に対して販売していました。
世界初の量産電気自動車
2006年にi(アイ)が市販化されると同じくして開発がスタートしたのが電気自動車のi-MiEV(アイミーブ)でした。2008年になると国内で実証実験が始まり、2009年に量産化が開始されたのです。それまでは法人向けの販売のみでしたが、翌2010年4月からは一般ユーザーも手に入れることが可能となりました。
i-MiEVは、日産・リーフの発売より半年以上前から個人向けに販売されていたことになります。当時の販売価格は459万9,000円で、国や地方自治体の補助金を適用すると300万円前後となっていました。
軽自動車から普通車になっている
2009年から量産化したi-MiEV(アイミーブ)は、6回の一部改良を行い2021年3月まで生産されていました。2011年の改良はマイナーチェンジに相当するもので、エントリーグレードのMが追加されました。
Mグレードのバッテリー容量は、Gの16.0kWhに対して10.5kWhとなっていました。その分価格は抑えられていて260万円でした。このマイナーチェンジでGも380万円と価格改定が行われました。2018年の改良ではバンパー形状が変更され、全長が3,480mmとなりました。この軽量で軽自動車から小型乗用車へと扱いが変わったのです。
三菱i(アイ)のように小さい車を4つご紹介!
i(アイ)は生産が終了されているため中古車でしか手に入らず、流通も少ないため欲しいタイミングで出会えるとは限りません。i(アイ)のようにサイズの小さい車を4つご紹介しますので、購入時の候補の幅を広げてみましょう。
スズキ・ワゴンR
この車は天井の高さがあるトールワゴンで、現在の標準的な軽自動車の先駆けといっても良いでしょう。1993年の発売開始から現在まで継続的な人気を得ている車です。ラゲッジルームは広く使い勝手が良いだけでなく、基本的な安全機能も搭載され事故に合いそうになった場合の予防安全の機能も充実しています。
2017年以降のモデルにはマイルドハイブリッドが搭載されているので、燃費面を重視するのであればこの年式以降がおすすめです。
サイズ |
全長3,395mm×全幅1,475mm×全高1,650mm |
車両重量 |
730~820kg |
エンジン |
水冷4サイクル直列3気筒 |
駆動方式 |
2WD/4WD |
トランスミッション |
5MT/CVT |
排気量 |
657cc |
最高出力 |
49PS/6,500rpm |
最大トルク |
58N・m/5,000rpm |
乗車定員 |
4人 |
新車価格 |
121万7,700円~150万9,200円 |
中古車価格 |
19万9,000円~135万7,000円 |
(2023年2月時点の情報です)
(参考: 『ワゴンR(スズキ)の中古車一覧|新車・中古車の【ネクステージ】』)
ホンダ・ライフ
ライフは1971年から2014年まで販売されたホンダの代表的な軽自動車です。ライフはフロントベンチシートとインパネシフトを採用しているので運転席から助手席へ簡単に移動ができます。後席も足を組めるほどの余裕とベビーカーを縦横どちらでも積めるスペースも特徴です。
サイズ |
全長3,395mm×全幅1,475mm×全高1,610mm~1,655mm |
車両重量 |
810kg |
エンジン |
水冷直列3気筒横置 |
駆動方式 |
FF/4WD |
トランスミッション |
4AT |
排気量 |
658cc |
最高出力 |
52PS/7,100rpm |
最大トルク |
60N・m/3,600rpm |
乗車定員 |
4人 |
中古車価格 |
16万9,000円~62万9,000円 |
(2023年2月時点の情報です)
(参考: 『ライフ(ホンダ)の中古車一覧|新車・中古車の【ネクステージ】』)
ダイハツ・タント
「しあわせ家族空間」をコンセプトに、初代モデルがファミリー向けに2003年から発売されています。2019年には現在のモデルである4代目が発売されており、前側のドアと後ろのドアとの間に柱を無くしたミラクルオープンドアが新しく搭載されました。乗り降りのしやすいスーパーハイトワゴンとして人気が高いモデルです。
サイズ |
全長3,395mm×全幅1,475mm×全高1,755/1,775mm |
車両重量 |
880kg~980kg |
エンジン |
水冷直列3気筒12バルブDOHC横置き/水冷直列3気筒12バルブDOHCインタークーラーターボ横置き |
駆動方式 |
2WD/4WD |
トランスミッション |
CVT |
排気量 |
658cc |
最高出力 |
52PS~64PS/6,400rpm~6,900rpm |
最大トルク |
60N・m~100N・m/3,600rpm |
乗車定員 |
4人 |
新車価格 |
135万3,000円~199万1,000円 |
中古車価格 |
15万9,000円~199万9,000円 |
(2023年2月時点の情報です)
(参考: 『タント(ダイハツ)の中古車一覧|新車・中古車の【ネクステージ】』)
スバル・ステラ
2014年に発売されている現行モデルのステラは『クールドi-EGR』と『CVTサーモコントローラー』により低燃費を実現していて、2代目に引き続き、ダイハツ・ムーブのOEMモデルとなっています。スバル車らしくドライビングポジションにもこだわっており、ステアリング位置を変更できるチルトステアリングも採用されています。
リアシートは分割のロングスライドシートになっているため積載性が高く、アレンジ次第では車内で横になることも可能です。
サイズ |
全長3395mm×全幅1475mm×全高1630mm |
車両重量 |
820kg~890kg |
エンジン |
直列3気筒 DOHC 12バルブ |
駆動方式 |
2WD/4WD |
トランスミッション |
CVT |
排気量 |
658cc |
最高出力 |
52PS/6800rpm |
最大トルク |
60N・m/5200rpm |
乗車定員 |
4人 |
新車価格 |
120万1,200円~164万4,500円 |
中古車価格 |
20万9,000円~135万9,000円 |
(2023年2月時点の情報です)
PR三菱の中古車をチェック
※価格は支払総額
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まとめ
三菱自動車は2000年代の苦境や日産との提携など厳しい経営状況が続いてきたが、それでもコンパクトカーと軽自動車は多くのラインアップを守っています。かつてはi(アイ)やi-MiEV(アイミーブ)のような魅力的な車を開発、生産していて、それらは今でも人気のモデルとなっています。
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▼ライタープロフィール
真鍋裕行
出版社勤務を経て2008年にフリーランスのライター・エディターとして独立し、自動車雑誌、ウェブサイトなどに原稿を寄稿。編集者時代に培ったアフターマーケットの情報から各国のモーターショーで得た最新事情まで幅広くリポート。業務拡張につき2011年に会社を設立。自動車ジャーナリストとしての自動車メディアへの寄稿は続けつつ、メディアコンテンツの製作(雑誌、Web、アプリetc)に取り組んでいる。メディアコンテンツの製作ではオーナーや協力者のコミュニティを作ることを考えるなど、単純な製作で終わらないことを心掛ける。また、近年ではレースチームのディレクターや PRも積極的に携わる。