車のニュートラルにはどのような意味や役割がある?使い方を徹底解説!
自動車は、変速することでスムーズに走行できます。AT車の場合シフトをドライブやリバースに入れると前進や後退できますが、ニュートラルについては使用頻度が低いので、いつ使うべきなのか知りたい方も多いでしょう。
そこでこの記事では、ニュートラルの意味や役割について紹介しつつ、使うタイミングを解説します。ニュートラルを使用する際の注意点についても触れるので、ぜひ参考にしてください。
※目次※
・ニュートラルギアは、中立のギアであり、エンジンの動力がタイヤに伝わらない状態となる
・ニュートラルは基本的に、故障や事故などの緊急時に、車を移動させるために使用する
・ニュートラルギアを信号待ちや下り坂で使用すると、事故につながるリスクが高まる
車にあるニュートラルギアとは?
例えばAT車の場合、シフトノブにはパーキングやリバース、ドライブなどの選択肢があります。
停車・前進・後退のどれかを、シフトノブを操作して決めていきますが、どの車にも用意されているニュートラルについては使う機会が少ないかもしれません。まずは、ニュートラルの意味や役割について確認していきましょう。
ニュートラルの意味
ニュートラルギアは、変速機のギアがエンジンの動力と完全に切り離された状態を指します。この状態では、エンジンの回転数を上げても車は動きません。つまり、ニュートラルとは、前進や後退のギアに入っていない中立の状態のことを意味するのです。
英語で「中立」や「中間」を意味する「neutral」が語源となっており、まさにギアが中立の位置にあることから、この名称が使用されています。
ニュートラルの役割
ギアが中立状態になり、エンジンの動力がタイヤに伝わらないニュートラルは、通常走行において使用する頻度はかなり少ないでしょう。ただし、ニュートラルが設定されているのは重要な役割があるためで、主に故障などの緊急時に使用します。
他にも、AT車の場合、トランスミッションを保護する役割を持っています。ニュートラルを後退のR(リバース)と前進のD(ドライブ)の間に配置することで、シフトミスを防いでいるのです。
車でニュートラルを使用するタイミング
自動車のニュートラルは、多くのドライバーが普段の運転で使用することはないでしょう。では、どのようなタイミングでニュートラルが必要となるのでしょうか。
ここでは、ニュートラルをどのようなタイミングで使用するのか解説します。基本的に、緊急時以外で使うことはほとんどありませんが、間違った使い方には注意が必要です。
緊急時に使用するのが適切
車に問題なければ、走行中にニュートラルを使用するシーンはないでしょう。ニュートラルを使うのは、主に車両が故障した場合や、事故で損傷した場合などの緊急時です。
このような故障車をけん引する際、ニュートラルに入れることでタイヤとエンジンが切り離された状態になります。タイヤが小さな力でも回転するため、スムーズに車両を移動できるのです。
信号待ちや下り坂では使用しない
信号待ちや下り坂では、安全性を考慮してニュートラルを使用しないことが推奨されています。信号待ちでニュートラルにしていると、発進時にドライブへ入れ忘れた際、アクセルを踏んでもエンジン回転だけが上がって進まないため焦ってしまうでしょう。そして、その状態でドライブへ入れると急発進となるので、事故のリスクが高まります。
また、下り坂でニュートラルを使用すると、エンジンブレーキを使用できずフットブレーキのみに頼ることになります。その結果、ブレーキの過熱によるフェード現象やベーパーロック現象を引き起こし、制動力が低下して事故につながるかもしれません。
ただし、MT車の場合は停車中にクラッチを踏み続けるのは運転者の疲労につながるため、状況に応じてニュートラルを使用することがあります。
車でニュートラルを使用する際の注意点
走行中、ニュートラルを積極的に使用するドライバーもいるでしょう。ニュートラルを使用が絶対NGというわけではありませんが、使用頻度には注意が必要です。
また、ニュートラルを使用したとしても、燃費の向上は期待できません。ここでは、ニュートラルレンジを使用した場合の注意点を解説します。
頻繁には使用しない
