車の売却に税金はかかる?課税されるケースと所得税への影響
車を売却する際、その金額が大きいこともあり、「税金がかかるのではないか」と考える方も多いのではないでしょうか。また、給料などと違い一時的な収入となることから確定申告が必要なのではと気になることもあるでしょう。
物を売却する際にかかる税金は基本的には利益が発生した場合で、車は時とともに価値は低下することから、実は税金を払う可能性は低くなっています。それでも車の売却時にまつわる税金のことを知っておくことは、とても大切です。本稿では、車を売却したときに関わる税金について解説します。
※目次※
・車は購入時よりも売却時の価格が低いことが多いため、税金がかかるケースはほとんどない
・納める税金がないだけでなく、税金が還付されることもある
・個人事業主は節税できる可能性もあるので、必要に応じて確定申告をしておこう
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車の売却で支払う可能性のある税金の種類
まずは車を売却する際、支払う税金にはどういったものがあるかを見ていきましょう。かかる可能性のある税金は全部で3種類あります。ここでは、それぞれの詳しい内容について解説していきます。どういう仕組みで税金がかかるのかを知っておけば、納税の際も納得して支払えるでしょう。
自動車税
自動車税は、4月1日時点でその車を所有している人が支払う税金で、1年分を5月に支払います。請求書が届くのに少し時間差があるため、例えば4月に入ってから売却した場合も請求書が届くことになりますが、月割での支払いはできず、一旦1年分を支払う必要があります。
ただし、支払ったままということにはならず、4月から売却した月までの期間を除いた分が戻ってきます。廃車(抹消)した場合は還付となりますが、売却の場合は買い取り価格に上乗せされる形で返金されます。また、軽自動車税については月割の精度はないため、4月1日時点の所有者が1年分の税金を支払う義務を負います。
所得税
所得税とは所得を得たときにかかる税金です。車を売却するとまとまった収入が得られるため、ここに税金がかかると思われがちですが、収入と所得は異なります。所得とは収入から経費などを除いたもので、車の売却の場合は売却金額から購入金額を引いた分の利益が所得となります。
車は一般的に購入時から徐々に価値が下がっていくため利益が出ること少なく、仮に利益が出たとしても50万円の特別控除があるため、所得が発生することはほとんどないと考えてよいでしょう。
消費税
車の売却に際して消費税が課せられるのは事業者として売る場合だけで、個人で売るときには課税されません。ただし、業者は消費税を支払う義務があるので、売り手側が受け取った買い取り価格の中には消費税が含まれているという形になります。
売り手であるこちらが何かを手続きをしなければならないわけではありませんが、買い取り価格を提示されたとき、なぜこの価格になるのかという理解につながります。
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車の売却で所得税が課税されるケース
前項でも触れた通り、車の売却価格が購入価格を上回ることで利益(所得)が発生した場合に所得税が課せられることがあります。ただ、所得が発生してもその車の用途などによっては所得税を支払う必要がない場合があります。ここではそのような基準で所得税の課税対象になるかを解説します。
通勤用に使用していた場合
通勤用として車を使用していた場合、所得税が課されることはありません。なぜなら、通勤用の車は「日常生活に必要なもの」と見なされるからです。生活に必要なものを売った場合、利益が出ても課税対象にはならず、税金もかかりません。
ちなみに、通勤用とは買い物や通勤・通学の送り迎えでの利用も含まれます。多くの自家用車がこちらに当てはまると考えて問題ないでしょう。
業務用に使用していた場合
業務用とは主に仕事に使っている車のことです。「日常生活に必要のないもの」と見なされるため、利益が出た場合には「譲渡所得」となり、所得税が課せられます。ただし、譲渡所得には50万円の特別控除があるので、実際に課税対象となるのは売却益から50万円を引いた額です。つまり70万円の利益が出た場合、20万円に対して税金がかかります。
また、使用期間が5年を超えている車であれば、課税対象額は半分に減ります。例えば、売却益が70万円の場合、50万円の特別控除を差し引いた20万円の半分である10万円に対して税金がかかる形になります。
レジャー用に使用していた場合
通勤・買い物には使わない遊びや趣味専用の車を持っている方もいるでしょう。こういったレジャー用の車も「日常生活に必要のないもの」と見なされるため、売却益が出れば所得税を支払う必要があります。
一般的には車の売却によって利益が出ることはほとんどありませんが、趣味の車はプレミアの付くものもあります。通勤や仕事で使用する車と比べて、売却益が出る可能性が高いでしょう。
車の売却額が購入時の金額を上回る場合
いずれにせよ、車を売却したときに所得税が課せられるのは利益が出た場合のみです。つまり売却価格が購入時の金額を上回ったときだけなので、普通の車であれば、あまり関係のない話です。
もし売却益が出たとしても譲渡所得には50万円の特別控除があるため、売ったときの金額が購入時の金額よりも50万円以上高い場合でないと所得税はかかりません。
ただし、珍しいケースではありますが、レジャー用のレアな車だと、売却価格が大幅に上回る可能性もゼロではありません。そのときは所得税を納めましょう。
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還付される可能性のある税金は?
