ドライバー必見!車検の基礎知識をまとめて解説
車検は、自動車を運転する人であれば誰もがおこなわなくてはならないものです。ドライバー自身はもちろん、その他の人のためにも欠かせないことだといえるでしょう。しかし、実際の車検事情について詳しい知識を持っていないことは少なくありません。
ドライバーであれば、車検はなんのためにおこなうのか、いつどこでどのように申し込めば良いのかなどを把握しておく必要があります。今回は車検に関する基礎知識を詳しく紹介します。
※目次※
・車検はすべての自動車がおこなうべき定期検査であり、保安基準を満たしていることの証明になる
・有効期限や費用は、車両や経過年数などによって異なるため、ステッカーや車検証で確認し見積もりを出してもらう
・車検切れで公道を運転すると、刑事処罰の対象になってしまうので注意する
そもそも車検とはなにか
車検の正式名称は自動車検査といいます。その自動車が一定の保安基準を満たしているかどうかを確認するためのもので、道路運送車両法にもとづいて定められています。
車検には有効期限があり、期限内に継続して検査をしなければなりません。そのため、車検は継続検査とも呼ばれます。
日本国内に車検制度が初めて導入されたのは、1930年(昭和5年)のです。制度化された当時は、商用車両(バスやタクシー)を対象にしたもので、一般的な自動車には車検の義務がありませんでした。商用車両以外の自動車普及率が低かったことが大きな理由です。
しかし第二次世界大戦後、国内では庶民の間に自家用車が普及していきます。1951年、安全性の確保のために車検制度は一般自動車にも義務づけられるようになりました。ただし、この当時も軽自動車は車検が必須ではありませんでした。
1955年には、車検ごとの自賠責保険加入が必須となり、1973年、軽自動車を含むすべての自動車に対し、車検が義務化されました。
現在、日本の車検水準は諸外国と比較しても、非常に高くなっています。それだけ日本が自動車に対する安全性を重要視しているということでしょう。
車検の有効期間とは
車検には、道路運送車両法第61条「自動車検査証の有効期間」で定められた有効期間があります。車の所有者は、一定の有効期間ごとに車検を受ける義務があるのです。
実際に車検が受けられるのは、有効期限の30日前からで、どのタイミングで車検を受けたとしても、満了日は変わらずに計算されます。ただし、利用する業者によって予約タイミングが異なるため、計画的に車検計画を立てておきましょう。
また、この有効期間は自動車の種別ごとに違います。自家用車乗用車、軽乗用車では、新車登録時が3年、以降は2年ごとです。軽貨物自動車、大型特殊自動車、キャンピングカーなどの有効期限は、新車登録時もそれ以降も同じ2年ごととなります。
レンタカー(乗用自動車)、バス・タクシーの有効期限は、新車登録時が2年、以降は1年ごと。自動車二輪(250cc以上)にも車検があり、有効期限は新車登録時が3年ごとで、以降は2年ごととなっています。排気量が250cc以下の自動二輪の場合、車検を受ける必要はありません。
車種 |
有効期間 |
|
新車登録時 |
2回目以降 |
|
自家用乗用車 |
3年 |
2年 |
軽乗用車 |
3年 |
2年 |
軽貨物自動車 |
2年 |
2年 |
大型特殊自動車 |
2年 |
2年 |
キャンピングカー |
2年 |
2年 |
レンタカー(乗用自動車) |
2年 |
1年 |
バス・タクシー |
2年 |
1年 |
自動二輪(250cc以上) |
3年 |
2年 |
自動二輪(250cc以下) |
車検義務なし |
車検義務なし |
車検の有効期限を確認する方法
車検の有効期限は、車検ステッカーと車検証の2つで確認できます。
自動車のフロントガラスに貼られている、数字の書かれたシールを見たことがあるでしょうか。保安基準を満たした自動車であることの証明シールで、正確には検査標章といいます。車検終了後に発行され、記載されている数字は車検が満了になる年月を表しています。
もうひとつ車検の有効期限を確認できるのが車検証です。正式名称は自動車検査証といい、ドライバーは常に車内に保管しておく必要があります。
その自動車が保安基準を満たしていることを証明する書類であり、自動車の個体情報や所有者の個人情報も記載されています。万が一紛失してしまった場合は、早急に再発行の手続きをおこないましょう。
この車検証には、有効期限が年、月、日まで記載されています。正確な満了日を把握するためには、車検証がもっとも適しているでしょう。
車検に必要なものとは
車検を受ける際に必要なものを紹介します。
- ・自動車検査証(車検証)
- ・自動車損害賠償責任保険証明書
