車のエアロパーツとは?種類や取り付けるメリット・デメリット
エアロパーツはドレスアップの目的や個性を主張するため、または高速走行での走行安定性を向上するために装着します。本稿ではエアロパーツとはどのような部品なのか、またメリットやデメリットを紹介します。
その他に、パーツの選び方のポイントや取り付け時にかかる費用面についても触れます。また、車にエアロパーツを装着している場合の査定についても説明しますので、すでにエアロパーツを装着しているという方もぜひご覧ください。
※目次※
・車のエアロパーツはドレスアップ目的と機能的な目的の2つがある
・エアロパーツの装着により操縦が安定し軽量化も図ることができるので、走りを追求したい人にもおすすめ
・装着するにはパーツ代の他に、取り付け工賃や塗装費用がかかる場合があるので要チェック
車のエアロパーツとは?
車種によっては、標準でエアロパーツを装着しているモデルがあります。見た目のかっこ良さに引かれる方も多く、一般的に人気が高いグレードです。
エアロパーツとは、どのような種類があり、どのような目的で装備するのでしょうか。エアロパーツについての基礎知識をご紹介します。
車の外装に使われる空気力学に関わる部品の総称
エアロパーツとは、車の空力全般をコントロールし、走行性能を向上させる外装部品を総称した呼び名です。代表的な車はレーシングカーで、車体のリフトを低減したり、走行安定性や操縦性をアップさせたりするために装着します。
加えて、見た目をアレンジし、自分好みにドレスアップすることも可能です。昨今の主流はエコカーやSUV、ミニバンで、ドレスアップよりも最新安全装備に重きを置く人が多いものの、エアロのかっこ良さを好む人も多くいます。
主に2つの目的で使われる
エアロパーツの目的は大きく分けて2種類あります。それはレーシング目的とドレスアップ目的です。レーシング目的とは、空力性能の向上に重点を置いて設計されています。
例えば、ワイドフェンダー・GTウイングなどは、レーシングカーの特徴ともいえる造形で、安定した高速走行に大きく貢献します。
ドレスアップ目的とは、走行性能の向上よりもデザイン性の良さを追求しているエアロパーツです。デザイン性重視のため、装着することで逆に燃費性能・空力性能が下がるケースもあるので注意が必要です。
車に装備するエアロパーツの種類
バリエーション豊富なエアロパーツは、装着箇所により、部品の名称や期待できる効果が異なってくることを覚えておきましょう。人気がある7種類のエアロパーツと代表的な効果についてご紹介します。パーツ選びの参考にしてください。
フロントスポイラー
フロントスポイラーは、フロントバンパー下部に装着するエアロパーツです。運転時にまともに受ける前面の走行風をコントロールする役割を果たします。走行風の流し方を決めるのは、スポイラーのデザイン形状です。
風を流す方向で、ダウンフォースを発生しやすくしたり、冷却性を高めブレーキやエンジン性能を向上させたりできます。車種によって用意されているフロントバンパースポイラーやリップスポイラーは、フロントスポイラーの発展形です。
フロントスポイラーは、正面からの外観をスタイリッシュに見せる効果がありますが、最低地上高が低くなるため大きな段差を乗り越える際や悪路を走るときには注意が必要です。
サイドステップ
サイドステップとは、車体の左右ドア下部分に装着するエアロです。車の左右サイドを流れる風をコントロールします。空気抵抗を低減したり、ボディの浮きを抑えたりする効果が代表的です。レーシングカーには、大きなサイドステップが採用されており、安定した走行性能に寄与しています。
サイドステップはサイドスカートとも呼ばれ、ボディの下部と地面までの距離が狭くなるため、車高を低く見せる効果もあります。ドアよりも張り出している種類もあり、車の乗り降りに支障がないか、形状を事前に確認しておきましょう。
リアアンダースポイラー
リアアンダースポイラーは、リアバンパーの下部に装着します。車体下部を流れた風がバンパー内に滞留するのを防ぎ、効率的に排出することにより空気抵抗を低減してくれるエアロパーツです。タイヤのグリップ力も増し、走行安定性の向上に役立ちます。
ディフューザー
ディフューザーは、前述のリアアンダースポイラーと組み合わせて使用されることが多いパーツです。「拡散」という意味のディフューザーは、気流の流速を早め、意図的にダウンフォースを発生させることが主な役割です。
縦フィンの形状をしており、リアバンパーに装着します。リアだけでなく、フロントスポイラーやサイドステップとの組み合わせ方によっては、さらに効率的に負圧を発生することができます。
このディフューザーと、リアアンダースポイラーが一体化したリアバンパーも販売されています。
リアウイング
トランクリッド上部に装着するリアウイングは、エアロの中でも目立つパーツです。板状の形状をしており、揚力を逆転させることで比較的低速走行時においても強いダウンフォースを発生します。
角度調整が可能なリアウイングもあり、立てる角度により空気抵抗が強くなるため、取り付け時には注意が必要です。
また素材によっては繊細なものもあり、トランク閉めた大きな衝撃で破損してしまうことがあるので、事前に強度を確認できると良いでしょう。
リアスポイラー
リアスポイラーは、トランクやリアゲートに装着するパーツです。大きめの板状ウイングに対し、リアスポイラーは小ぶりで、ボディの流れに沿うように取り付けられます。
標準装備として取り付けられている車種も多く、車好きに人気が高いエアロパーツです。リアスポイラーの装着により、車体のリアデザインがスタイリッシュになります。
カナード
レーシングカーの中には、フロントバンパーサイドに小さな翼に似たパーツを装着している車があります。これが、カナードと呼ばれるエアロパーツです。フロントに取り付けるため、カナードが空気抵抗になり、装着には賛否両論あります。