自動車税は4月1日時点の車の所有者が1年分を前払いしますが、年の途中で廃車にしたときは乗らなかった分の税金が月割りで還付されます。この仕組みと同様に、車を売るときも翌月以降の自動車税を業者が買取価格に反映することが多くなっています。
また、新車購入時にはリサイクル預託金を支払うことが義務付けられています。リサイクル預託金は廃車の際に必要なお金なので、最終的に負担するのは最後に車を持っていた人になるのが一般的です。よって、ほとんどの場合、売却時にはリサイクル預託金も返ってきます。
廃車の場合は重量税や自賠責保険も還付されることも
廃車にした際は自動車重量税や自賠責保険料も月割りで還付されます。この二つは車検のときに支払うため、「車検費用」とひとまとめで考えてしまいがちですが、車検にその費用が必要となるわけではなく実際に走っている期間に対して支払うものです。
自動車重量税の還付手続きは廃車の際に運輸支局にて行います。一方、自賠責保険料は保険会社に連絡した上で手続きを進めていきます。保険会社から連絡が来るわけではないので注意が必要です。また、自賠責保険料に関しては、一時的に車を使えない状態にする「一時抹消登録」の際にも払い戻しを申請できます。
車を売却する際の税金に関する注意点
車を売るときに戻ってくる税金があることは知っていても、還付の仕組みに関する勘違いは多いようです。仕組みを知らないままだと、「損な売り方をしてしまった」「業者とトラブルになってしまった」という事態につながりかねません。不要なトラブルを避けるためにも、注意すべきポイントをしっかり理解しておきましょう。
軽自動車の場合は還付がない
自動車税が月割りで還付される制度があるのは普通車だけです。軽自動車には還付の仕組みがないので、年の途中で手放した場合も1年分の税金は全て4月1日時点の所有者が負担することになります。
2024年現在、軽自動車の自動車税は1万800円です。捉え方は人それぞれですが、「少しでもお得に」と考えるなら、自動車税が課せられる直前の2月や3月といったタイミングで手放すのが賢い選択といえるかもしれません。
税金未納のままだと車売却ができない
自動車税は毎年4月1日時点でその車を所有している人が翌年3月までの1年分を支払うことになっていて、自動車税を支払っていない車は売却ができません。
自動車税の納付書が送られてくるのは4月下旬から5月上旬にかけてのため、年度初めなどの忙しい時期と重なりやすいことから支払いを忘れてしまう可能性もあります。車の売却を検討する際は、自動車税を納め忘れていないかを確認しましょう。
個人売買だと誰が支払うかでトラブルに発展しやすい
売買の相手が業者の場合、取引に慣れているため、自動車税やリサイクル預託金に関しても特に問題は起こらないと考えていいでしょう。一方、個人売買となると、これらの負担に明確な取り決めがない分、トラブルに発展してしまう可能性があります。
本来、自動車税は廃車に伴う登録抹消時に還付されるものです。「乗らなかった分の税金が売却時に返金される」と法律で決まっているわけではありません。それと同様に、リサイクル預託金に関しても誰が負担するというはっきりとした決まりはないのです。
それぞれの負担の取り決めをしっかり話し合っておかないと、想定していたお金が戻ってこないという事態になりかねません。
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車の売却で確定申告は必要?
