スズキ エリオを徹底解説!短命で消えたゆとりの室内を持つコンパクトカー
スズキで現在販売されているハッチバックのコンパクトカーは、スイフトとスイフトスポーツのみです。どちらも魅力あふれる車ではありますが、室内の広さを求める方にとっては理想に届かないこともあるかもしれません。
スズキは、過去に広い車内が特徴のコンパクトカー「エリオ」を販売していました。エリオは他にどのような特徴を持った車だったのでしょうか。この記事では、スズキ エリオに焦点を当て、その特徴と歴史を紹介します。最後まで読むことで、スズキのコンパクトカー選びの選択肢を増やせるでしょう。
※目次※
5.入手しにくいエリオより最新のスズキのコンパクトカーがおすすめ
・スズキ エリオにはハッチバックとセダンがあり、どちらも広い車内が魅力
・スズキ エリオはフルモデルチェンジをしなかったものの、4回の改良が行われている
・希少車のエリオは購入が難しいため、似た特徴を持つ「ソリオ」と「エスクード」がおすすめ
スズキ エリオとはどのような車?
ハッチバックのコンパクトカーはさまざまなメーカーから販売されていますが、ボディフォルムは全体的に似ています。しかし、スズキ エリオはミニバンを連想させる個性的なデザインです。ここでは、スズキ エリオの概要と、内外装デザインやエンジンなどの特徴を紹介します。
2001年1月に登場したコンパクトカー
スズキ エリオの発売が発表されたのは、21世紀になってすぐの2001年1月23日です。扱いやすいコンパクトサイズながら、足元と天井にゆとりのある広い室内を特徴としています。
ボディサイズは全長4,230mm、全幅1,690mm、全高1,550mm、ホイールベースは2,480mmです。排気量は1,490ccのため、5ナンバー車に該当します。居住性の高さだけでなく、安全性や環境性も配慮されていることも魅力です。
個性が引き立つ内外装のデザイン
エリオのエクステリアは、空気の流れをイメージしたダイナミックなボディフォルムが特徴です。フロントグリルには、現在では見られない当時の新デザインエンブレムが装着されています。バックドアには、個性的なV字型のデザインが採用されていました。
インテリアの特徴は、低めに設置された2トーンカラーのインパネです。インパネが低い位置にあることで、前方の視界を広げ、車内に開放感を生んでいます。メーターパネルには、薄型のデジタルメーターが採用されました。
パワフルかつ静粛性にも優れたエンジンを搭載
スズキ エリオに搭載されているエンジンは、エリオが初搭載となるオールアルミDOHCエンジン「M15A」です。このエンジンは動力性・静粛性・信頼性が図られており、高い出力ながらも振動や騒音を抑え、静粛性を保ちます。
M15Aエンジンは環境にも配慮されており、エリオは「平成12年基準排出ガス50%低減レベル(優-低排出ガス)」認定を取得しました。
パワフルさと高い環境性能は、運転状況に合わせて吸気バルブタイミングを制御する「VVT機構(連続可変バルブタイミング機構)」の採用も大きく関係しています。
乗り心地を求めた高剛性ボディ・スポーティーな足回り
スズキ エリオは、乗り心地の良さも大きな特徴です。シートには、長距離運転でも疲労を感じにくい大型シートが採用されています。運転席にはリフター機構が付いているため、座面の高さ調整も可能です。
また、ボディに振動や騒音を軽減する遮音材・吸音材を使用し、車内の静粛性を向上させています。足回りには、前後に新開発のマクファーソンストラット式独立懸架方式のサスペンションを採用し、乗り心地の良さとスポーティーさを実現させました。
TECT搭載で安全性にも配慮
「TECT(テクト)」は、スズキが独自で開発している軽量衝撃吸収ボディです。高張力鋼鈑を使用することで、軽量かつ高剛性を実現しています。スズキ エリオには、64km/hオフセット前面衝突に対応したTECTが採用されました。
また、全グレードに「運転席・助手席SRSエアバッグ」「フロントシートベルトプリテンショナー」「フロントシートベルトフォースリミッター」を標準装備しています。上級グレードの「X」では、フロントシート内蔵のサイドエアバッグがオプション設定されました。
4輪ABS(EBD・ブレーキアシスト付き)も採用されているため、滑りやすい路面での走行時も安心です。
エリオは当時のスズキにおける世界戦略車だった
スズキ エリオは、日本国内だけでなく海外でも販売された「世界戦略車」です。国内販売が開始した約1か月後に、スイスで開催された「第71回ジュネーブ・モーターショー」にて発表されました。
