生活保護受給中に車を買う方法とは?所有する条件や注意点と候補車種
新型コロナウイルス感染拡大の影響により、失業を余儀なくされる方が増えました。それに伴い、2020年12月の生活保護受給者が全国で6.5%増加(前年同日比)したと厚生労働省から発表されています。
何かしらの理由で経済困難に陥った際に利用する生活保護制度ですが、生活保護受給中でもマイカーを持てるケースがあることはご存じでしょうか。もちろん、いくつかの抑えるべきポイントや注意する点があります。
この記事は、生活保護受給中でも車を買う方法についてご紹介しながら、受給中の方が検討しやすい車種をいくつかピックアップしてご紹介します。
※目次※
・厳しいハードルを越えれば申請は可能
・申請が通ったとしても利用には注意が必要
・申請には中古の軽自動車がオススメ
生活保護を受給中でも車を買うことができる?
最後のセーフティーネットとして資産がない方の利用を想定している生活保護制度でも、一定の条件をクリアすれば車の所持や利用が認められています。しかし、生活保護制度で定められているルールにより資産にあたる車は基本的に売却しなければなりません。では、どういった場合に所有が認められるのでしょうか。
そこで「生活保護受給中に車を買う方法」を解説するにあたり、まずは簡単に生活保護制度のおさらいをしていきましょう。
生活保護制度について
生活保護制度は1950年に成立し、現在は厚生労働省が管轄している制度のひとつです。生活保護制度は福祉事務所で相談したのちに申請が可能で、申請が通れば生活費や教育費、医療費などを国から支給されます。
この制度の目的は生活困窮者の救済です。対象者は一定の制約を課された上でサポートを受けますが、その内のひとつに資産の売却があります。資産には預貯金や使用されていない土地、家屋などが当てはまり、車も処分される資産です。
(参考:『生活保護制度|厚生労働省』)
基本は車の所有を認められない
先述の通り、車は処分対象の資産とされています。したがって、受給してから車を買ったり譲り受けることは原則として認められていません。
この制度は困窮度合いに応じた保護を行い、健康で文化的な最低限度の生活を保障し、自立の手助けをすることを目的にしているためです。しかし、受給される方の中には車が生活に無くてはならない方もおり、受給者の背景は様々です。
制度としても車は単純な資産として捉えておらず、生活保護を受給してからでも後述する一定の条件をクリアすれば所持や購入が認められるケースがあります。
受給前から所有していた車はどうなる?
制度のルール上、支援を受ける前に保有していた車も売却しなければなりません。車を売却して得たお金は全て生活費に充てることが義務付けられており、娯楽や遊興費へ充てることは禁止されています。
現在ローンを組んでいて返済途中の車についても売却しなければなりません。更に支援されたお金でローンの支払いをしてはいけないので、ローンを完済してからでないと保護は受けられません。
したがって、いずれのケースにしても車は売却し生活費に充てられることを求められます。ただし、こちらのケースでも特別な場合に所持が許可される場合もありますので、一度福祉事務所へ確認されることをおすすめします。
現在は特別措置もある
一方、制度で設けられている一定の条件をクリアした上で、現在は特例として車の所持できる期間を引き延ばす措置が用意されています。
この特例が出されたのは新型コロナウィルスによる解雇や雇止めが急増したことや、問題収束の見通しが立たないことが理由でした。緊急事態宣言下で生活保護を申請された方の内、宣言終了後に経済状況が回復すると見込まれた方には、生活保護による車の処分は見送られます。
特例が出された当初、引き延ばしの期間は2020年10月からの6か月間でした。しかし、新型コロナウイルスの影響が長期化していることで更に期間が伸びており、その期間はプラス6か月間の計1年間です。こちらの対象かどうか気になる方はケースワーカーなどに相談されることをおすすめします。
生活保護受給中に車を所有できるケースとは?