所有しているものを売却して利益が出た場合は確定申告をして所得税を支払う必要があります。しかし、車の場合は基本的に購入時から価値が下がるため、利益が出ることはあまりありません。また、利益が出たとしても通勤や買い物に使っていたならば課税対象にはならず、それ以外の用途でも特別控除があるなど、確定申告をすることはまれでしょう。
しかし、大きな利益が出る可能性も全くないわけではありません。また、個人事業主の場合、確定申告をすることで節税が期待できます。ここでは確定申告の方法を解説します。
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車の売却で確定申告が必要な場合の流れ
サラリーマンの方などは、所得税の納税は年末調整で済ませることが多いので、確定申告をしたことがないという方は多いでしょう。確定申告は難しそうと思ってしまうのではないでしょうか。
記入書類も多いですが、しっかりと準備をしておけば難しいことはありません。ここでは確定申告に必要なものや方法などを解説します。
1.必要書類を用意する
確定申告を始めるにあたって、まずは書類を準備しましょう。必要な書類は以下のようなものがあります。
・源泉徴収票
・私的年金の支払金額などが分かるもの
・医療費などの領収書
・社会保険料の控除証明書
・生命保険や地震保険の控除証明書
源泉徴収票は給料や公的年金の収入と源泉徴収された所得税などが記載されたもので、勤務先で入手できます。公的年金、私的年金の証明書は自宅に送付されます。医療費は1年間に支払った金額が高額の場合に控除の対象になります。
社会保険料は給与天引きなどの場合は源泉徴収票に記載されますが、国民年金保険料など自身で支払っている場合はその証明書が必要です。生命保険や地震保険も控除の対象で、毎年、年末ごろに保険会社から送付されます。
2.確定申告書の作成
必要な書類の準備ができたら確定申告書の記入をします。税務署などで入手できる確定申告書に手書きで作成する他には、会計ソフトを使う方法、国税庁ホームページの「確定申告書作成コーナー」で作成できます。
会計ソフトや確定申告書作成コーナーであれば必要項目を記入すれば計算は自動で行ってくれます。また、時間がない場合や添付書類や記入項目が多いなどの場合は、税務署で相談する方法や、費用がかかりますが税理士に依頼するという方法もあります。
(参考:『【確定申告書等作成コーナー】-作成コーナートップ』)
3.確定申告書の提出・税金の納付
確定申告書の記入を済ませたら、各種証明書などの添付書類とともに所管の税務署に提出します。直接税務署に持参してもかまいませんし、郵送でも対応しています。持参する場合は、窓口の担当者に記入内容などの確認をしてもらえます。また、確定申告の時期には相談コーナーも設置されています。
国税庁のホームページで記入した場合はそのまま電子申告のe-Taxで提出もできます。e-Taxを使えば書類を税務署に郵送することなくその場で申告が完了するのでおすすめです。また、青色申告の場合は最大65万円の青色申告特別控除が受けられます。提出が済んだら、還付される場合は指定した口座に振り込まれ、納税の場合は期限までに所得税を支払います。
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まとめ
車を売却する際、税金のことを意識することはあまりないのではないでしょうか。それはほとんどの場合所得税が発生することはなく、自動車税が還付される場合も、ディーラーや買い取りをする店舗が還付される金額を計算して買い取り価格に上乗せしているからです。
ただし、通勤など日常で使う以外の用途の場合、売却時の金額が購入金額を大きく上回って利益が出たという場合は確定申告が必要になります。一見難しそうですが、事前に調べておけばそれほど難しくはありませんし、税務署などの相談コーナーを活用して申告をしましょう。
▼ライタープロフィール
岩本佳美
漠然と「車関係の仕事がしたい」という想いのもと、飲食業界から自動車メディア業界に飛び込むという破天荒な人生を歩んでいる。愛車がスバルのWRXということもあり、主にスバル系の記事をWebや紙媒体に寄稿。モータースポーツが大好きで、レース観戦はもちろん、サーキット走行や24時間耐久のカートレースにも出場するなど、自らも走ることでその楽しさや面白さなどを経験しながら情報発信している。
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よくある質問
Q. 車を売ったお金は所得になりますか?
A.車の売買で関係する税金は所得税や環境性能割です。車の売却については50万円の特別控除の対象になっており、50万円以上の利益が出ていない場合には所得税の課税はありません。非課税の対象になるのは日常の生活で使用していた車のみです。
業務用やレジャー用として使用していた車を売却した場合には、所得税の課税対象として扱われます。2019年10月1日より、環境性能割と呼ばれる税金が導入されました。個人で車を購入した場合でも、環境性能割を納めなければなりません。
Q. 4月に車を売った場合、税金はどうなりますか?
A. 自動車税は、4月1日時点で車の所有者に請求されますが、抹消手続きが完了した翌月からが還付対象です。そのため、4月中に抹消手続きまで完了した場合は、5月から翌3月までの11か月分の還付となります。
Q. 3月に車を売った場合、税金はどうなりますか?
A. 3月に手放す場合は、抹消手続きが完了した翌月からが還付対象です。例えば、3月中に抹消手続きまで完了した場合は、納税の案内は届きません。しかし、3月中に手続きをしたが、完了が4月に入ってしまった場合は、5月から翌3月までの11か月分の還付となります。