輸出がスタートしたのは2001年3月で、欧州を皮切りに北米へも進出します。なお、海外での販売名はエリオではなく「LIANA(リアーナ)」です。この名前は、新しい時代の生活様式に合った車を意味する「Life In A New Age」の頭文字を取っています。
スズキ「エリオ」「エリオ セダン」のスペック
スズキ エリオには、ハッチバックの他にセダンタイプの「エリオ セダン」もあります。ボディサイズと重量以外に大きな違いはありません。エリオとエリオ セダンのスペックは、以下の通りです。
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エリオ |
エリオ セダン |
全長×全幅×全高(mm) |
4,230×1,690×1,550 |
4,350×1,690×1,545 |
室内長×室内幅×室内高(mm) |
1,790×1,410×1,275 |
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ホイールベース(mm) |
2,480 |
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最小回転半径(m) |
5.0 |
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車両重量(kg) |
1,130~1,220 |
1,140~1,210 |
エンジン種・弁機構 |
水冷4サイクル 直列4気筒 DOHC 16バルブ VVT |
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総排気量(cc) |
1.490 |
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駆動方式 |
2WD/4WD |
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トランスミッション |
5MT/4AT |
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最高出力 【kW/(PS)/rpm】 |
81/110/6,000 |
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最大トルク 【N・m/(kg・m)/rpm】 |
143/14.6/4,000 |
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10・15モード燃費(km/L) |
14.4~18.0 |
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乗車定員(名) |
5 |
スズキ エリオの歴史をチェックしてみよう
スズキ エリオは、フルモデルチェンジをすることなく初代モデルで販売が終了されました。しかし、販売が終了する2007年までに数回の改良が行われています。ここでは、スズキ エリオの販売開始から終了までの歴史を見ていきましょう。
2001年9月:特別限定車「ホワイトパッケージ」が設定された
デビューと同じ2001年9月に、特別限定車「エリオ ホワイトパッケージ」が700台限定で発売されました。
ホワイトパッケージの特徴は、ボディにパールホワイト塗装が施されたこと、前後と側面にアンダースポイラーが装着されたことです。また、フロントバンパーにはマルチリフレクタータイプのフォグランプが内蔵されています。
インテリアはグレー基調のシート表皮とドアトリム、ステアリングホイールに施されたガンメタリック塗装により、上質さが演出されました。
2001年11月:4ドアセダン仕様の「エリオ セダン」が誕生
2001年11月には、セダンタイプの「エリオ セダン」が発売されました。エリオの持ち味である広い車内はそのままに、当時の1.5Lの4ドアタイプのセダンにおいて最大級のトランクルームを備えます。
ハッチバックと大きく異なるのは、セダンのみ全グレードに4WDが設定されていることです。また、上級グレードの「XV」には1DINナビゲーション、CDチューナーが装備され、ハッチバックではメーカーオプションだったサイドエアバッグが標準装備されています。
2002年1月:初めての一部改良が実施された
2002年1月に、エリオの一部改良が行われました。インテリアの変更点は、前後と側面にアンダースポイラーとルーフエンドスポイラーが装着されたこと、フロントバンパーにマルチリフレクタータイプのフォグランプが標準装備されたことです。
また、ボディカラーに「ブルーイッシュブラックパール3」と「キャッツアイブルーメタリック」が加わり、内装にはグレー基調のシート表皮とドアトリムが採用されています。この他、1DINナビゲーション、CDチューナーを標準装備するなど快適性の向上も図られました。