- ・自動車納税証明書
- ・印鑑
- ・車検費用(法定費用+α)
自動車検査章(車検証)は、常に車内で置いておきましょう。車検証を提出しなければ車検が受けられないため、必ず期日までに用意してください。紛失してしまった場合は、管轄の運輸支局で手数料を支払い、再発行してもらう必要があります。
自動車損害賠償責任保険証明書は、自賠責保険に加入している証明書です。車検を受ける際は、自賠責保険の更新も一緒におこなうため、こちらも必ず持参してください。車検証と一緒に、車内で保管しておく人が多いです。こちらも紛失してしまった場合は、速やかに再発行してもらい、車検当日に間に合わせましょう。
自動車納税証明書は、所定の自動車税を納めていることを証明する書類です。毎年1回必ず納税するため、その都度証明書を保存しておいてください。
紛失してしまった場合は、管轄の税務署、自動車税管理事務所、陸運局などで再発行してもらいましょう。
ただし、この自動車納税証明書は、2015年以降は所定の条件を満たしていれば提出する必要がなくなりました。
「初回の車検ではない」、「納税を滞納していない」、「軽乗用車ではない」、「自動二輪ではない」、「富山県、長野県、岐阜県、大阪府、鳥取県、岡山県、愛媛県、佐賀県以外のナンバーである」というすべての条件を満たしていれば、提出義務はありません。
印鑑は、各種書類に捺印するために必要です。車検証に使用しているものと同じ印鑑を持参しましょう。その際、本体にインクが入っている浸透印は避けてください。
車検費用は、一律の法定費用に加えて、車検の内容に応じた金額が追加されて決まります。利用する業者や、自動車の状態によっても異なるため、次に詳しく解説します。
車検に必要な費用とは
車検には、必ず発生する法定費用があります。ガソリンスタンドやディーラーなど、どの業者で車検を受けたとしても、一律で発生する費用です。法定費用にあたるものは以下3つです。
- ・自賠責保険費
- ・自動車重量税
- ・印紙代
自賠責保険費は、対人トラブル用の保険であり、自動車を所有していれば必ず加入しなければならない保険費用です。
金額は車種と保険期間によって変わります。新車登録時は37カ月分、以降は24カ月分を支払うのが一般的です。
保険期間 |
乗用車 |
軽乗用車 |
37カ月 |
30,170円 |
29,550円 |
24カ月 |
21,550円 |
21,140円 |
1カ月 |
5,810円 |
5,790円 |
自動車重量税は、所有している自動車の重量に応じて納める税金です。具体的な金額は、自動車の重量、車種(普通乗用車か軽乗用車か)、経経過年数、エコカーかどうか、によって決まります
自賠責保険と同じく、自動車をまったく運転していなくても、所有だけで支払い義務が生じるものです。
軽乗用車の自動車重量税
エコカー (本則税率) |
非エコカー |
非エコカー (13年経過) |
非エコカー (18年経過) |
5,000円 |
6,600円 |
8,200円 |
8,800円 |
普通乗用車の自動車重量税
車両重量 |
エコカー (本則税率) |
非エコカー |
非エコカー (13年経過) |
非エコカー (18年経過) |
~500kg以下 |
5,000円 |
8,200円 |
11,400円 |
12,600円 |
~1,000kg以下 |
10,000円 |
16,400円 |
22,800円 |
25,200円 |
~1,500kg以下 |
15,000円 |
24,400円 |
32,400円 |
37,800円 |
~2,000kg以下 |
20,000円 |
32,800円 |
45,600円 |
50,400円 |
~2,500kg以下 |
25,000円 |
41,000円 |
57,000円 |
63,000円 |
~3,000kg以下 |
30,000円 |
49,200円 |
68,400円 |
75,600円 |
印紙代とは、車検の手続きをおこなう運輸支局等に支払う手数料です。内訳は、自動車検査登録印紙と自動車審査証紙となります。
車検総額は検査料・24カ月点検費用により異なる
車検にかかる費用の総額は、法定費用以外に必要となる、検査料や24カ月定期点検料、車検代行手数料で変動します。
検査料や24カ月定期点検料は、自動車の故障防止を目的として、細かく車体をチェックするための費用です。
たとえ車検の保安基準を満たしていても、次の車検までにトラブルなく走行できる証明にはならないため、詳細な検査が必要になります検査料や24カ月定期点検料の相場は、車種や業者によって変わります。劣化しているパーツが判明した場合は、自動車が安全に走行できるように、パーツ交換が必要です。