生活保護制度における車の扱いについてご紹介したところで、次は本題である車を所有できるケースについてそれぞれチェックしていきましょう。
車を所持できるケースは大きく分けて4つです。1つを除いていずれも生きていくために車の所持が最低限必要だと判断された場合にのみ認められています。
車がないと生活自体が困難な場合
生活保護からの脱却に必要な訓練や通院など「必要最低限の生活のために車に頼らざるを得ない状態」であれば車を持つことができます。想定されている対象の方は自分自身で移動が困難な方や、公共交通を利用できない精神疾患を患っている方、持病により病院への通院が必要な方などです。
また、上記以外でも公共交通がストップする深夜帯に通勤する方も対象となる可能性があります。いずれの場合でも代わりに運転をする身内や知人がおらず、維持費を援助してくれる人がいれば認められることが多いようです。
自営業で車を利用する場合
配送業やタクシー業といった「営業車を使って生計を立てている方」にも車が必要不可欠であり、事業用品として所持できる場合もあります。営業車による仕事は生活保護の「生業扶助」にあたり、制度上でも許可されている対象です。
原則としてこのケースは生活保護を申し出る前に営業車を保有していることが条件ですが、保有が認められたとしても必要経費が高額で収入が経費と見合っていない場合は処分を求められることがあります。なるべくランニングコストを掛けないことが望ましいでしょう。
公共交通機関の利用が不可能な場合
このケースにおけるポイントは「車を使えば安く済む」ことが明確にわかるかどうかです。山間部や地方には電車やバスなどの公共交通が通っていない地域があり、そういった所に住んでいる方は認可の対象となる場合があります。
また、公共交通やタクシーが通っていたとしても、車を利用した場合が安く済むと判断されれば、認可の対象になることがあるようです。一方、都会に住んでいる方でも遠方の病院へ行く際に公共交通やタクシーだと高額になる場合もあるので、車のほうが費用を抑えられることがあります。
生活保護の受給を半年以内に終了の見込みがある場合
このケースは他の3つと異なった視点で許可が下ります。半年という短期間で生活保護から脱却できる場合は、車を処分するよりも保有している方が望ましいと判断されます。
厚生労働省が公表している次官通知第3の2で該当者の車は「現在活用されてはいないが、近い将来において活用されることがほぼ確実であって、かつ、処分するよりも保有している方が生活維持に実効があがると認められるもの」と定められているため、これに該当する場合は処分の対象外となる可能性が高いでしょう。
ただし、前提として年式が新しいものや海外メーカーといった資産価値が高くなるものは処分の対象となり得るので、必要最低限の性能をもった車で申請することをおすすめします。
買う前に!生活保護受給中に車の所有申請をするポイント
生活保護を受けた上で車を所有できるケースを学んだところで、次は実際に車の所有申請をする際の3つのポイントを見ていきましょう。
ポイントのひとつ目は用途の設定で、用途は必要最低限であることが求められます。もうひとつのポイントは車の選定です。選定には必要最低限の性能であることが明確でなければなりません。
最後のポイントは親族の同意です。資金面でのサポートは親族に頼ることになるため、その確約が必要となります。
車が必要な理由を明確にする
申請を行うにあたって、必要な理由は明確にしなければなりません。理由を明確にするためにはご自身が先述した4つのケースの内、どれに当てはまるか考えてみましょう。「病院まで遠い」のか、それとも「仕事で使いたい」のか、といった目的が定まれば、なぜ自分に車が必要なのか明確になります。
重ねてですが、この制度における車を所持は原則禁止です。許可をもらうには相当な理由を用意しなければならず、相当程度か判断するのは福祉事務所になるので、気になる方は相談されることをおすすめします。
資産価値の低い車を選ぶ
生活保護制度では必要最低限の目的のために、走行性能に問題ない程度の車を利用するよう求めています。したがって、年式が新しいものや、特別仕様、海外メーカーといった資産価値が高く、メンテナンス費用やランニングコストが高くなるものは所持の認可が下りないです。
申請の条件は資産価値が低く、排出量2,000cc以下と定められていますが、資産価値がどの程度低ければよいかは明確にされていません。条件について詳しく知りたい方はケースワーカーなどに相談することをおすすめします。
親族の同意を得ておく
所持の申し出は親族の同意も必要です。仮に申し出が通ったとしても、万が一の事故対応や維持費の工面において、多くのケースで親族に頼らざるを得なくてはなりません。
許可が下りたとしても、車の保証やバッテリーやオイルの交換、税金などといったランニングコストは生活保護で受け取ったお金から全て充てることは現実的に困難と言えます。そのため車の維持費は親族からの支援が必要になります。
また、ガソリン代も自費負担です。ガソリン代はランニングコストの中でも高くなる費用のひとつなので、所持の申し出をする際は車体価格も抑えられる軽自動車が候補として挙げられます。