2003年1月:2回目の一部改良が実施された
2003年1月の改良では、ハッチバックとセダンにスポーティー仕様の1.8Lモデルが追加されました。それぞれフロントとリアバンパー、前後フェンダーなどに専用のエアロパーツが装着されています。また、ホイールには専用デザインの15インチアルミホイールが採用されました。
インテリアは黒を基調としたデザインとなり、ステアリングとシフトノブに本革が使われるなど上質さを高めています。
2003年11月:3回目の一部改良が実施された
2003年11月に行われた改良では、ハッチバック・セダンともにインテリアが大きく変わりました。インストルメントパネルとセンターコンソール、ステアリングとシフトノブ、パーキングブレーキレバーのデザインを一新し、質感を高めています。
また、時刻と外気温を表示するインフォメーションディスプレーが標準装備されるようになりました。この他、エアコンとリモコンドアミラーのスイッチ、シート表皮なども変更されています。
エクステリアでは、1.5Lモデルのフロントグリル・前後バンパー・ホイールのデザインを変更し、1.8Lの4WDモデルにはワイパーデアイサーが標準装備となりました。
2004年7月:最後の一部改良が実施された
2004年7月の改良では、ハッチバック・セダンともに1.8Lモデルを中心にデザイン変更が行われました。エクステリアでデザインが変更されたのは、フロントグリルとバンパー、ホイールです。
フォグランプも大型化し、スポーティーさを高めています。セダンに関しては、トランクスポイラーのデザインも変更されました。また、1.5Lモデル・1.8Lモデルともにワイパーに間欠機構が採用されています。
入手しにくいエリオより最新のスズキのコンパクトカーがおすすめ
スズキ エリオとエリオ セダンは、今から20年以上前の車であること、販売期間が6年しかないことから、中古車市場への流通はあまり多くありません。購入自体が難しいため、エリオと似た特徴のあるスズキの車を探してみるのも、ひとつの方法です。
ここでは、タイプは異なるもののエリオと共通する特徴を持つ「ソリオ」と「エスクード」を紹介します。
スズキ ソリオ
スズキ ソリオは、広い車内と取り回しの良さが特徴のコンパクトトールワゴンです。ボディサイズはエリオよりも小さいものの、室内寸は長さ・幅・高さともにエリオよりも広くなります。また、エリオにはないスライドドアがあることも大きな魅力です。
エンジンタイプはガソリン車とハイブリッド車があり、最上級グレードの「HYBLID SZ」以外は4WDモデルも選べます。スズキ ソリオの新車価格とネクステージでの中古車相場は以下の通りです。
新車価格(税込み) |
164万7,800円~229万3,500円 |
中古車相場(税込み) |
24万7,000円~219万9,000円 |
(2024年1月時点の情報です)
(参考:『ソリオ(スズキ)の中古車一覧|新車・中古車の【ネクステージ】』)
スズキ エスクード
スズキ エスクードは、スタイリッシュなデザインが特徴のコンパクトSUVです。室内の広さはスズキ ソリオに劣るものの、ボディサイズはエリオとほぼ同等のため荷室が広くなります。
また、さまざまな路面状況に対応する新世代四輪制御動システム「ALLGRIP」も大きな魅力です。4つのドライビングモードがあるため、悪路走破性だけでなくスポーティーな走りも楽しめます。スズキ エスクードの新車価格とネクステージでの中古車相場は以下の通りです。
新車価格(税込み) |
297万円 |
中古車相場(税込み) |
92万6,000円~279万9,000円 |
(2024年1月時点の情報です)
(参考:『エスクード(スズキ)の中古車一覧|新車・中古車の【ネクステージ】』)
まとめ
スズキ エリオは、2001年~2007年まで販売されていたスズキのコンパクトカーです。個性的なデザインと広い室内が魅力で、後発でデビューしたセダンもその魅力を引き継いでいます。
中古車市場ではほぼ見かけない希少車のため、購入は難しいのが現状です。しかし、エリオと似た特徴を持つスズキのコンパクトカーもあるため、デザインや特色から自分に合ったモデルを選べるとよいでしょう。
【この記事の執筆者】
田村陽子
自動車ライター
熊本県在住。これまで、国産車・輸入車・軽自動車・普通車など、20種類以上の車に乗った経験を活かしてクルマ系メディアでの執筆活動を行っている。車両整備士や車好きの友達が多く、情報交換により日々知識を向上している。
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