ニュートラルは基本的に、けん引の際に使用することが想定されており、使う頻度はわずかです。走行シーンによっては、ニュートラルレンジを使用することで、トランスミッションの負担となってしまうこともあります。
例えば長い下り坂でニュートラルに入れると、トランスミッションの温度上昇や潤滑不足を招き、故障につながる可能性が高まります。AT車はエンジン回転を利用してトランスミッション内のオイルポンプを回し、内部を潤滑しつつ、冷却効果や作動圧を得ている点が特徴です。
下り坂でニュートラルにすると、車速によって高速回転しているトランスミッション内部の部品は、オイルポンプの回転不足で冷却と潤滑が追いつかずダメージを負うことがあるのです。
燃費は向上しない
車は技術の発展によって、大きく進化してきました。さまざまな部品が電子化された現代の自動車は、走行状況に合わせてエンジンを制御しています。そのため、下り坂などでニュートラルにしても、燃費の向上は見込めません。
例えばガソリン車の場合、下り坂でアクセルオフにすると、エンジンブレーキをかけるために燃料をカットします。一方でニュートラルにすると、エンジンはアイドリング回転を保つために燃料を使用するので、燃費は向上するどころか悪化することになるでしょう。
車の信号待ちで行う適切な停車方法
AT車の場合、信号待ちではニュートラルを使用せず、Dレンジへ入れたままブレーキペダルを踏んで待機するようにしましょう。信号が変わったとき、スムーズに発進できます。
ちなみにブレーキホールド機能が備わっている自動車は、Dレンジでブレーキペダルを踏まなくても止まったままとなるため、渋滞でも疲れにくい点が特徴です。
MT車の操作に慣れている場合、信号待ちではニュートラルにし、ブレーキを踏むだけで問題ないでしょう。ただし、すぐに信号が変わるような状況であれば、ローギアに入れつつクラッチペダルとブレーキペダルを踏んで待機することをおすすめします。
ニュートラル以外の車のギアは?種類と役割
AT車は、ニュートラル以外にもいくつかのシフトポジションが設定されています。それぞれの意味や役割を押さえておくことで、自動車への理解が深まり、走行シーンにシフトを使い分けられるでしょう。
P(パーキング)
P(パーキング)は、その名の通り駐車時に使用するシフトポジションです。パーキングに入れることで、トランスミッション内部の歯車がロックされ、車の停止状態を保てます。ただし、車両に対して外部から強い衝撃が加わると、ロックが外れて動き出す可能性があるため、駐車時はパーキングブレーキをかけておくことが重要です。
R(リバース)
R(リバース)レンジは、自動車を後退させる際に使用するシフトポジションです。トランスミッション内でエンジンの回転方向を反転させることで、後退することが可能となります。
AT車の場合、Rレンジは車が完全に停止した状態で選択することが大切です。前進している時にRレンジへシフトチェンジすると、オートマチックトランスミッションに負担がかかり、最悪の場合壊れてしまう危険性もあります。
D(ドライブ)
D(ドライブ)は、車を前進させるときに使用するシフトポジションで、走行中のほとんどはDレンジから動かすことがないでしょう。AT車の場合、車速や負荷に合わせて自動で変速する仕組みです。
また、Dレンジの特徴としては、アクセルペダルを踏まなくても車に軽い駆動力がかかっている点です。クリープ現象と呼ばれ、徐行する際に重宝します。
S・2(セカンド)
AT車の中には、S・2(セカンド)を設定している車種があります。このシフトポジションもDレンジと同じく前進のギアですが、加速するときはほとんど使用しません。エンジンブレーキを強くかけたい時に使用するシフトポジションです。
前方の信号が赤に変わったタイミングで使用したり、下り坂を下っていく際に使用したりと、減速するシーンで使用します。S・2(セカンド)を積極的に使用することで、ブレーキの発熱によるトラブルを防止できるだけでなく、ブレーキパッドなどの消耗を抑えることが可能です。
L(ロー)
L(ロー)は、S・2(セカンド)よりもさらに強いエンジンブレーキをかけられるシフトポジションです。S・2と同様に、車種によっては用意されていませんが、急な下り坂を走行する際に使用することがあります。