交換するパーツごとに値段が違うのはもちろん、選択するメーカーやタイプによっても、車検総額は変わってくるでしょう。
以下は、パーツごとの金額相場です。
- ・タイヤ(四輪):40,000円
- ・バッテリー:10,000円
- ・ブレーキオイル:4,000円
- ・エンジンオイル:4,000円
- ・エンジンオイルフィルター:2,000円
- ・ATフルード:6,000円
- ・ラジエター液:5,000円
- ・ブレーキパッド:15,000円
- ・スパークプラグ:5,000円
- ・ワイパーブレードゴム:2,000円
- ・エアクリーナー:3,000円
車検代行手数料は、検査手続き代行料や検査代行料とも呼ばれ、保有者の代わりに業者スタッフが車検をおこなう費用です。自動車の往復労賃や各種書類の手続き費用、各印紙費用なども含まれます。
法定費用以外の金額は、自動車の状態や業者選びで変わります。そのため、実際に車検に申し込む際には、あらかじめ見積書を取っておくと良いでしょう。候補の業者を複数個ピックアップし、見積金額を比較検討して、料金や検査内容が充実した業者を利用するのがおすすめです。
車検時にチェックしておくべき項目4つ
車検の際にはさまざまなチェック項目があります。オプションで申し込む点検の場合は、ドライバーによる選択も重要になるでしょう。自動車の状態や経過年数によっては、特にチェックすべき項目もあります。安全に自動車を利用するためにも、重点的に整備すべき項目を把握しておいてください。
要チェック項目
数あるチェック項目の中には、優先度がより高いものも存在しています。自動車には、安全に走行させるために、より重要なパーツがあるからです。これから解説する4つの項目については、特に綿密に整備する必要がある項目です。必要に応じて、パーツの交換もしっかりおこなってください。
ブレーキオイル
ブレーキオイルとは、自動車のブレーキを作動させるためのパーツです。ブレーキフルード、ブレーキ液と呼ばれることもあります。空気中の水蒸気を吸って劣化してしまうため、古いものを使用していると、ブレーキが正しく効かなくなる危険性があります。2年で交換するのが目安なので、車検のたびに交換すると良いでしょう。
ファンベルト
ファンベルトとは、エンジンが過剰に熱を持つのを防ぐためのパーツです。エンジンの故障を回避するためのもので、ALTベルトと呼ばれることもあります。
ゴム製品なので、摩擦や劣化によって、ヒビや伸び切れなどが起こりがちです。オーバーヒートによるエンジンやエアコンの故障などを引き起こす可能性もあるので気を付けましょう。
交換目安は3年程度といわれていますが、「鳴き」と呼ばれる劣化音が聞こえるようになったらすぐに交換すべきです。
冷却水
冷却水とは、エンジンの熱を下げるためのパーツです。LLC、クーラント液と呼ばれることもあり、微量ながら使用するたびに蒸発していきます。冷却水が不足すると、エンジンの稼働率が低下したり、液体が通るパーツにサビが発生したりする危険性があります。交換目安は2~3年となっているため、基本的には車検のたびに交換するべきでしょう。
エンジンオイル・オイルフィルター
エンジンオイルとは、エンジンをスムーズに稼働させるためのパーツです。エンジン内の洗浄分散や防錆、密封や冷却などの働きも担っています。
エンジンオイルの交換目安は、5,000km以上走行、または交換から6カ月以上経過、のどちらかといわれています。このタイミングが車検に重なった場合は交換すると良いでしょう。
オイルフィルターとは、エンジンオイル内の不純物を除去するパーツです。劣化するとオイルが本来の機能を発揮できず、エンジンの稼働率が下がってしまいます。
オイルフィルターは、エンジンオイルを2回交換したら1回交換するのが目安です。エンジンオイルの交換タイミングをチェックし、タイミングが合えば車検時にまとめて交換すると良いでしょう。
車検が終わったら新しい車検証を確認しよう
車検が無事に終了すると、新しい車検証がもらえます。交付のタイミングは、利用した業者によって異なるので気を付けましょう。
運輸支局で車検を受ければ、即日車検証を受け取れます。運輸支局以外のディーラーやガソリンスタンドなどで車検を受けた場合は、後日車検証が交付されることになります。
新しい車検証が交付されたら、記載内容に間違いがないかどうか、きちんと確認してください。
たとえば、自動車をローンで購入し、まだ完済していない状態で車検を受けると、所有者はディーラー名義になっています。所有権留保がついている状態で、自動車は完全にあなたのものになっていないことを示しています。