生活保護受給中に車を使う時の注意点
車の所有申請が通ったとしても、日常の使用では注意点を守らなければ様々なペナルティを受ける可能性があります。
生活保護を受けている間での車の利用はご自身の状況をよく把握した上で、以下の注意点を守った利用を心がけましょう。
賠償能力を理解する
生活保護を受けている場合、事故を起こした際のデメリットはそうでない方と比べると更に重いと言えます。経済状況が悪く、持ち得るお金も用途に制限が掛かっている状態で賠償が発生するような事故が起きることはご自身の身の回りの状況を更に悪化させるでしょう。
車の所有が認められている場合、保証にかかる費用は必要経費として計上できますが、対人・対物の部分のみしか適用されません。修理費も計上は可能ですが、多くのケースで車体の破損や故障は親族などに費用を立て替えてもらう必要があり、親族や車を貸してくれた人に迷惑をかけてしまいます。
申請した目的以外の運転は禁止
申請した理由以外での車の利用は禁止されています。例えば、仕事のために所有申請を行った車で買い物や病院に行くことはルール違反です。そういった利用が判明した場合福祉事務所から指導が入り、更に悪質と判断すれば車の使用許可や生活保護自体の停止を受ける可能性があります。
他人名義もNG
他人名義でローンが組まれている車の所有も法律違反のため禁止されています。この点は生活保護を受けているかどうかは関係ありません。
刑法246条1項において名義貸しは「詐欺罪」として扱われており、生活保護の取り止めだけでなく刑事罰を受ける可能性もあるので、名義貸しは賢明な手段とは言えないでしょう。お金の工面に難しい場合は、下記で紹介するような低燃費、低価格な中古の軽自動車の検討をおすすめします。
生活保護受給中に車を買う時の候補車種
それでは生活保護における車との向き合い方に理解が深まったところで、オススメの車をいくつかご紹介します。現時点で弊社の取り扱い在庫の中では、いずれも比較的お求めやすい価格で流通している車種です。
軽自動車の代名詞といえる低燃費と、各メーカーの技術がつまった安全性能、中古車だから出せる低価格は車の所有における懸念材料を少しでも減らすことに一役買ってくれることでしょう。
スズキ:アルト
スズキ アルトは1979年に登場し、派生車種であるアルトワークスが有名な車種です。アルトは発売当初、装備を極力減らすことで価格を抑えることに成功した車種で、特徴的なフロント部分のデザインは今も引き継がれています。
最新モデルでFグレードの5AGSの燃費は29.6km/Lと非常に低燃費です。また、年式が新しい車はスズキセーフティサポートと呼ばれる先進安全技術がすべてのグレードに装備されており、安全性能も十分でしょう。
中古車相場は全体で見ると約4万~80万円ですが、状態によっては年式が5年落ちで約30万~50万円、10年落ち以上では約20万円以下の中古車もあります。
(2021年4月時点での情報です)
(参考:『アルト(スズキ)の中古車一覧|新車・中古車の【ネクステージ】』)
ダイハツ:ミライース
次に2011年よりダイハツから発売されているミライースは、低コストと低燃費を全面的に打ち出している車種です。ダイハツのエコ技術の結晶であるイーステクノロジーが搭載されているおかげで、ミライースの燃費はJC08モードで35.2km/Lと燃費も優れています。
ダイハツの先進安全技術スマートアシストⅢはオプションで用意されているため、中古車を検討する際は、装備に含まれているか確認をしましょう。
中古車相場は約20万~100万円で推移しています。下限である20万円の中古車には10年落ちのものが目立ちますが、50万円までであれば比較的年式が新しい中古車が出ていることもあり、維持費を抑える面から見ても狙い目です。
(2021年4月時点での情報です)
(参考:『ミライース(ダイハツ)の中古車一覧|新車・中古車の【ネクステージ】』)
ホンダ:ライフ
ライフは1971年に発売が開始された後2014年に終売しており、今では中古車のみ流通しています。他の2車種と比べるライフは古い車種と言えるので、どうしても安全性能、走行性能共に見劣りすると感じるでしょう。
その分中古車相場は低く推移しており、15万~50万円ほどで取引されています。最終モデルである2011年以降の年式であれば、初期費用と維持費をトータルで考えた場合のコストパフォーマンスは高くなると言えるでしょう。
(2021年4月時点での情報です)
(参考:『ライフ(ホンダ)の中古車一覧|新車・中古車の【ネクステージ】』)
PR30万円以下の軽自動車
※価格は支払総額
まとめ
生活保護受給中の車の所有申請や使用は、生活保護を受けるのと同様に厳しいハードルが用意されています。車の購入にあたっては資産価値が低い車を選ぶ必要があり、ルールを厳密に守った上で申請した目的でのみ使用しなければなりません。
検討されている中古車の資産価値が低いかどうかは、福祉事務所の判断になるので相談する必要がありますが、ネクステージは生活保護受給中の中古車の検討にオススメな車を多く用意しています。所有申請する車でお悩みでしたら、是非ネクステージの中古車情報をご覧ください。ご予算に合わせた車種をご提案いたします。