カナードの目的は、タイヤ横で空気の乱流を発生させることです。乱流の発生により、車の浮き上がりを防ぐことでダウンフォースを発生させます。公道を走る車の場合は、ドレスアップが主な目的です。
車にエアロパーツを取り付けるメリット
エアロパーツはドレスアップのためだけでなく実用的なメリットは思った以上に多く、軽量化や空気抵抗を低減させる効果があります。
エアロパーツを取り付ける理由はさまざまですが、本項目ではエアロパーツを装着することで得られるメリットを紹介します。エアロパーツの取り付けを迷っているという方は参考にしてみてください。
高速走行の空気抵抗を和らげる
メリットのひとつは、高速走行時の空気抵抗低減です。一般的に、車が受ける空気抵抗は、車速の2乗に比例し、時速70~80kmを過ぎたあたりから強く受けます。空気抵抗が強ければ、車の速度を保つために多くの燃料が必要です。
空気の流れを変える設計のエアロを装着するにより、燃費性能が良くなるといわれています。特に、高速道路などを頻繁に利用する方におすすめです。
操縦が安定する
車の操縦安定性に関係しているのは、車体を下向きに押し付ける力であるダウンフォースです。エアロパーツにより、空気の流れを起こしダウンフォースを発生させます。これにより通常よりもタイヤが路面に押さえつけられ、摩擦力が高まり、グリップ力が向上します。
ダウンフォースを発生させ、ハンドル操作や揺れなどの総合的な走行安定性(スタビリディー)の向上に役立つのが、エアロパーツです。高速走行時のみならず、カーブや車速の急減速の際に効果を発揮します。
パーツを交換して軽量化できる
エアロパーツはボディを軽量化できるケースがあります。例えば、標準装備のパーツをカーボン・FRP・アルミ製などの軽量素材に交換する場合です。交換できるパーツには、ウイング・バンパー・エンジンフードなどがあります。
ただし、ウイングのように最初は装備していなかったパーツを追加した場合は、軽量化ではなく重量がプラスされることを覚えておきましょう。
自分好みにカスタム可能
サーキット走行ではなく、日常使いの車にエアロパーツを装備する方のほとんどは、自分好みにカスタムする楽しみが主な目的とされています。ノーマル車とは異なり、高級感やスポーティー感を演出できることがメリットです。
自分好みにカスタムすることにより車への愛着がわき、ドライブの楽しみがさらに増すはずです。装着前後のイメージを明確にして、好きなエアロパーツを選んでみましょう。
車にエアロパーツを装着するデメリット
エアロパーツを装着することで空力性能の向上や、軽量化できるメリットを説明しましたが、デメリットも存在します。
主に、効果が実感しにくいことや掃除に手間がかかることがあげられます。メリットだけでなくデメリットもしっかりと理解して、エアロパーツを装着するかどうか決めると良いでしょう。
街中の運転では効果が実感しにくい
エアロパーツの役割には、空気抵抗の低減やスタビリティーの向上があります。ただし、このメリットが十分発揮されるのは、高速走行時です。
街乗りが中心で、高速走行の機会が少ない場合は、エアロの効果をさほど実感できません。燃費性能もさほど変わらないというのがデメリットとされている点です。
掃除の手間が増える
エアロには、独特の凹凸や張り出しのあるデザインが多くあります。見た目の良さは増すものの、現実的には掃除しづらいデザインです。また、追加パーツの数だけ掃除箇所が増えてしまいます。掃除の仕方や洗車機の使い方次第で、破損やキズの恐れがあるため十分注意しましょう。
車にエアロパーツを取り付けるときのポイント
エアロパーツと一口に言っても、メーカーや素材などバリエーションが豊富で、選び方にもコツがあります。また簡単に車のイメージを変えてくれるエアロパーツですが、突起や大きさなど保安基準に準じていないものには注意が必要です。
本項目ではエアロパーツの選び方や、素材とメーカーのおすすめなどを紹介します。
純正メーカーのパーツがおすすめ
購入可能なエアロパーツには、純正品と社外品があります。社外品はデザイン性が高いものが多く用意されているものの、車高サイズなどが合わないケースがあるため注意しましょう。
純正品は、走行に支障がないよう車種に合わせて設計されているので基本的に、取り付け後のトラブルも心配ありません。下取り・買取査定の際には、純正エアロの装着は信頼性が高いため、高額査定の可能性が高くなります。
自由度の高いFRP素材を選ぶ
エアロパーツはさまざまな素材でできています。ウレタン・ABS樹脂素材の部品は、精度が高い一方、破損した場合の修復は簡単ではありません。造形の自由度が高く、修復がしやすい素材は、FRPです。万が一の場合を考慮するのであれば、FRP製エアロがおすすめです。
車体と同じ色のパーツを選ぶ
販売されているエアロの中には、未塗装パーツも多くあります。その場合、取り付け時に別途塗装費用が必要です。可能であれば、純正ボディカラーに塗装済みのエアロを購入する方が無難です。
エアロの種類によっては、純正ボディカラーに対応していない場合もあります。購入前に確認しましょう。
保安基準を確認する
後付けでエアロを追加する場合は、保安基準を確認しましょう。保安基準とは、安全確保および環境保全を目的として、自動車の構造や装置について道路運送車両法上で定められている基準です。車検時の検査基準としても使用されています。
エアロでカスタムする際、保安基準に適合していなければ不正改造とみなされ、車検に通りません。例えば、カナードについては車検に適合しないケースが多くあります。罰則規定が適用される可能性もあるため注意しましょう。
車に装備するエアロパーツの取り付け費用はいくら?