Lレンジは強めのエンジンブレーキがかかるため、後続車がいる場合は注意が必要です。強い減速効果を得られる反面、ブレーキランプが点灯しないため、追突の恐れがあります。使うときはまずDからS・2に入れ、ある程度減速した後にLレンジを選択すると良いでしょう。
MT車のギアは?種類と役割
MT車で加速する際、1速から5速もしくは6速まで速度に合わせて段階的に使用するのが一般的です。シフトチェンジする際、いったんニュートラルを経由するのもMT車の特徴です。ここでは、MT車の各シフトポジションについて、役割や使うタイミングなどを解説します。
1・L(ロー)
MT車は、速度や負荷に合わせて自分自身でシフトポジションを選択する必要があります。まず、1速のL(ロー)ギアは、停車状態から発進する際に使用するシフトポジションです。トルク(回転力)がもっとも強く、車両を力強く前に進められます。
また減速時は、AT車のLレンジと同様に強いエンジンブレーキを得られることから、急な傾斜の坂道でも重宝するでしょう。
2(セカンド)
2速(セカンド)ギアは、低速走行に向いており、1速の次にトルクがあるシフトポジションです。少しスピードが出ていれば、ちょっとした坂道を登る時も2速ギアで問題なく走行できます。また、エンジンブレーキも強めにかかるので、下り坂や減速するタイミングで使用するのが特徴です。
低速で走行することが多い住宅街などの狭い道では、2速ギアを多用することになるでしょう。
3(サード)
3速(サード)ギアは、2速と同じく街乗りでよく使用するシフトポジションです。1速ギアや2速ギアよりもトルクは小さいため、ある程度スピードが乗った状態で使います。また、速度によりますが、軽めのエンジンブレーキをかけたい時にもよく使用するのが3速ギアです。エンジンのトルクを増大させるギアは、一般的に3速ギアまでとなっています。
4(トップ)
4速ギアは基本的にトップギアと呼ばれ、エンジンの出力と同等の力をトランスミッションからアウトプットするギアです。トルクが小さいため、発進時や低速走行時に使用することはないでしょう。大通りなどの走行において、速度制限近くを一定速度で巡航する場合によく使用します。
また、スピードレンジが高い高速道路などでは、追い越しや登板時に4速ギアを使うシーンがあるでしょう。
5(オーバートップ)
5速ギアは、オーバートップと表されることがあり、主に高速巡航で使用します。同じスピードでも、4速ギアよりエンジン回転が低いため、燃料の消費を抑えられる点が特徴です。市街地走行では長い直線がない限り、使うシーンは少ないでしょう。
また、MT車の中には5速の次のギア段も用意されています。6速まである車種は、エンジンの出力を効率的に引き出せる点が特徴です。
R(リバース)
R(リバース)ギアは、AT車と同じく後退する時に選択するシフトポジションです。AT車と異なり、クラッチ操作が必要なMT車では、慣れていないと後方の確認に気を取られてエンストしてしまうことも多いでしょう。エンストしても焦らないことが大切です。
Rギアを使用するシーンだけでなく、MT車のシフトポジションを走行シーンに合わせて選択するためには、ある程度の知識と慣れが必要です。ここで解説した各ギア段の特徴を押さえつつ走行してみてください。慣れてくればMT車の運転が楽しめるでしょう。
まとめ
自動車にはニュートラルというシフトポジションが必ず用意されています。使用頻度は少なめですが、故障などの緊急時に車を移動させる目的で使うのが一般的です。
下り坂や信号待ちでニュートラルにするのは、安全性の面で推奨されていません。また、走行中にニュートラルを使用しても、燃費の改善につながることは期待できないといえます。
ただし、MT車に関しては、ニュートラルをよく使用します。AT車でもMT車でも各シフトポジションの特徴を押さえ、状況に合わせて選択することが大切です。
【この記事の執筆者】
小波津健吾
高山自動車短期大学を卒業とともに国家2級整備士資格を取得。その後、整備士として実務経験を積み重ね自動車検査員資格を取り、民間工場で検査員として従事した経歴を持つ。現在はメカニックや検査員の知識と経験を活かし、主に車系のメディアで執筆している。
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