カーバッテリーの交換時期・方法【カーバッテリーの基礎知識】
車の主要な消耗品のひとつである「カーバッテリー」について詳しくない人も多いのではないでしょうか。カーバッテリーは車のエンジンを始動し、電力を供給、エネルギーの貯蔵を行う大切な役割を担っています。
この記事ではカーバッテリーの役割や構造、種類や選び方などについて詳しく解説します。また、交換時期や交換方法、費用などについても詳しく解説します。この記事を読むことでカーバッテリーについてしっかり理解できるでしょう。
<目次>
・カーバッテリーの搭載場所は「ボンネットの中」もしくは「フロントシートの下」が一般的
・カーバッテリーの主な役割は「エンジンの始動」「ライト類への電源供給」「電装品への電源供給」「エネルギーの貯蔵」
・カーバッテリーの点検では、電圧・比重・液量に問題がないかチェックを行う。半年毎を目安に実施するのがおすすめ
カーバッテリーの役割
カーバッテリーの主な役割は次のとおりです。
・エンジンの始動(エンジンスターター・セルモーターの電源)
・ライト類への電源供給
・電装品(パワーウィンドウ、ワイパー)や車内アクセサリー(オーディオ、ナビ)への電源供給
・エネルギーの貯蔵
カーバッテリーの搭載場所
カーバッテリーの搭載位置は、ボディタイプにより異なりますが基本的には、以下の場所に搭載されます。
ボンネットの中
SUV、セダン、ステーションワゴンなどでは、カーバッテリーはボンネットの中、エンジンルームの端に搭載されていることがほとんどです。また、ミニバンの場合も前後が短いボンネットの中にバッテリーが搭載されていることが一般的です。
フロントシートの下
軽バンなどのキャブオーバータイプの1BOX車は、フロントシートの下にカーバッテリーを搭載していることが多くなります。
カーバッテリーの構造と仕組み
カーバッテリーは箱型をしており、この箱を「電槽」と呼びます。電槽の中は、セパレーターで仕切られ、バッテリーの大きさにより異なりますが、6室~8室の袋状セパレーターに分かれています。このセパレーターの中には、電解液(希硫酸)が満たされ、プラスとマイナスの鉛板が複数入っています。
バッテリーの外側上面には、プラスとマイナスの端子が角のような形で突出しています。また、上部には各セパレーター内に電解液を補充したり、液量のチェックや状態の確認をするための栓がセパレーターの数だけ備わっています。(本記事後半で解説するメンテナンスフリーバッテリーを除く)。
カーバッテリーは、この電解液の化学反応によって電気を蓄えたり、取り出したりして機器類へ電源を供給しています。
カーバッテリーの種類・形式・規格
カーバッテリーは、性能やバッテリー容量(大きさ)によってさまざまな種類・形式があり、英数字の記号で表記されています。
バッテリーの形式表示
バッテリーの形式は、数字2桁+アルファベット1文字+数字2桁+アルファベット1文字の4つで構成されています。例えば、「60B19L」と記載されているバッテリーを見てみましょう。
最初の数字2桁「60」は、バッテリーの性能ランクを示し、数字が大きいほど高性能になります。一般的には 40~70程度の数値が主流です。ただ、この数値は車の消費電力に合わせているもので、車に適合するバッテリーを選ぶ必要があります。
最初のアルファベット「B」は、バッテリーの短いほうの側面のサイズを示しています。バッテリーの短側面の幅と、ボックスの高さをA~Hで表し、Hが最も大きなサイズです。
2番目の数字2桁は、バッテリーの長いほうの側面の長さを「cm」で示しています。このバッテリーの場合は、19cmとなります。
末尾のアルファベットは、端子の位置でバッテリーの+側を手前にして上から見たときに、左側にあるのが「L」、右側にあるのが「R」となります。
バッテリーの規格
バッテリーには一般的な国産車向けの「JIS規格」やハイブリッド車補機用の「VRLA」、後述するアイドリングストップ車用の「SBA規格」があります。
輸入車では、欧州車を中心とする「DIN規格」もあります。また、EUで作られたバッテリーの世界規格「EN」は最近の国産車でも採用例が出ています。
カーバッテリーの選び方
基本的に、新車装着時のバッテリーと同じものと交換するのが原則ですが、バッテリーの形式があっていれば、新車装着時のバッテリーと違うブランド、製品と交換することができます。
同じ形式で、バッテリーの性能ランクを新車装着時のバッテリー以上のものを選ぶことで、性能の向上と安心感が得られるでしょう。
なお、アイドリングストップ機能を備えた車には、専用のバッテリーを選ぶ必要があります。詳しくは次項で解説します。
アイドリングストップ機能搭載車専用のバッテリー
アイドリングストップ機能を採用した車は、バッテリーの負荷が大きいため、専用設計されたバッテリーを搭載しています。通常のバッテリーに比べて耐久性が高められている他、急速充電に対応できる性能を備えていることが特徴です。
アイドリングストップ機能搭載車に、通常のバッテリーを搭載すると、アイドリングストップ機能が作動しなくなったり、バッテリー上がりを発生させたり、バッテリー寿命を短くさせるなどといった不具合が発生することがあります。
カーバッテリーの交換時期・寿命
カーバッテリーの寿命は、使用環境によって大きく異なりますが、一般的には2年~3年が交換の目安となります。車検のときに合わせてバッテリー交換をしておけば、トラブルを避けることができるでしょう。
バッテリーが寿命に近付くと、エンジンのかかりが悪くなったり、停車時のヘッドライトが暗くなったりすることがあります(LEDヘッドライトは消費電力が少ないため、その症状が出にくくなります)。