エアロパーツの取り付けを検討している人の中で、費用面について心配している人もいるのではないでしょうか。パーツ代だけでなく、取り付けの工賃など別途の費用がかかるので、事前に知っておくべきでしょう。
本項目では取り付けの依頼先によって変わる費用や、別途でかかる工賃の目安を紹介します。
依頼先を探してみよう
エアロパーツの取り付けをどこに依頼するかによっても費用が変わります。できるだけ工賃を抑えたいという場合には、自分で取り付けるという方法がありますが、リスクが伴います。エアロパーツによっては一部両面テープを使用するものがあり、下処理が不十分だとエアロパーツが落下してしまう場合もあります。
そのため、しっかりとした知識を持っている整備工場に依頼することがおすすめです。またメーカーの純正エアロパーツを取り付ける場合は、ディーラーに依頼するのが確実でしょう。
パーツ代に加えて塗装料や工賃がかかる
エアロパーツを装着するときには、パーツ代の他に取り付け工賃と塗装費用がかかる場合があります。メーカー純正品以外のパーツを取り付けるときには、ボディ色に合わせるために塗装をする必要があります。また、商品によっては車に合わせて細かい加工をしなければならない可能性もあります。
取り付け工賃の相場は、フロントスポイラーやリアスポイラーで1万円~で、サイドステップは両側なので1万5,000円~です。塗装の相場は2万5,000円~と、取り付け工賃よりも高額になります。
エアロパーツを取り付けた車の査定はどうなる?
車を手放す際に、エアロパーツを外す必要があるのかについて気になるのではないでしょうか。結論としては、必ずしも外す必要があるわけではありません。ただし、査定においてプラス評価されるエアロと、マイナス評価されるエアロがあることを覚えておきましょう。
プラス査定になるケース
プラス査定されるエアロとは、人気ブランドや純正品などです。メーカーオプションで取り付けた純正エアロや特別仕様車のエアロモデルなどは、基本的にプラス評価されるケースが多くあります。
人気が高いエアロパーツは、社外品であってもプラス評価される可能性があるため、ネットなどで人気度やニーズをチェックしてみましょう。
マイナス査定になるケース
自分では気に入っているエアロパーツでも、奇抜なデザインやマニアックなブランドである場合は、マイナス査定になる可能性が高いといえます。品質やフィッティングが悪いエアロも同様です。
トータルデザインが合っていないエアロも、多くの人に受け入れてもらえない場合があるためマイナス評価される可能性があります。また、一部分だけ装着しているエアロは、事故や自損の疑いがかけられ、減点対象になるケースもあります。日本自動車査定協会が定めているエアロについての査定基準を確認してみましょう。
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まとめ
エアロパーツは装着すると、愛車の見た目を簡単に、かつ大きく変えることができるアイテムです。見た目だけでなく空力性能を向上させたり、軽量化によって結果的に高燃費を期待できたり、メリットがたくさんあります。
注意点となる保安基準をしっかりと守ることや、取り付けを確実に行うことを意識すれば、エアロパーツの装着によって、よりカーライフを楽しむことができるでしょう。車を購入してすぐの取り付けはもちろんですが、長く乗っている愛車の外見イメージを変えたいという方にもおすすめです。
▼ライタープロフィール
兵頭 倫果(ひょうどう りんか)
大学時代は工学部で電気の分野を専攻し、電気自動車やソーラーカーの製作に励む。大会への出場あり。大学卒業後は国産自動車メーカーに技術者として入社。後に退職し、現在はフリーランスで、「若者にも響かせる」をモットーにYouTubeやライティング活動を行っている。1998年生まれの25歳。
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