あくまで使用を認められている状態であり、自動車自体の持ち主はディーラーなのです。持ち主欄と使用者欄に間違いがないかをチェックする必要があるでしょう。
以下は、車検証の記載内容です。
- ・通し番号
- ・発行日
- ・自動車登録番号・車両番号
- ・交付年月日
- ・初度登録年月
- ・車台番号(シャーシ番号)
- ・原動機の型式
- ・自動車の種別
- ・用途
- ・自家用・事業用
- ・車体の形状
- ・燃料の種類
- ・車体の長さ・幅・高さ・最大積載量
- ・乗車店員
- ・車両重量・車両総重量
- ・走行距離
- ・燃費基準達成車であるか
- ・有効期限の満了日
- ・QRコード
- ・所有者の氏名・住所
- ・使用者の氏名・住所
- ・使用の本拠位置
発行された車検証は、道路運送車両法第66条により、運転時は常に携帯しておくことが義務づけられています。たとえ車検自体は終了していても、車検証を携帯していなければ最大50万円の罰金が発生します。
また、携帯するのは必ず最新の原本でなくてはなりません。車検が済んだあとは、古い車検証と新しい車検証を入れ替えるようにしてください。
車検切れのまま放置しておくと刑事処罰の対象になる
万が一、車検が切れてしまったまま放置しておくと、どのような影響があるのか知っているでしょうか。
車検は自動車を所有する人の義務です。たとえ長らく運転していない車両であっても、車検切れのまま運転してしまうと刑事処罰の対象にもなります。車検切れを放置することがないよう、車検証やステッカーの定期確認を徹底しましょう。
車検切れの自動車を運転してしまったらどうなる?
車検切れの自動車で公道を走行すると、刑事処罰が科されます。基本的には、免許停止30日間、懲役6カ月以下か罰金30万円以下、違反点数6点などが科されます。
同時に自賠責保険の期限も切れていると、こちらも違反対象となり、罰則がより重いものとなります。免許停止90日間、懲役1年6カ月以下か罰金80万円以下、違反点数12点が科されます。
車検切れの自動車を運転する場合はどうすればいい?
車検切れの自動車に対し、何かしらの対処をするためには、目的地に自動車を移動させなければなりません。車検が切れた自動車を運転するためには、仮ナンバーを取得する必要があります。正式名称は自動車臨時運行許可であり、最長5日以内使用できます。
ナンバープレートに赤いナナメ線が入った自動車が、仮ナンバー状態のものであり、公道の走行が許可されています。取得するためには、臨時運行許可申請書や手数料、印鑑などを持って、管轄地区の役所に出向いてください。
車検が切れた場合はどうしたらいい?
車検が切れてしまった場合は、レッカー車や積載車を利用することができます。専門の業者などを利用すれば、仮ナンバーを取得しなくても、自動車を移動が可能です。利用する車検先の業者によっては、移動料がオトクになるプランを用意していることもあるでしょう。
この機会に自動車を手離すことを考えるのであれば、買取をおこなっている業者への売却がおすすめです。買い取り価格は早いほど高くなりやすいため、売却を決めたら、すぐに売却査定に出すのが良いでしょう。出張査定サービスを利用すれば、余計な費用も発生せずに済むはずです。
自賠責保険にも加入しておこう
自賠責保険は、自動車を所有していれば必ず加入しなければならない強制保険です。交通事故を起こした際に、対人トラブルの保障費用を最大4,000万円まで支払うための保険です。
自賠責保険に加入していない自動車は、公道を走ることはできません。もし未加入で公道を運転した場合は、免許停止30日間、1年以下の懲役か罰金50万円以下が科されることになります。
車検の際は、法定費用として自賠責保険費を一律で支払う必要があります。ただし、所有者自からおこなうユーザー車検の場合は、別途自賠責保険の手続きが必要です。基本的には、車検前に自賠責保険の更新をおこないましょう。その上で、自賠責保険の証明書を陸運局事務所に持参し、ユーザー車検をおこなってください。
まとめ
今回の記事では、車検についての基本的な知識を解説しました。車検は自動車を所有しているすべての人の義務です。有効期限が切れてしまうと、公道の走行ができなくなってしまうため、車検証やステッカーで確認しておきましょう。
定期的な点検と整備をおこなうことで、安全な自動車社会が成立するということを忘れないようにしましょう。
ネクステージでは中古車の販売だけでなく、車検や買取もおこなっております。早めに車検の予約をすることで割引制度もあるので、ぜひご利用ください。
※本記事に記載の自賠責保険料は、基準料率改訂等の理由により変更となる場合があります。最新の自賠責保険料率表は損害保険料料率算出機構のHPをご確認ください。