セレナのカタログ燃費と実燃費はどのくらい？ライバル車の燃費も紹介
日産 セレナは、1991年に登場した初代モデルから、同カテゴリーではトップクラスの広い室内空間と高い走行性能を併せ持ち、人気を集めました。2016年に登場した5代目モデルからは、日産独自のハイブリッドシステムである「e-POWER」を搭載しています。これにより、燃費性能や静粛性が向上したことでより快適にドライブできる車になりました。
本稿では、新型セレナの燃費の良い理由や歴代モデルの燃費を紹介します。
※目次※
・6代目 セレナは進化した第2世代e-POWERを搭載し、燃費や静粛性だけでなく走行性能が大きく進化している。
・カタログ燃費と実燃費は、走行時の周囲の状況や運転の仕方によって差が生じるため、注意が必要。
・国内のさまざまなメーカーから、セレナと同クラスには個性豊かなライバル車種が多く登場している。
セレナの低燃費を支える走行性能
2022年11月にフルモデルチェンジして登場した6代目モデルは、初代からの広い室内空間と利便性を継承しています。加えて、さまざまな最新技術を採用し、より便利に、より快適に移動できる車へと進化しました。
ここでは、新型セレナの低燃費を支える技術について紹介します。
e-POWERは第2世代を搭載
新型セレナは第2世代e-POWERを搭載し、WLTCモードでの燃費は「e-POWER X」グレードで20.6km/Lです。第2世代e-POWERは、モーターの出力が向上しただけでなく、アクセルペダルの制御が見直されてきます。そのため、クリープ現象が設定され、アクセルペダルを戻した際の回生による減速が緩やかになりました。
また新型セレナは、発電用に搭載されるエンジンの排気量が1.4Lに拡大し、発電力向上と常用回転数低下による静粛性向上が図られています。
選べるモードで低燃費をサポート
6代目セレナには、走行モードを変更できる「ドライブモードセレクター」が装備されています。ただし、ガソリンエンジンモデルとe-POWERモデルで、用意されているドライブモードの種類が異なるので注意が必要です。
ガソリンエンジンモデルではSTANDARDモードとECOモード、e-POWERモデルではSTANDARDモードとECOモードに加えてSPORTモードが追加されています。
ガソリンエンジンモデルでは、スポーティーな走りを楽しめるSPORTモードは採用されていません。代わりに、マニュアルモードが採用されており、パドルシフトでギヤを選択できる仕様です。
セレナのカタログ燃費の目安
新型となる6代目のセレナは、パワートレインにガソリンエンジンとシリーズ方式のハイブリッド「e-POWER」がラインアップされています。
それぞれに複数のグレードが展開されており、グレードごとに燃費も多少異なります。2024年1月現在販売されているモデルのカタログ燃費を紹介します。
e-POWERのカタログ燃費
6代目セレナのe-POWER車の燃費は以下の通りです。e-POWER車は2WDのみの設定です。
|
グレード |
燃費（WLTCモード） |
|
X |
20.6km/L |
|
XV |
19.3km/L |
|
ハイウェイスターV |
19.3km/L |
|
LUXION |
18.4km/L |
e-POWERは第2世代になり、エンジンを1.4リッターの新開発に変更すると共にモーター出力を2割アップさせることで、加速性能が向上しています。また、ワンペダル感覚のe-PEDAL Stepも装備しています。
さらに、ナビで設定したルートを考慮してバッテリーの充放電を制御することが可能です。これにより、目的地付近で充電量を増やしてモーター走行を調節したり、下り坂に備えてバッテリーの充電量を抑えて効率よく回生エネルギーを回収できるようにしたりする先読み充放電制御も採用しています。
ガソリン車のカタログ燃費
6代目セレナのガソリン車の燃費は以下の通りです。
|
グレード |
燃費（WLTCモード） |
|
X（2WD） |
13.4km/L |
|
XV（2WD） |
13.0km/L |
|
ハイウェイスターV（2WD） |
13.0km/L |
|
X（4WD） |
11.6km/L |
|
XV（4WD） |
11.6km/L |
|
ハイウェイスターV（4WD） |
11.6km/L |
ガソリン車ではシフトバイワイヤ方式の新型CVTに新コントロールバルブを採用することでアクセルの踏み込み量に対する応答の遅れを減少しています。またパドルシフトを採用して、スポーティーな走りも楽しめます。
セレナの実燃費はカタログ燃費に近い数値？
カタログに表記されている燃費は特定の条件で計測されるもので、時代に応じて10モード、10・15モード、JC08モードと変化し、現在はWLTCモードという方法で計測されます。徐々に実態に即した燃費に近づいているといわれていますが、実際はどのくらい違いがあるのでしょうか。
ここではカタログ燃費と実燃費を比較するとともに、実燃費の手軽な測り方や実燃費の目安について解説します。
カタログ燃費と実燃費の違い
カタログ燃費はあくまでも一定の条件下での数値のため、実燃費とはどうしても乖離が生じてしまいます。ただ、メーカーや車種を問わず同じ条件であるため、比較する目安としては十分役立ちます。実燃費を測る方法で比較的簡単にできるのは満タン法です。
まずガソリンを満タンにしてトリップメーターをリセットします。そして次に満タンにしたとき、それまでの走行距離を給油量で割ると実燃費が計算できます。給油は同じガソリンスタンド（できれば同じ給油機）を使い、ノズルの自動停止が働いたら追加の給油はしないことで、誤差を減らすことができます。
セレナの実燃費の目安
車の実燃費は一般的にJC08モードのカタログ燃費と比較して、2割～3割ほど低くなるといわれています。新型セレナの実燃費はガソリンモデルで約10.6km/L、e-POWERモデルでは約15.26km/Lとなっています。燃費は使用状況によって変わってきますが、運転の仕方で燃費を良くすることができます。