また、アイドリングストップ機能装備車では、停車時のアイドリングストップが作動しなくなることがあります。このような症状が現れたら、速やかに点検・バッテリー交換をしましょう。
カーバッテリーの点検方法
2000年代に入ってからクルマやカーバッテリーの基本性能が向上しており、1980年代までにはよくあったバッテリー上がりも、近頃ではめっきり減っています。
とはいえ、車検の時以外でも定期的にカーバッテリーはチェックしておきましょう。バッテリーに関するトラブルを未然に防ぐことができます。カーバッテリーの主な点検方法は次のとおりです。
端子の状態をチェック
バッテリーのプラス(+)とマイナス(-)の端子がきちんと締まっていることを確認し、錆びや腐食がないかをチェックします。
バッテリーの製造日をチェック
バッテリーは時間とともに劣化しますので、古いバッテリーは早めに交換を検討することをおすすめします。
バッテリーテスターで電圧チェック
バッテリーテスターは、カー用品店やネットショップで販売されていますが、特に購入しなくても、ガソリンスタンドやカー用品店などでバッテリーチェックをしてもらえます(たいてい無料)ので、定期的に頼んでみましょう。
バッテリー液の量と比重をチェック
カーバッテリー本体は、バッテリー液量がチェックできるようになっているものがあります。また、専用の比重計を使ってバッテリー液の比重をチェックしてバッテリーの状態を確認する方法もあります。
著しく電解液が不足している場合は補充する必要があります。ガソリンスタンドや車のメンテナンスを請け負うショップ、ディーラーで相談しましょう。
メンテナンスフリーバッテリーとは?
カーバッテリーには、「メンテナンスフリー」の名称がついているものがあります。つまり、文字通りメンテナンス不要のバッテリーのことです。
メンテナンスフリーバッテリーは電槽の機密性が高く、電解液が蒸発して減ることがありません。そのため、バッテリー液の補充や点検のための栓を備えていません。
メンテナンスフリーバッテリーは普通のバッテリーより高価になりますが、信頼性が高いため多くの車に採用されています。
メンテナンスフリーと名付けられていますが、点検用のインジケーターを備えていますので、液量不足が確認されたらバッテリーの交換時期となります。
バッテリー交換の料金はいくら?
カーバッテリーの交換費用の内訳は、以下の3点です。
・バッテリー本体の代金
・交換作業費
・バッテリー廃棄料
バッテリーそのものの金額は、バッテリー性能が低い軽自動車用のもので3,000円くらいから、高いものでは排気量の大きい輸入車用のもので5万円以上と大きな開きがあります。
交換作業費もバッテリーの大きさに連動して開きがあり、安いところで数千円程度から、高い場合では数万円におよぶことがあります。
バッテリー廃棄料は、500円~1,000円が相場ですが、カー用品店などではバッテリーの購入とセットで交換を頼むと、廃棄料をサービスしているところがあります。
カーバッテリーの交換方法
カーバッテリー交換は、比較的簡単です。正しい手順で交換すれば、プロの整備士でなくても行うことができます。以下はカーバッテリー交換方法です。
1.エンジンを止めてから30分以上経過してから作業開始
(バッテリー内のガスが爆発する恐れがあるためです)
2.バッテリーカバーを取り外す
3.バックアップ電源を接続する
(これがないとカーオーディオ、カーナビなどのメモリーが消去されてしまいます)
4.バッテリーステー(固定器具)を取り外す
5.バッテリーのマイナスの端子から外す
(マイナス端子から外さないとショートの恐れがあります)
6.バッテリーのプラス端子を外す
7.バッテリーを取り出す
8.新しいバッテリーをセットする
9.バッテリーのプラス端子を接続する
(プラス端子から接続しないとショートの恐れがあります)
10.バッテリーのマイナス端子を接続する
11.バックアップ電源を外す
12.バッテリーステーで固定する
13.バッテリーカバーをセットする
古いバッテリーの廃棄方法
自分でバッテリーを交換したとき、古いバッテリーを正しく廃棄する必要があります。安易にゴミ収集所に捨ててしまうと、条例違反になることがあります。多くの自治体では、カーバッテリーの廃棄は禁止されています。
カーバッテリーの廃棄は、ガソリンスタンド、カー用品店などで対応してくれますが、持ち込みで廃棄を頼むとほとんど有料で、500円~1,000円がバッテリー廃棄料の目安です。
半年に1度くらいはバッテリーの点検を
近年、車とカーバッテリーの性能、耐久性は著しく向上していますが、半年に1度くらいは、バッテリーの点検を行うことをおすすめします。バッテリーを定期的に点検することで、カーバッテリーの寿命を延ばし、トラブルを避けることができます。
バッテリー点検のおすすめタイミングは、夏と冬に入る前。どちらもバッテリー負荷が大きくなる前でのチェックが、トラブルを未然に防ぐポイントです。
また、バッテリーの点検を行う際には、安全に注意し、必要であれば専門のメカニックに相談することをおすすめします。
▼ライタープロフィール
田中宏亮
モーターサイクルジャーナリスト
ハーレーダビッドソン専門ウェブマガジン VIRGIN-HARLEY.comの編集長を経験してジャーナリストとして独立、バイク関連ウェブメディアの運用や記事執筆を手がける。国内はもちろん、アメリカやヨーロッパでのメーカー主催のニューモデル試乗会にも参加。新車の試乗インプレッションのほか、カスタムやファッション、ツーリング等に関するコンテンツを手がける。
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