例えば、急加速をしないことや、減速時にアクセルを早めに離すことで燃料の消費を抑えることができます。また、エアコンや電装品も燃費に影響するので、適切に使いましょう。
歴代モデルのセレナはどのくらいの燃費？
セレナは1991年に初代がデビューし、最新モデルとなる6代目まで進化し続けてきました。セレナは5ナンバーサイズでありながら、広い室内空間と高い利便性を併せ持ち、人気を博しています。年々厳しくなる排ガス規制に合わせて最新技術を取り入れ、燃費も向上させてきました。
本項目では、2010年以降に登場した4代目と5代目モデルの燃費を紹介します。
4代目セレナの燃費
4代目セレナは2010年に登場しました。先代モデルから室内長が300mm拡大し、さらに広くなった室内空間はクラストップを誇りました。またスライドドアの開口面積を広げ、ボタンを押すだけで開閉できるワンタッチオートスライドドアとなったことで、利便性が向上しました。
新開発の2.0L直列4気筒直噴ガソリンエンジンに、スマートハイブリッド「S-HYBRID」を搭載し、JC08モードでの燃費は13.8km/Lです。
5代目セレナの燃費
2016年にフルモデルチェンジして登場した5代目セレナは、ミニバンクラスでは世界初となる同一車線自動運転技術「プロパイロット」を搭載したことで注目を集めました。また、足の動きを感知してドアを開けられる「ハンズフリースライドドア」や、2パターンの開閉方法があり、狭い場所で荷物の出し入れが可能な「デュアルバックドア」が採用されたのもこのモデルからです。
5代目セレナの燃費はJC08モードで15.0km/Lとなっており、先代モデルと比較すると1.2 km/L向上しています。
セレナと他のミニバンの燃費を比較してみよう
セレナは、e-POWERの登場で燃費の良いモデルという認識が高まりました。しかし、ライバル車にも燃費性能の高いハイブリッド車があります。
ここでは、セレナのライバルとなるミニバンの燃費について詳しく解説します。
トヨタ ノア
トヨタのノアは、セレナと同じクラスのミニバンで、2022年にフルモデルチェンジされました。同時に、セレナとは違い全車3ナンバーボディとなりました。ガソリン車とハイブリッド車があり、セレナとの違いは、ハイブリッド車にも4WDが設定されていることです。
WLTC燃費はガソリン車が14.3km/L~15.1km/L、ハイブリッド車が22km/L~23.4km/Lです。
トヨタ ヴォクシー
ヴォクシーはノアと同様に2022年にフルモデルチェンジされました。ノアと同様に全車3ナンバーボディとなりましたが、グレード展開はノアに比べて少なくなっています。
WLTC燃費はガソリン車が14.3km/L~15km/L、ハイブリッド車が22km/L~23km/Lです。
ホンダ ステップワゴン
ホンダのステップワゴンも2022年にフルモデルチェンジされました。同時に、ノアやヴォクシーのように、全車3ナンバーボディとなりました。ノアなどと同様にガソリン車とハイブリッド車がありますが、ライバルのガソリン車が2.0Lなのに対してステップワゴンは1.5Lのターボとなっています。これにより自動車税が安いというメリットがあります。
ステップワゴンのWLTCモード燃費はガソリン車が12.9km/L~13.9km/L、ハイブリッド車が19.5km/L~20km/Lです。
日産 エルグランド
エルグランドはセレナよりも一回り大きい日産のミニバンです。ボディサイズが大きいため室内はゆったりとしています。ガソリン車のみの設定ですが、エンジンは2.5Lと3.5Lで動力性能に優れています。
エルグランドのWLTCモード燃費は8.4km/L~10km/Lです。
三菱 デリカD：5
三菱のデリカD:5は2007年に登場したミニバンです。歴代のデリカから受け継いだ悪路走破性能やワイルドなスタイルなど、SUVの要素を持ったミニバンとして人気です。エンジンは、当初はガソリンのみでしたがディーゼルが追加されました。
2019年のビッグマイナーチェンジではディーゼル車のデザインがフロントを中心に大きく変わり、その後ガソリン車が廃止されてディーゼル車のみの設定になりました。デリカD:5のWLTCモード燃費は12.6km/Lほどです。
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まとめ
1991年に初代が登場した日産 セレナは、30年以上にわたって広い室内空間と、高い利便性で人気のモデルです。フルモデルチェンジするたびに最新技術を採用し、より便利でエコな車へと進化を続けています。
5代目モデルの途中から、日産独自のハイブリッドシステム「e-POWER」が搭載されたことで、燃費が飛躍的に向上しただけでなく、静粛性や走行性能も高まりました。最新モデルでは、e-POWERやプロパイロットも進化しており、より快適な長距離走行を実現するモデルになっています。
▼ライタープロフィール
真鍋裕行
出版社勤務を経て2008年にフリーランスのライター・エディターとして独立し、自動車雑誌、ウェブサイトなどに原稿を寄稿。編集者時代に培ったアフターマーケットの情報から各国のモーターショーで得た最新事情まで幅広くリポート。業務拡張につき2011年に会社を設立。自動車ジャーナリストとしての自動車メディアへの寄稿は続けつつ、メディアコンテンツの製作（雑誌、Web、アプリetc）に取り組んでいる。メディアコンテンツの製作ではオーナーや協力者のコミュニティを作ることを考えるなど、単純な製作で終わらないことを心掛ける。また、近年ではレースチームのディレクターや PRも積極的に携わる。
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